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シナリオ詳細

<獣のしるし>漆黒に刻む

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<獣のしるし>漆黒に刻む
 天義にもたらされた、『麗帝』ヴェルス・ヴェルク・ヴェンゲルズ敗北の報せ。
 仄かな前触れはあったものの、誰しもが予想しなかった事……そして、その後に就いたのは魔種。
 その報せを受けた幻想や天義の国に於いても、魔種が就いた事により、いつ自分の国が襲撃されるのか……という不安が過る。
 ……ただ、天義に於いても魔種が指導的立場についた事が有り、それは偶然ではないのかもしれない。
 そしてその不平不満は、魔種就任の報せと共に一気に燃え上がり、街中で憚ることもなく叛旗を翻す者も出始めていた。
 そんな国民の不満を抑えるが如く、天義上層部は鉄帝に向けての軍を用立て、鉄帝国の魔種の帝を倒す事で己が国の教義が正しい事を示そうとしていた。
 ……だが、軍に所属する者達も一枚岩ではなく。
『……全く。俺達を捨て駒にでも思ってるのかねぇ?』
 との言葉を、小さな言葉で吐き捨てる軍人すらいる。
 当然ながら士気はそこまで高く無く、彼等の戦意は高くはない。
 そんな彼等は、国境線である殉教者の森から海側に少し行った所にある、『ハープスベルク・ライン』に防衛網を築く。
 上からの勅命は、国境より来る者を全て打ち倒すこと。
 とは言え混乱している鉄帝国からの影はなく、数日が経過した、深夜の刻。
『……ふわぁぁ……あー、眠いなぁ……』
 大欠伸をしてうとうととしている彼等の元に……国境線の方から虚ろなる黒き人影達が現れる。
『……ん? 敵、敵襲!? 皆、敵襲!!』
 慌てて声を上げるが……その黒い影は瞬く間に距離を詰め、軍人共へと襲い掛かる。
 そして近くの街には……そんな軍人共の悲鳴がほんの僅か響き渡るのであった。


「あ、あの……すいません。その……ちょ、ちょっと……お話、聞いて貰えないでしょうか……?」
 夕暮れの人通りの多い、天義の街角。
 その人の流れに圧倒されつつも、どうにか声を掛けて気を引こうとしているのは……『深森の声』ルリア=ルミナス(p3n000174)。。
 そんな彼女に気づき、キミ達が声を掛けると、ルリアはありがとうございます、ありがとうございます……と何度も何度も頭を下げて。
「すいません……深緑には無い人だかりで……どう声を掛けて良いのかが、分からなくて……でも、声を掛けて下さって、ありがとうございます……」
 つい最近に天義を訪れた彼女に取って、この人だかりはまだまだ慣れていない。
 とは言え、そんな彼女の耳に入ってきたのは……鉄帝の報に加え、最近鉄帝国との国境において度々発生している殺戮事件の話。
「鉄帝国の混乱している状況からして、鉄帝国から何者かが攻めてきている……とは考えにくいと思います。そして、その報に共通するのは……漆黒の影を持った者達が蠢いている、という事です」
「この者達がどういう者なのか……全く分かっては居ません。ですが……このままでは、国境沿いの街や村が襲われるのも時間の問題です。どうにかして……この者達を倒してきては頂けないでしょうか……?」
 手を合わせ、願うルリア。
 彼女にとって、深緑のあの時の様に、無罪の人々が死ぬ事は……どうにかして避けたい事。
 そんなルリアの言葉に頷くと、彼女は。
「本当ですか? ありがとうございます……!」
 と、嬉しそうに微笑むのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 今回の事件は、天義の国と鉄帝の国境、『ハープスベルク・ライン』が舞台となり、
 この辺りに鉄帝国の国境側から姿を表す漆黒の者達を倒す事になります。。

 ●成功条件
   暗闇に紛れて現れる敵軍を全て討伐する事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   今回の舞台は『ハープスベルク・ライン』です。
   海側に繋がる道で、ある程度開けた環境となっています。
   平時においては鉄帝国との重要なルートの一つである為人通りは多いものの、最近の鉄帝国の状況からして往来する人は余り居ません。
   又、深夜ともなれば灯りもないので漆黒の闇に包まれています。
   ここに配置されていた軍人達は、既に殺されている状況で、そこに皆様が来るという状況になります。
   敵陣は暗闇に溶け込むような習性を持っており、灯りがあろうともその灯りをぼんやりと(霧の如く)掻き消す能力を持っています。

