PandoraPartyProject

シナリオ詳細

Bug Hazard。或いは、Crash、Crash、Crash…。

完了

参加者 : 7 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●Bug
Error――
――――Error
Error――――――――Error――――――――――――Error

Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error、Error――――――――――――深刻なError

――Bug QUEST:Bug Hazard、発生――

「またカ」
 縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧 (p3x001107)は呟いた。
 3度目ともなれば、すっかり慣れたものである。目の前に広がるノイズ混じりの暗闇に、ぽうと小さな明かりが灯った。明かりの方へ進んで行くと、そこには水晶玉を覗き込むH・P・トロイとB・B・ウィルスの姿があった。
「さて、今回は ドンナ趣向 なんだイ?」
 顔を覆う白布を捲り、縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧はトロイとウィルスへ目を向けた。これまでの例にならうのなら、トロイとウィルスはここでQUESTの説明を開始するのだが、この日はどうにも少し様子が異なっていた。
 ウィルスは十二単の袖で口元を覆い、水晶玉と縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧の顔を交互に見やるばかり。トロイはというと、兎の耳をだらんと下げたまま、気まずそうに視線を明後日の方向へと向けていた。
「ウン? なにか問題デも?」
「……ごめんなさい、お父さん。少し、手違いが起きたって言うか、何て言うか……」
「良くないデータが混じっていたみたいだ。ちょっと……まずいことになっちまったかもしれねぇ」
 そう言って2人は頭を下げた。
 だが、一体2人が何をしでかしてしまったのかが、縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧には分からない。首を傾げる縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧の前で、ウィルスとトロイは口を開いて……。
「繧ィ繝阪Α繝シ縺ィ繝励Ξ繧、繝、繝シ縺後℃繧?¥縺ォ縺ェ縺」縺。繧?▲縺」
 けれど、2人の発する言葉が聞き取れない。
 かと思えば、突如として2人の姿はノイズと化して消え失せた。

●兎に追われて
 気が付けば、縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧は暗い部屋に立っていた。
 研究施設だろうか。ずらりと並ぶディスプレイと、プランター植えられた瑞々しい“きうり”、人の体ぐらい余裕で入りそうな培養ポッドがある。ポッドの前の操作盤には、プレイヤー名とIDを打ち込む欄があった。おそらく、ここに名前とIDを入力することで、他のプレイヤーをQUESTへ招待できるのだろう。
 となれば、培養ポットの数は7。そのうち1つには既に縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧の名前があった。
 きっと、QUEST中に死亡するとこの培養ポッド内からリスタートとなるのであろう。
「さて……ゲームの内容が 不明 だネ」
 と、そう呟いて縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧は足元の床へ目を落とした。
 床には膨大な量の血の痕が残っている。だが、遺体は1つも見当たらない。
「……フム」
 血の痕は部屋の外へと続いていた。
 だが、血の量から考えると、とてもじゃないが生きていると思えない。否、動くことさえ出来ないほどの出血量だ。となれば、遺体は死後勝手に歩き去って行ったのだろう。
 縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧が顎に手を触れ首を傾げる。
 と、その時だ。
『警告! 侵入者有リ! 警告! 侵入者有リ!』
 壁に取り付けられていた赤いランプが点滅し警報が鳴った。
 次いで、暗転していたモニターの幾つかに光が灯る。
「ンン? トロイ と ウィルス?」
 モニターに映し出されていたのは、拳銃を手に持つトロイとウィルスの姿であった。

