PandoraPartyProject

世界観

無辜なる混沌(フーリッシュ・ケイオス)

 唯一枚の皿がある。
 料理の盛られた皿がある。
 但しテーブルの上には皿が一枚とは限らない。
 テーブルがテーブルとも言い切れない。
 ああ、そうだ。これはそもそも晩餐なのか?

         ――――『スターテクノクラート』シュペル・M・ウィリー

 無辜なる混沌(以下混沌と表記)は、本編舞台となる世界です。
 理解されている範囲では一つの大陸が存在し、幾らかの島が見受けられます。又、大陸を俯瞰する上空に『空中庭園』―――神託の少女の神殿が存在します。
 大陸の外は海(らしき水溜まり)が広がっており、特に大陸東部より続く遠海・外洋は『絶望の青』と称される超危険地帯でその先は完全な未踏地帯となっています。(もっとも、大陸西部は陸地自体が竜種や魔種と呼ばれる連中が跋扈する魔境・秘境であり、何処の外洋の先にしろ、何らかの発見があったという記録はないのですが……)
 一説に混沌は常に変革拡大を続けているとも言われています。
 世界西端の影の領域、東端の絶望の青の向こう。
 はたまた何処か別の場所から繋がる先にも、別の何かがある可能性は否めません。
 勿論、世界が丸い保証もありません。

主要七か国

判明している主立った国は以下の七つ

  • 幻想(レガド・イルシオン) Legado Ilusion
  • 鉄帝(ゼシュテル鉄帝国) Sestell (Sestell Eisen Reich)
  • 練達(探求都市国家アデプト) Adept (Adept the Seekers City-state)
  • 傭兵(ラサ傭兵商会連合) Rasa (Rasa M&C Union)
  • 深緑(アルティオ=エルム) Artio=elm
  • 天義(聖教国ネメシス) Nemesis (Religious state of Nemesis)
  • 海洋(ネオ・フロンティア海洋王国) Neo Frontier (Neo Frontier ocean Kingdom)

ポイント

  • その他、小勢力に関しては多数存在しています。
  • 所謂人類圏にはカウントされない怪物や超常識的脅威等も多数存在しています。

推測される勢力圏

 情報不足ですが何らかの社会構造が存在している、ないしは勢力圏が構築されていると『推測』されているのは以下二つです。

  • 覇竜(覇竜領域デザストル) Desastre (Desastre The Realm of Dynast Dragon)
  • 終焉(ラスト・ラスト) Lust-Last

 混沌は基本的にファンタジー的世界観を基調としていますが、長い時間外世界からの人種を無限に取り込んだ結果、混沌のスープと言える状態となっています。
 文明、技術レベルも様々で中世ヨーロッパ調の魔術世界が展開されたと思いきや、技術的には外宇宙航行すら楽々可能とするSF世界が存在していたりします。
 混沌は上述したSFレベルの技術等、旅人と呼ばれる外世界からの人種と影響を多数取り込んでいますが、彼等の影響を甚大過ぎる形で受けないのは、この世界が全ての世界より序列を上にする存在だからです。
 ただしここでいう序列の上下とは単純なピラミッドの上と下ではありません。
『混沌はピラミッドの外で、ピラミッドを覆う世界』とも言うべき別物です。トップでも無くボトムでも無く、それらを内包する外枠と言うべき場所です。

無辜なる混沌(フーリッシュ・ケイオス)

 混沌が他世界からの致命的影響を受けない理由は『別基軸』だからですが、混沌には混沌を混沌たらしめ、混沌のまま維持せんとする特殊な法則が存在します。それがこの項の題となっている『混沌肯定(システム・ケイオス)』です。

 この混沌肯定なる世界法則はややこしく見せかけて非常に簡単で、非常に効率的で、非常に理不尽でもあります。
 制約であったりお役立ち機能だったりしますが、同時に様々なキャラの存在を認める為のものであります。
 代表的なものは以下の四つです。

1、混沌肯定『レベル1』

 金色の野獣は従僕の反逆に歓喜した。
 どういう事かは知らないが、知りようもないし、知りたくもねぇが。
 ハッキリ全部がオレより強いなんて最高じゃねぇか、と――――

         ――――超級魔戦『Noh-kin』疾風編より

 鍛錬を積み重ねた存在も、その逆でも混沌登録時に所定の能力値が再設定されるという世界法則。混沌肯定『レベル1』。
 つまる所、旅人である場合『混沌外における格(主に戦闘能力)は混沌現界時にレベル1なる範囲に振り分けられてしまう』という事です。
 都市を指パッチンで吹っ飛ばす魔王であろうと、ランドセルを背負った小学生であろうと同水準とされてしまいます。
 勿論、この場合、魔王は大幅に力を失い、小学生は意味不明な程に力を得る、という事になりますので必ず弱体化する訳ではありません。
 又、元から混沌に存在している純種の場合は、元よりこの法則を受けている為、同じ水準の力となります。
 基本的にプレイヤーキャラクターは選ばれた存在ですので、レベル1であろうとより実戦的で、それなりの力を持っていると考えて下さい。

