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ギルドスレッド

商人ギルド・サヨナキドリ

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……、(幾分か落ち着いた様子で物思いに耽っている。だが、まだお世辞にも機嫌がいいとは言えないようで影から聞こえてくる囁く様な笑い声が一層禍々しい)
(そんな怪しい笑い声が響く中……)
(コンコンコン、と扉からノック音が響く)

失礼、商人殿……咲々宮に御座る。
此方におられると伺って来たので御座るが……今、宜しいで御座るか?

(窺う様な声、どうやら笑い声は室外まで聞こえていたらしい)
……ああキミか。構わん、お入り。

(囁く様な禍々しい笑い声とは対照的にソレの声は静かだ。部屋の中に入れば、辛うじて口元は笑んでいるもののどことなく非人間的な雰囲気の漂うソレがソファーに座って待っている)

ーー待っていたよ。
失礼致す。

(改めて、扉を開けて中へと入る)
(何故だか、妙に……胡散臭さを感じるとでも言えばいいのか?そんな雰囲気を感じながら、ソファに座る件の人物に死線を向ける)

(尚……そんな空気のせいか、無意識に左手を刀に伸ばしていた)

……待っていた?
拙者、伺う事を事前にお伝えしていたで御座るかな……?

(はて、と右手を顎にやり首を傾げつつ)
(視線は彼?彼女?から外さない……武士の嗜み、と言えば聞こえはいいが、一商人に向けるものではなかった)
いいや、なんにも。ただ我(アタシ)はキミが此処に来ることが出来るだろうと視たから待っていただけのことさ。

(男の視線を受け取るとソレは男とも女ともつかぬ声でそう返して、笑んだまま真似をする様に細い首を傾げた。視線の鋭さには小揺るぎもしていないようだ。曲がりなりにもこのギルドの長としての度量か、それとも……)
……占いの類で御座るか?
生憎、拙者はそういったものは信じておらぬが……。

(ふむ、と頷く……胡散臭いが、まぁ信じる事にした様だ)

であれば、此所に来た理由も……存じておられるか?

(帯から刀を鞘ごと抜く)
(一見しただけで分かる、それは奇妙な一振りだった……柄に対し、鞘が異常に長いのである)
(元の世界で名を知られる「備前長船」にも見てとれるが、それとはまた違う異様さを醸す)
まァ、大したことではなかろ。我(アタシ)は視える事を言っているだけだからね。

(その刀をじっと視て)
そこまで速さを求めて、よく刀身が耐えられるものだ。余程そのコも戦が好きらしい。
刀の類は偏執じみた美しさがあって好きだよ。とはいえ、そんな使い方をしてたらこまめに手入れせねばあっという間に刀身が折れるだろうさ。
(たわ言、と切って捨てるのは簡単だが……此処は元いた世界とは違う、神秘がまだ生きているのだ、そういうものもあろう……と思い直す)

拙者の速さに、よくついてきてくれているとは思うで御座るが……先の仕事、『彼』の結界に阻まれた折から調子が良くなく。

(言いながら、鞘から抜刀する)
(その刃は、水面に雫を落とした様に美しい波紋が広がっている。相当な業物であるが……長さは二尺八寸程度、普通の日本刀と同じ程度だ。鞘に納刀すれば余りが出る)
(件の鞘と並べれば……抜刀した刀と同程度の長さであろう鞘、鉄拵えで相当丈夫な作りになっている……それこそ、この鞘を武器としても良い程に)
あれまァ、なんともカワイソウに。あの娘の呪詛を取り込む前だから……ああ、でもあの娘とも直接相対してたし幾分かは穢れてるか。あの術式に、あの速さでぶつけられたのだろ?そりゃイカれるよねぇ。(鞘を指して) ーーそっちは大丈夫そうだね。ただ、あまり無茶に使い続けるとこのコも納まらなくなるかもしれんから、そこは注意が必要だろうが。

……であれば、研ぎ師にこのコを紹介するのがいいかな。刀鍛冶もいるけどあのコ達はクセが強いからね。
そうは言えども、仕事で御座るからな……多少の無茶を聞いて貰わねば、「命響志陲」の名を持つコイツに恥じる結果になってしまう故。

研師と、あとは……装飾の職人もいれば。
柄紐も大分傷んできているし、鍔も細かな傷が目立つ……紹介でも良いが、腕は立つので御座るか?

