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シナリオ詳細

再現性東京202X:しにゃこがやらかした!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●再現性東京202X:しにゃこがやらかした!
 ――その日。しにゃこ(p3p008456)はリリファ・ローレンツ(p3n000042)と一緒に再現性東京にいた。それは偶然だったのだが、偶々美味しいと人気のクレープ屋さんで出逢って、一緒に食べて和気藹々。話も弾んで――
 そう。そこまでは順調だったんです。

「いやーリリファさんとはなんだか他人の気がしないんですよねー! なんだかしにゃとリリファさんって、こう、上手く言えないですけれど似てる気がしません?」
「ですよねー! 私もしにゃこさんとは他人の気がしてないですよー! 身長も似た感じですし、雰囲気もと言うか……いったいなんの偶然なんでしょうね! あはははは!」
「あはははは! あっ、でもしにゃとは『一部分』は全然違いますねー! これで見分けがつきそうです! 良かったですね、リリファさん! あはははは!!」
「あはははは――はっ?」

 ――それが全ての始まりだったんです。えぇ。とんでもない一日の。


『むきゃああああああああ――!!』
「イヤダー!! シニタクナーイ!! どうしてしにゃがウワアアアア――!!」
「わぁっ、なにあれ――おっきなリリファ先輩じゃん! あ、身長がね!!」
「その先にいるのは……しにゃこか」
 そして一体全体何があったのか再現性東京の公園に――ちょっと巨大なリリファが出現していたのをフラン・ヴィラネル(p3p006816)は目撃した。もう一回言っておくけど、身長の話だよ?
 その姿は漆黒の気迫に染まっており……いわゆる『リリファルゴン』と呼ばれる状態である。
 そしてそのリリファルゴンに『たすけてー!』と追われる形で逃げているのはしにゃこだ。まーた何かやらかしたのかと秋月 誠吾(p3p007127)が思っていれ、ば。
「あ、皆さん!
 可愛いしにゃが理不尽な暴力に追われてるんですよ! さぁたすけてください!」
「その前に聞いておくか――何した?」
「えぇ? いやいや何もしてないですよ。ただしにゃは事実をありのままに……」
「あー成程ねなるなる。なんか大体理解したわ!」
 吐息零すルカ・ガンビーノ(p3p007268)がしにゃこの言を聞けば、コラバポス 夏子(p3p000808)もなんとなく察するものである――あぁきっとリリファの触れてはならない話題に触れたのだろう、と。
 ……いやでも待てよ? それにしたってリリファがああも巨大になるものなのだろうか? 何かおかしい気がする――
「むぅ……もしや、しにゃこのやらかしに呼応して夜妖が悪さでもしたか……!?」
「どうしてしにゃが何かした事前提で話が進んでるんですかね!? 何かおかしくないですか!?」
 逆にどこがおかしいのじゃ? とアカツキ・アマギ(p3p008034)は思うものだ。
 今のリリファは姿もそうだが正気であるとは思えない――
 恐らく夜妖の仕業だろう。人間などの激しい感情に呼応して宜しくない存在……つまりはなにがしかの夜妖を呼び寄せてしまった可能性が高いのだと彼女は推測する。リリファは取り憑かれてしまったのだろうか……
『むきゃあ……しにゃこさぁ~~~ん……むきゃあああああ!』
「……これ放っておけば、いずれしにゃさんが捕まって満足されるのでは?」
「しかし今は人気のない公園だからいいが、もしも外に出たら大事になるだろうな――」
 その前になんとか事を鎮める必要がありそうだ、と。リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)へとベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)は言を紡ぐものだ。しにゃこを只管追いかけているリリファルゴンを見据えていれば、いつ何時彼女が外の街に出向かないとも限らないし……と?
『むきゃ! むきゃむきゃ!!』
「――なんだアレは? リリファルゴンから……何か小さな……」
 その時、見た。
 リリファルゴンの傍に顕現した存在がいると――アレは。
『むきゃ!』
『むきゃ!』
『むきゃ――!』
「わぁイテテテテ! どうして! どうして小さなリリファさんがこんなにも沢山出てきて……ていうかなんで未だにしにゃだけ狙うんですか!? あっ! ちょっと待っ……ア”ア”ア”ア”ア”!!」
 ミニ・リリファルゴン――略してミニファルゴンだ。
 多分アレは本当に夜妖だろう。小さなリリファが沢山出てきて、しにゃこをまた追いかけ回してい……あっ、蝶々に気を取られて遊びに行く個体が! 自由奔放だなぁ!
 まぁとにかく色んなリリファルゴンに追われ、死ぬ気で逃げ回ってるしにゃこ……とりあえずリリファルゴンを宥めなければ事態が解決しそうにないのは間違いないな。
 故にイレギュラーズ達は思考を巡らせる――どういう風に宥めたものか、と……

