クエスト
闘技場設定は『練習場』から!
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国家紹介・鉄帝 Sestell三章:ゼシュテル鉄帝国
無辜なる混沌の大陸北部に位置するゼシュテル鉄帝国はその国土の大半を厳しい気候に晒されているそうだ。
鉄帝国の首都スチールグラード。蒸気と歯車の街は西洋作りの幻想と比べれば余りに無骨であった。
「やあ。君がユリーカの言っていた新人? 僕はカルネ。幻想と比べれば寒くてびっくりしたかい?」
精巧な人形を思わせる少年はわざとらしく首を傾げる。嫋やかな指先がよろしくと差し出され、自身もイレギュラーズなのだと彼はそう言った。
「案内を、と言われたけれどここでは風邪を引いてしまうかもしれないね。
一先ずは鉄屑商店街で暖かい物でも食べながら説明しようか。付いて来て」
淡々と言ったカルネは蒸気の煙と寒々しい雪の降る街を早足で横切っていく。震えるような寒さであるというのに、その白い頬に変化が無いのは彼が鉄騎種であり、過酷な環境に適応する能力を持って居るからなのだろう。
「この国は簡単に言えば『実力こそ全て』さ。あっちに闘技場が見えるだろう?
あれは『大闘技場ラド・バウ』。僕たち鉄帝国民にとっての最大の娯楽であり、戦士たちの夢の舞台だよ」
そうやって指さした場所にあるのはコロセウムであった。カルネ曰く、ラド・バウは複数のランクに分けられ、徐々にランクを昇っていくのだそうだ。特異運命座標達も時折は招待されてスペシャルマッチに興じる者も居れば、個人的にラド・バウのランクに挑戦している者もいるらしい。
「現チャンプはガイウス。スーパーチャンプと呼ばれているんだよ。『試合中の事故』で多く不幸な結末があったそうだけれど」
そんなことよりも強いかどうかがこの国での判断基準であるとカルネは言った。
実力(ちから)こそが全てとは言い得て妙だ。鉄帝国はその国民性からも非常に武力を愛好する者が多い。帝国でありながら、その国家元首である皇帝位さえ個人の武力で決定されるのだという。
「例えば、現皇帝のヴェルス・ヴェルグ・ヴェンゲルズ帝は前皇帝を斃して、即位したそうだよ。
説明するにしても『分かり易い』から不満があれば武力解決に走ることもあって、そう言った部分は国内は驚く位に安定してるんだ」
基本的な行動理念が武力になる以上、武を以て制すれば話も解決だという事だろう。
鉄帝国に所属する軍人たちの統率が取れている理由もこれに由来する。実力がある者が上という分かり易い構造が受け入れられる地盤がしっかりとしているからか。
……尤も、国民全員がそれを歓迎しているかと言えばそうでもないようだ。鉄帝国は北部に行くにつれてその気候は厳しいものとなって行き、経済的には脆弱だ。国益を第一にした場合、自国を開拓するよりも他国に侵略した方がいいという結論が出ている以上、近隣国家からは危険分子とも認識されている。
「幻想王国との小競り合いは頻繁に起こるし、これだという場面で武力介入をする国、という感じかな。
……まあ、鉄帝は良くも悪くも『武力はぴかイチ』だから介入したとしても大きな損害を受けることはないみたいだけれど」
例えば、ネオ・フロンティア海洋王国ではグレイス・ヌレ海域という場所での大規模な海戦が行われる事もあったという。それは歴史の上での話でもあるが――特異運命座標となった以上、ローレットとしてそうした戦争への介入もあり得る話だ。
「最近? うん、最近は国内情勢にも変化があったかな。例えば、『無辜なる混沌』には様々な部族が暮らしているから鉄帝国の中にもそうした部族が存在して彼らが徒党を組んで国を名乗っているだとか」
ノーザンキングスと言っただろうか、とカルネは思いだすように言った。三部族が共同体としての国家声明を出したことは記憶に新しい――尤も、それが国家として認められているかと言えばあくまで自称の範囲なのだが――そして、その紛争にローレットが介入する事だってある。
「うん。まあ……こんな感じかな? 細かい駆け引きとか政治的な事がない分、この国は『分かり易い』と思うよ。
ラド・バウの観戦に誘いたかったけれどユリーカから頼まれていてね……行くのはラサ傭兵商会連合との国境にある『銀の森』さ」
混沌世界ガイドブックにも掲載される観光名所だとカルネは何気なく言った。曰く、鉄帝国には古代文明とも呼ばれる『伝説』の名残が多数存在しており、埋もれたままの技術の一部は軍事利用を、そしてさらに一部は『観光地のオブジェ』として残されているらしい。
「観光じゃないよ。これからするのは仕事さ。銀の森に出るモンスターを斃してほしいんだって」
シナリオ詳細
●敵戦力
・シルバーウルフ×2体
「銀の森、ねぇ。そういえばあそこで精霊種(グリムアザース)と接触したんだったか。
ま、それはともかく今回の相手は……狼か。反応と命中が結構高めみたいだな。
先手を取られる可能性が比較的高いかもしれんが、焦らず対処しな。体力は低めみたいだぜ」
by ギルドマスターより