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花香の円卓《テリトリー》

刃を佩いた獣耳の女はスモークチーズを肴にしていた。

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(濡れたグラスを手首を捻るだけで混ぜる。此処の店は薄暗く、常に曇った香りがしていたがこの卓だけは澄んだ空気があった。澄んだ香りは高価い酒精のものだけではない。しかしそれは仄かなもので、新鮮さによく似ていた)
(皿に盛られたパスタに向き合い、難しい顔でフォークを繰り出しては麺と格闘している。口へ運ばれる前に逃れたパスタが滑り落ち、口周りや胸元はソースで赤く汚れていた)
―――…美味しいかい、ピリカラ。今度、君用のパスタは短めにしてくれとお願いしようか。(頬杖をついて、まなざし。薄暗かろうとその洗剤に負けなそうな汚れはよく見えて、しかしそれに気分を害した様子はないようだった。皿についたソースをほんの少し、人差し指で掬って)
美味しいかと?うん……そうだな。美味しいと思う。
十分な量が口に運ばれないのがもどかしいと感じる程度には。
ヒトとして獲得することができてよかったと感じるメリットの一つが、味覚だ。
(口に入れたまま話すので、言葉はもぐもぐと曇っている)
そうしてもらえるとありがたいな。
しかし……やはり、これはっ、手づかみでっ……食べてしまってはいけないものだろうか?
(トライアンドエラーを繰り返し、ヨナタンを切なげに見る)
手掴みだって悪くはないだろうね。
(掬ったソースを舐める。彼はその歳にして辛党であったはずだが、今日のパスタはその類ではなかったようだ。肴にするわけではないが、ふむと漏れる吐息の感想)
……ただ、所謂。それを上手に使えた方が格好いいな。
(双眸が弧を描くように笑い)
悪くはない。……悪くはない?(首を傾げる)
つまり、手づかみで食べることは最良ではないが、この場合の失礼には当たらない。そういうことだろうか。しかし。
(うーむ。と唸って、フォークを睨む。引き結んだ口が、真横一文字になった)
見目よく食べるのも人として志す行いだとピリカラは考える。
食器ごときに、クラゲが馬鹿にされる訳にはいかない。
ああ、悪くはないね。“僕は”そういうものを気にしないから。
(まるで、紫煙でも燻らすように。よい香りのものを尊ぶように肘をついてグラスを掲げたまま、彼の推理を小さく笑った。小首を傾げると、さらりと頬に金糸が掛かり)
リカは頭のいい子だから、憶えようと思うならすぐに出来るようになるよ。
……そうだ、本でも読むかい?人型だって学ぶようだよ、格好いいってやつを。
そうは言うがな、ヨナ。(口がくっつくほど皿に近づいてパスタをすする)
ピリカラは頭がいいから知っている。「格好いい」にもそれぞれだと。
もちろん、ピリカラにだって格好いいと思うものがある。
空を飛ぶ鳥の姿は美しい。滑空しているときなど特に。
君は相変わらず飛ぶものが好きだね。
(揺らしたグラスを一口、口許に運ぶ。彼を見つめる眼差しは柔らかく笑っていて)
しかし、見目良く食べることがヒトガタとして格好良いとリカは思ったんだろう?
それが全てだよ。自分が思う格好良いしか、格好良くないんだから。
それはちがう、ヨナ。(フォークをびしぃっと突きつける。少しソースの赤が飛んだ)
ピリカラがこの忌々しい道具を扱うのはあくまで文明を身に着けようという努力だ。
格好いいと言うのであれば、悪漢にや獣に立ち向かっていく君のことだと感じているよ。
こら、リカ。尖ったものをひとに向けるのはよくない。ついでに、ガンコな洗濯物を増やすかもしれないことも、だ。
(幸運なことに、この店にテーブルクロスなんて洒落たものはないが。跳んだソースは木製のテーブルに染みつき)
はは、忌々しいとまで言う―――― (不意を突かれた)(きょとんと眸を丸くして)
…………そう。何だか、君に言われると照れるな。
ヨナがこんな刃もついていない食器に負けるものか。
だがテーブルを汚してしまったことは反省する。すまない。今きれいにするから。
(ポケットから瓶を取り出し、中の液体を汚れに落とすとジュッと音がして小さく煙が上がった)
ヨナが照れるとは珍しい。絵にかいて記録しておきたいくらいだ。
ははっ、確かに僕は負けないがね。他人《ヒト》は怖いかもしれないだろう?
(子供の無垢な信頼ーーとでも言うべきものなのだろうか。それがあんまりに疑いのないものだったから、手持ち無沙汰に自らの眼帯に触れた。羞恥を覚えるほどではないが、照れくさいのも本当だった)
しかし、そう思ってくれているのなら僕に向ける分には構わないよ。
僕は「格好いい」が好きなんだ、絵に残すならそちらをお願いしたいな。
? こんなちゃちな突起が怖いヒトがいるのか?
不思議なものだ、ヒトとはとても強いものだと思っていたのに。
ヒトより弱いクラゲだったピリカラさえ恐れないものをヒトが恐れるとは。
(変なの、と呟き指でつついたフォークを転がす)
戦っているヨナは格好いいが、顔を青くして苦しそうにしている姿はそうでもないな。
人は道具の怖さを知ってるのさ。
それに、僕ならこんな可愛らしい玩具だって。一端の牙にしてやれるよ。
(転がったフォークではなく。テーブルの端にある籐の籠に入っていた予備を1本取り出して、灯りに翳すよう目許の高さに掲げた。鋭くなんて光りやしない、使い古された鈍さがまたたき)
はは、……そういうギャップが世のご婦人らに受けるときくね。
…しかしそうか。てっきり、リカは僕が苦しんでるとよろこんでいるものかと思っていた。
……い、いやだ。悪かった。それを下げてくれ。
(遊ぶ手をぴたりと止めて、怯えの色が浮かぶ表情で両手を上げる)
…………何故だ?道具は道具のはずなのに……道具というのは役割を与えられた「物」だろう?
どうして、ヨナが持った途端、ただの食器があんなに恐ろしく感じられたのだろう……?
(不安そうに揺れる瞳が、たった今弄っていたフォークを見る)
ピリカラは苦しそうなヨナを見て笑ったことがあったかな……?
「よし、新薬の実験ができるぞ」と拳を握ったことはあったかもしれないが。
半分は、お前をよくしてやろうという気遣いなのだぞ。……いや、半分の半分くらいかも。

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