PandoraPartyProject

ギルドスレッド

ギルド修好通商協会

【RP】extravagant

埒外の放浪の果てにこの大地に辿り着いた者共に世界が沸き立ち、
夕暮れの倦んだ気配はこのような些末な路地の中でようやく認識できるに留まる。

漠たる世界から転げ落ちた者が息をつくだけの孤独があり、そして一杯の果実水もある。
ただそれ以外に見どころのない店に客が一人入っていた。
-
(盗人に目を光らせる獣人と、無気力な店主が営む喫茶店のようだった。)

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(賑やかなのは楽しいが、しかし気疲れはある……。)(裾に赤い染め抜きのある芥子色のローブと鍔広な帽子の男である。魔術師にも見えた。虚空を仰いで、店主に簡潔に告げた) 檸檬水を一杯。
…。
(少女は、まず建物へ入って目立たぬよう匂いを嗅ぐ。 例えばそれで出入りする人間の性質だとか、扱われる品物の傾向だとか、そういったものの情報をそこから仕入れる)
(次に視覚。 どこか薄暗い印象を受ける店内で彼女は言葉を発さず、佇んでいた。 信号機のない場所から来た人間が、赤黄緑の明かりを前に足を止めてしまうように)
(それから大型の男が発した言葉と、店主の反応を交互に見やり、目を細める。 飲み物を注文したのだろうとあたりを付けて)
…れもんすいをひとつ。
(真似をした。そして席に座る。 順番は逆だったかもしれないと頭の隅で考えながら)
(無気力な店であった。日曜に自宅の前でレモネードスタンドをやっている子供のほうがよっぽどやる気に満ち満ちているであろう。くすんだグラスに触れると糖分のべた付いた感触がある。) ……(この、奇妙な風体をした、尋常の生物の匂いを発しない男が僅かに幼い客の気配に目をやり、愛想を含ませて笑った。)
(その椅子の男に読めない男だ、という印象を少女は抱いた。 視覚による情報も、嗅覚による情報もまるで男の輪郭を説明してくれやしない。 食べ物だとか煙草や酒の匂いだとか、場合によっては血の匂いすら嗅ぎ取れず、ただ正体不明という文字だけを突きつけてくる)(年齢もわからない。年を取ってはいないようだが。 向けられた笑いに少女は興味を引くような注文したのは間違いだったかとちらり、後悔した)
なにか?
(髪と帽子に埋もれる顔立ちは三十前後か。焚いた香や移動した時に纏い付く移り香のようなものもあるだろうが、血の通った生物が生きる上で発する臭気の代わりに別の匂いがするような異質の持ち主であった。) いや、何も。(視線を再び前方に戻す。興味はあるのだが、必要以上に深入りする気配を見せずグラスに口をつけ、それからマドラーで内容を混ぜた。シロップが沈んでる。)
(なにも、という言葉に小さく安堵する。 薄暗い店内に女が自分ひとりという状況に不安はあるのだけども、散々歩いて迷って見つけた中で一番マシそうな店という場所から早々に退場するのは、体力的に少し惜しい。 なるべく休んでおきたかった)
そうですか。
(そう言って。 少女は遠慮がちに…というよりもこっそりと男の手元を観察した。 れもんすいなる飲み物の飲み方を知らなかったのである。これが高価な飲み物でないことを祈るばかりだ)(とりあえず混ぜる。高速で)
(仄かと言えば聞こえはよろしいがケチってるといわれればそうとも取れるレモン風味と甘さのつけられた液体がそれなりの冷たさで喉を下った。一息に半分ほど飲み干す) ……こういうところは初めて?(好奇心と社交辞令を半々に会話の緒を投げる。孤独がないと息が詰まるが、まったくの孤独では飢えて死ぬ悲しい性か。)
(マドラーがグラスへ接触し、甲高い音が鳴る)(眉を顰めながら手元を動かす少女の手前、狐と兎の刺繍が入ったマフラーが揺れた。 赤とベージュの布に刺繍が多く施された、布の多い衣装を纏っている少女に暑そうな様子はない)
(驚いて顔を上げる。 なにも、と言ったくせに!という理不尽な怒りが湧いて、飲み込む。 これはまだ常識的な行動の範疇だ)
そうか。(知らぬ者に顔を覗き込まれるのも息苦しかろうとグラスの方を見ている。特別な用があるのだという雰囲気ではない。早々に打ち切っても良いのだろう。こちらから売るようなものもなければ彼女を売り飛ばす用もないのだからその程度の関心にすぎない。)(しばしの沈黙。天井を見て、首を一つ回した。) で、他所から来た、と。(民族博物館にでも飾られていそうな姿はこの街の大部分と合致しないのでそう当たりをつけた。)
(ゆっくりとグラスに口を付ける。柑橘系の香りと甘い匂いのあと、甘酸っぱい風味が流れ込んできて喉を通りすぎる。 疲れた体に糖分が染みわたる感覚が嬉しく、少女はそのまま一気に3割ほど飲み込んでしまった。 味の評価は、このさい省略しておく)(そしてやや沈黙を挟んでから)
はい。(肯定)
(少女も自分の出で立ちが奇異の視線を集めることをとっくに理解していた。 残念ながら一張羅であるため視線に耐え続けるしかないのだが)
