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シナリオ詳細

<天使の梯子>「終わり」にさせないために

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●顕現する神の国
 『占い師』の女、ベアトリーチェ・ラ・レーテの残した傷痕は未だ癒えず。
 信じていた聖教会内部に不倶戴天の敵である魔種が存在したことによる国政への不信。
 そして天義の掲げ断行してきた正義への不満から生じた国そのものへの不満。
 そんな中で天義に降りた新たな神託は『主が定めし歴史を歪めた悪魔達に天罰を。我らは歴史を修復し、主の意志を遂行する者だ』という国内を揺るがすものでであった。
 箝口令が敷かれていようと、シェアキムや騎士団を偽の預言者や歴史を歪めた悪魔であると糾弾するそれは大きな波紋を呼んでいた。
 少し前に発生していた――鉄帝国との国境沿いである『殉教者の森』に姿を見せた『ベアトリーチェ・ラ・レーテ』の暗黒の海と汚泥の兵達。致命者と呼ばれた人々。
 其れ等は歴史修復のための進軍であったと告げるかのようだった。
 加えてエル・トゥルルにおける聖遺物の汚染。
 天義の巨大都市テセラ・ニバスを侵食した『リンバス・シティ』の顕現。
 様々な暗躍はしかし――イレギュラーズの協力により、深刻な事態は避けられていた。
 そして、今……リンバス・シティの調査は、その果てに一つの新たなる領域を見つけ出した。
 それが『神の国』と呼ばれる、ルスト陣営が広げている空間の事だった。
 この地は天義の国に『帳』として降ろされ定着されているリンバス・シティ……とは異なり、まだ『現実に定着していない領域』であるという。
 聖遺物を核としているこの領域は、言うなればリンバス・シティの前準備の空間。
 時間をかけて定着する事によって――いずれは第二・第三のリンバス・シティも出来上がる事だろう。
 故に。イレギュラーズには新たにこの地の調査・核となり得るモノの破壊依頼が舞い込んだのだ。
 すでに始まったその動きに、遂行者たちもすでに気付いている。
 だからこそ、まるで廃遊園地のような雰囲気漂うこの「神の国」で……2人の人物がその風景を見下ろしていた。
「理解しがたいものです。しかしこれもまた、そうなのでしょうね」
「ああ。正しいこと、と理解できること、は違うものだということなのだろう」
 言いながら「しかし」とそれは続ける。
「そうであったとしても、此処は神の国だ。それは理解しているな」
「お任せください『遂行者』たるエクス、我等が聖拳よ。この地は私が守護しましょう」
 エクスと呼ばれたソレは、街区の中央のジェットコースターのような場所から街区を見下ろしていた。
 全身鎧の騎士にも、あるいは機械や鉄騎種のようにも見えるその姿では、表情はあまりよく分からない。
「しかし、警戒せよ『致命者』たるイートよ。歴史修正を阻む者は現れるだろう」
「お任せください。此処は私が、この命に代えても」

●遊戯都市へ
「神の国の件についてはもう聞いていると思うです」
 【旅するグルメ辞典】チーサ・ナコック (p3n000201)は集まった面々にそう切り出した。
 神の国。リンバス・シティの前準備の空間と呼ばれる場所。
 リンバス・シティと比べると『神の国』は地への定着率が低く、現時点では存在しているが、梯(道)がなければ至る事の出来ない領域で、聖遺物などを梯にしてようやく移動できる地であるのだという。
 言ってみれば、今のうちにどうにかしておかなければならない場所……ということだ。
「で、どんな場所なのかしらぁ?」
「遊園地です。廃、といった雰囲気がつきそうな場所ですけどね」
 『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)にチーサはそう答える。
 そう、廃遊園地としか言いようがない場所なのだが……恐るべきことに、この町全体が遊園地のようになっているのだという。
 各遊具は稼働してはいるようだが、どうにも不気味な雰囲気が漂っている。
 こんな神の国が顕現したのは、聖遺物が多分に影響しているのかもしれない。
「聖ワイズと呼ばれる人物に関連した『不変の風船』と呼ばれるものが核になっているようです」
 そう、その風船は真っ赤な風船であり……長い時間がたっても萎まず、常に浮いたままであるという。
 これを壊せば神の国も崩壊するだろう。
 なんだか恐ろしい雰囲気を持つこの場所、決して定着させるわけにはいかない……!

