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ギルドスレッド

グラン・ギニョール

【RP】舞台袖にて

廃材の積まれた、埃塗れの舞台袖。

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(かつん、こつん、ぎい、ぎい)
(床の瓦礫やら、あるいは板張りの床でも踏みしめてか、小さな躯とて歩く度に響く音があります)
(それが楽しいのでしょうか。人形の少女は、ぎこちない足取りながら、踊るように舞台袖を歩いておりました。)
(足音にふと、目を覚ます)
(小気味よく響く軋みの音が、脳を淡く揺さぶる)
(月明かりの差し込む廃墟の舞台、その光の下で、横になっていたからだを起こす)
――明るい月夜は気味が悪いのだね。見えなくて、見なくて済むモノが見えてしまう。
(聞こえてしまう、と口にすることはない)
(足音は止まって)
(代わりに、きりり、きりりと、人形が首を動かし、視線を彷徨わせる音。)
そこにいるのは、だあれ。
もしかしてここは、だれかのお家だったのかしら。
だとしたら、そう。わたし、お邪魔しているわ。
(抑揚のない声が、演者も観客もいない舞台に響きました。)
(ニヤと笑い)
ふ――冗句がお上手なのだね。
ドーゾようこそお屋敷へ。先ずは椅子にお座りになって。
埃が積もって座り心地も悪いかもしれないけど。
(地面に立膝を突きながら、比較的平坦な壁材の瓦礫へ手を向けて)
冗句。いいえ、冗談を言ったわけではないわ。
だってだれかの家だったなら、勝手に上がるのは、よくないことでしょう。
(不思議そうに、コテリと小さな首が傾きます。)
突然の来訪だったのに、丁寧に、ありがとう。
わたし、はぐるま姫よ。あなたのお名前は、なあに。
(椅子に座る前に、スカートの両裾をつまむと、それこそ巻かれた人形のようなぎこちない動作で、一礼をしてみせるのでした。)
――ふうん。
(呟きは吐息のように薄く。されど正論、と頷き)
イロリはイロリよ。それ以下でもそれ以上でもなく。
銀貨二枚ほどの名前。その前のは、――忘れたのだよ。
(はぐるま姫のお嬢様のような動作につられて視線を動かすが、
やがて飽きたように、ぶっきらぼうに視線を逸らした)
で、アンタはココに何の用なのだネ?
物盗り?生憎と、金目になるものはさっき売り払ったところなのだよ。
あなたはイロリというのね。わたし、覚えたわ。
(きりり、歯車の軋む音。)
銀貨二枚。イロリのお名前には、値段がついているの。
なんだか不思議だわ。そんなの、聞いたことがないもの。
(知識のないお姫様は、言葉を額面通りに受け取るばかりです。)
ものとり。ううん、わたし、泥棒ではないわ。泥棒はいけないことだもの。
でも、別の世界から来たものだから、見るもの見るもの、とっても珍しくて。
舞台のような場所が見えたから、つい気になって、探索に来てしまったのよ。
そう。アンタの名前なら銅貨7枚、いや。
物好きなら金貨一枚で売れそうだね。
(銭勘定の顔をお面の下に浮かべてから)
ドロボーはみんなそう言うんだ。
「ワタクシはドロボーじゃございませんノ!信じてくださいマシ!」
別の世界から来たってのは最近よく聞くけどさぁ、
イロリのような人間からしてみれば、元の世界から
逃亡して(にげて)きたとも取れるのだね。
(そう言うと、くつくつと笑って見せる)
――はぁ。ま、いいや。信じてあげるわ。
(笑みを止めると、はぐるま姫に振り返り)
で、お姫さま。舞台につられた人形さん。
小さな小さなアンタに、ココはどう見えたのだネ?
魅力的?殺風景?
危ない香りでも感じ取った?
名前に値段をつけられるだなんて、イロリはすごいわ。
わたしも、勉強すればできるようになるかしら。
(額面通りに言葉を受け取って、お姫様はすっかり純粋に信じ込んでおりました。)

ううん。イロリは難しいことを言うのね。
でも、わたしがいのちを手に入れて、動けるようになったのはこの世界に来てからだから。
逃げてこようにも、逃げることなんてできなかったわ。
(やはりこれも当人にとっては当然のことなので、イロリと名乗った女性の言動が不思議なばかりです。)

そうね。
舞台というものを見たことがなかったから、きっと、魅力的に映ったのだわ。
残念ながら、演者さんもお客さんも、全部合わせたって二人しかいないみたいだけれど。

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