ギルドスレッド
グラン・ギニョール
(かつん、こつん、ぎい、ぎい)
(床の瓦礫やら、あるいは板張りの床でも踏みしめてか、小さな躯とて歩く度に響く音があります)
(それが楽しいのでしょうか。人形の少女は、ぎこちない足取りながら、踊るように舞台袖を歩いておりました。)
(床の瓦礫やら、あるいは板張りの床でも踏みしめてか、小さな躯とて歩く度に響く音があります)
(それが楽しいのでしょうか。人形の少女は、ぎこちない足取りながら、踊るように舞台袖を歩いておりました。)
(足音にふと、目を覚ます)
(小気味よく響く軋みの音が、脳を淡く揺さぶる)
(月明かりの差し込む廃墟の舞台、その光の下で、横になっていたからだを起こす)
――明るい月夜は気味が悪いのだね。見えなくて、見なくて済むモノが見えてしまう。
(聞こえてしまう、と口にすることはない)
(小気味よく響く軋みの音が、脳を淡く揺さぶる)
(月明かりの差し込む廃墟の舞台、その光の下で、横になっていたからだを起こす)
――明るい月夜は気味が悪いのだね。見えなくて、見なくて済むモノが見えてしまう。
(聞こえてしまう、と口にすることはない)
(足音は止まって)
(代わりに、きりり、きりりと、人形が首を動かし、視線を彷徨わせる音。)
そこにいるのは、だあれ。
もしかしてここは、だれかのお家だったのかしら。
だとしたら、そう。わたし、お邪魔しているわ。
(抑揚のない声が、演者も観客もいない舞台に響きました。)
(代わりに、きりり、きりりと、人形が首を動かし、視線を彷徨わせる音。)
そこにいるのは、だあれ。
もしかしてここは、だれかのお家だったのかしら。
だとしたら、そう。わたし、お邪魔しているわ。
(抑揚のない声が、演者も観客もいない舞台に響きました。)
(ニヤと笑い)
ふ――冗句がお上手なのだね。
ドーゾようこそお屋敷へ。先ずは椅子にお座りになって。
埃が積もって座り心地も悪いかもしれないけど。
(地面に立膝を突きながら、比較的平坦な壁材の瓦礫へ手を向けて)
ふ――冗句がお上手なのだね。
ドーゾようこそお屋敷へ。先ずは椅子にお座りになって。
埃が積もって座り心地も悪いかもしれないけど。
(地面に立膝を突きながら、比較的平坦な壁材の瓦礫へ手を向けて)
冗句。いいえ、冗談を言ったわけではないわ。
だってだれかの家だったなら、勝手に上がるのは、よくないことでしょう。
(不思議そうに、コテリと小さな首が傾きます。)
突然の来訪だったのに、丁寧に、ありがとう。
わたし、はぐるま姫よ。あなたのお名前は、なあに。
(椅子に座る前に、スカートの両裾をつまむと、それこそ巻かれた人形のようなぎこちない動作で、一礼をしてみせるのでした。)
だってだれかの家だったなら、勝手に上がるのは、よくないことでしょう。
(不思議そうに、コテリと小さな首が傾きます。)
突然の来訪だったのに、丁寧に、ありがとう。
わたし、はぐるま姫よ。あなたのお名前は、なあに。
(椅子に座る前に、スカートの両裾をつまむと、それこそ巻かれた人形のようなぎこちない動作で、一礼をしてみせるのでした。)
――ふうん。
(呟きは吐息のように薄く。されど正論、と頷き)
イロリはイロリよ。それ以下でもそれ以上でもなく。
銀貨二枚ほどの名前。その前のは、――忘れたのだよ。
(はぐるま姫のお嬢様のような動作につられて視線を動かすが、
やがて飽きたように、ぶっきらぼうに視線を逸らした)
で、アンタはココに何の用なのだネ?
物盗り?生憎と、金目になるものはさっき売り払ったところなのだよ。
(呟きは吐息のように薄く。されど正論、と頷き)
イロリはイロリよ。それ以下でもそれ以上でもなく。
銀貨二枚ほどの名前。その前のは、――忘れたのだよ。
(はぐるま姫のお嬢様のような動作につられて視線を動かすが、
やがて飽きたように、ぶっきらぼうに視線を逸らした)
で、アンタはココに何の用なのだネ?