 ま。最悪、しにゃこに責任を取らせれば解決するだろう! うん! 安心安心!!
「ぬわー! 今なんかしにゃを見捨てる算段立ててませんか!?
 ちょっと! どうしてしにゃにそんな事が……ウワー! 噛んできた――! イテテ!」

GMコメント

 リクエストありがとうございます~!
 しにゃこvsリリファルゴンvsイレギュラーズ! よろしくお願いします!

●依頼達成条件
 『リリファルゴン』を鎮静化させる事!
 そして街にも可能な限り被害が出ない様にする事……!

 どうしてこんなにやる事が多いの? しにゃこ――!!

●フィールド
 再現性東京の一角にある公園です――
 時刻が夜に差し掛かっており、偶然にも人の気配はありません。
 ……が、放置していれば人が来ないとも限りません。
 その前になんとか事態を解決してあげてください――しにゃこ! メッ!

●敵戦力
・『リリファルゴン』
 リリファ・ローレンツ(p3n000042)――のギフト状態の姿です。
 しにゃこの何気ない一言が彼女の心に激怒の火を灯した……だけに留まらず、なんかその激情に変な夜妖が纏わりついちゃったみたいです。今のリリファは正気を失い、おむねが大きい人に世の天罰を思い知らさんとしています――えっ、割といつも通り?
 ともあれしにゃこさんを追いかけ、パンドラバキバキに絞り上げるべく動いています。

 ちょっと大きい怪獣みたいな雰囲気になっています。
 と言っても今の所は人間の数倍程度の大きさの様ですが……
 彼女が怒れば怒るほど更に大きくなり、落ち着けば落ち着くほど小さく戻るようです。

 なんとか彼女を宥めて元に戻してあげてください!
 ――まぁ最悪の場合、しにゃこさんを生贄にすれば何とかなると思います! うん!

・『ミニファルゴン』×たくさん
 リリファルゴンから時折出現する小さなリリファルゴンです。
 これは完全な夜妖の一種です。近くの(一部分の身体的特徴が目立っている)人間に襲い掛かり、ポコポコ殴る性質があります。が、あんまり痛くないです。首根っこ掴んだら後はじたばたする事しかできません。あと、お菓子や蝶々にも釣られやすいです。
 満足したり気分が落ち着いたら消滅するようです。

・『しにゃこ』
 しにゃこです。なんで敵勢力欄に? って思うかもしれませんが、しにゃこだからです。
 しにゃこです。彼女が成敗されればリリファルゴンの感情も落ち着き、元に戻ると思われますので、彼女を『メッ!』ってするのも一つの手段だと思います。或いはリリファルゴンの足元に投げ入れてあげましょう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はC(しにゃこ)です。
 情報精度は低めで、しにゃこさんの行動により不測の事態が起きる可能性があります。なっ、しにゃこ!

  • 再現性東京202X:しにゃこがやらかした!完了
  • GM名茶零四
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年06月30日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

コラバポス 夏子(p3p000808)
八百屋の息子
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
秋月 誠吾(p3p007127)
虹を心にかけて
ルカ・ガンビーノ(p3p007268)
運命砕き
リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)
黒狼の従者
アカツキ・アマギ(p3p008034)
焔雀護
ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)
戦輝刃
しにゃこ(p3p008456)
可愛いもの好き

