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待ち惚けの館

【来客RP】暗殺者と義賊

来客:チェレンチィ

●山賊の捕縛依頼
 ローレット・ギルドの依頼というのは、甚く不思議なものだ。
 召喚されるまで、或いはギルドへ所属するまでは犯罪として定められ、破れば監獄島へ島流しされてしまうことさえ、時に依頼として舞い降り、ローレットの名のもとに公的な仕事になる。

「ええ、こちらの山賊たちの捕縛、首だけでも構いません。
 この者たちはあまりにも、罪のない人々を殺して、奪いすぎました」

 ギルドの職員が、依頼の紙を持ったチェレンチィに説明する。
 幻想の端、広大な森へ身を潜めた、名の売れていない山賊の捕縛依頼。捕縛といっても、首さえ持ち帰れば殺しても良い。
 山賊は人数も少なく、一般市民だけを相手にする弱小者ばかりであった為に、通常の八人編成で行われる依頼へは発展せず、その場へ居合わせたチェレンチィのみへ依頼された、ちょっと特殊な依頼だ。

「良いですよ。でも、山賊たちの命には期待しないで下さいね」

 前金を受け取ったチェレンチィは、ギルドの受け付けを背に、地図に記された幻想の森へと向かった。
 まさか、そこに山賊以上の面倒事が向かっていることも知らずに……。

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 耳を傾ければ、風の音に紛れてアルヴァの深呼吸が聞こえるかもしれない。
 手の震えが納まった。少し冷静に、頭に酸素を供給すればこの状況の大筋が読めてくる。
 率直に、目の前の少し困った表情をした少年は嘘を吐いてはいないのだろう。

「大方、ローレットの依頼を受けてコイツらを始末しに来たんだろう。
 当然だ。お偉いさんから目を付けられる程のことをコイツらはやってるからな?」

 照準がズレた狙撃銃をチェレンチィの方へ構え直し、睨みつける。
 ここで山賊を相手取っていたアルヴァのとって、一見チェレンチィは利害関係者にも思えたが、それは全くの逆だった。

「悪いね。それでもコイツらが殺されたり捕まったりするのは困るんだ。
 ビジネス……とでも言おうか。金銭を強奪する奴が消えたら、俺がそれにありつけないだろ?」

 ジャランと腰元に括り付けた袋を揺らす。
 恐らくそこには、山賊から奪い取っただろう金貨、或いは銀貨が入っている。
 アルヴァは後ろで伸びている山賊たちのことを堂々と”絶好のカモ”だと言い放った。

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