 モニターの中で、トロイとウィルスが言葉を交わす。
「ここが落雲シティ……どこもかしこも、怪物だらけだな」
「縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧が得体の知れない儀式の果てに住人全員を生贄に捧げて呼び出した……って、話だよ。気を付けていこう」
 荒廃した街を抜け、トロイとウィルスは森の洋館を目指しているようだ。
 と、そんな2人の目の前に腐敗した体を持つ猫と、錆び付いた鎧、血塗れのクラゲ、女性の上半身を持つ蛇のような怪物が現れた。
 虚ろな目をした怪物たちだ。
 トロイとウィルスは一切の動揺も躊躇も見せず、手にした銃で怪物たちを次々と撃ち倒す。
「こんなのがまだ何体もいるのかよ。弾丸が何発あっても足りねぇぞ」
「でも、洋館に行かなきゃ助けも呼べないよ。それに、縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧を倒さなきゃ……世界が滅茶苦茶になっちゃうしね」
 2人は顔を見合わせて、暗い夜道を洋館の方へと進んで行く。

「……アァ、なるホド」
 手違いとはこういうことか、と合点がいった。
 つまり、今現在、トロイとウィルスが担っているダンジョン攻略者の役割は、本来であれば縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧たちに任せられるはずだった。
 だが、何らかの手違いにより、配役が逆になったのだ。
 つまり、トロイとウィルスが攻略者役を。
 縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧が、討ち倒されるべき敵役を。
「まァ、そういう役割も 嫌いじゃない」
 くっくと肩を揺らした縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧は、培養ポッドへ目を向けた。
 討ち倒されるべきエネミーが、縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧1人では面白くない。となれば、ボスキャラクターが必要だ。
 誰を呼ぼうか。
 そんな思いを胸に抱いて、縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧はキーボードへと手を伸ばす。

GMコメント

●ミッション
“侵入者”H・P・トロイとB・B・ウィルスを討伐する。

●ターゲット
・H・P・トロイ
https://rev1.reversion.jp/scenario/ssdetail/4412
黒い髪した兎の獣種(に見えるが、正体不明)。
視界に移ったターゲットの情報を盗み見る“ピーピング”という能力と、自分の複製体を作る“コピー”という能力を持つ。

・B・B・ウィルス
https://rev1.reversion.jp/scenario/ssdetail/4411
短気にして強欲な、十二単を纏った兎の獣種(に見えるが、正体不明)。
後方からの援護や、ターゲットに【退化】【石化】【封印】を付与する攻撃を得意とする。

※2人の共通装備として、ハンドガン、マシンガン、ショットガン、ロケットランチャーといった銃火器を装備している。射程や効果は様々であるが、どうやら2人は街や洋館から上記武装を回収しているようである。

●アイテム
・1UPきうり
食べるとHPが回復するきうり。洋館内の各所に自生しており、トロイとウィルスはこれを食べて回復する。瑞々しい。

●フィールド
夜の開けない荒廃した洋館。
洋館内部のステージは以下。
参加者はいずれかのステージでトロイとウィルスを迎え討つことが可能。
各ステージにおいて、誰か1人を“ボス”として設定できる。
“ボス”は通常時より強化されるが、ボスが【死亡】すると、トロイとウィルスは強制的に次のステージへと移動する。
研究所が破壊されると、QUESTは失敗となる。

・中庭
洋館の中庭。障害物が少なく、広いことが特徴。
存分に暴れたいのならここ!

・中庭地下
中庭から続く地下空間。
洞窟のようになっており、足元には水が溜まっている。
歩きにくい。

・研究所
中庭地下から続く隠し通路を抜けた先にある最終ステージ。
縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧が最初に出た場所で、リスタート地点である培養ポッドもここにある。
障害物は多く、空間に余裕は無い。
トロイとウィルスは研究所および洋館内への移動しかできなくなる。
確実に仕留めるならここ!

