サヨナキドリ内に隠れる様に設置されている薬の研究室。

サヨナキドリ内では薬局ということにされており、天義からはお咎めはうけていない。……今のところは。

〜♪(なにやら上機嫌に調剤している)

俺は何もわるくねぇえー！……げふっ（簀巻きにされて研究室の隅っこに転がった）

あ？なに？

(異物の気配を感じると一転して不機嫌そうに振り向いて)

あ〜〜〜、新しい実験台？てんちょーが連絡くれてたな……。

(ふぅん、と爪先でツンツンと転がっているモノをつついてみる)

おいこら、もうちょい丁重に扱ってくれよ！
あ〜、コホン。俺は調香術師、朝長晴明。サヨナキドリじゃ古くから本店にいる、ベテラン商売人だぜ。

ふーん。でもここに来たって事はトバされたんでしょ君？(すこぶるどうでもよさそうな口ぶりで)

そんなことより君、毒持ってる？

うぐっ！左遷崎守にされて悔しくねぇのかよ。

（降ってきた疑問に最初は目をぱちくりさせ、やがて半眼になり）
随分アバウトな聞き方だが、そりゃあるさ。
なにせ猛毒オニカサゴの因子を持っているからな。耳ヒレの針から抽出できるし、俺の家に代々伝わる秘伝の毒もまぁある。

いや、別に？特に興味無いし。

(どこ吹く風でニンマリと目が笑う)

へえ、ふぅん。その全身からプンプン臭う毒はわかってたけど、秘伝の毒もあるんだ。そりゃいいこと聞いた。

なんだ、張り合いがない店長じゃねぇか。海洋支店は凄かったぜ？華やかで、店長も苦労人ながらベテランって感じでよぅ。

サービスはここまでだ。協力してやってんだから、とりあえず……この簀巻きの状態を何とかしてくれ

海洋、と聞くと露骨に不機嫌そうな様子を見せて)

ちょっと、定例会議でも有事でもないのにあのおっさんのことを持ち出すのはやめてよね。…ちぇ、毒買おうかと思ったけど萎えたからいいや。普通に実験台にしよーっと。

(ふい、と顔を逸らして調剤に戻ろうと)

おっ、おーい！悪かったよ！
意外と仲悪ぃんだな、支店同士って。武器商人の旦那がうまくやってると思ってたぜ

ちなみに実験台ってのは、何の……

(かちゃかちゃと棚を漁りながら)

んー？よく知らないけど全部がそうってわけじゃないんじゃない？練達のチビとかは全方位に愛想いいし、深緑のクアトロはそこまで嫌いじゃないし。

何試そうかなあ。てんちょーから殺すなって言われてるから……適当に抗体作ってない毒をぶち込んで抗体作っちゃおうかなぁ…。

天義のミスはいったいどの方向に愛想がいいんだ？もしや客にもこういうやる気ねぇ対応……？

こらぁ！毒無効もってても繊細なハートは傷つくんだぜ！
……と、取引しようじゃないか。俺を見逃してくれるなら、もっといい被験者を連れてきてやる。そいつは毒以外も色々と効果が発現した上で全てギフトで無効にできる。……悪くない話だろ？

ふぅん？じゃあ自白剤を試そうかな。ちょうど依頼されてた品物があるし。（沼の様な紫の瞳が男を見下ろす）