2、混沌肯定『RPG』

 屈辱か、可能性の獣なのか。

        ――――『未完の』チューニー

 しかしながら混沌肯定『レベル1』を受けた(或いは元からレベル1である)存在は混沌世界の経験を積む事で急速に力を増す事が出来ます。
 世界が定義する二つ目の混沌肯定『RPG』は混沌世界の肯定する純然たる力をレベル、ステータスという形でそこに居る人間に付与します。
 システム色の強い物言いをしますと『ステータスシート等の情報は自分(キャラクター)が把握・自覚出来るゲーム内情報』という事です。
 ステータスの成長やスキルの取得等も同じく、世界法則が保証してくれる自分の強化基準であるという事になります。
 勿論、PC的価値観においては「そんなもん認めん」の唯我独尊的性格でも全然構いません。

3、混沌肯定『崩れないバベル』

 天を目指した塔は何時まで経っても崩れなかった。
 崩れはしなかったが、不遜な塔は今日も天を伸びている。

       ――――『サラリーマン』安田忠男

 三つ目の混沌肯定は『崩れないバベル』――つまり、最高級の自動翻訳機能です。

 混沌においては人間レベル、ないしはそれに近い知能の持ち主は全て異常な位にネイティブな感覚でお互いの会話を疎通する事が出来ます。例えば日本にしかないことわざがあったとしますが、混沌でこれを述べた場合、それを知らない筈の外国人でも話し手が伝えたいニュアンスのことわざとして理解された上で伝わります。その世界でしか伝わらない固有名詞……例えば伝説上の偉人や聖遺物等の存在を述べたとしても『何となくそういう人やモノの事を言っている』程度には伝わります。
 ただし、限界はありますので伝える努力を全くしないで話を展開した場合の効果は限定的です。
 具体的に言うと、伝えたいイメージを正確に持つ(プレイングに書く)事で『崩れないバベル』は精密な能力を発揮する……という感じです。判定の都合とも言えます。
 劇中の固有名詞※はこの『崩れないバベル』をもって『日本語が分かるプレイヤー様』に伝わるように改変されたもの……という訳です。
 怪獣には(彼等の言語で言うならば)実際には「ぎゃおーぎゃおおー」みたいな単語に変換され伝わっているに違いありません。

  • 空繰パンドラというアイテムが劇中にありますが『パンドラの箱』はあくまで地球人類向けに伝わる逸話を持つアイテムです

 しかし全くそういった伝承を知らない世界から来た存在でも『開けちゃいけなくて沢山の絶望、底に希望が張り付いている箱』と理解される感じです。

4、混沌肯定『不在証明』

 最も容易い『悪魔の証明』。

        ――――『魔学者』佐伯操

 四つ目の混沌肯定は最も重要かつ強力な世界法則です。

 この『不在証明』は混沌という世界を維持する上で『あってはならないもの』を一方的に無効化する法則です。
 混沌肯定『レベル1』を適用された超人物はその力を制限されますが、基本的にキャラクターの知性、精神的技能はこの影響を受けません。そうなると……例えばSF世界からやって来た科学者はその頭脳と持ち込めたアイテムで星を吹き飛ばすような爆弾等を造れるかも知れない訳です。彼は同じく長距離の高速移動を可能とするロケットを簡単に造れるかもしれません。
 しかしながら混沌肯定『不在証明』がそういった大規模破壊兵器や超高等技術を世界維持の邪魔と認じた場合、それらアイテムは『理論上完璧に製造されている筈でも、機能効果を発揮しません』。
 要約すれば混沌という世界の均衡を著しく崩し得る要素は世界法則によって阻害される、という事です。
 混沌が外世界の影響を受けても混沌のままでいる最大の要因です。
 非常に理不尽ですが、現実世界で人間は水中呼吸が出来ない、と同じ感覚でこの世界ではロケットは動かない、という『物理法則』が存在してしまう訳です。
 大まかには超科学でも魔法を含めたファンタジーで代替が効く程度の性能しか発揮出来ない、と考えれば大丈夫です。(例えば携帯電話なら基地局が存在しないので、セットになった携帯電話同士で会話出来る=通信魔法用の水晶玉的な用途といった具合です)

混沌の各勢力について

 この項ではプレイヤーキャラクターが活躍する混沌世界の舞台について説明を行います。
 マニュアルに書かれている情報は簡単なものであり、一部でしかありませんので、実際にどんな風であるかは是非冒険をして確かめてみて下さい。