●情報精度
このシナリオの情報精度はCです。
情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

※重要な備考
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

  • Bug Hazard。或いは、Crash、Crash、Crash…。完了
  • GM名病み月
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2023年04月06日 22時05分
  • 参加人数7/7人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 7 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(7人)

ヴァリフィルド(p3x000072)
悪食竜
シャドウウォーカー(p3x000366)
不可視の狩人
縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧(p3x001107)
不明なエラーを検出しました
※参加確定済み※
夢見・ヴァレ家(p3x001837)
航空海賊忍者
九重ツルギ(p3x007105)
殉教者
きうりん(p3x008356)
雑草魂
エイラ(p3x008595)
水底に揺蕩う月の花

リプレイ

●STAGE:?
 モニターの明かりだけがやけに眩しい。
 壁一面にずらりと並ぶモニターには、中庭、中庭地下の空洞、屋敷内の廊下など、幾つものステージが映っていた。
「あぁ……これワタシ達が敵役なんだ、こっちからすれば防衛戦なワケね。たまにはこっち側っていうのも悪くはないかもね」
 研究所内の書類や本へ手を伸ばしつつ、『不可視の狩人』シャドウウォーカー(p3x000366)はそう呟いた。書類は本に書かれた文字は、どれも文字化けしているせいで読むことが出来ない。
 ともすると、元々、人が読むような前提として用意されていないのかもしれない。
(さて……今まではあの2人の"アトラクション"だったが、今回は事情が違うようだ)
 『不明なエラーを検出しました』縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧(p3x001107)が、長い指でコントロールパネルを叩いた。
 カメラが動いて、モニターの中央にアップで映し出されたのは銃火器を手にしたトロイとウィルスの2人の姿だ。正確に言うと、トロイは自身の能力により現在4人に増えている。
 廃墟のような街を抜けて洋館へ。
 リビングの端に設置されているきうりを見て、何かを思案しているらしい。
 ここまでの道中で、回復アイテム1UPきうりには偽物が……『わるいこ』きうりん(p3x008356)が紛れ込んでいることを、2人は知っているのだろう。
 きうりを回収するかどうか、悩んでいるようだった。
 要するに、罠である。
 さらに縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧はモニターの映像を切り替える。中庭地下の空間に『水底に揺蕩う月の花』エイラ(p3x008595)の配置も完了している。
 トロイとウィルスを迎え討つ準備は万端だ。
「遊んでくれるの 嬉しいが 安全確保は 大事」
 壁際の通信装置を手に取って、縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧はくっくと笑う。
 中庭に配置された仲間たちへ、トロイとウィルスの襲来を報告するためだ。

 錆びた鎧が、竜の前脚で踏みつぶされた。
 『悪食竜』ヴァリフィルド(p3x000072)は、猫のゾンビを爪で摘むと口の中へと放り込む。それから、視線を中庭の入り口へと向けた。
「そろそろ来るそうだ。準備があるなら手早くな。喰らえるものは適当に何でも喰らっておくのもいいだろう」
「……しろねこイズルさんは食べないでくださいよ?」
 ヴァリフィルドから庇うように、『殉教者』九重ツルギ(p3x007105)はしろねこイズルさんを胸に抱く。しろくてふわふわのイズルさんは、怯えた様子で震えていた。
 あぁ、可哀そうに。
「とはいえ……嗚呼どうしましょう、ボスキャラなんて私に務まるでしょうか。想像するだけでゾクゾクしてしまいますねぇ」
 にぃ、と笑うツルギの顔には、嗜虐的な感情が滲んでいるようだ。まさに悪役の風格……ともすると、ゲームに巻き込まれたことで、メンタル面に若干の影響を受けているのかもしれない。
「悪役というのは、何だか新鮮ですね」
 屋敷の中で銃声が聞こえた。
 トロイとウィルスが中庭に出て来るまで、そう長い時間はかかるまい。『航空海賊忍者』夢見・ヴァレ家(p3x001837)は武器の調子を確かめながら、中庭の隅の植え込みへと向かう。
「普段はちょっと色々な人から物を分けてもらう程度の悪行しか働いたことのない善良な拙者ですが、こうなってしまっては仕方がありません」
 植え込みの陰に身を潜め、ヴァレ家は笑った。
「航空海賊忍者の恐ろしさ、目に焼き付けて帰ってもらうことにしましょう!」
 ヴァリフィルドとツルギは中庭の奥へ。
 ヴァレ家は中庭入り口付近の植え込みの陰へ、それぞれ配置は完了している。

