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ギルドスレッド

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宿屋【金色流れ星】

一周年記念特設スレッド

PPP一周年記念ということで作ってみました!各自が自分について語るのもよし、イベントを催すのも良しな比較的自由度が高いスレッドです!
簡単なSS(ショートストーリ)等や設定について語って頂いても問題ありませんのでどうぞお気軽にご利用くださいです。

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 中に入るとやはりいつもよりざわついているように感じる。人が集まっている方を見れば、どうやら一枚の依頼書が原因になっているらしい。
 掲示板に近付いて貼り出されているそれを人だかりの後ろから読もうとする。
「う……」
 前にいる人が邪魔でなかなか見えない。しかし見えないからどいて欲しいと頼むのも何だか癪だ。
 背伸びしながら四苦八苦していると、どうにか依頼の場所らしい部分だけ見えてーー

ーー聖教国ネメシス

 その国の名を認識した瞬間。頭がくらっとして視界が歪んだ。
 自身の心臓の音がやけに大きく聞こえる。周囲の喧騒が遠くなっていき、脳裏に過去の光景がーー

「ねえ、大丈夫?背伸びが辛いなら私が見てこよっか?」
「……っ!……大丈夫。少し目眩がしただけよ。ありがとう」
 後ろからかけられた声で我に返る。周囲の喧騒が戻ってきて、アンナは頭を軽く振った。視界はまだ揺れていて気持ち悪い感覚が残っているが、一度深呼吸してどうにか持ち直す。
 同業者であろう少女の心配そうな視線を背中で受けながら、足元がふらつきそうになるのを我慢してローレットを後にする。

「そう。ついになのね」
 夕陽に照らされる大通りを歩きながら、アンナがぽつりと呟く。
 天義が動いた。今後も継続的に依頼が出るようになるだろう。
 ついに彼の国と再び交わる時が来たのだ。未だに夢で見るあの日の光景を思い出す。飛び散る鮮血。祖父の冷たい眼差し。ただ泣き叫ぶだけの自分。
(あれだけは、絶対に繰り返すわけにいかない)
 ぎゅっと手を握りしめて決意する。
 不安はある。あの日あの場所に今の自分が立っていたとして、何か運命を変えられるのだろうか?今まで何度もしてきた自問だ。
一年前の答えは「変えられるわけがない」だった。でも今は。

 髪のリボンにそっと手で触れる。その贈り主の事を想えば不安は和らぎ、決意はより強くなる。
 できるできないじゃない。今変えられないのなら、変えられるまで強くなるしかない。
 帰るべき家となった宿屋で一人誓った事だ。
「もう二度と、私の大切なものを奪わせはしない」
 金色の瞳で挑むように天を睨みつける。
 奇しくもその場所は「始まりの日」、彼女が己の運命を嘆いた時と同じ場所だったが、アンナはその事に気が付いていない。
 嘆くだけの少女はもういない。決意の刃を胸に秘め、運命を変える力を持つ彼女の歩みが止める事はないだろう。
 二年目が、始まる。

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