ギルド『ローレット』

 ギルド『ローレット』は幻想(レガド・イルシオン)という国に根を張る巨大な冒険者ギルドです。
 幻想に存在はしますが、ローレットの本質は『超広域を顧客対象とした何でも屋』です。
 普通ならば存在している国の政治的影響等を免れない所ですが、ローレットは『特異運命点』を支援する為に存在しているので、『ギルド条約』によってかなりの独立権が守られています。後述する幻想は信仰心が比較的高く、神託に対しても真摯なので活動がしやすいという理由で設立場所に選ばれました。
 ローレットは設立から二十年程が経過しています。ローレットを設立し、現在まで取り纏めているのはレオン・ドナーツ・バルトロメイという男です。
 ローレットは超広域(=主に混沌世界の人類踏破地域)を舞台に活動していますが、活動の容易さと危険度を鑑みて世界にやって来たばかりの旅人や、駆け出しの純種の冒険者には幻想近辺での仕事を斡旋するようにしています。
 ローレットの扱う仕事は善であり、時に悪でもあります。ローレット及びレオンは『混沌世界にやがて訪れる破滅的結末』を回避する事にとても熱心ですが、その究極的目的の前には目の前の善悪は気にしない事が多々あります。可能なら善行をした方が寝覚めは良い、位の感覚です。実際の所、現実的観点から見た時『特定の理念に拠らない仕事の受け方をしている事』が独立性を保持する役にも立っています。

ポイント

  • ローレットはプレイヤーキャラクターが所属する互助組織です。
  • 設定的にもゲーム的にもキャラクターの行動を助けたり、冒険の起点となったりします。
  • ギルド条約とは『神託の示した確定的破滅未来』を回避する為に、各国が特異運命座標に配慮しよう、と決めた取り決めです。要約すると特異運命座標には色々便宜を図ったり、多少の問題は我慢しよう、という暗黙の了解です。ただし相手によって効力の大小や限度はあります。
  • 帰属意識は参加者によって様々ですがローレットの『ハイ・ルール』はローレットの一員として冒険に参加する以上は、必ず守らなければいけません。
  • 著しいルール違反や妨害行為(シナリオブレイク)のプレイングを行う等、ギルドが『仕事を依頼するべき人物ではない』と考えた場合、何らかの理由により処罰が解除されるまでシナリオに参加出来ない等の下される場合があります。ご注意を!

幻想(レガド・イルシオン)

 ギルド『ローレット』が本拠を構える幻想(レガド・イルシオン)という国は無辜なる混沌でも最も長い伝統を誇る大国です。

 元々は伝説的勇者が打ち立てた国と言われており、勇者が生涯をかけて踏破を目指したという『果ての迷宮』は数百年以上の時間を経た今も、未だ踏破されていません。果ての迷宮は王都『メフ・メフィート』中心部に存在する為、彼はこの迷宮を踏破する為に国を建てたとも言われています。
 幻想は、肥沃な平原部を主要な領土とし、海洋(ネオ・フロンティア海洋王国)とも隣接する幻想は物流の要衝でもあり、古くから経済的に栄えていました。
 神と呼ぶべき大いなる意思への信仰心が強く、超常的力への畏怖と憧憬の強い幻想は魔術技術的な素養が強く、そちらの方面でも発展を遂げています。

 しかし、昨今は幻想を大国、強国であると言い続けるにはどうやら難しい情勢を迎えているようです。
 建国からの伝統と誇り、勇者と呼ばれた建国王の理念を受け継いでいた筈の幻想は、長過ぎる時間の経過により、澱み、腐敗し切っています。
 元々封建制的な王侯貴族による統治が為されていた国ですが、様々な国難や時勢の変化により、王家の力は削がれ、門閥貴族達の台頭を許す結果となりました。
 近年の幻想貴族達の大半は領民の人権や生活を一顧だにしない非常に選民的な思想に染まっており、国の統治状態は悪化の一途を辿ってきました。
 それでも辛うじて幻想はかつての強国の面影を残し続けてはいたのですが、六年程前、先代国王のフォルデルマン二世が崩御したのを切っ掛けに事態は最悪のステージへと進んでいます。
 若干十五歳で王位を継いだ今代フォルデルマン三世は覇気に乏しく、享楽的で、政治への興味が全くありませんでした。父王がギリギリの所で抑えつけていた大貴族連合はこれを幸いに国を完全に私物化しています。現在の幻想は三つの主要貴族勢力が睨み合う形で危険な駆け引きを続けています。
 彼等は民政に興味は無く、基本的に『己の願望を叶えるため』以外には動きません。又、その為に簡単に他者を犠牲にします。

