紫苑の魔眼・泡沫
過去、彼女はこの魔眼を使う時、言葉を乗せて相手を苛んだ。先日、彼女はこの魔眼を使う時、歌姫に似せた声で相手を苛んだ。では今はーー彼女は造作もなく獲物を視て、呟く「上手くいくといいのだけれど」其処に最早、犠牲者の介在する余地など無い。

紫苑の魔眼・紅蒼
魔力の酷使により変貌しつつある彼女の眼からは、時に魔力が溢れ出す。それは彼女の構想を描く紅と蒼の螺旋。その根本に垣間見える瞳は、犠牲者の彼岸での姿を映す。彼女の唇が歪む「ねぇ、何を視たの――」

紫苑の魔眼・不条<改>
彼女の魔眼は「彼女の願望」を貪欲に喰らう。 彼女の唇が囁やけば、魔眼の呪いが得物に満ちる――其は流星を追う影の一撃。照らされた犠牲者は己の背に突き立てられる魔力の刃に、深く、静かに、水底へ堕ちるのみ。

紫苑の魔眼・知波
彼女とその心臓に宿る波が生む「紛い物」の魔術。魔眼が波を捉え、心音は囁きを重ね、白波の如く犠牲者の生と死の境を狂わせる魔性の歌となる。旅の果て、終の器は人ではなり得ないもの故に、彼女の歪さは――

紫苑の魔眼・懺溜
彼女の魔眼は「彼女の■■」を貪欲に喰らう。 例えば悲鳴のように――甘美な罪、儚げな懺悔、唇は琴線を擽り、心弱い乙女を喰らう獣性を誘う。だが犠牲者は、己が手の鮮血が彼女に斬られたものと、いつ気付くのか。

望郷
紫苑の魔眼・望郷。彼女の魔眼を内に向け、自分自身を喰わせる事で「曲げる」。道理を、摂理を、論理を。それらを曲げるのに効率が良い燃料は、彼女にとっての原動力「望郷」である事を、彼女はよく理解している。