●STAGE:1~2
 突然だが、きうりんは何度でも蘇る。
「おいしかった? ねぇねぇおいしかった?」
 中庭へ向かう扉の前に、きうりんが居る。これで3度目だ。街で1体。屋敷で1体。既に2体のきうりんを、トロイとウィルスは排除していた。
「美味しかった? もしかして“1UPきうり”のことを言っているのかな?」
「ちっ……こいつ“1UPきうり”に擬態しているのか?」
 きうりんから距離を取ったまま、トロイとウィルスはハンドガンを構える。銃弾の予備も多いし、使い勝手も良いためすっかりメインウェポンとなっている。
「よかった。じゃあお代ちょうだい。命でいいよ」
 きうりんから脅威は感じない。
 動きはあまり速くないし、見た目の通り力も華奢だ。
 けれど、2人は知っている。
「がおー」
 きうりんが迫る。
 2人は同時にハンドガンの引き金を引いた。
 銃声が鳴り響き、辺りに硝煙の臭いが漂う。都合7発の銃弾が、きうりんの体を撃ち抜いた。どさり、と仰向けに倒れたきうりんだが、すぐに何でもないように上体を起こす。
「きうりんが立ち上がり、仲間になりたそうにこちらを見ている。どうする?」
 銃痕はすでに消えている。
 まただ。また、きうりんは起き上がった。ここまでの2回もそうだった。きうりんの脅威は、その果てしないほどの生命力に他ならない。
 仲間にする
▷丹念にすり潰す
「今度こそトドメを刺してやるよ!」
 きうりんの眉間に、ウィルスがショットガンの銃口を押し付ける。
「あやめてやめて痛い痛いたたききうりになっちゃう!」
 銃声。
 ばら撒かれる鉛弾。
「すりおろしきうりなんてなんに使うんだよソースかよ」
 きうりの冒険はここで終わった。
 頭部が爆ぜて、きうりんは【死亡】したのであった。

「始まった みたい」
 モニターを見つめ、縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧は言った。隣に座ったシャドウヲォーカーも、無言で頷く。
 モニターに映っているのは、次々に武器を持ち替えながら中庭を駆けるトロイとウィルス。相対するのは、ツルギとヴァリフィルドだ。

 トロイがライフルを構える。
 銃口の先にいるのは銀髪の男……ツルギである。
「狙い撃つよ!」
 ウィルスがツルギの相手をしている間に、狙撃ポイントへ移動したのだ。だが、トロイがトリガーを引くより速く、空高くから青い竜が飛来した。
 咆哮がトロイを襲う。
 体勢を崩したトロイが地面を転がった。青い竜……ヴァリフィルドが爪を振り下ろすのを、地面を転がるようにして回避。
 立ち上がるの同時に、ヴァリフィルドへと銃弾を撃ち込む。
 銃弾は確かにヴァリフィルドの喉を撃ち抜いた。苦悶の声をあげながら、ヴァリフィルドは空高くへ逃げる。ライフル弾の1発や2発で倒せるとは思っていないが、それにしたってやりづらい。
「くそっ……届かない」
 舌打ちを零して、トロイは武器をショットガンに持ち替えた。空高くにいるヴァリフィルドには注意しなければいけない。だが、攻撃の手を止めてしまえば、いつまで経ってもツルギを倒すことは出来ない。
 
 逃げ惑うトロイの様子を、空高くから見下ろしながらヴァリフィルドは呵々と笑った。
「折角の機会であるからな、早々に次のステージに進まれては面白くなかろうて」
 翼を広げて急降下。
 トロイがショットガンの引き金を引くのと同時に、ヴァリフィルドは再び地上へ降りていく。