 近年は弱体化の影響により、北方のゼシュテル鉄帝国から侵攻を受けたり、東方の聖教国ネメシスと小競り合いをしたりしています。
 そういう時だけ一致団結して既得権益を守ろうとし、かつ私欲の為ならば能力を発揮するのが幻想貴族の性質の悪い所です。
 貴族達は相変わらず信仰と果ての迷宮を踏破するという建国以来の悲願には熱心です。
 もっとも、前者は要約すれば『俺は神に認められた貴族だから何をしてもいい。そして、俺と俺の権力を認めた神は侵さざるべき存在で尊くあるべき』。後者は『建国王の悲願を俺が果たし、至上の名誉を得たい』という非常に自分本位な理由なのですが。

 幻想は人種の坩堝ですが、人間種(カオスシード)が支配層に多いです。

ポイント

  • 幻想はプレイヤーキャラクターが最初に冒険のメイン・ステージとする始まりの舞台です。非常に癖の多い人物が多く、善玉の仕事も悪役の仕事も両方あります。
  • 政治的に不安定ですが、信仰は厚い方なのでことイレギュラーズに関しては多少の失敗やまずい行動に関してはフォローが効きやすい為、比較的自由に動きやすい特徴があります。
  • ……とは言え、幻想は悪徳と貴族主義の王国です。虎の尻尾は踏まないようにご注意を!

鉄帝(ゼシュテル鉄帝国)

 無辜なる混沌の『大陸』の北部に位置するゼシュテル鉄帝国は広大な領土を誇る軍事帝国です。

 古代文明とも呼ばれる伝説の息づく大陸北部は失われた技術が未だ埋もれたまま残されているようです。
 これらの一部は軍事利用されており、『極めて先進的な古代兵器』を軸とした破壊力は歩兵の強さと共に鉄帝軍事力の両輪となっています。
 鉄帝は一説に古代技術の粋、機械生命体の末裔とされる『鉄騎種(オールドワン)』という機械種が主要な人口を占めています。

 鉄帝は国土の大半が厳しい気候にさらされる北部地域に位置しており、経済的には非常に脆弱です。
 鉄騎種は過酷な環境に適応する能力を持つと同時に、苛烈にして強靭な肉体を誇り、国民性もあって存続の大きな問題にはなっていません。
 しかしながら、経済的に栄え、国と国民の困窮を救う事は彼等の悲願であります。
 鉄帝は南部に肥沃な領土を持つ幻想地域への南下作戦を繰り返しています。近年は弱体化の著しい幻想ですが、鉄帝の場合、愚直とも言えるその性質の問題もあり、これまでのらりくらりと搦め手を得意とする幻想を攻略出来ずにいます。天義(聖教国ネメシス)や傭兵(ラサ傭兵商会連合)との紛争や介入も悩みの種です。

 鉄帝の大きな特徴は国民性が非常に(特に個人の)武力を愛好するという点にあります。
 何と鉄帝では、国家元首である皇帝位さえ個人の武力によってのみ決定されるのです。
 鉄帝の皇帝は誰よりも強くある事が求められます。現皇帝を倒した者が新皇帝を継ぐ、という分かり易すぎる程に分かり易いルールの基に継承が繰り返されていますが、国内は非常に安定しており、このルールを含めた様々な国家性について批判は殆どありません。

 現皇帝ヴェルス・ヴェルグ・ヴェンゲルズは現時点において通算百二十四回の挑戦者を退け、この内の何れも殺害及び処分していません。
 鉄帝国民の最大娯楽は大闘技場ラド・バウにおける死闘の観戦です。
 闘技場は複数のランクに分けられて開催されており、その上位に上り詰める事は非常な栄誉をもって讃えられる事です。現チャンプのガイウス・ガジェルドはスーパーチャンプ的位置に置かれていますが、これは『試合中の事故』により多くの不幸な結末が起きた事に起因します。
 鉄帝国民の関心事は、果たしてザーバとヴェルスとガイウスが対戦した時、誰が一番強いのかという点です。しかし、ザーバとガイウスは皇位に全く興味が無く、これまでに『夢のカード』は実現していません。

ポイント

  • 鉄帝は非常に分かり易く『闘争』を重視したロールプレイのしやすい勢力です。
  • 大闘技場での戦いや、戦争等。闘う事に価値観を見出すキャラクターにとっては、細かい駆け引きや暗闘を要求されない分、夢詰め込んだ活動が出来るかも知れません。
  • 鉄帝の肉体言語は強烈で、時にトラブルに巻き込まれる事もあるでしょう。
  • しかし、貴方の鋼の肉体と鍛え上げたその拳は百万の言葉よりも雄弁に、貴方という人間を物語り、多くの尊敬を勝ち取るに違いありません。困ったら時々に応じて殴りましょう。

天義(聖教国ネメシス)