(そしてふと。 自分がそうであるように、目の前の男ももしかしてと思い至ったのだ)(奇妙な、いままで感じたことのない匂いを纏う男が)
あなたは?
(グラスの中身を揺らし、椅子にもたれる。何ら身構えることのない風情。ただ一度足を組み替える時に半靴から金具の音がしたくらいか。) 
なるほど、では、『何がしたい?』
(一時視線が向いた。その質問のみコヨーテや蛇か、或いは他の何かが質問しているような類の、三日月のような薄い笑顔。)
まあ、そうだね、気がついたら奇妙な女の前に立っていた身だ
(呼ばれた側である。恐らく互いに掠りもしない世界なのだろう。このような女を見たことはないし、彼女も自分のようなものを知っているのかどうか。肩をすくめた。) 
(警戒を強めた。 剣呑な気配を察したからだが、目の前の男の動きから距離をとるほどではないと考え、ただ睨み返すに留める)
特に。 (特に、なにも)
同じでしたか。 (ならばきっとこの男もこの世界とは違うロジックで生きていたのだろう。 現地民と言われなくてよかったと、街そのものへの警戒をほんの僅か緩める) ざんげさん。 (少女が知る奇妙な女の名。少女から見てもその女は奇妙な服装だった)
”fay Ce que voudras”(汝の意志するところを行え)と、親しかった人間が言っていた。
私もそう思うし、そのように生きる人間は美しい。
(不吉な気配が仕舞い込まれた。)
ので、私は君に問うた。
私に願いを言ってみろ……まで言うと陳腐になってしまうし叶える手段もちょっと今手元にない。
元の世界にいたところで私には限度はあったからね。
見ず知らずの人に叶えてもらいたい願いもありませんから。
(ちょっと今手元にない。そんな言葉がなんだか可愛く聞こえてしまって、つい口数が多くなってしまった。 交わす言葉は最低限に留めようと決めていたのが、薄れつつある)
でも。 特に、なにも。
(したいことはありませんと小さく続けた)
まあ尋ねたのはクセみたいなものさ。
(忘れて、と。それから袂から折りたたんだ紙を取り出す。この街の地図のようだった)
……晩飯に何を食うか、あるいは食わないか、誰と、或いは誰とも、という些細なことだって立派な願いだぜ。深く考えずに何をしたいか思っていればいいのさ……。たまたま目についたから食べるなんて、獣でもできる……だろう?
(半ば誰に向けたともつかぬ、ささやくような声で言う。)
ただ生きていられればそれで。
(投げやりに言う。 あるいは不貞腐れていたとも、疲れたとも。あまりよくない感情がいくらか滲んだ声だった。 あるいは、あるいはもっと単純に、拗ねているだけなのかもしれない)
でも。
(れもんすいで口内を潤す。いくらか慰められたような気がした)
そのうち袖のほつれを直したいですね。
(口角が僅かに綻んだ)
こんなにも世の中は美しいのに、何が年若い君の目を曇らせているのだろうね。
(気障な言葉選びと裏腹に陶酔はない。熱狂もない。恋慕もない。皮肉からくる諧謔もない。しいて似たものを探すとするならば、心配に似ている。道の隅でうずくまる猫を遠巻きに見る類のそれだ。)
(目を通していた地図から、バザールの裁縫道具を商う一角を広げてテーブルに置いた。見たくなったら見ればよい。)
なんでしょうね。
(少女の目を薄い膜が覆った。 そこに悲しみの気配などなくて、ならば心を閉ざす一枚のシャッターに違いない)
(そこまでされて初めて、少女は地図へ目を落とす。 どうやら男は自分のために地図を見せてくれているらしい)
……え。
(てっきり、男は自分で見るために取り出したのだと思っていたから、なぜわざわざ自分に見せてくれたのかと、瞳に困惑が浮かんだ)
なんだろうね?きっと君は知っているが私は知らない。
(一度伸びをしてから、窓際に立つ。干からびかけたカモミールの鉢植えを愛で、店主にバレぬように花を一摘み口に入れた。当然苦いが気にした風もなく咀嚼する)
いずれ誰かに聞いてくれと口にするかもしれないし、墓場まで持っていくかもしれない。自由意志とはそんなものかもしれないな。神などというものですら聞き届ける必要はないのだ。
(もさもさと時折奥歯で花を噛む音がした)
私が何か。(困惑を悠然とした態度で受け止め、肩をすくめた。)
(地図に困惑した少女がさらにぎょっとする。それ食用だったのかという驚きだ。 信じられないという表情でカモミールを咀嚼する男の口元を見た。 男は噛みながら何やら話をしているようだが、残念ながら少女の視線と意識は哀れなカモミールの花に釘付けで、微塵も内容が入ってこない)(は、と言いかける表情で固まって数秒)
私が何か、じゃなくて!
(私が何か、じゃねーよ!)
それ食用だったんですか?
(驚きのあまり、声を荒げる)
(確かにハーブだけど普通はお茶や入浴剤にするものであって、生では食べない。いや、食べる人もいるかもしれない。世の中は広いから。少なくとも一人ここにいた。)(なんとなくいい香りはする)