 ●討伐目標
 ・影に象られし兵士達
   人型及び、2m位の熊の姿をした者達です。
   その影の様な姿形には光を吸収する性質があります。
   なので灯りを灯しても、彼等がいる近くでは光はぼんやりと収束してしまい、余り視界を得られるような効果は発揮出来ません。
   数が多く、物量作戦で仕掛けてくる相手、となります。
 
 ・全てを喰らう『ワールドイーター』
   兵士達にいた熊の姿形と似ては居ますが、こいつは一回り大きな体躯をした敵となります。
   攻撃手段はその巨体から繰り出す爪・牙・体重を乗せての体当たり攻撃等です。
   攻撃を受けると、回避不可の暗闇のBSが付与されます。
   攻撃力と体力が高めですが、防御力はそこまで高く無く、『攻撃こそ最大の防御』的な行動を取ります。

 ・率導せし致命者
   ワールドイーター及び、影の兵士達に同行する正体不明な者達です。
   他のとちがい、こいつは明らかに人の姿を取ります。
   ただ、朧気な姿形であり、何だか『存在感が希薄』です。
   彼に注視していないと、突然不意打ちの一撃を受けたり……と、放置しておく分には厄介な相手だと思います。
   尚、その攻撃には猛毒が仕込まれています。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <獣のしるし>漆黒に刻む完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年11月29日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)
アネモネの花束
岩倉・鈴音(p3p006119)
バアルぺオルの魔人
レイン・レイン(p3p010586)
玉響
大和型戦艦 二番艦 武蔵(p3p010829)
マリオン・エイム(p3p010866)
晴夜の魔法(砲)戦士

リプレイ

●刻まれた声は
 鉄帝国皇帝敗北の報と共にもたらされた、鉄帝国新皇帝就任。
 その報告によれば、魔種たる者が帝に就いたと聞き及び……ここ、天義の国自体も、魔種が指導的立場に就いた経験がある訳で、他人事とは言えぬ状況。
 更にはその経緯もあってか、天義に棲まう人々は今こそ立ち上がる時である、と声高らかに狼煙を上げ始めており……その混乱は、天義の一部分から段々と拡大しつつある。
 しかし、そんな街の人々の不満を抑えるが為に、天義の国の上層部が考え出したのは、……隣国の魔種の帝を倒す事。
 それより、己が国の教義が正しい事である、と知らしめようとしている訳で。
「まぁ……こういう混乱が起きている状況だからな。どちらの国も、そのドサクサに紛れて悪さをする奴が出てくるのは想定内ってこった」
 と『『幻狼』灰色狼』ジェイク・夜乃(p3p001103)が肩を竦めると、それに『抗う者』サンディ・カルタ(p3p000438)も。
「ああ、そうだな。まぁ他国を襲おうだなんて……国という形は取りつつも、その本心はゴロツキ連中とあんまり変わってねえ」
 と、深い溜息を吐く。
 勿論国対国の戦いというのは、いつの世になっても避けられないのは理解している。
 でも、今回の依頼は、自国の混乱を納めるために、丁度今弱まっている他国を襲おうというものであり……言い方を変えれば弱い物虐めと同様。
 それだけならば呵責はなかっただろう……だが、そんな国威高揚に向けて投入された軍人達すらも、今回の戦いに対しては快く思って居ない所。
 そして送られた戦地において、影を映す者達やら、熊の如き巨大な獣が猛威を振るい、軍人達がその被害に逢うという事件が多発している。
 つまりは上層部からの命令により、否応なしに戦地へと送られる彼等は、一番の被害者な訳で。
「ああ。問題はそこじゃねえ。問題はかの連中が何者か、って事だろう?」
「うん……国境で……何か、あったみたい……どっちの国が、何を仕掛けたんだろう……それとも、二つの国を同士討ちさせる為の、別の何か……?」
 ジェイクの言葉に、ぼんやりと『玉響』レイン・レイン(p3p010586)が言葉を紡ぐと、それに『タコ助の母』岩倉・鈴音(p3p006119)が。
「んー……まぁ確かに得体の知れないもの、って言ってたよな。人型の影と、熊型の影、それに電脳世界に居た【世界を喰らう者】も居るらしい。なんとも薄気味悪い影の軍団だ。幽霊みたいだけど、でもきわめて邪悪な存在なんだろう!」
 声を荒げる彼女に対し、大和型戦艦 二番艦 武蔵(p3p010829)と『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)が。
「ふむ……武蔵が来る前の話なので、実際にそれらを見た事がある訳では無いのだが、それらの正体が何であれ、既にその行動が看過出来ぬものになっているのは事実。国境を護る勇敢な兵士達が果てるより前に辿り着きたいが……恐らく叶わぬだろう。彼等の無念を今、この場で晴らしてくれよう」
「ああ。冠位強欲の権能の再現……難しいことはよく分からんで済ませたい。だが月光人形が帰ってきたせいで、自身以外周りの人を全員亡くした孤児院の子を助けたり、戦場で暗黒の海を食い止めたり、力足りず最後に遺言を残した兵士を看取ったりした身としては言葉にし辛い感情があるんだよな。怒りよりどす黒いもんが。だからこそ今回は……敵討ちはしっかりとさせて貰うぞ!」
 並々ならぬ気合いを入れる二人に看過されるように『鳥籠の画家』ベルナルド=ヴァレンティーノ(p3p002941)も。
「ああ、俺も獄中で死を待つだけだった所を空中庭園に召んでくれて、特異運命座標になった。これを俺は希望の光だと思っている。どんなに闇の中に侵されようとも、絶やされたりはしないぜ!」
 特異運命座標になった事に対する強い想い。
 それに呼応するかの如く、『嵐を呼ぶ魔法(砲)戦士』マリオン・エイム(p3p010866)も。
「ええ。天義のやり口はともかく! 一般人に被害が及ぶのは青空の精霊種、マリオンさんが許しませんよ!! 今日は近接戦メインの男性モードで突撃ですよ!」
 と拳を振り上げると、それに。
「でも、闇に溶け込もうが、心眼で捉えて叩き潰すだけなんだ!」
 ぐぐっ、と拳を握りしめて突き上げる鈴音、そしてジェイクも。
「そうだな。先ずは連中をぶっ倒して、その正体を見極めれば良い。闇に紛れて動くのが得意だろうと、俺はこいつらのような奴を何度も倒して来た。今回も何時も通りで変わらないさ」
 と笑う。
 そんな二人の言葉を聞き流しながら、サンディは空を見上げて。
「……ま、俺に出来る事は無い……が、ま、手助けくらいは出来るだろう。という訳で……急ぐとするか、ハープスベルク・ラインにな」
 と仲間達を促し、鉄帝国と天義の海側に繋がる街道へと急ぐのであった。