 無辜なる混沌の東部に位置する大国です。

 神と呼ぶべき世界の意思、高位存在、聖なるかなをとても尊ぶ宗教国家です。
 無辜なる混沌における信仰は、人間(的生物)の勢力圏にあっては余り明確な偶像化はされていません。神託の少女なる存在が自然に受け入れられている世界なので、神様(ないしはそれに類するもの)は明確に存在すると信じられています。
 天義は全ての国家勢力の中で最も信仰に厳格であり、最も信仰を重要視しています。
 正義と理想を公に掲げる原理主義国家。人間種が九割方を占めています。混沌において鉄と並ぶ軍事大国ですが、その行動論理は非常に独特なものを持っています。
 彼等の正義は良く言えば理想に根差してますが、悪く言えば常に非常に独善的で、閉塞的でもあります。
 その為、南に政情不安定な幻想あらば白銀の剣をもって民を解放せんとし、西に侵略国家たる鉄あらばこれを悪と断罪し……と、扱い難さたるや混沌一なのは間違いありません。『神』への信仰も非常に強く、義で神に唾吐くような言動を取れば、無事で済むかは怪しいもの。
 場を非常に混沌とさせる存在であり、幻想・鉄間の情勢を一段と難しいものにしていますが、貧弱な幻想にも幻想攻略を目論む鉄にも精強な義を構う余力は薄いようです。

 本拠は聖都フォン・ルーベルグ。魔種を特に不倶戴天の敵と定め、積極的な討伐を行っています。
 但し彼等の断罪は多くの場合、彼等の基準と彼等の断定に根差して行われるので相手が魔種であるかどうかは定かではありません。
 天義は正義の代行者を自認し、神の意思を遂行する使徒であると自称しています。些細な悪……例えば必要にかられての小さな嘘や、善意の不正、信仰を持たない人間、自身の正義に迎合しない価値観の異なる人間等、彼等にとっては全て『赦されざる悪』なのです。
 その国家性から国民の多くもその偏った価値観を共有していますが、多くのシーンで見られるやり過ぎには疑問を覚える者も居ます。しかし、天義において『正義』に疑問を覚える事、疑問を口にする事はそれ自体が『悪』なので、やはりタダでは済みません。
 天義きっての穏健派であり、名門貴族であったコンフィズリー家が『不正義』により没落したのは人々の記憶に新しい所です。
 結果的にお互いがお互いを監視し合う宗教的ディストピアが醸造されています。まぁ、多くの国民はそれでも満足なのですが。

 現国王はシェアキム・ロッド・フォン・フェネスト六世。国王の信任厚い『峻厳たる白の大壁』聖騎士団長レオパル・ド・ティゲールは傍迷惑な事に『相手の嘘に必ず気付く』という例外的に強力なギフトを有しており、傍迷惑さに拍車をかけています。
 彼等は国内外問わずこの断罪活動を行う事例が多数あるので各勢力にとっては悩みの種になる事が多いようです。

 天義でプレイヤーキャラクターが活動する場合、魔種との積極的な対決や悪人の断罪(但し国外活動の場合許可は無いので上手くやる必要がある)等が多くなる事でしょう。誰かの冤罪回避や正しい意味での正義遂行を期待したいならば、それ相応の立ち回りが必要になる事も。

ポイント

  • 天義は何処までも高潔で間違った事が嫌いな勢力です。彼等の行動理念は正義と潔白に根ざしており、そこに私心、ましてや邪心は欠片もありません。
  • しかし、彼等は『自分の基準に高潔』で『自分の基準に間違った事を許しません』。
  • ……悲しいかな、彼等は心に何一つ悪を持たず、迷惑行為を働く行き過ぎた原理主義者である事がほとんどです。彼等に同調して『市民は幸福』でも構いませんし、彼等の正義を上手く誘導して後味の良い結果を目指してみるのも一興です。

練達(探求都市国家アデプト)

 混沌南部の小島を勢力圏とする国家。

 当然ながら最も弱小なる勢力ですが、或る事情から中立国家として各勢力に認知されています。
 この勢力は正確には都市国家と言うべき規模であり、旅人を中心に編成されています。
 練達は総ゆる世界の総ゆる文明の技術者、学者肌の人間が集う場所で『強制召喚を打ち破り、元の世界に帰還する事』を目標に日々研究に打ち込んでいます。神託に真っ向から反する為、幻想や義とは余り良好な関係とは言えませんが、各国にも練達の研究のもたらす恩恵とその目的に希望を抱いている人間も多数いる為、どの勢力からも攻撃を受けるような事はありません。
 練達の主目的は『元の世界への帰還』ですが、それに到る道として神や観測値『D』を含む世界の謎の究明にも取り組んでいます。
 練達の技術者が生み出す品々は生活に、時に闘争にオーパーツめいた能力を発揮する為、そういう意味でも重宝される存在です。その科学技術は現代社会を大幅に上回りSFレベルに到達する事もありますが、混沌法則により世界のバランスを著しく崩す事は出来ません。理論、技術的にそれが造れないではなく、根源的に存在しない扱いになるのですが、練達の研究者はそれで諦めるような物分りのいい性格をしていません。
 元の世界への帰還と同じように、混沌法則すら打ち破らんと日々努力を続けています。