 戦闘が始まってから、暫くが経った。
 こそこそと地面を這い廻りながら、ヴァレ家はアイテムの類を拾い集めている。その姿は、トロイに似ている。変装しているのだ。
「ふう、満足しました」
 背中に背負った荷物袋には、1UPきうりや銃弾、ダイナマイトなど、中庭に落ちていたアイテム類が詰め込まれている。
「拙者の荷物袋もいっぱいになったことですし、そろそろ裏切る頃合いでしょう」
 額の汗を手の甲で拭い、ヴァレ家は戦場へと紛れ込む。
 その様子を、トロイのコピーはただ黙って見つめていた。

 機械の翼を振動させて、銀の髪をした剣士が中庭を疾駆する。
 赤と黒の不気味なオーラを身に纏い、右手に盾を、左手に細い剣を構えてツルギはウィルスとの距離を詰めた。
「これが私の反転した姿……沸き立つ孤独の感情さえ愛おしい!」
「っ……こっちに来るんじゃねぇ!」
 十二単を翻し、ウィルスは後方へと跳んだ。ウィルスの手から撃ち出された魔弾は、ツルギの盾に弾かれる。
 一閃。
 ツルギの剣が、ウィルスを斬った。
「ウィルス! 下がって!」
 トロイが叫ぶ。
 そうしながら、マシンガンの掃射を開始。ツルギを牽制しながらも、生み出した自身のコピーを走らせた。
 コピーの数は全部で5体。
 そのうち1体は、ヴァリフィルドの爪で引き裂かれた。
「コピーが時間を稼いでいるうちに回復を! 残りは4体だけど、少しは時間が……え、4?」
 トロイがコピーを凝視する。
「きうりを探されては困りますからね! コピーを増やしても無駄です!」
 1体、2体……立て続けに2体のコピーがツルギに斬られて消滅した。
 残るは2体。
 そのうち1体は、トロイの命令を無視してウィルスの方へと向かっている。
「そいつは偽物だよ!」
「っ……てめぇ、トロイに化けるとはいい度胸をしてやがる!」
 ハンドガンの銃口を、トロイの眉間に差し向けた。
 足を止めたトロイのコピー……もとり、ヴァレ家は頬に汗を伝わせながら、ゆっくりと両手を頭上へ上げた。
「せ、拙者は本物です、曲者ではありませんピョン? これからボス戦だと言うのに、味方を減らしてしまっても良いのですかピョン?」
「信じられねぇ。なんて適当な変装だ」
 見た目だけならトロイのようだ。少し背が高いのと、よく見れば髪の色が赤いが、なかなかよく化けている。
 だが、口調があまりにも適当過ぎた。
 銃声。
 弾丸が、ヴァレ家の眉間を撃ち抜いた。
「ぐわーーー、どうしてバレたのですか!? さては超能力ですね、卑怯ですよ!」
 断末魔の叫びを残し、ヴァレ家は【死亡】した。
 ついでに周囲に、ヴァレ家が回収していたアイテム類がドロップした。

 ウィルスの魔弾と、トロイの銃弾を受けながらヴァリフィルドが地面をかけた。
 地響き、土砂が飛び散って、咆哮が2人を威圧する。
「その体の奥深くに歯牙を喰い込ませ、なんちゃらウィルスでも注入してやるとしようぞ」
 地面を抉りながら、ヴァリフィルドの爪が振るわれた。
 だが、トロイの分身3体がウィルスの盾となりダメージを軽減。3体のトロイが消えた後には、ウィルスの支援を受けたトロイ(本物)だけが残った。
 トロイは肩にロケットランチャーを担いでいる。
 その狙いは、ヴァリフィルドだ。
「噛み砕いてやるぞ!」
「その顎、吹っ飛ばしてやる!」

