ロココ調の西洋家具。
天蓋に覆われたベッドには二体の愛らしいぬいぐるみ。
青薔薇の魔女の子供部屋。

(ベッドに身を横たえて、白狐と白狼の縫いぐるみを愛でている。もふもふ。もふもふ。)

………。
(腕に一冊の本を抱えて窓辺に立ち
どこか退屈そうに外の風景を眺める)

『外へ行かないのかい、ルミエール？』

うん…。
(傍に寄り添う、自身の半身とも言える白狼の問いには
YESともNOとも取れる曖昧な調子で小さく答え
背後にある部屋の扉を緩慢に振り返った。)

…外に出れば、壊れないオモチャがみつかるかしら。
私が遊んでも壊れないような、頑丈で愉快で愛しいオモチャ…。

…どうすれば私、壊さずいられるようになるのかしら。
本当は壊したくなんかないのに…。
壊れちゃったら…悲しいわ…。

(いつの間にやら、ソレは其処に在る)

…とーさま？
(姿に気がつき、呆けた顔をする。おめめぱちくり。)

やァ、ルミエール。我(アタシ)のムスメ。(ニコニコとソレが笑って少女へ笑いかける)

…父様、どうしたの？
外でみんなと遊ばないの？
(少し困った顔をして両手の指をもじもじとからみ合わせる

ン？キミと遊びたくて訪ねてみたのだが。駄目だった？(ゆっくり首を傾げて)

…駄目じゃないの。駄目じゃないけど…。
父様壊れちゃったりしない？
(不安げな表情でソレをちらりと見上げる。
少女の白狼はその光景を見て
何も言わず穏やかに瞳を細めた)

(ソレもまた、穏やかに目を細めて) おやまァ、おやまァ、可愛いこと言うねルミエール。我(アタシ)はか弱いがしぶとさだけは折り紙付きだとキミもよぉく知ってるだろう？(おいでおいでとソレの美しい手が手招いて)

…うん。
(その言葉と微笑みに安堵の表情を浮かべて
手招かるるまま近付きぎゅうと抱きつく)

『この間またニンゲンを駄目にしてしまったから
ちょっと気にしているんだよね。
僕の制止が間に合えばよかったんだけど』
(まあ、そういうこともあるよね。と気楽に言って
白狼は尾をパタリと振った）

まあまあ、気にしてるだけまだ健全であろ。キミの「弟」たちを興味半分で壊さなければ大丈夫、大丈夫。(いいコいいコと抱きついてきたムスメをゆっくり撫でて)