蝶よ、花よ
誘う視線と、惑う指先。おいでおいでと微笑んで、爪先でちょんと立ちつくし。蝶のように舞い、花のように挿される。あたしは何もしてないわ。

いやよ、いやよ
しなやかに伸びる脚を覗かせ、ひらりひらりとステップを踏む。好き、嫌い、好き、嫌い。どちらも一緒だと、どうして思ってしまったのかしら。あたしは何もしてないわ。

現世、幽世
おいでと曲げて、行ってと伸ばす、指先の動き。運命を操るなんてできないから、迷ったのはきっと貴方の心の弱さ。あたしは何もしてないわ。

そうよ、貴方よ
あたしはただ、貴方を見つめて微笑んだだけ。笑ったのも、怒ったのも、殴ったのも、立ち尽くしたのも。そうしたいと決めたのは貴方よ。あたしは何もしてないわ。