(納刀し、鞘で肩をトントン叩きながら)

鞘の方は……近頃は取り落とす事も無い故に使ってはおらぬが、一応点検だけ頼めるで御座るか?
「生者必滅」は最後の砦、コイツに壊れられては困るで御座るし……。

……何より、万全にしておけねば「次」も戦えるか分からぬ。
一合、鍔迫り合っただけに御座るが……。

(正直、自信は無い……口には出さないが、例え万全であっても露払い程度しか出来ない己に歯噛みをする)
その前に我(アタシ)の眷属に祓えを行わせよう。この刀(コ)自体が妖刀として成り立つ為の呪詛ならともかく、他人様の練り上げた呪詛を纏っててもあまり美しくないからね。

紹介と言っても、ギルドに所属している職人(コ)にさ。当然、腕は折り紙付きだよ。一応ギルドの顔役だからね、我(アタシ)は。口利きすれば多少の無茶も通るだろう。

ああ、次はーーもっと厄介なのを相手にせねばならんだろうからね。万全にしなくてはならないというのはその通り。
……お願い致す。
最近は人以外を斬る機会が多かった故……呪詛に関しては門外漢なのでお任せ致したく。

(クルリと手の内で回し、柄側を商人へ差し出す)

お主がそう言うのなら、間違いなかろう……であれば、そちらもお願い致す。こやつに合った研師を頼むで御座る。

厄介でも、斬れと言うのならば……神でも悪魔でも、善人でも悪人でも関係無い。
只々、斬る……それだけに御座る。

(ともすれば、危うくも見える生き方だが……今までそうして生きてきて
それしか知らないのだろう。そして、この先も……)
承った。

(刀の柄を取り、次に鞘を持ってまるで人の赤子を抱く様に慈愛を込めて持つ)

そう……それは美しいね。ちょっと大人しいけれど。
(何も差していない左側、所在無さげに左手を動かしながら)

美しくなど……ただ、拙者には剣しか無かったし剣以外も教えてはもらえなかった。
それに……あまり殺(や)りすぎると、姉上にバレてしまうで御座るしな。

(ふ、と顔を綻ばせる……大事な家族なのだろう)
美しいよ。1つの事に全てを注いだ人間というのは美しいし、愛しい。
もし、キミが死牡丹の旦那に遭ったら感想を聞かせておくれよ。あの男は美しいから。

姉上?ああ、“カゾク”がいるのか。バレるとマズいのかぃ?
(よく分からない、ただ「それをしなければ生きていけなかった」「やるしかなかった」「だからやった」……それだけなのに)
(複雑そうな表情を浮かべ)

梅泉殿か……直接はお会いしておらぬが、酒宴の席でお見掛けした事は御座る。
……一体どの様な半生を送れば、あの様に「完成する」事が出来るのか。
一度御教授頂きたいものに御座るな……。

(得てすれば、「美しい」と感じているのだろう。清々しいまでに己を貫き通す様は、ある意味で幻介の「理想」でもあった)

拙者の師の様なものに御座る。ごく最近、再開の折を果たしたので御座るが……。
まぁ、良くも悪くも「善人」で御座る故な。良くは思惑で御座ろう……知らぬもまた、それは一つの幸福なのだと思うので御座るよ。

( https://rev1.reversion.jp/scenario/ssdetail/1141 )
(複雑そうな表情を見て、ほんの少しだけ笑みを柔らかくして)

そうさねぇ……それこそ、よく鍛えられた刀を見ているような。別にキミの半生を賛美したりとか、逆に馬鹿にしているわけではないよ。ただ単に、今のキミのその在り方を美しいなと感じるだけ。そう言った意味で死牡丹の旦那はその極地だね。妖刀が服着て歩いてる様な男だもの、あれ。

ああ、なるほど。だからキミは刀には成りきらずに人なのかもねぇ。
そういうのは、どちらかというと愛らしいかな。(くすくす…)
何、拙者なぞまだまだ……鈍(なまくら)も良い所に御座る。美しいと言われても、いまいちピンと来ぬが……まぁ、褒められてると思えば悪い気はせぬかな。
とはいえ……確かに、梅泉殿は尊敬すべき剣客では御座るが……何か、上手く言えぬので御座るが……拙者の求めている「もの」とは違うという事だけは分かる。拙者自身も、何を以てとしているかまだ分からぬので御座るがな……。

(抽象的だが、本当に分かっていない体である。それを探す為にも旅をし(戦っ)ているのだろう)

……よく分からぬが。
まぁ、姉上を悲しませる訳にもいくまいて……ところで。

(抱えられている刀を指差し)

出来れば、代用で一振りお借りしたい所で御座る……良ければ、見繕って貰っても宜しいで御座るかね?

(やはり、どうにも腰が寂しいらしい。落ち着かない様子である)
ン、キミとあのコじゃタイプが違うだろうからね。ま、それはそれ、キミ自身がいずれ答えに辿り着くだろうからさほど難しいことでもあるまいて。

(こんこん、とノックの音。入室を許可すると白い狐の耳と尾を持つ和服をきた青年が入室してきた)

キミの作業が終わったらそのままカイーナの方とアンテノーラの方へ持っておいき。
鞘はアンテノーラの方に診てもらうのが適任だろう。

(預かった刀を青年へ渡すと、青年が恭しくその刀を受け取る)

ーーさて、代用か。キミと縁の合うコがいればいいのだが。

(こつ、こつと足元にある自身の影を爪先で叩くと、ごぼごぼと泡立ち始めて)
答え……出せるで御座るかなぁ。

(先の姿がまるで想像出来なかった。今を生きるのに必死で……先の事など、まるで検討が付かない様で)