GMコメント

はい、というわけで廃遊園地のような雰囲気漂う神の国でのシティアドベンチャーです。
主なスポットとしては以下の感じです。なお、各遊具は稼働しているようです。
・住宅群
・ジェットコースター
・観覧車
・メリーゴーランド
・レストラン
・売店

●不変の風船
今回の聖遺物。真っ赤な風船です。
今回の舞台には風船がたくさんあります。

●出てくる敵
・住民×不明
遊戯都市の住人たち。現時点では会話が出来るようです。
ROOのNPCの様な、地の国を参照――つまりはコピーされたような存在です。
つまり知り合いっぽいのや自分そっくりなのもいるかもしれませんが、全くの別人です。
皆さんが明確に「敵」となるような行動をしない限りは彼等は「一般人」でしょう。
今回の彼等はスタッフであり、着ぐるみを着ている者もいます。

・影の天使(強化型ピエロ)×不明
羽の生えた恐ろし気なピエロの姿をしており、倒す事で消滅をするようです。
剣を掲げ、何かに祈り続けるかのような仕草を見せる事が多いようです。
武器は剣による近距離攻撃と、剣から放つ波動による中~遠距離攻撃です。
主に屋根の上や空中に居て、なんらかの敵性行動を取る相手に反応します。
何故か排水溝にもいたりするみたいです。
数が減ると分厚い空の煙の向こうから追加が現れます。

・『致命者』イート
チェーンソーを構えた青年ピエロの姿をしています。
かつてアドラステイアの渓に落とされた青年の姿にも似ている気がしますが、どうやら本人ではありません。
あとピエロの格好してるし。
色とりどりのボール型の爆弾をばらまく攻撃と、範囲の味方を癒しBSを解除する「天意の歌」を使用するようです。
皆さんが「正解」に近づいた時、何処かから出現するでしょう。

・『聖拳』エクス
今回はいません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • <天使の梯子>「終わり」にさせないために完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年06月13日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
小金井・正純(p3p008000)
ただの女
ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)
薄明を見る者
ヴィリス(p3p009671)
黒靴のバレリーヌ
レイン・レイン(p3p010586)
玉響
陰房・一嘉(p3p010848)
特異運命座標

