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商人ギルド・サヨナキドリ

夜の帳

アレキサンドライトの娘と夜の帳の様なソレの噺。

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(誰もいない海のほとり、ソレが流木に腰掛けて波打ち際を眺めている)
……こんばんは
(砂浜を踏みしめてやって来る。美しい景色に心踊る事もなく、静かな声。いつもの元気さはそこになかった)
ーーやァ。コンバンハ、アレキサンドライトの娘。大人しいね、何かいい事でもあったかぃ?(くすくす…)
んーん……特には。でも、みんなにめいわく、かけちゃったかなって思って。
(先日の失敗した依頼を思い出して、申し訳なさそうに)
迷惑。あの場に居た者でそう思ったコは居ないと思うが。(はて、と首を傾げ)
そう、かなぁ……。
そうだと、いいな……。
(しゅん、として)
まァ、かの美しきベアトリーチェにとっては間違いなくとばっちりだったろうがね。(けら、けらと笑って) それで、どうしたいんだぃ?
ん……そろそろ、魔法が解けちゃうから、また染めてほしいの。(貴方からもらった髪染めの薬を手にしつつ)
おや。まだ、魔法の継続を望むかぃ。(けらり、けらり)
……だって。怖い……んだもん……。
(泣きそうな声で小さく)
どうして怖いの?(幼子に問うような柔らかいコエで)
秘密にしてたってバレたら、……嫌われちゃうかも。
先生にも、パパにも、ママにも。
……それが、怖いの。
(しょうがないなァ、という風に笑ってソレが両手を差し出して) おいで、アレキサンドライトの娘。
(ふわりとその華奢な身体を抱擁しようと)
キミの真実ごと、キミを愛してるよ。そしてこれは、我(アタシ)だけがキミへ向ける言葉とはならない。(ゆっくり、その髪を撫でながら)だからそう怖がるのはおよし。さもないと我(アタシ)がつい、その恐怖を利用して悪いコトをしてしまいそうだからね。(けら、けら)
「私」のこと、嫌わない?本当?
(恐る恐る顔を上げて)
我(アタシ)は嘘は好まないよ?我(アタシ)はキミを嫌ったりなどしないとも、アレキサンドライトの娘。……それとも、「名前」で呼ぼうか?(くすくす。ソレが三日月のように笑っている。鋭利な、毒のように甘い瞳が娘を見下ろした)
……。じゃあ、染めるの、ちょっと考える……。
皆にも、聞いてみて、それから……決める。
貴方のいうことはきっと本当だけど……
……そう思ってない子も、いるかもしれないから。
もし、キミの真実を受け入れないコがいたらさ、我(アタシ)をお呼びよ。そしたら我(アタシ)が悲しくない様にしてあげる。(くすくす)
いいコ。(よし、よしとあやす様に撫でて)
さ、立ち上がれそうかぃ?(緩く首を傾げて尋ね)
うん。大丈夫!(立ち上がる。貴方の隣に立つものの、貴方よりずいぶん小さいので子供のようだ。)
重畳、重畳。さァ、お行き。モノガタリを紡いでおいで、愛しいコ。

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