事務所

雑然とした、狭苦しい事務所。
本来はプロデューサーなりが在籍しているのかもしれないが…そんな存在は残念ながらいない。
つまり、雑務も全て所属アイドル（1名）自身がやるしかないワケで。
室内が片付く日は、何時になるのか…。

ふふ～、出来た出来た！
ここが、あたしの城！！
Pとかいないけど…うん、まだ駆け出しだし？
頑張れば、何時かは…っ！！
（グッと拳を固めて）

…う～ん、それにしてもやっぱり狭いなぁ。
ダンス練習もしにくいし。
ボイトレも、張り切り過ぎるとご近所さんからクレーム来ちゃいそう。

うん、とりあえず掃除からしよう！
片付いて広くなれば、多少は動きやすくなるだろうし。

（箒と塵取りを引っ張り出して来て、掃き掃除を始める）
うわっ、埃凄い…！

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へ、へ、、…へっくし！！！

（ティッシュで鼻をかむと）
窓全開、ヨシ！
マスク、ヨシ！！
ついでにゴーグルは…ナシ！！！

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～～♪
（鼻歌を歌いながら、せっせと埃を掃き集めていく。
意外と集まる。
それが段々と箒の先に絡まって来て）
わーっなにこれ、きったな！？
やっぱりこの部屋、汚すぎ…？
妙に賃料安いと思ったら、こんなにどんどん埃出てくるなんて！

歌とかダンスよりも、掃除のスキルの方が高くなりそうじゃない？
喜んでいいのかな～…。

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あー、これって猫の毛かな？
前住んでた人、猫飼ってたのかな？？
（埃の玉から、ピンピンと動物の毛が飛び出している。
それを指先でつつきながら）

ふぅ…なんか疲れたなぁ、大して掃除してないけど。
（窓辺に歩み寄り、外を眺める。
広がるのは、再現性東京の街並み。
温い風が、長いツインテールを揺らして）
穏やかな日。
こんな日が、ずっと続けばいいなぁ。

…あれ？
（眼下の通りを歩いていく親子連れ。
その子供が、ふと顔を上げて）
あはっ、カワイイなぁもう♪
（目が合うと、満面の笑顔で手を振ってくれた。
負けじと自身も最高の笑顔で手を振り返して）

（大きな耳が、ぴこんと動いて）
あー、もうセミが鳴き始めてる！
夏、始まっちゃいましたね～これは。
海の家のカレー、かき氷、スイカ…！！

あと、夏の定番と言えば肝試し？
廃墟探索とかしたい…けど、変な事して炎上でもしたらアイドル生命に関わっちゃうしなぁ。

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