リプレイ

●神の国へ
 遊園地。楽しげな場所に楽しげな乗り物。楽しげな音楽が響く、そんな場所だ。
 楽しげな要素しかないというのに、何故こんなにも物悲しい雰囲気が漂っているのか?
 それは単純に此処が神の国だから、というわけではないのかもしれない。
「『帳』に関連した世界は、色々な形があるらしいが……まさか、遊園地とはな。ふむ。遊具が近代的なのは、練達辺りの情報でも、調べていて影響でも受けたのだろうか? そう言う類の物では、ないのかも知れないが……」
「救いというよりは休日だけどまぁ、遊園地ってのは天義の人たちが本当に欲しかったもののイメージにも近いのかもな。何ともまた……なんというか。ま、それはともあれ。聖遺物を探さなきゃな」
「ああ。ともあれ、まずは聖遺物の捜索だ」
 『特異運命座標』陰房・一嘉(p3p010848)と『金庫破り』サンディ・カルタ(p3p000438)はそう頷きあう。
「遊園地……初めて来たけど……イメージで……動いていいの……? なら……僕……メリーゴーランドと……売店に行きたいな……赤い風船……を探すのにも……ゆっくり探せそうだし……」
 『玉響』レイン・レイン(p3p010586)も言いながら、近くにフヨフヨと浮いている黄色い風船を見る。
 探すべきは「不変の風船」と呼ばれる赤い風船の聖遺物であり、少なくともこの辺りには聖遺物は無い。
 屋根の上にいるピエロの姿をした影の天使たちは風船を持ってはいないようだが、それを含めなんとも特異な神の国であるといえる。
「本物のピエロ……初めて見た……何だか……道の下から視線を感じるけど……あれもピエロなのかな……なんで……こんな所に居るの……?」
 排水溝にいる影の天使は何故そんなところにいるのかは分からないが、不思議と違和感はない。
 そして少なくとも、襲ってくるような様子は……ない。
(周囲の存在は、一見する限りは、非戦闘的に見えるが……どんなタイミングで豹変するか、解ったものではないな)
 陰房はそう考えながら、レインとサンディが捜索に専念でき、不意打ち等受けない様、戦闘態勢で警戒を行っていた。
「流石に、銃を抜いていては、敵対行動と取られかねないが、盾を構えておくのは、大丈夫だと思うのだが」
 一応は反応を見た上で、敵対行動と取られそうなら、盾も下げておくつもりだった。
「ここが……メリーゴーランド……」
 軽快なメロディと共に動く馬や馬車の人形を見ながら、レインはそう呟く。
「練達のテレビで見て……ピエロとか……動物の着ぐるみの人が……メリーゴーランドの前で風船を配ってるイメージあったよ……あと……思ったよりも見渡しはそんなでもないけど……遊園地の真ん中近くにあるイメージもあったから……乗ったら……ゆっくり落ち着いて……園内全体を見れるかな……って……だから……乗ってみない……?」
「メリーゴーランドは乗る! 売店は美味しそうなの頼む! 変な隙間は覗きこむ! 全力で……遊ぶぜ!!」
「よかった……」
 そうしてレインとサンディがメリーゴーランドに乗り、一嘉がしっかりと警戒する。
「襲ってはこない、か」
 一嘉はそう呟きながら周囲を見る。着ぐるみを着た住人も、ピエロも襲ってこない。
 レインも広域俯瞰でメリーゴーランドの上からの視界で見渡し、更にファミリアーで鳥を飛ばして広く確認できるようにするが、今のところ風船は見つからない。
「ゆっくりだったけど……しっかり掴んでないと…意外と危ないね……でも……少し楽しかった……」
「だな! 次は売店か」
「売店……赤い風船……風船って……何売り場になるんだろ…… おもちゃ売り場……とか……?」
 メリーゴーランドからそんなに離れていない売店はそれなりに広く、着ぐるみの店員がレジに立っていた。
 しかし、なんかこう……陰鬱な雰囲気が漂うのは何故だろう?
「あ……小さい車がある…… 陸で初めて見た時……驚いたの……思い出した……1つ欲しいな……あと……小さい金のラッパも……お金は……どうやって払うんだろ……」
「値段見ると外のが使えるっぽいよな」
 そんなことを言いながらサンディは陰房にコホンと咳払いする。
「いやあれだぜ、別に調査しないってわけじゃねえ。敵がわざわざピエロで、こんな施設を用意してんだ。どんな歪みや罠があったとしたって、「見せたいもの」とか「やりたいこと」、そういうのが乗ってるハズさ。その想いに近づければ……この場所に関係ある誰かの心に近づけば。聖遺物の場所も推測できるかもしれない、だろ? それに……楽しまなきゃ、損だぜ! ただ、もちろん備え自体はしてるけどな」
 その「備え」というのはバールのようなものやナイフを隠し持っておき、ある程度物理的な扉や鍵の封鎖に対応できるようにすることも含んでいる。
 誰かがいなくなる事態を警戒しつつ、なるべく自分の音も絶やさない。
 実際先程のメリーゴーランドでも、メリーゴーランドに乗らない陰房に、先にハンドサインを決めて、手助けが必要な時はそのサインを出すことを……そしてこの売店でも、食べ物類は口にしないことに決めていた。いつ何があっても大丈夫なようにする。それは、当然のリスク管理であると言えるだろう。