 首都セフィロトの主要研究施設は『賢者の三塔』。
 セフィロトはドームに覆われた未来都市の様相で、『マザー』と呼ばれる中央制御システムにより快適と安全が保たれています。
 練達は『探求』のカスパール・グシュナサフ、『想像』のマッドハッター、『実践』の佐伯操、三塔主により運営されています。
 その成り立ち、目的から信仰意識は皆無に等しく、むしろ神へは敵愾心を抱いているとも言えます。

 練達でプレイヤーキャラクターが仕事を得ようとするならば、研究者のフィールドワークの手伝いや荒事の代理が挙げられます。
 国家同士の争いに巻き込まれる可能性は低いと言えますがゼロではなく、人間(ないしは高度な知的生命体)以外の脅威も混沌には存在しているからです。(例えば大型の竜種をはじめとしたモンスターや魔種、それ等に感化された終焉の終末主義者の存在等)

ポイント

  • 人間は考える葦である、とは有名な言葉ですが、練達は時に無力な人間(と高度知的生命体)の知性と飽くなき探究の心を何よりの力と考える研究者の楽園です。
  • 彼等は理不尽な理由でこの世界に召喚されたり、特異運命座標を押し付けられた人々ですが、基本的に『神とかいう非科学的なモン』に挑戦的であり、反抗的でもあります。
  • 従って彼等は神の押し付けたオーダーに従い、不確定に自身の状況が解決される事を全く信じておらず、自身の知性と実力をもって現状を打開せんとその意志力を燃やしています。
  • ただし、彼等は基本的にお外が嫌いです。考える事は大好きですが、物理で解決しなければならない事はからっきしです。フィールドワーカーたるイレギュラーズはひきこもり達の希望の綱になるでしょう。

海洋(ネオ・フロンティア海洋王国)

 大陸東の諸島に拠点を構え、絶望の青と隣接する国家です。一番大きい中央島に首都リッツパークが存在します。

 国王が君臨していますが貴族の力も強く、彼等の組織する貴族院との二頭体制。鳥種と海種が多く、その数は概ね同じですが、海種の現王と鳥種を中心にした貴族達という構図が人種事情をかなりややこしくしています。(どちらの種が王位を継ぐかで毎回かなり揉め、情勢も変わります)
 近海漁業と特殊な工芸が盛んです。海洋を生かした交易で多大な利益を上げていますが、狭い国土への限界を常に感じており、極めて危険であるとされる遠洋彼方への冒険航海団を積極的に繰り出しています。新しい世界の発見と開拓を悲願としているのです。
 地形条件とこれまでの経験から、他国に比して極めて優秀な航海技術を持っており、他国が近海での活動を限界とする一方で、ある程度の遠洋を航海する為の装備と技術、ノウハウを有しています。自国の位置する周辺一帯の海を領海と定義しており、無許可で通行する船舶は国軍に拿捕される事も。又、海洋の認定しない海賊団も海洋を拠点にしている事が非常に多く、彼等は王侯貴族と結び付き、個人的に利益を供与する事でパワーバランスの中を泳いでいます。(彼等は一種の私掠船のような存在であり、お互いにそういった存在を目こぼしする事で己の勢力を拡大しているのです。又、海洋においての新世界発見はキャスティングボードを握る大事の為、彼等はその為の私兵といった側面も持ち合わせています)

 現国王はイザベラ・パニ・アイス女王。貴族派筆頭のソルベ・ジェラート・コンテュールと権力闘争をしています。
 しかしながら、海洋の権力闘争は例えば幻想のそれとは少し異なり、もう少し気楽で穏やかなものでもあります。彼等は中々ギスギスしており、中々仲が宜しくはありませんが、海洋という国家の大らかさは良い意味で緊張を和らげているのです。

 PCが海洋で活動する場合、一般的なトラブルシューティングに加え、スポンサーの意向や依頼次第では海賊行為も可能になります。
 十分な信頼を得た場合、国家的なプロジェクトである新世界探索を依頼される事も有り得るでしょう。
 海賊、航海とはこの場合、厳密に言えば『空も含め海の上での活動全般』を指すものです。
『絶望の青』の向こう側。遙かなる遠洋を目指せば世界最強の海賊『偉大なるドレイク』や未知なる脅威が立ちふさがるかも知れません。

ポイント

  • 無限に続く大海原。財宝の眠る島! 見果てぬ新世界! 当然立ちはだかる多くの苦難!
  • 海洋はその名の通り開拓精神溢れる冒険テイストの強い本編舞台です。
  • 幻想とは異なり、何処か間抜けでのんびりとした権力闘争に茶々を入れるのも良し、混沌の海を震え上がらせる名うての海賊を目指すも良し、交易やバカンスを楽しんでみるのも良いでしょう。文化の坩堝、異国情緒溢れる海洋で是非、冒険をしてみて下さい!

