深い森を抜け店の前に着くとそこには店主である玄野 壱和が店の方を見ながら溜息をついていた。
やけに猫の鳴き声が五月蠅い。
「っと、客カ。わりぃ、今ちょっと立て込んでてナ。」
fullは壱和に何があったのか尋ねた。
「や、いつもはこんなじゃ無いんだがナ。たまたま月の巡りが悪くって[ねこ]が制御不能になっちまってサ。有り体に言えば店内で暴走中ってこト。」
その影響なのか、暴走していない他の[ねこ]達も共鳴してこの騒ぎらしい。
「もう少ししたら落ち着くだろうが、暫く営業不可だなこりャ。」
それは困る。折角ここまで来たのにお茶の一つにもありつけずに帰る事は出来ない。
lastは事態の収拾を手伝う事を申し出た。
「んまぁ、手伝ってくれるのは素直にありがてぇが、相手は人知を超えた[ねこ]だからナ。気を付けろヨ。」
十分に準備した後、lastは壱和と共に玄関の扉を開けた。