 ヴァリフィルドの口腔内でロケットランチャーの弾が炸裂。頭部を失い、ヴァリフィルドは【死亡】した。
 ヴァリフィルドに噛まれ、トロイもダメージを受けている。
 ドロップしていた“1UPきうり”で回復を図るトロイの前へ、滑るようにしてツルギが迫った。ツルギの後方には、しろねこイズルさんの姿。腕を振り回しながら、ツルギを応援しているらしい。
「きうりなんざ食べてるんじゃねぇぇ!」
「っ!? 視えた! ウィルス! 後ろのしろねこを狙って!」
 斬撃がトロイの肩を斬り裂いた。
 トロイの指示に従って、ウィルスはライフルの狙いをしろねこイズルさんへと向ける。
「あ、待って! ダメ! ダメですよ、しろねこイズルさんは狙わないでください。つい庇ってしまうので! でも置いていけなかったんです。だって文句なしに可愛いじゃないですか! 独りでお家にお留守番なんて酷な事、私にできる筈が……あっ!?」
 ツルギは攻撃の手を止めて、しろねこイズルさんを庇うべく後ろへ下がった。
 ちょうど、ウィルスがライフルで狙っている位置だ。
「悪ぃな」
 銃声。
 眉間をライフル弾で射貫かれ、ツルギはとうとう【死亡】した。
「~~~っ! ジ・エンドぉぉおお!」
 断末魔の叫びを残し、ツルギの体が爆散する。
 大爆発の衝撃で、中庭の地面に穴が開く。かくしてトロイとウィルスは、中庭地下へと落ちて行った。

 地下空間のボス……青い肌のクラゲの怪物、エイラを撃破した2人は、やっとのことで洋館へと帰還していた。
 体力は相応に減っている。
 そんな2人の前にはすっかり見慣れた“1UPきうり”。ボス戦後に回復アイテムを用意しておいてくれる親切設計に涙が出そうだ。
 だが、2人はなかなか“1UPきうり”に手を伸ばせないでいた。
「また、あいつが出て来るんじゃねぇの?」
「でも、回復しなきゃ。地下では出なかったし」
 もたもたしている余裕はない。
 廊下の奥の暗がりからは、何かの足音がしているからだ。
「どこですかー? お仕置きの時間ですよー!」
 ヴァレ家である。
 たしかに先ほど倒したはずだが、どうやら復活したらしい。今は“徘徊者”として、屋敷内部を彷徨い歩いているようだ。
「う……マジか」
「やるしかないよ」
 しばしの逡巡。
 2人は“1UPきうり”に手を伸ばし……。
「あ、さっきぶりです。きうりんです」
 きうりんがあらわれた!
本日何度目かのエンカウント。
「さっきの命はきうりんの奢りでいいよ」
 2人の冒険は、まだまだ続く。

●STAGE:FINAL!
 ずらりと並んだモニターを背に。
 研究室の真ん中に、白い布を頭から被った巨大な異形が佇んでいる。
「お前が縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧だな……儀式の果てに自身も異形と成り果てたか!」
 マシンガンを脇に構えて、ウィルスは言った。
 そういう“設定”になっているらしい。
 ウィルスを庇うように、トロイが4人、前に出る。低い唸り声を零して、縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧は2人へ向き直った。
『おおい クエスト作った キミたちが 正気に戻って 何とかしてくれるのが 早いのだけど』
 トロイとウィルスの脳裏に、男性とも女性とも区別のつかぬ声が聞こえた。
「可哀そうに。正気を失ってしまったんだね」
「あぁ、見てられねぇな」
 生憎と、2人には狂人の戯言としか認識されていないようだ。なお、正気を失しているのはどちらかと言えば、トロイとウィルスの方である。
 対話は終わり。
 かくして、決戦の火蓋は切って落とされたのだった。