●終わりにはさせない
「廃遊園地、「神の国」はこんなものまで再現をしてしまうのですね」
 『明けの明星』小金井・正純(p3p008000)は言いながら、エリザベスアンガス正純の着ぐるみが居た気がしてバッと振り返る。
 居た。まあ、この辺りも神の国ならではだ。さておいて。
「何やら少し危機感がそがれますが、冷静に考えれば街ひとつをこうも変えてしまう、ということ。放置はできません。早く聖遺物を見つけ出しましょう」
「これだけ広いと手分けをしないと無理だっただろうな。なに、人数は少ないが私たちなら問題はない。前は任せてくれ、傷一つつけさせないよ」
 『猛る麗風』ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)もそう言いながら周囲を見回す。
「しかしこうも街を作り変えるとはとんでもないな……わざわざ遊園地にした理由もよくわからんが聖遺物とやらを探さねばならんのならやるだけだ」
「確かに作り込みが凄いですね。神の国でなければちゃんと客を集められる場所だったのかもしれませんが……」
 正純とブレンダが探す場所は、住宅群とレストランだ。
 住宅群はこの遊園地の雰囲気を壊さないように作られているのが良く分かるが、神の国だのどうのをさておいても作り込みが凄い。
「というわけで風船探しなのだが……ここまで作り込む必要はあったのか? わざわざ廃れた遊園地をここまで作り込む理由なんぞてんで見当がつかん。まるでホラー映画の舞台だな」
「そうでなくても比較的人が多い、つまるところ潜在的に邪魔が多く入りそうな場所……何かが非常にありやすいとは言えますね」
 正純がそういえば、ブレンダはふふっと笑う。
「そうなると女二人でのこのこ歩いている私たちは恰好の的というやつか? ふふ、生憎とそういうモノを怖がる性質じゃないんでな。こちらから探す手間が省けていいからどんどん来てくれ」
 なんとも頼りになるブレンダの言葉に微笑み返しながらも、正純は広域俯瞰と闇の帳を活用して可能な限り慎重に風船らしきものを探す。敵を見つけてもむやみに交戦はせず、可能な限りやり過ごすのも戦術の1つ。幸いにも影の天使たちは此方を攻撃しては来ないようだ。
「風船欲しいかい? どうぞ持っていって!」
「あ、いえ。他の色があれば……」
「うーん。青と黄色は嫌いかい?」
 赤の風船だけは無い。それを確認しながら正純とブレンダは歩く。
 そして……それは緑の風船がたくさん飾ってあるレストランでも同じようだった。
「何があってこうなったのかは分かりませんが、今を生きる人たちの生活を蔑ろにさせる訳には行きません」
 そう、結局は正純の言う通りで。観覧車に乗ってきた『黒靴のバレリーヌ』ヴィリス(p3p009671)たちも、それをしっかりと胸に刻んでいた。
「へぇ、遊園地って初めて来たのだけれどこんな風なのね。初めての遊園地が廃遊園地って珍しいんじゃない? あ、風であって廃遊園地ではないんだっけ?」
「廃遊園地、写真で見る分にはノスタルジックで嫌いじゃないんだけど。でもいざ目の前にあると、背筋が凍るわねぇ……いえ、怖くなんてないですし? ぜんぜん?」
「アーリア? 動きづらいんだけれど? んもう仕方ないわね」
「腕ががっちりホールドされてるであります」
 腕を掴んでクル『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)にヴィリスと『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)がそう言えば、アーリアは顔だけはキリッと反論する。
「これは2人がはぐれないように私が! 2人を! 掴んであげてるだけよ!」
 強がりである。あるが……なんかこう、プライド的なものは捨てられない。
 だからこそアーリアはヴィリスの腕にしがみつきエッダを前にぐいぐいと押していく。
「私ホラーって今まで触れてこなかったせいであんまり怖くないのよねぇ……リアルの人間の方が怖いわ」
 ヴィリスはそんなことを言うが、それでアーリアの恐怖が減るわけでもない。
「あ、エッダがいないわ!? 何処行ったの!」
「ペラいコップに入ったビール発見。ほら、これならどう見ても敵対行動には見えないでありますイェー」
「ちょっとズルいわ!」
「あ、排水溝にピエロであります」
「まさかそんな排水溝にピエロなんていな――ヒィ! あっ私達は怪しいものじゃなくて遊園地に遊びに来ただけよ!! 敵じゃないです女子三人きゃぴるん遊園地です!」
