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ギルドスレッド

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宿屋【金色流れ星】

一周年記念特設スレッド

PPP一周年記念ということで作ってみました!各自が自分について語るのもよし、イベントを催すのも良しな比較的自由度が高いスレッドです!
簡単なSS(ショートストーリ)等や設定について語って頂いても問題ありませんのでどうぞお気軽にご利用くださいです。

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「アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)」
『ある夏の日の決意』

「……日焼け止めがもう無いわ」
 まだ陽が出たばかりの早朝。宿屋【金色流れ星】の一室でそんな声が聞こえた。
 キュイー、とすよすよ眠っているカピブタの呑気な寝言が続いて響く。
 爽やかな夏のある日。今日もこの宿屋は平和であった。

***

「夏ってこんなに暑かったかしら……」
 外出の準備を終えたアンナは照りつける夏の太陽を少し恨めしそうに見上げる。
 去年はどうだったかしら、と思い出そうとして、あまり記憶がない事に気が付きすぐに諦めた。
 一年前の自分の誕生日、死んだ家族から受け継いだ指輪。空中庭園への召喚、それから一度天義に戻って婚約破棄やその他にも家を出るための手続きや準備諸々。
 それから初めての一人旅に出て……幻想に着いたのはちょうど去年の今頃だったか。目まぐるしく過ぎていく日々の記憶に暑いだとかそういうものは残っていなかった。
 あの頃はそんな事を深く気にする心の余裕がなかったことも理由の一つかもしれない。

 宿を出たアンナは歩いて街へ向かう。森の中だけあって暑さは比較的穏やかだ。ひなたを避けながら進めば、時折吹く風が熱を和らげてくれる。
 夏空のような色の日傘を差し、歩く上下動に合わせて髪に結んだ黒色のリボンが揺れる。
 どちらも去年のアンナは持っていなかった物で、そしてとても大切な物だ。特別な力は何もないけれど、何となく足取りが軽くなる。

 しばらく歩けば森を抜けて一番近くの街に着く。そのまま乗り合いの馬車に乗って王都へ。
 単に日焼け止めならば街でも手に入るのだが、ついでに他の化粧品類も調達したかった。アンナが愛用している物は王都でしか買えないのだ。
 馬車に揺られること半日。何事もなく王都に着いた馬車を降りて、王都の大きな門を抜けると大通りをまっすぐ進んでいく。

 もう日はかなり傾いているが、王都の人通りは多く賑やかだ。サーカス騒ぎで沈んでいた頃がまるで嘘だったかのように活気付いている。
 感慨深くその様子を眺めながら歩いていると、ローレットの建物が見えてきた。しかし今日は用がない。そのまま通りすぎようとして……ふと、中が騒がしい事に気が付いた。
「何かあったのかしら?」
 基本的に何でも屋のギルドだけあって緊急の依頼が舞い込むことも珍しくない。一応顔を出してみようと予定を変えたアンナはギルドの扉を開けた。

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