●安らぎの前に
 そしてイレギュラー達は、鉄帝国に繋がる街道を急ぐ。
 時刻は夜半を過ぎ、当然のことながら国境に向けて歩く一般人の影はなく、ただただ静けさに包まれ、不気味な雰囲気。
 そんな雰囲気の中で鈴音が。
「さて、と。敵影は何処にあるのやら……と」
 軽く眼を閉じ、己へと吹く風の中に、敵意を持つ薫りがないかを確認……しようとした所に。
「ん、ちょっといいか?」
 それを止めるサンディ。
「む……どうしたんだ?」
「いや、やるなら一発で片を付けた方が良いと思ってな。ん……と、これで良し」
 ちょっと眼を閉じ、鈴音の敵察知能力を大幅に強化する。
 そして強化された能力で以て、周囲の気配を察知すれば……少し離れた方向から焦げ臭い臭いと、血の臭いが漂ってくる。
「……うん。あっちの方だ、間違い無い! それじゃ先陣の方は……ウェールに頼めるかな?」
「ああ、勿論だ」
 鈴音の言葉に頷いたウェールが、暗視の力で目を凝らしながらその方角へと急ぐ。
 更にそれを補助する為に、ジェイクがファミリアー三匹を空に飛ばし、空からの監視の目を追加。
 そう鈴音、ウェール、ジェイク三人の索敵行動によって、何処から敵が襲撃してきたとしても対処出来るように注意深く、進路を進める。
 ……そして、さらに街道を進んで行くと……一際強く臭う『血』の薫り。
 ふと灯りを灯すと……死した天義の軍人達の骸。
「っ……これは酷いな」
 顔をしかめながら、ベルナルドがその骸に手を触れようとした……その瞬間。
『……グルゥゥウ……』
 左舷方向から、響きわたる呻き声。
 その呻き声と共に、四方八方から次々と影の様なものの集団が姿を表し……密集し始める。
「早速現れたみたいだね! よーっし、みんな、直視しないように気をつけてねっ!」
 とマリオンが足下に、強力な光を放つ信号弾を撃ち放つ。
 眩い光が強く発光し、視界を光に包み込む……が、周囲から密集してくる影は、その光をまるでブラックホールの如く霧散させ、吸収してしまう。
「……これが……噂の影兵士……?」
「その様だな。だが、退く事は無い。総員、出現っ!!」
 武蔵が声高らかに宣言すると共に、3連装の砲撃を容赦無く叩きつける。
 ……その攻撃に幾つもの影が霧散するが、失われた影は次から次へと現れる。
「……簡単に倒せても……きりがないかも……なら……」
 敵の状況をレインが呟く都、それにベルナルドは。
「そうだな。だがワールドイーターが、まだ検討つかん……強い個体を探しだそう」
 と仲間達に呼びかけると共に、戦闘体勢。
 対する敵軍は、深夜の闇に紛れながら影の軍勢が前進。
 人型の者は剣や槍の様なものを手にして突き立てる攻撃……一方で熊の群れは2m近くの巨体を活かして、イレギュラーズ達の頭上から勢いに任せて爪を薙ぐ。
 それら敵の動きを、ウェールは先んじて飛行しており、上空から仲間達に。
「左に……15体、右から20体位か? 兎に角まだ数が多い。取り囲まれないように移動しながら戦うぞ!」
 と声を掛けつつ、仲間を巻き込まないよう砲撃位置を調整し、銀の矢弾を降り注がせる。
 攻撃を受けし影群……呻き声等を上げる事も無く、やはりその影姿が消失するのみ。
 消失したの地に、更なる敵の軍勢が姿を表すが……その位置は暗闇の中に在り、はっきりとは分からない。
「影の群れを作り出している元凶を探し出さない限り、いつまで経っても戦況は変わらず……って事ね! それにワールドイーターとかいうのは、何処に居るのかな!?」
「ああ……ワールドイーターは、熊の影をしているが、一回り大きいという話だ。影を討ち倒しつつ、怪しい影を探すしかないな」
「そっかー、了解っ!」
 ベルナルドの言葉に頷くマリオン。
 そして空からの掃射に続けてジェイクが中距離から視界範囲に収まる敵を纏めて鉛の演奏で貫き、加えて鈴音、ベルナルド、マリオンの前衛を張る三人も。
「取りあえず光を出して、灯りを消す能力をわかりやすくしよう。灯りを吸収しない奴がいれば、そいつがワールドイーターか致命者だろうしな」
「ん、そうだね。んじゃ光の方は宜しく頼むよ。という訳で影狩りの時だ。力とAPの限りを使って、一匹たりとも逃さないぞ!」
「そうそうっ。ここから先は通さないし通れないよ!」
 三者三様ではあるが、影兵達をここから先には決して通さないという意思は同じ。
 先手を取ってベルナルドは己に勝利の願いを掛けつつも終焉の紫の帳を叩き込むと、続く鈴音も。
