冒険
闘技場設定は『練習場』から!
六生学園迷宮校舎探索談
月明かりのさす、そこは学園の校長室だった。
練達再現性東京2010希望ヶ浜地区立希望ヶ浜学園というその場所は、かりそめの平和とかりそめの日常の中に建っている。
放課後のハンバーガーショップや、スマホをいじるだけの日曜日や、彼氏の有無で悩むだけのクリスマスイブでできた平和な世界。ここには戦争も飢餓も、魔種も災厄もない。
まるで『現代日本』から一歩も動いていないかのような空間の中で、人々は日々を過ごしている。
「まるで映画のセットだ。学校。病院。二車線道路に信号機。どれもこの街の中だけの風景とルールだというのに、まるで日本国憲法がこの世界にもあるかのように振る舞っている。
だがそれでいい。ルールとは物体ではない。人と人の間に作られた信頼と約束……契約だ。世界を越えても持ち越せる唯一のものと言ってもいい」
ソファに腰掛け、月明かりを後頭部に浴びながら、学園の校長こと無名偲・無意式 (p3n000170)はブランデーの入ったグラスを揺らした。
「彼らはこの街が平和だと信じ、街のために働く。我々はこの街の平和を維持し、彼らが知らない『闇』を、彼らに知られぬまま葬る」
胸ポケットから無名偲校長が取り出したのはマイクロメモリーカードだ。この街で暮らす者なら誰でも持っているaPhonというスマートホンに差し込むことで情報を読み取ることができる記録媒体である。
校長は薄く笑って言った。
「私立六生学園。この街にある学校だが、以前デスゲームによる儀式魔術によって情報汚染を受けたために封鎖されている。アスベストがどうのガス漏れがどうのと嘘の理由をつけて住民を遠ざけてな。
徐々に浄化を行い、取り壊すことで正常化を図るつもりだったが……」
促され、ユーフォニーがメモリーカードをスマートホンに差し込んでみる。中に入っているのは画像データだ。写真だろうか。
学校の廊下を写したもののようだが、あきらかにおかしい。
教室の扉が地面にあったり、天井から下駄箱が生えていたり、掃除用具入れが斜めに壁から突き出たりしている。何より廊下がぐねぐねと曲がりくねっており、先を見通すことが困難なほど黒い霧のようなものがかかっていた。
「儀式魔術はある意味成功してしまったと言うべきだろうな。
『夜妖』が大量に入り込み、校舎をダンジョン化してしまったようだ。
定期的に攻略し、大量にポップする夜妖たちを退治していかねばいずれ外にあふれ出すだろう」
夜妖。それはここ希望ヶ浜地区に出現する怪異の総称である。無名偲校長が『平和の対価』と呼んでいるそれを秘密裏に駆除しかりそめの平和を維持することが、ユーフォニーたちイレギュラーズにこの街で課せられた依頼の大目的であった。
そして、今回ユーフォニーに依頼される内容もまたそれである。
「六生学園へ侵入し、出現する夜妖を退治して回れ。だがあの場所は霊魂やトラップが山のように存在している。注意して進むようにしろ。
そのメモリーカードは緊急脱出用のマジックアイテムとして使える筈だ。危険な時にはそれを使え」
全容不明なダンジョンと化した校舎内だ。もし危なくなれば無理に進まずすぐに引き返す必要があるだろう。
攻略中には罠を見つける能力や不意打ちへの対策、更には霊魂との疎通能力を持っていると危険をさけながら進めそうだ。
ユーフォニーは早速、六生学園へと向かった。
参加者一覧 | |
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ユーフォニー(p3p010323) 竜域の娘 |
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すみれ(p3p009752) 薄紫の花香 |
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倉庫マン(p3p009901) 与え続ける |
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燦火=炯=フェネクス(p3p010488) 希望の星 |
探索記録
なんとも胡散臭い注意書きのある校門を抜け、鍵のかかった玄関口へと立つ。
鎖でぐるぐる巻きにして封鎖された扉はしかし、あなたが立った途端ロック用の南京錠が外れ、ひとりでに落ちてしまった。
おそるおそる校舎内へと入ってみる。見たところ普通の学校のようだが……
いや
ちがう
校舎内に全員が入ったその途端、周囲の風景が一瞬にして切り替わり異常に広い学校教室の……その中央に自分たちは立っていた。
ヒヒヒ、ヒヒヒ――と笑い声が聞こえる。
敵だ! 構えなければ!
出現した夜妖たちを倒すと、そこは普通と変わらない学校教室になっていた。
変なところがあるとすれば、外の風景が真っ暗でなにも見えないことくらいだろうか。
教室を出て、あなたは探索を開始する……。
画像データで見たとおり、廊下はとにかく滅茶苦茶だった。
普通に進むだけでも難しい。
夜妖が仕掛けたであろう罠を警戒して進まねばならないだろう……。
突然現れた大量の鉛筆が突き刺さる。
ただの文房具ではない。夜妖によって恐るべき呪力が込められたトラップだ。
警戒が甘かったのか、それとも運が悪かったのか。あなたはトラップにひっかかってしまったようだ。
とはいえ所詮は鉛筆。たいしたダメージではない。気になるのは、この鉛筆に不思議な気配があることだが……。
そうしている間に夜妖の追撃が始まった。調べるのは後だ!
トラップ地帯を抜けるとそこは家庭科室のようだった。
ようだった、というのはあまりにも空間がねじくれ、ひどい腐臭に満ちていたからだ。開きっぱなしになった冷蔵庫には人間の手や足のようなものが分解しタッパーに入れるかたちで詰め込まれている。
家庭科室の奥へと進む。
来た道とは異なる扉がそこにはあった。
何かの液体で『あけて』と書いてある。ほのかに香る鉄の匂いは、なんだろう……。
たどり着いた先はひどく歪んだ保健室だった。
包帯を巻いた生徒らしき幽霊がぼうっと椅子に座っている。
こちらに気付いたようだが、襲ってくる様子はない。
彼と疎通することができれば、この部屋の秘密をしることができるかもしれないが……。
色々試してみたが、少年の幽霊はこちらにはそれ以上何の反応も示さなかった。<br>
諦めて先に進むしかないだろう……。
色々試してみたが少年が反応する様子はない。諦めて先へ行こうとしたその時――保健室の窓を突き破り夜妖が突入してきた!
ここは応戦するしかない!
戦いを終えた途端、耳元で誰かが囁いた。<br>
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「にがさないよ?」
ふと見れば、つい先ほど刺さった鉛筆が手元にある。吹き上がったのは禍々しい呪力!
しまった、憑依型のトラップか!
どうやら、少年は正しいことを言っていたようだ。
扉の先には、見慣れた世界が広がっている……。
挑戦結果
【探索成功!】 探索を終え、ユーフォニーたちは学園を出た。メモリーカードを使うまでもなく、最後の夜妖を倒した際に現れた扉から外へ出ることが出来た。 カードを校長に返せばばっちりと報酬を受け取ることが出来るだろう。 久しぶりの空気は、どこか透き通って感じる。 ユーフォニーたちの守った日常の住宅街から、焼き魚の香りがただよった。 今夜は何を食べようか。
戦績
攻略状況:攻略成功!