(と、そんな折に響くノック音。緊張と共に素早く振り向くが……主の見知る人物だと知り、胸を撫で下ろす)
(知らぬ名と共に、愛刀が預けられる……少し、寂しそうな視線で見送り)

注文を付けても良いならば、東洋剣でお頼み致したく……一応、どの様なものでも一通りは扱いこなせるで御座るが、やはり使い慣れた形がありがたく候。

(それが、混沌に訪れて得た恩恵《ギフト》。ありとあらゆるものを「刀」と認識し扱う事が出来る……実際は刀ではないのだが)

(商人の影が、煮えた鍋の様に泡立つ。その様に若干不安を感じている風)
なに、彼女たちはイレギュラーズには好意的だ。さほど時間はかからんよ。ヒヒヒヒ……。

さて、東洋剣、ね……。彼女の打った刀か、あの男の打った刀か、はたまた……今後に備えて我(アタシ)がカタチを与えるか……。(ごぽっ、と影の中から行李が浮き出してきた。その蓋を開けると何やらゴソゴソと探し始めて)

……参考までに聞くが、これから何か斬りたいモノとかあるかぃ?
で、御座るか。

(好意的と聞いて、一気に緊張感が失くなる浪人。人を信用するのが早い)

……夜妖が憑いた者を斬れというお達しが。
それに見合ったものを。

( https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/4443 )
……であれば、概念を侵す性質(モノ)が良いか。卒塔婆の旦那…んー……いや、それよりはこっちの……(ごそごそと何かを取り出した。上質な紙で作られた一言便箋の様な、細長い短冊の様に見えた)
……なるべく、拙者でも扱いきれる逸品でお願い致す。

(自身を過信してはいない、ある程度のものであれば扱いきれるだろうが……精神を侵す妖刀の様なものは流石に厳しいだろう)

(良くも悪くも……結局、この浪人は「普通の人」なのだ、周りからどう見られてるかは分からないが)
わかってるよぉ。(くすくす…)鳥をあげようかと思ったけど、あのコは人の手には少し余るからね。

(前髪の奥で瞳を閉じて便箋に口付ける)

……『お元気ですか。こちらは楽しくやっています。
今の季節はあなたたちとの境界が少しだけ薄くなって、寂しくも嬉しくなってしまいますね。

近々、私の"隣人"がそちらへ向かいます。
人に愛され、人に使われ、そして人に不要とされた子達です。
どうか暖かく迎え入れてやってください。

忘れ去られる事は彼らにとって苦痛で、最初は少し気性が荒いかも知れませんが、
きっとそちらの空気は彼らには心地よいものでしょう。
どうぞ宴に誘い、隣へ座って、深く酔わせて……何もかも、忘れさせてやってください。
忘れられた事すら、忘れてしまえる様に。

ーー酔夢郷へ、愛を込めて』

(フワッと周囲に芳しい酒気が漂ったかと思うと、手に持っていた便箋が揺らめく様に姿を崩す。数秒後、ソレの腕の中には刀が一振り納まっていた)
ーーはい、これが代用品。(腕の中に納まったそれを男へ差し出す)
(本当に分かってるのかなぁ?という顔)

(その後、想像の斜め上の手段で品を取り寄せる様に不安感は高まるどころか、うなぎ登りである)

あ、ああ。
……本当に、大丈夫なので御座るよな?

(一抹の不安を抱えながら左手で鞘を持って受け取り、「抜いてみても?」という視線を送る)
大丈夫だよ。使う感覚はキミが普段使う刀とそんなに変わりはない筈だし。

(視線に対して頷く)

(柄に手をかけるなら、見た事もないその刀になぜか"懐かしい"という郷愁の念を抱くだろう。抜けばすらりとした美しい刀身が姿を見せて、同時にふんわりと芳しい酒気が辺りに漂うはずだ)
ふむ……。
……。…………?

(懐かしい様な、見覚えがある様な……何とも言えない感情に、僅かな動揺が走る)
(漂う酒の様な香りも合わさり、何やらおかしな感覚を覚え)

……この刀、銘は?

(急く様に鍔を鳴らして納刀、改めて銘を聞いてみる……不穏な気配を感じたら、突き返すのも已む無し等と思いつつ)
そんなに構えずとも、キミに扱えぬモノではないよ。
キミはただ、斬るだけでいい。

銘はそうだね……強いて言うなら、『酔夢郷への片道切符』が正式名称になるのだろうが、刀の銘がそれでは締まるまい。

ーー『縁忘』とかどうだろう。
「縁忘」……。

(柄を握る、拵えたかの様にしっくりくる)
(何か……一瞬、複雑な表情をするが直ぐに頭を振り)

……確かに借り受けた。
直しが終わり次第、伝書を。

(手短に告げ、鞘を腰に挿す)
(納刀していても漂う酒気が、纏う別の臭いを薄らがせる)
縁が合ったようで、なにより。(くふくふ、とソレは楽しそうに笑って男を眺め)
直ったら連絡するからまた此処へおいで。

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