「なになに!? 排水溝にピエロ!? そこにいても出てこれなくないかしら!?」
「うおっ、ニヤッてしたでありますよ!?」
「ぎゃー!」
 まあ、排水溝に居るピエロな影の天使はいるだけなのだが、それでもかなり怖い。
「で、何でありましたっけ風船? とりま園内の赤い風船の分布調べるであります。片っ端から割りたいとこでありますけど、それやると住民怒りだすか。住民の監視の目にもムラがあるでありましょう、目の届かないところから順に可能性を潰して行くであります」
 エッダの見たところ、園内に赤い風船はないように見える。
 青に緑、黄色に紫……赤は無い。
「風船はいっぱい、だけど赤い風船はひとつ。とかなら探すの簡単なんでありますがね。なんかそんな感じがしてきたであります」
「あ、ジェットコースターよ。行ったことないから見てみたかったのよー! 動いてるみたいだし乗ってみましょ!!! それに観覧車に乗ればこの遊園地の全貌もなんとなくわかるはず。上から風船を探すわよ」
「これが正しい世界だと言うなら、壊れてしまう乗り物なんて正しくないからどの乗り物だって乗れるはずよね」
 言いながらヴィリスとアーリアはジェットコースターへ進み、念のためエッダが下に残ってビールをゴクリと飲む。
「はー……それにしても凄いわねぇこんなに高い所生まれて初めてよ。ジェットコースターも楽しみだわ! 座席に座って身体を固定して……あ、なーんだ結構ゆっくりうごくの――きゃあああ!!! なにこれすごくすごいわ!身体がぐわんぐわんして新感覚!」
「アーッ!」
 回転やら反転やらを繰り返す思ったより本格的なジェットコースターが終わればヴィリスはイキイキと、アーリアはガクガクしながら降りてくる。
「もう、あちこち見る余裕なんてなかったけど!」
「時間が許せばもっと乗りたいのだけれど……ちゃあんとお仕事はしないとダメよね。また今度にしましょ。今は風船探しの時間よ」
「めっちゃウケたであります」
「指差して笑ってたの見たわよ!」
 ともかく、風船は俯瞰の視点で見つかる場所には無さそうだ。ならばどこにあるのか……?
「そうねぇ、他と離れているようなもの、あるいは屋根のある場所……あっ」
 振り返ったアーリアの視線の先。ジェットコースターの機械制御室。その窓の奥に、風船の紐が見える。
 丁度ジェットコースターから降りて色んな注意が散漫になる場所にある其処こそが、とアーリアは看破する。
 そしてアシカールパンツァーが響くと同時に、虚空からチェーンソーを構えた青年ピエロ……『致命者』イートが現れる。
「やれやれ。大人しく帰ってくださればよいものを。まあ、こうなれば仕方がありませんね」
 稼働するチェーンソーにアーリアたちは戦闘態勢に移って。やがて全員が集まった後、見事聖遺物は破壊される。
 即座に神の国から脱出すると、一嘉はふうと息を吐く。
「それにしても、廃遊園地で、ピエロがチェーンソーで襲って来るとか、まるで、B級ホラーのミックスカクテルだな」
「そう……なんだね……」
 レインも頷くと、ブレンダもそれに同意する。
「確かに遊園地にピエロなんて本当にB級ホラーのようだったな。生憎と私たちはホラー展開にはならなかったが。……今更この程度で驚けんのだよ。次はきちんと動いている遊園地に行きたい所だ」
 なんだかエッダとヴィリスがアーリアをチラリと見ている気がしたが、ブレンダにはその理由は不明だ。まさかビビっていたとは知るまい。
「まあ、廃遊園地で踊るなんてそうそうない経験もしたし。これでお仕事は終わりね!」
「はー終わった終わった。アーリア、仕事終わりの一杯奢りの約束忘れてないでありますよね?」
「はーあ、ジェットコースターで叫んで喉がカラカラ! エッダちゃんには奢る約束もしたし、冷えたエールでも飲みに行きましょ!」
 そう、神の国「遊戯都市」はこれで終わりだが、守り切った日常は終わらない。つまりは……そういう、ことなのだ。

成否

成功

MVP

サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り

状態異常

なし

あとがき

排水溝ピエロさんのアレって、お台場にVRアトラクションあるんですよ。
天野はビビリ将軍なので行ったことは無いですが。

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