傭兵(ラサ傭兵商会連合)

 平素は何処の勢力にも与せず、依頼を受ける事でスタンスを変える傭兵国家。

 力のある商人(商会)と傭兵団が結びつく事で共同体を形成した連合体です。
 大陸中央部の砂漠地帯を根城としており、砂漠のオアシスたる首都ネフェルストはその美しさから夢の都とも称されます。
 人間種及び獣種で大半を占めますが、深緑と隣接し、交流もある為、幻想種も多少見られるようです。

 自由を愛する気候風土が強く、何かに縛られる事を嫌うのは国民も国家も同じです。
(国家としての)依頼の受諾は案件単位ですが、契約に違反する事は決してありません。場合によっては敵にも味方にもなるこの勢力が滅ぼされない理由は、偏にこの勢力自体が戦闘力面でかなり厄介な存在だからという点に尽きるでしょう。
 公的には王に類する存在は居ません。有力傭兵団長による多頭合議制を敷いていますが、実質の指導者は『赤犬の群れ』のディルクという男です。
 他に有力な人物は獣種傭兵団『凶(マガキ)』のハウザー・ヤーク、幻想種傭兵団『レナヴィスカ』のイルナス・フィンナ等。
 有力商人ファレン・アル・パレスト、フィオナ・イル・パレスト等は経済的な基盤を支える存在です。

 地獄の沙汰も金次第。信仰心は個人次第、まちまちで国家としてのカラーは希薄です。
 傭兵でPCが活動を行う場合、戦争関係の案件か、日常的に舞い込む個人傭兵依頼、冒険等が中心になるでしょう。
 実戦に強いのは言わずもがな、商人の立場も強く、大陸中央の地の利を生かした交易国家としての顔も持ち、サンド・バザールと呼ばれる大規模市は曰くつきの品からガラクタ、盗品までもが集まる世界最大の闇市として認知されています。
 幻想は上得意。交渉下手な鉄の苦戦の一因でもあります。

ポイント

  • オアシスを拠点とする商人と傭兵の国は、他の勢力とは一線を画す特殊な立ち位置を持っています。彼等は大抵の事をビジネスと捉え、ビジネスを重視して行動します。
  • 実力主義者が多く、余所者でも実力を示せば信頼を得る事も出来るでしょう。
  • 傭兵での冒険は画一的なものにはなりません。有力者から財宝探しを頼まれる事もあれば、戦争の手伝いに赴く事もあるでしょう。大型のモンスターの討伐依頼等があれば、生死をかけた大決戦になるかも知れません。
  • サンド・バザールでマジックアイテムをゲットだぜ、なのです。

深緑(アルティオ=エルム)

 自然と一体化する事でより高度に世界と結び付き、独自の文化、魔術的繁栄を遂げた幻想種達の国です。

 大陸西部の迷宮森林が彼等の領域であり、信仰的価値と首都的意味を持つ大樹ファルカウを中心地としています。
 深緑を構成する種族は殆どが幻想種であり、異種は余り歓迎されていません。(幻想種自体が穏和であり、好戦的な性質を持たない為、完全に排他的という訳ではありませんが、彼等にとって重要な価値観とルールを軽んじればその限りではありません)
 他国に対しては余り積極的交流を持ちませんが、百数十年前から隣接する傭兵とは繋がりを持っており、緩やかな同盟関係と言える良好な関係を保っています。
 文化、価値観的に他国と隔絶した所がある為、信頼した少数の異種族に教えを乞う事も(知識を授ける事も)あります。

 国という勢力を構築してはいますが、縦の繋がりは比較的緩く、規模の大きな村といった風。大樹ファルカウは街をそのまま一つ飲み込める程の大きさを持つ始祖の霊樹であり、幻想種は古い時代にファルカウから生まれ落ちたものとする伝説があるようです。
 ファルカウの内部には多層構造に及ぶ首都が広がっており、さながらそれは塔のように積み重なった村々です。

指導者はリュミエ・フル・フォーレという幻想種です。長い紫色の髪をした女性で、混沌有数の大魔道。白と黒の大仰なローブに、金色に赤い宝石を嵌めたサークレットを額に付けています。美しく凛としていて泰然。年齢不詳ですが、混沌における大多数の存在よりも長命であると考えられています。