 マシンガンの掃射を受けて、機械の類が火花を散らす。
 降りかかる火花を手で払いながら、シャドウウォーカーは声を潜めて悲鳴をあげた。
「うわっ……と。危ないなぁ」
 デスクの陰から顔を覗かせ、シャドウウォーカーは戦場を見た。長く黒い腕を振り回す縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧と、回避を主体に立ちまわるトロイとウィルスの攻防は、まさに一進一退といった感じだろうか。
「どうしましょう? 引き付けましょうか?」
 培養ポッドの中から声。
 ヴァレ家だ。どうやら、リスポーンしたらしい。
「いや。幸い、文字化けに注目が集まってる。もう少ししたらワタシが行くよ」
 ヴァレ家を制止し、シャドウウォーカーはダガーを構えた。バチ、と空気の爆ぜる音がして、逆手に握ったダガーの刃に紫電が走る。

 幼子の笑う声が聞こえた。
 1つや2つではない。何人、何十人もの幼子が一斉に笑うかのような、いかにも不気味で深いな哄笑。あまりにも醜悪で悍ましい。耳を塞ぎたくなるのを堪え、ウィルスは肩にロケットランチャーを構える。
 狙うは縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧の口腔だ。
 ウィルスの支援を受けたトロイたちが、前線で注意を引いている。縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧の爪に嬲られ、トロイの1体が消滅した。
 チャンスは1回。
 外すことは許されない。
 深く息を吸い込んで、ウィルスはロケットランチャーの発射スイッチをオンにした。
 と、その時だ。
「あぁ? っ……!?」
 空気の爆ぜる音がした。
 ウィルスの喉を、紫電を纏った銀の刃が斬り裂いた。

 発射されたロケットが、縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧の頭部を爆散させた。
 黒い巨体がゆっくりと倒れる。
 だが、勝利の喜びに浸る暇を与えられることは無かった。
「ウィルス!? そんな……くっ!」
 伏兵がいたのだ。
 デスクの間を縫うようにして、床を低く這うようにして、それは一瞬でトロイの眼前へと迫る。両手の刃が、2体のトロイを斬り裂いた。
 鋭い蹴りが、トロイの胸部を蹴り抜いた。
 呼吸が止まる。
 口内に血の味が広がる。
 影から影へと移動するシャドウウォーカーを、トロイの目はとらえきれない。接近戦に持ち込まれては、銃火器の利点……射程の長さを活かしきれない。
 弾丸を使い切ったマシンガンを投げ捨てて、武器をハンドガンへと変える。
 まっすぐに疾走して来るシャドウウォーカーの眉間へと、トロイは銃口を向けた。
 と、その時だ。
「ラスボスが 何回か変身するのは 基本 だよね」
 指の骨が砕ける音。
 そして、激痛。
「ひっ……ぎぃいい!?」
 背後から伸ばされた黒い手が、トロイの手を掴んでいるのだ。万力のような力で締め上げられた細い指が砕け、血に濡れたハンドガンが床に落ちる。
「話して もらうよ なぜ我(アタシ)を お父さんと呼ぶのか」
 耳元で、縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧の囁く声が聞こえた。
 赤子の笑う声が聞こえた。
 1本、2本と、無数の手がトロイを掴む。
 
 ゴギャ

「さて どうした ものか」
 いつの間にか、廃墟の前に立っていた。
 縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧の足元には、気を失ったトロイとウィルスが転がっている。

成否

成功

MVP

きうりん(p3x008356)
雑草魂

状態異常

ヴァリフィルド(p3x000072)[死亡]
悪食竜
縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧(p3x001107)[死亡]
不明なエラーを検出しました
夢見・ヴァレ家(p3x001837)[死亡×3]
航空海賊忍者
九重ツルギ(p3x007105)[死亡]
殉教者
きうりん(p3x008356)[死亡×6]
雑草魂
エイラ(p3x008595)[死亡]
水底に揺蕩う月の花

あとがき

お疲れ様です。
トロイとウィルスを撃破し、エラー空間から帰還しました。
依頼は成功となります。
また、トロイとウィルスの身柄を確保しました。

この度は、シナリオリクエストおよびご参加、ありがとうございました。
縁があれば、また別の依頼でお会いしましょう。

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