PandoraPartyProject

冒険

闘技場設定は『練習場』から!


きのこの森探険



 幻想の外れにある森は、豊かな自然と種類豊富なきのこで有名だ。
 木々が色付く実りの秋は勿論のことながら、冬も春も夏も、年中きのこ狩りを楽しむことができる。家族連れや仲間、また菌の研究にと足を運ぶ研究者で、訪う者たちは後を絶たない。
 森には敷地をぐるりと覆う柵があり、森の管理を担うレンジャーたちが日々森の中の異変に目を光らせている。迷って出てこられなくなる者がいたり、限定された期間ではあるが珍かなきのこが生えるからだ。
 珍かなきのこが生えるとレンジャーたちはきのこの保護をするのだが、どこからか噂を聞いたのか、不法侵入を犯す密猟者たちが現れることもしばしばだ。件のきのこは基本的には研究者たちに引き渡されたり、必要としている人や分野に渡る。そんなきのこを、乱獲されては関係者各位は堪らない。そのため、レンジャーたちは常に目を光らせ、森の管理にあたっていた。
 他にも異変が発生した際、対処するのはレンジャーたちであった。

 ――しかし。
「困ったな……」
 そのレンジャーたちは今、森の外――入り口と定めた場所に建つレンジャー詰め所の小屋の前で、ただ立ち尽くしていた。
 レンジャーたちが見つめる先。豊かな緑を纏う森は、立ち込める煙めいたもので白くなってしまっている。
 しかし、火の気配はない。そして、レンジャーたちは困ったと口にするものの森の中に入っていく様子はない。――そう、レンジャーたちには白い何かが何か解っているのだ。

 それは、『胞子』である。

 何かのきのこが大量発生し、胞子が森中に漂っているのだ。
 その胞子は、毒かもしれない。何か怪しい作用のあるものかもしれない。吸い込まなければよいものならまだいい。触れれば皮膚を爛れさせるような毒性のものもあるかもしれない。なんとも無い可能性だってある。
 判じることが出来ないのは、様々な胞子が混ざりあっている可能性だってあるからだ。
「困ったな……」
 幾度目とも知れぬ声を発したレンジャーたちは話し合い、ローレットへと依頼を出したのだった。


 シナリオ:壱花

参加者一覧
星芒 玉兎(p3p009838)
星の巫兎

探索記録


「うわ……これはすごいな」
 口と鼻を覆う布を更に腕で押さえた玉兎は、あまりの白さに鼻白んだ。
 大小様々大きさのカラフルなきのこたちが、一斉にぼふぼふっと胞子を吐き出していて、想像以上に視界は真っ白だ。
(此処を進むのか……)
 気は重いが、レンジャーたちは「こんなことは初めてだ」と言っていた。
 きっと何か、原因があるはずなのだ。
 原因を究明すべく、玉兎は奥へと進んでいく。

(こっちだろうか)
 右も左も解らない。
 勘だけを頼りに進んでいく。


「……うっ」
 ぶわり。突然、視界に薄紫の胞子が広がった。
 どうやら横にあった毒々しいきのこが新たに胞子を吐き出したようだ――が、この胞子は危険なものであるようだ。

 しかし、鼻と口は布でしっかりと覆っている。
 少しくらいなら何ともないようだ。
 先へ進もう。



 視界の白さは変わらない。
 けれど、奥に行けば行くほど濃度が増しているようだ。
 時折色のついている部分が見えるが、あれは明らかに危なそうだ。
 そう思った玉兎は安全なルートを選び進んでいく。


 ……あれ?
 ここはさっきも通った気がする。
 気のせいだろうか。

 この道はさっき通った気がする。
 こっちも……あっちも……。
 それじゃあ、あっちかな……。


 …………。
 迷っている気がする。


 ……あれ?
 ここはさっきも通った気がする。
 気のせいだろうか。

 この道はさっき通った気がする。
 こっちも……あっちも……。
 それじゃあ、あっちかな……。


 …………。
 迷っている気がする。


 ……あれ?
 ここはさっきも通った気がする。
 気のせいだろうか。

 この道はさっき通った気がする。
 こっちも……あっちも……。
 それじゃあ、あっちかな……。


 …………。
 迷っている気がする。


「……うっ」
 ぶわり。突然、視界に薄紫の胞子が広がった。
 どうやら横にあった毒々しいきのこが新たに胞子を吐き出したようだ――が、この胞子は危険なものであるようだ。

 先へ進もう。
 きっといつかは違う道にたどり着けるはずだ。


 ……あれ?
 ここはさっきも通った気がする。
 気のせいだろうか。

 この道はさっき通った気がする。
 こっちも……あっちも……。
 それじゃあ、あっちかな……。

 ううん……抜け出せない……。



 きのこの森をぐるぐるしている間に、疲労が溜まってしまった。
 もうこれ以上は前へと進めそうにない……。
 空腹も限界だ……安全そうなきのこでも……食べておけば……よかった……な……。

 玉兎の意識が薄れていく――。

挑戦結果


 ぼんやりと意識が浮上し、知らない天井を見上げていた。
「ああ、目が覚めましたか? 私がわかりますか?」
 先刻森の入口で会ったレンジャーだ。
 何故確認するのだろう。
「ああよかった、正気に戻っていますね」
「正気……?」
「ええ。少し大変だったので……」
 言葉を濁すレンジャーに詳しく話を聞いてみると、どうやら意識を失っている間に「守らなくては守らなくては」と口にしながら暴れていたのだと言う。しかも、体のあちこちにきのこを生やして。
「きのこは全て駆除したので大丈夫ですよ」
 慌てて身体を確認しようとした玉兎にレンジャーはそう告げ、ゆっくり休んでいってくださいねと離れていった。

 胞子はまだ、森に充満しているようだ。

戦績

攻略状況:攻略失敗…(撤退)

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