なんです?
(丁寧語になった)
(口元に指でバッテンをつくった。「食べられない」ではなく「内緒だ」と。)
(店主が「よくわからんがなにがおきた」ってツラになり始めていた)
いえ、その。
(語気が尻すぼみになる。まだまだこの世界の文化に疎い自分だ。 店内に置かれた鉢植えはいつでも新鮮なもぎたてフラワーを味わえるようにするために設置されたものなのかもしれない。 そうだとしてもあまりのカルチャーショックに動揺が収まらなかった)
食べ、食べ…?
(店主と男を交互に向く)
(ゆっくりと呼吸を整え、れもんすいを口に含む。 この甘酸っぱい味わいで動揺を押し流そう)(地図が目に入った)
(とりあえずバッテンを見て花の話題を断ち切る)
これは地図ですね。
(代わりに出たのは、外国語の授業の初歩の例文のような言葉だった)
(18世紀から19世紀の英国貴族に蔓延る自由と頽廃によって薫陶を受けた魔性である。常識など求めてはいけない。)

君はその地図を好きに見てもいいし、興味をもたなくてもいい。
(ゲームブックとかTRPGとかに出そうな文言が返る)
(なんとなくだが。少女にも推測が立ってきた頃である。 この男の正体不明さは、奇行が原因なのではないかと)
……そうですね。 では、ありがたく。
(それまで地図というものと縁がなかった少女に、裁縫道具の店の場所など理解できるわけがなかった。 しかし応用力はある。 目的の店の周辺の特徴を頭に刻み込んでおいたのだ)
ん。
(雑な相槌。)
(席に戻って、すっかりぬるくなった檸檬水を飲み干す。ハーブの匂いがまだ残り香して、柑橘の匂いと混ざった)
(混沌の翻訳のおかげで、彼女の識字能力に不足はない。 しかし本来文字に馴染みのなかった文化で育った彼女だ。 頭の中で情報を何度も思い出し、刷毛で丁寧に塗り込むようにして記憶していく)
なんだか、お世話になってしまいましたね。
(最初あれだけ警戒していたというのに、おかしな話だとひとり笑う)
(言って、グラスを呷る。 残り少なくなっていたれもんすいはすべて彼女の喉を通り抜けてしまった。 恐らく頃合いだろうという、空気を彼女は帯びる)
たまたま私が地図を置いたら君の役に立つ情報があった。それだけの話だよ。
(ふふん、と笑い、地図を手に取った。)
いいレースをみつけたら仕立て屋にブラウスでも仕立てさせようかな……と。
(ブラウスと聞いて、あっと思い至る。 いい加減この一張羅以外の服も用意しなくてはいけない)
私が袖の話をしたらたまたまですか。
…今日はありがとうございました。私はこれで失礼します。
(言って恐る恐る店主へ値段を聞く。問題なく払える範囲で安心した)
ライエ。 ライエと言います。
(最後の最後に名を告げて。またどこかで会ったらと付け足し彼女は店の出口へと歩いて行く)
それではまた、佳い夜を。
(己の名は告げなかった。告げたほうが良いという常識は理解しているが、余り身に馴染むものでもない。そのうちまた告げるか、あるいは他の誰かから聞くかもしれない。)
(少しして袂に地図を仕舞う)

(……さて、私も少し散歩でもしようか。)(白い手袋に包まれた指で幾らか貨幣を置いて立ち去った。)

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