 深緑でPCが活動を行う場合、森を荒らす不埒者を追い払う他、使者として外部交渉に赴く等の依頼が考えられます。
 迷宮森林の中には旧時代の遺跡が多数確認されており、同時に手つかずのままになっています。
 彼等の信頼を十分に勝ち取れば、それ等を与えられる事もあるのかも知れません。

ポイント

  • 謎多き深い森の迷宮に守られた幻想種達の国。それが深緑です。
  • 彼等は善良で穏やかですが、余り積極的に他と交わりがたる性質を持ちません。
  • その為、本編開始直後は少し遠い関係の国となるでしょうが、逆を言えば不明が多く、多くの手が触れていない森林迷宮の中は発見の宝庫足り得るものでもあります。
  • 世界の謎や、新たな希望は深い霧の向こうかも……

覇竜(覇竜領域デザストル)

 大陸南方の山脈に拠点を置く竜種の領域。国というよりは棲家といった方が適切ですが。

 亜竜種とは土台存在の異なる上位竜種が多数観測されており、彼等を除く混沌の生命体は進んでこの山脈には近付かない。
 竜は自身の認めた勇者にのみ力を貸すとされていますが、実際の所その観測例は殆どありません。

 伝説や記録には極々稀に亜竜種ならぬ竜を従えた勇者の存在は記録されていますが、実際の所それが可能であるかどうかは定かではなく夢物語です。

ポイント

  •  混沌において最強の一角と目される生命体、それが竜種です。
  • 竜はヤバイです。それはもう、ええ。幸いなのは彼等が引き篭もりである事なのです。
  • Pandora Party Projectは古き良きRPG(ファンタジー)を応援するものです。

終焉(ラスト・ラスト)

 魔種と呼ばれる極めて特殊な存在と、彼等に影響を受けた旅人(破滅主義者)で構成された国家とも呼べない勢力です。

 一言で言えば神託の予期した破滅を真に望む存在であり、その為に暗躍していると言えます。
『七つの大罪』と呼ばれる特に強力な個体が存在するともされていますが、真偽は定かではありません。
 各国都市部や村々、国の支配の強く及ばない辺境、時にはダンジョンの中等、影のようにいたる所に潜んでいます。
 魔種は純種が反転、変化した存在です。
 魔種は大いなる狂気を抱いており、関わる相手にその狂気を伝播させる事が出来ます。強力な魔種程、その能力が強く、魔種から及ぼされるその影響は『原罪の呼び声(クリミナル・オファー)』と定義されており、堕落への誘惑として忌避されています。魔種は通常の純種を大きく凌駕する能力を持っており、通常の純種が『呼び声』なる切っ掛けを肯定した時、変化するものとされています。
 魔種はイレギュラーズと似た能力を持ち、自身の行動によって『滅びのアーク』に可能性を蓄積してしまうのです。(『滅びのアーク』は『空繰パンドラ』と逆の効果を発生させる神器です)

 世界の西端、影の領域に本拠があるともされますが、戻ってきた人間が居ない為に不明瞭です。
 魔種の発端を含めた多くは謎に包まれたままですが、一説には原始の魔種が王として君臨しているという説もあります。

 現世界観・そして滅亡回避における明確な敵である事は疑う余地もありませんが、魔種は(滅びの目的は別にして)実は別段神に敵対的という訳では無いようです。
 皮肉な話ですが、彼等は彼等で神なる高位意思の存在を認めていますし、それ自体を害する事が目的ではないようなのです。

ポイント

  • イレギュラーズにとって魔種はまず間違いなく倒すべき敵です。
  • 彼等の存在は無辜なる混沌を歪め、大きな不幸と混乱を招き、空繰パンドラの可能性を減じ、滅びのアークの可能性を高めます。
  • その上、魔種は先述の『原罪の呼び声(クリミナル・オファー)』によって周囲に狂気を伝播させます。
  • 世界を救済するという目的にしろ、人々の暮らしを守るという目的にしろ、魔種の存在は魔種以外に益しません。
  • 魔種は『反転現象』から生まれるとされていますが、それを生じるのは純種だけです。旅人は狂気の影響を受ける事はありますが、現在まで魔種化したという報告はありません。
  • 反転現象の発生は純種である限り、イレギュラーズであるかないかは関係ありません。プレイヤーキャラクターが万が一『原罪の呼び声』を受けた場合は……?
  • 魔種のイラストは関係者イラスト等によって作成する事も出来ます。
  • 元となった種族(純種)の特徴をある程度残しますが、それ以外のイラストセキュリティは公序良俗等に抵触しない限りはほぼ自由です。怪物でも、人間形でも自由です。。

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