クエスト
闘技場設定は『練習場』から!
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The First Day (PPPプロローグ)プロローグ:空中庭園
運命の日。始まりの日。
運命は急な坂道を転がり落ちる真っ赤な林檎のようなものである。
追いかける程に遠ざかり、遠ざかっては近くに見える――それはまるで逃げ水だ。
全くどうしようもない位に魅力的な<彼女(ファム・ファタル)>は全く容赦無く、時に残酷なまでに気まぐれで、時に天佑のように誰かに加護をもたらす事もあるだろう。
例えば、特別な白兎を追いかけて、少女が不思議の国に迷い込んだように。
例えば、不慮の事故に出会った男子高校生が、見知らぬ世界で目覚めた時のように。
例えば、黄泉比良坂を駆け上がり、不可逆の結末を変えたと思った時に。
例えば、終わりゆく世界で涙を流した聖女の願いを叶えるように。
一見、何の統一性も無い経緯の全ては、無遠慮な運命の一言に塗り潰されるのだろう。
それは確かに、唐突で、好悪問わず絶対的に強制――全くもって悪い冗談そのものだった。
――自分は、気付いたら見知らぬ場所に迷い込んでいた――
「こんにちは。突然、宙の上となれば驚くのも無理はねーでごぜーます。
端的に言えば、特異運命座標(イレギュラーズ)として召喚されたという事でごぜーます」
そう言ったカソックの女はざんげ、と名乗る。彼女は突然の『召喚』に混乱する貴方へと悪い冗談のようなこの状況を解説した。
この世界の名は『無辜なる混沌』
旅人と呼ばれる『異世界より訪れた来訪者』たちと、混沌に住まう純種と呼ばれる者たちが生きているそうだ。
そして、貴方が現在立っているのが混沌世界を俯瞰する上空に位置する『空中庭園』である。
庭園には神託の少女――つまりは目の前のカソックの女だ――が存在する神殿にはこうして『なんの悪い冗談か』絶対的に強制的に、特異運命座標と呼ばれる可能性と宿命を背負った存在として喚び寄せるのだそうだ。
「まあ、こうなった以上は運命として受け入れてくだせー。
神託の少女と言っても代弁者でしかねーでごぜーます。旅人を元の世界に戻すだとか、平和だった生活に戻すだとか、私にははっきりめっきり無理難題でごぜーますから」
ざんげは目を伏せて、諦めた様にそう言った。その長い黒髪が彼女の横顔を隠している。
聞けば、神託の少女と呼ばれる彼女は空中庭園から出る事は叶わない。特異運命座標と『バグ』で召喚された一般人しかこの場所に訪れられないと言うのだから宿命(ルール)は彼女の前でも絶対的だ。
「そこ。ワープポータルがごぜーます。そこからは各国へ向かう事ができるでごぜーますが……。
先ずは特異運命座標の大部分が所属する『ローレット』のある幻想に向かって見てください」
これからの生活の事や故郷へ戻るにしたって資金は必要であろうとざんげは淡々と、事務的に告げた。
「―――」
貴方は手を眺めて違和感を感じた事だろう。ざんげは思いだしたように貴方を見る。
「ああ、忘れてました。簡単に説明して置いた方が後々、状況を呑み込むのによさそうでごぜーますね。
『無辜なる混沌(フーリッシュ・ケイオス)』は他の世界より致命的な影響を受ける事はありません。
この世界をこの世界の儘に維持するために世界には『混沌肯定(システム・ケイオス)』と呼ばれるルールが存在しているでごぜーます」
それは口にすれば簡単で、効率的で、そして非常に理不尽だった。
混沌肯定『レベル1』は貴方が違和感を感じた事だろう。鍛錬を積み重ねた存在も、その逆の幼い子供でも特異運命座標として召喚された時点で能力値が再構成されるのがこのルールだ。
混沌肯定『RPG』は『レベル1』を受けた存在が混沌世界の経験を積む事で急速に力を増すことが出来るというルールである。そして――『ステータスシート』の内容は本人が把握・自覚出来ると言うのだ。
混沌肯定『崩れないバベル』というルールも存在している。イレギュラーズとして召喚された貴方は、旅人たちと何気なく話すことができている事に気づかなかっただろうか? 其れこそがこのルールだ。言葉は全て自身が知っている物に置き換わり、理解することができる。
混沌肯定『不在証明』という最も重要かつ強力なる世界法則が存在している。これはこの世界にて『世界維持に邪魔と認めらたアイテムは理論上完璧に製造されている筈でも、機能効果を発揮しない』という事です。混沌という世界の均衡を著しく崩し得る要素は世界法則によって阻害され続けるのです。
「簡単に言えば、皆さんは『この世界に組み込まれ、ルールに適応される』んでごぜーます。
人は水中では呼吸も出来ないように、ロケットと呼ばれる物は存在してはならないと世界は断じているでごぜーます。
同様に、皆さんの力も『特異運命座標としての基準』でリセットされ、レベル1と呼ばれるルールで開始……イレギュラーズとして活躍することで、ステータスを高めることができるのでごぜーます」
言葉については自身の言葉を理解できているなら問題ない、とざんげは言った。
「とりあえず現状を確認してみるでごぜーますか?」
そうしてざんげが指さしたのは庭園の中にあった古びた訓練用のゴーレムであった。
シナリオ詳細
●敵戦力
・古代ゴーレム
「むかーしから練習用に使ってるゴレームなのでごぜーますよ。
大分古くなってるんで、皆さんの特性次第じゃすぐ倒せる人もいるかもしれないです。
……ああ。そういえばその前に自分の戦い方を考えておいた方がいいかもしれないでごぜーますね」
by ざんげ より