「なんで熊が攻めてくるのかわかんないけど、月の光でオシオキよぉ~。狂い躍れ~」
 と、ちょっと緩めに笑いながらも、強烈な終焉の一閃を叩きつける。
 そして最期ばかりにマリオンは容赦することなく魔力を込めた攻撃を立て続けに叩き込んで行く。
 そんなイレギュラーズの最前線の猛攻撃に続き、更にレインは常に光を焚き付けて光の具合を観察しつつ連なる雷撃で射抜き、その傍らから武蔵が高火力の絨毯砲撃で立ち回る。
 そして仲間達の攻撃とは敢えてタイミングをズラし、仲間達から少し離れた所へと移動しながらサンディは。
「どいつが致命者でといつがワールドイーターか分からねーけど、影の奴等を纏めてぶっ倒していけばいいだろ」
 と一人ぼやきつつ、離れた所に不意に姿を表し、大きな声で。
「サンディ様は活きの良さなら自信はあるぜ!! 逆恨みってのも慣れっこだい!!」
 と言い放ち、敵のターゲットをこっちに引き付ける様に叫ぶ。
 ……目立つし、怒りを及ぼすその声に、俄然影の兵士達はターゲットを其方に向けて移動する。
 そして移動する中に、他とは違う動きをする者が居ないかを空と陸の両面から注視……すると。
「……ん? あいつ、動きが違う様だぞ?」
 武蔵が指さした先には、先ほど迄周りの朧な影がいたから気付かなかったが、明らかに他とは違う、はっきりとした影。
 その影に頷きながら、レインは。
「……うん。視界に捕らえた……逃がさない、よ」
 と、常にその動きを見逃さないようにする。
 そしてある程度の影がサンディの元へと向かった後に、かの実在する影に向けてターゲッティング。
「良し。あいつを集中攻撃だ!」
 と空からウェールが指示を与え、サンディを囮にする事で、他のイレギュラーズ達が実在する影に向けて一気に距離を詰めていく。
 対する実在者……致命者はそれを見越していたかの如く、数歩後ろに下がりつつ……手を掲げる。
 するとそれに応じるかの様に、朧気な影の中から、他の熊より一際大きな影が。
『グルゥゥウゥゥ……!』
 血走った目と、涎を垂らしながら踵を返してくる。
 そいつはレインの光を吸収もせずに、光へと照らされる。
「間違い無い。あいつがワールドイータだろう」
「うん、了解。それじゃそいつはマリオンさんに任せて!」
 ニッ、と笑みを浮かべると共にマリオンは更に別の方向へと移動し、ワールドイーターに剣と魔を重ね合わせた攻撃を叩きつける。
『グガァ!』
 ダメージを受けた彼はマリオンを追い立てるようにズシンズシンと地面を震わせて進む。
 ……ただその巨体故に、攻撃を躱す事に集中すれば、何とか対処する事は可能そうである。
 そしてサンディとマリオンがそれぞれの相手を惹きつけて居る間に、他のイレギュラーズ達が致命者に向けての集中攻撃を叩き込んで行く。
 とは言え致命者は単体でもかなりの強敵であり、イレギュラーズ6人の攻撃をひらりひらりと躱しながら、素早い動きでカウンターの一閃を叩き込んでくる。
 その一撃を食らうと、己が身のうちからドク、ドクと何かが脈打つような感触。
「っ……大丈夫か?」
 と、その攻撃を受けた者に、直ぐにベルナルドが癒しの言霊で回復。
「……攻撃を喰らうと、かなり強力な……効果……気をつけないと……」
「ああ、分かった。となれば遠距離から仕掛けられる者は、一気に仕掛けた方が良いだろう……行くぞ。榴弾装填、艦対地攻撃用意! 撃ち方、始め!!」
 強い口調で一斉砲撃指示を宣言し、ワールドイーターの飛び回る場所を絨毯爆撃。
 範囲に及ぶその攻撃は、流石に躱しきる事は出来ない。
 そして攻撃を喰らったところへ、更に前線のウェール、鈴音と中衛のジェイクがそれぞれ狙い済ました攻撃を叩き込んでいく。
 致命者と直接対峙し数刻……段々と疲弊し動きが鈍り始める。
「弱ってきた様だな。後一息だ!」
 仲間達を鼓舞すると共に、更なる集中砲火と単体攻撃を織り成していく。
 ……流石にその様な状況には、耐えきる事も出来ずに……致命者は崩れ、消失。
 すると……今迄対抗していた影の群れは、霧が晴れるが如く、次々と姿が喪していく。
 その後に残るは、ワールドイーター。
「ん、後はこれだけ? よーっし。此処は鈴音先生ッ! 御願いしますッ!」
「了解っ。なんで熊が攻めてくるのかわかんないけど、月の光でオシオキよぉ~。狂い躍れ~」
 マリオンの言葉に笑いながら、終焉の帳を降ろす鈴音。
 致命に至る傷は、かの世界を喰らう者を内から侵食……苦悶を上げる彼だが、手加減をする事は無く、その身も霧散するのであった。

