クエスト
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国家紹介・幻想 Legado Ilusion二章:幻想王国 レガド・イルシオン
待ち合わせの場所はギルド・ローレットを出てすぐの場所であった。
ギルド・ローレットが本拠を構える幻想(レガド・イルシオン)は無辜なる混沌でも最も長い伝統を誇る大国だと言われている。その西洋を思わせる風光明媚な街並みを急ぎ足でやってきたのが金の髪の冒険者であった。
「お待たせしたかしら? 貴方が新しいイレギュラーズ?
初めまして。私はアルテナ・フォルテ。貴方の案内人としてユリーカからお願いされてきたの」
アルテナと名乗った少女は人間種――この世界ではオーソドックスな種族――だ。特異運命座標として活動している冒険者の一人らしい。
「幻想は『勇者の国』と呼ばれているのよ。国家設立は勇者のものだと御伽噺で語られているし……。
勇者が生涯をかけて踏破を目指したと言われる『果ての迷宮』が王都には存在している歴史ある国なの」
果ての迷宮の攻略は王国が国を挙げて探索隊を派遣し、ローレットからも幾人もの特異運命座標が参加しているそうだ。国家としてもローレットとは切り離せない関係なのであろう。
「この国はとても過ごしやすい気候なの。平野部が主要の領土となっているし、隣接するのは海洋――ネオ・フロンティア海洋王国――だから物流の要衝でもあるから古くから経済的に栄えていたのよ」
伝統と歴史ある強国として名を馳せた勇者の国。勇者と称された建国王の理念を受け継いだ幻想王国はその歴史を曇らせる事無く堂々としている、筈だったのだ。
「まあ……国というのは曇るものだから。王政だけれど貴族の声も大きい国なの。
近年の幻想の歴史でも話しながら散策しましょうか? これは冒険者ギルドの教本にも乗っている事だけれど」
竜の胃袋亭にでも向かいましょうね、とアルテナはルミネル広場を通り過ぎた。願いが叶うという噴水は待ち合わせを行っている者たちの姿が多い。
ジルバプラッツ通りと呼ばれた高級商店街では貴族たちが楽し気に買い物を行っている様子が見て取れた。
「もともとは王侯貴族による統治が行われていたのだけれど、国難や時勢の変化で王家の力は削がれて、今は門閥貴族が台頭しているというのがこの国の現状ね。
……まあ、見ての通り、貴族の大半は領民の人権や生活よりも自身の私腹を肥やす方に忙しいと言うのもこの国の特徴かも」
それが選民的な思想であることは言わずとも分かっている。それでも、王都の中ではラドクリフ通りのようなにぎやかな商店街に行き交う人が多い様に普通に生活している者たちだって多い。――アルテナが此処が本番かしらとプリマヴェーラ通りを覗き込んだ。
「ここから先に行けばスラムや孤児が居たりするわ。それがこの国の現状よ。
もう数年前にはなるのだけれど、今の王様のお父様、先代の国王のフォルデルマン二世が崩御したのを切欠に国の統治は一気に変わってしまったわ」
フォルデルマン三世は若くして冠を継いだこともあってか政治には無頓着であり享楽的な放蕩王と呼ばれていた。フォルデルマン三世に世代交代を経てからという大貴族連合はこれ幸いと国を完全に私物化したのだ。現在は三大貴族――フィッツバルディ、アーベントロート、バルツァーレクが睨み合う形で駆け引きを続けているのだそうだ。
「……っと、ついたわ。此処が竜の胃袋亭。美味しいご飯が食べれるのよ?」
にこりと笑ったアルテナ。話の続きは食事と共に、という事なのだろう。店内を見回せば人間種が多く、幻想王国に暮らす者は支配層がそうであるように人間種が多いのだろう。
「ええと、国の事はそれ位かしら……。
北方にあるゼシュテル鉄帝国は侵攻を行ってくることもあるから、そういう時は貴族力を合わせて撃退を、という事もあるみたいだけれど――最近はローレットに声をかけてくれることが多いかも」
それもこの国では『魔種』と呼ばれる不倶戴天の敵を退けた事で信が得られたということだとアルテナは自慢げに言った。
魔種(デモニア)と呼ばれる存在は、この世界に元より暮らす純種が『原罪の呼び声(クリミナル・オファー)』でその性質を反転させることで生まれるのだそうだ。その性質全てを狂わされる事で姿や在り方さえも変わってしまう。
特異運命座標が『可能性』を集める様に魔種は『破滅』を集める。
つまり――「魔種は生きているだけでこの世界を破滅に追いやる、ということ」
アルテナはそう言った。だからこそ、魔種の危険に晒されたならば退けねばならないのだ。
「さて、と。そう言えばユリーカから郊外でのモンスター退治を頼まれていたの。
貴方もご一緒にお願いしてもいいかしら? ……嗚呼、今回は貴族からのお願いだけど『良い』お願いよ。
貴族の中には『悪い事』を頼んでくる人もいるけれど。それを受けるかは貴方次第だもの」
シナリオ詳細
●敵戦力
・グリーンスライム×4体
「ふーんグリーンスライムね。個体自体はそこまで大した奴じゃないんだが……群れでいたりするんだよな。
強い奴でも数の差があれば負けるのが戦いって奴さ。だが、今回お前さんには味方もいるんでな。
連携して戦ってみなよ。依頼でも複数人の奴と一緒に戦う機会が常だからな」
by ギルドマスターより