物盗り?生憎と、金目になるものはさっき売り払ったところなのだよ。
あなたはイロリというのね。わたし、覚えたわ。
(きりり、歯車の軋む音。)
銀貨二枚。イロリのお名前には、値段がついているの。
なんだか不思議だわ。そんなの、聞いたことがないもの。
(知識のないお姫様は、言葉を額面通りに受け取るばかりです。)
ものとり。ううん、わたし、泥棒ではないわ。泥棒はいけないことだもの。
でも、別の世界から来たものだから、見るもの見るもの、とっても珍しくて。
舞台のような場所が見えたから、つい気になって、探索に来てしまったのよ。
(きりり、歯車の軋む音。)
銀貨二枚。イロリのお名前には、値段がついているの。
なんだか不思議だわ。そんなの、聞いたことがないもの。
(知識のないお姫様は、言葉を額面通りに受け取るばかりです。)
ものとり。ううん、わたし、泥棒ではないわ。泥棒はいけないことだもの。
でも、別の世界から来たものだから、見るもの見るもの、とっても珍しくて。
舞台のような場所が見えたから、つい気になって、探索に来てしまったのよ。
そう。アンタの名前なら銅貨7枚、いや。
物好きなら金貨一枚で売れそうだね。
(銭勘定の顔をお面の下に浮かべてから)
ドロボーはみんなそう言うんだ。
「ワタクシはドロボーじゃございませんノ!信じてくださいマシ!」
別の世界から来たってのは最近よく聞くけどさぁ、
イロリのような人間からしてみれば、元の世界から
逃亡して(にげて)きたとも取れるのだね。
(そう言うと、くつくつと笑って見せる)
物好きなら金貨一枚で売れそうだね。
(銭勘定の顔をお面の下に浮かべてから)
ドロボーはみんなそう言うんだ。
「ワタクシはドロボーじゃございませんノ!信じてくださいマシ!」
別の世界から来たってのは最近よく聞くけどさぁ、
イロリのような人間からしてみれば、元の世界から
逃亡して(にげて)きたとも取れるのだね。
(そう言うと、くつくつと笑って見せる)
――はぁ。ま、いいや。信じてあげるわ。
(笑みを止めると、はぐるま姫に振り返り)
で、お姫さま。舞台につられた人形さん。
小さな小さなアンタに、ココはどう見えたのだネ?
魅力的?殺風景?
危ない香りでも感じ取った?
(笑みを止めると、はぐるま姫に振り返り)
で、お姫さま。舞台につられた人形さん。
小さな小さなアンタに、ココはどう見えたのだネ?
魅力的?殺風景?
危ない香りでも感じ取った?
名前に値段をつけられるだなんて、イロリはすごいわ。
わたしも、勉強すればできるようになるかしら。
(額面通りに言葉を受け取って、お姫様はすっかり純粋に信じ込んでおりました。)
ううん。イロリは難しいことを言うのね。
でも、わたしがいのちを手に入れて、動けるようになったのはこの世界に来てからだから。
逃げてこようにも、逃げることなんてできなかったわ。
(やはりこれも当人にとっては当然のことなので、イロリと名乗った女性の言動が不思議なばかりです。)
そうね。
舞台というものを見たことがなかったから、きっと、魅力的に映ったのだわ。
残念ながら、演者さんもお客さんも、全部合わせたって二人しかいないみたいだけれど。
わたしも、勉強すればできるようになるかしら。
(額面通りに言葉を受け取って、お姫様はすっかり純粋に信じ込んでおりました。)
ううん。イロリは難しいことを言うのね。
でも、わたしがいのちを手に入れて、動けるようになったのはこの世界に来てからだから。
逃げてこようにも、逃げることなんてできなかったわ。
(やはりこれも当人にとっては当然のことなので、イロリと名乗った女性の言動が不思議なばかりです。)
そうね。
舞台というものを見たことがなかったから、きっと、魅力的に映ったのだわ。
残念ながら、演者さんもお客さんも、全部合わせたって二人しかいないみたいだけれど。
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