●命の価値
 そして……致命者らが死した後。
「……ふぅ、取りあえずはこれで一段落……というう事かな?」
「ああ……そうだな。姿が消失した故に、本当に倒したのかは、少々疑問が残る所ではあるが」
「確かに……致命者の身包みを剥げば、何かが分かるかと思ったのだが……」
 武蔵の言葉に、ジェイクは致命者が倒れた所の地面を確認。
 ……だが、特に何かがあるという訳でもない。
「影兵士達と同様に、奴も虚ろな存在だった……という事なのかもしれないな」
「ああ……そうだな」
 ジェイクに頷くウェール。
 ……そして、そんな仲間達にベルナルドが。
「……そうだな。後は……この血の臭いの元を、弔うとしようか」
「弔う……? 此処の人……?」
「ああ……奴等も被害者だからな」
 レインの言葉に、瞑目するベルナルド。
 ……そして、死した骸を集めて弔いを捧げるベルナルド。
 彼等こそ、天義の指示により、本来では死するべきではない筈の者。
 そんな彼等の浮かばれぬ気持ちを受け止めながら……この天義と鉄帝を包みし不穏な影を晴らすべく、イレギュラーズ達はその場を後にするのであった。

成否

成功

MVP

大和型戦艦 二番艦 武蔵(p3p010829)

状態異常

なし

あとがき

参加頂き、ありがとうございました。
鉄帝の皇帝交代に端を発した様々な事件が起きていますが……皆様の力が無ければ一般人の被害者が増えるのみの状況です。
これからも、どうか皆様のお力を貸して頂ければ……と思います!

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