ギルドスレッド 廃墟 序章 【贄神】 オズウェル・ル・ルー (p3p001119) [2017-08-03 18:44:05] 樹木に侵食された廃墟。 かつては誰かの館だったのであろうそこは、古ぼけ、ひび割れ、大きな樹木に侵食されていた。 一部の天井は崩落し、代わりに、天然の緑の傘が雨風を遮っていた。 晴れれば、きらきらと木漏れ日が降り注ぐその真下に、壊れたソファーに身を丸めるようにして眠る男の姿が見られることだろう。「……雨風は、凌げる」 あなたに気づいた男は、どこか虚ろなオッドアイであなたを見つめた。じっと。虚空を見つめる猫のような瞳は、あなたから逸らされない。「水は裏手に井戸があるし、暖炉も竃もあるから火も入れられる」 囁くような、呟くような、平淡で小さな声。 張る気もなさそうな不親切なその声をよく聞けば、それはどうやら、この廃墟についての事柄を羅列しているようだった。 気怠そうに持ち上がった白く細い指が、窓の向こうと、まだ屋根の残る部屋の隅と、そのさらに奥の部屋へ続く扉を指差した。「煮炊きも、出来る。風呂も、水を入れて沸かせば、入れなくはない」 訥々と、ただこの廃墟についてを語った男は、ぱたりと力尽きたようにその腕を自分の薄い胸の上に落とした。 くあ、と眠そうな大きなあくびをひとつ。壊れて軋むソファーの上でまた身体を丸め、目立つ瞳を閉じた。「……居心地は、それなり、かな」 あなたは、踵を返して出て行ってもいい。 この野良猫のような男と、会話を試みてもいい。→話す 出て行く →詳細検索 キーワード キャラクターID 検索する 【贄神】 オズウェル・ル・ルー (p3p001119) [2017-08-03 19:32:21] ここは、自分以外は書き込み禁止。 キャラクターを選択してください。 « first ‹ prev 1 next › last » 戻る
かつては誰かの館だったのであろうそこは、古ぼけ、ひび割れ、大きな樹木に侵食されていた。
一部の天井は崩落し、代わりに、天然の緑の傘が雨風を遮っていた。
晴れれば、きらきらと木漏れ日が降り注ぐその真下に、壊れたソファーに身を丸めるようにして眠る男の姿が見られることだろう。
「……雨風は、凌げる」
あなたに気づいた男は、どこか虚ろなオッドアイであなたを見つめた。じっと。虚空を見つめる猫のような瞳は、あなたから逸らされない。
「水は裏手に井戸があるし、暖炉も竃もあるから火も入れられる」
囁くような、呟くような、平淡で小さな声。
張る気もなさそうな不親切なその声をよく聞けば、それはどうやら、この廃墟についての事柄を羅列しているようだった。
気怠そうに持ち上がった白く細い指が、窓の向こうと、まだ屋根の残る部屋の隅と、そのさらに奥の部屋へ続く扉を指差した。
「煮炊きも、出来る。風呂も、水を入れて沸かせば、入れなくはない」
訥々と、ただこの廃墟についてを語った男は、ぱたりと力尽きたようにその腕を自分の薄い胸の上に落とした。
くあ、と眠そうな大きなあくびをひとつ。壊れて軋むソファーの上でまた身体を丸め、目立つ瞳を閉じた。
「……居心地は、それなり、かな」
あなたは、踵を返して出て行ってもいい。
この野良猫のような男と、会話を試みてもいい。
→話す
出て行く