リプレイ


「謝罪はしますけど! 何にどうやって謝罪すればいいんですか!?
 だって全ては事実ですよ!? 真理ですよ!?
 えーと! しにゃがナイスバディの超絶美少女でごめんなさい!」
『むきゃあああ!!』
「わー何言ってもダメじゃないですかコレ――!!」
 災いの元に口がある――転じて、これは古来より『可愛いもの好き』しにゃこ(p3p008456)の事を指しているのだと『イケるか?イケるな!イクぞぉーッ!』コラバポス 夏子(p3p000808)は見据えながら思考していた。
「確かに? 美少女だし。グラマーだし。僕は好きだよ!
 リリファちゃんもスレンダーで可愛くて僕は好き!
 ……まぁ今の様子はなんというか、そう……かなり様子がおかしいみたいだけど」
「しにゃこが『また』やらかした結果がこれか……そうか……『また』か……」
「いや、待つんだ。記憶が正しければまだ数回程度……多くはない、筈だ」
 更には『虹を心にかけて』秋月 誠吾(p3p007127)も、ふかーい溜息を一つ零すものである。何が困るかって『しにゃこがやらかした!』と聞いて『またか』と驚かずに聞く事が出来てしまっている自分の心にも、なんか困る。
 同時に『黒狼の勇者』ベネディクト=レベンディス=マナガルム(p3p008160)も、なんとかしにゃこを擁護……しようとした訳でもないが、とにかくこの状況どうしたものかと。
 誠吾は視線を皆にも巡らせてみれば……ヒッ!?
「リュティス。一応言っておくが……お仕置き程度に留めておけ、な? しにゃこも大事な黒狼の一員だ。ポメ太郎に時々おやつをコッソリやったりしてるが、それも悪気がある訳じゃ……」
「――ほう。それはいい事を聞きました。
 後でしにゃこ様にはたっぷりとお話がありますね」
 隣には表情が変わらないのに、鋭い刃を内包しているかのような気配を醸し出している『黒狼の従者』リュティス・ベルンシュタイン(p3p007926)がいた。
 全く。次々とよくもまぁ、しにゃこは口が回るものである……そうやって減らず口を叩き続けるのが良くない……というか、減らず口こそが今のこの事態の全てだろうとリュティスは想いもするものだ。
 が、言って直るなら今頃は品行方正の清く正しいしにゃこ様になっているはずからね。
「人格は多少尊重してあげましょう――ええ。
 そうですね。1mmくらいでしょうか?」
「えっしにゃですよ!? この鏡に聞いたら世界一の美少女として毎回セレクトされるしにゃの評価がどうして1mm――!?」
 1mmでも十分に慈悲深いと、リュティスは冷たい視線を向けるもの。
「……そうか。とりあえず一定の反省と行動はしにゃこに取って貰うとして……
 さ。ポメ太郎はあそこの子達と遊んでなさい。仲良くする様に」
 とりあえずベネディクトはポメ太郎をミニファルゴン達の下へと放つ――さすれば『わうわう!』とミニファルゴン達と戯れ始めるものだ。ミニ達も可愛らしいポメ太郎が気に入ったのか、猫じゃらしを持って遊んでいる。
「つーわけでしにゃこ。この事態の解決策を提示してやるからその通り動けよ――
 いいな。お前は人に迷惑かからなさそうなところでやられろ」
「はっ!!? ソレは俗にいう、斬り捨てという奴なのでは――!?」
「むぅ。我儘じゃのう……妾としてはしにゃこを縛り上げてリリファルゴンの足元に投げ捨てる案を採用したいところじゃが。え、だめ? じゃあじゃあ公園の木にくくりつけてそのままキャンプファイヤーとかは?」
 鬼! 鬼しかいませんよここには――!
 しにゃこの新たなる叫びが響いたのは、もう完全に見捨てる気満々の『竜撃』ルカ・ガンビーノ(p3p007268)や『焔雀護』アカツキ・アマギ(p3p008034)の気配を感じたからだ。でもアカツキさん、環境問題や放火は重大な問題ですからね。ダメですよ――ええ。その手段を取る時は目撃者が完全にいない所じゃないと。
「ふぅ、それにしても危なかったねしにゃこさん。うん、あたしもその場にいたら、しにゃこさんは今頃再現性東京湾に沈んで魚の餌になってたもんね! あ、もし次があったらさぁ、コンクリで良い? それとも重石でもいいかな?」
「フランさん!? どうして目がガチなんですか!?
 大丈夫ですか。包容力と柔らかさ満点のしにゃこが抱きしめてあげましょうか!」
「うるさいなぁ、ぶっころすよ?」
 えっ!!? 一瞬ダークフランちゃんになり掛けたのは『ノームの愛娘』フラン・ヴィラネル(p3p006816)だ。おっと、冷静にならなければと呼吸を整え……うん。まぁいいか! だって!
「しにゃこさん美味しいご飯幾らでも奢ってくれるって言ったしね!
 うんうん、しにゃこさんは太っ腹だなぁ!」
「ひー! いいから早くたすけてください、このまましにゃこが喰われたら世界の損失ですよ――!」
 しにゃこさん、言ったもんね――と。
 フランは口元拭いながらしにゃこ(財布)を眺めるのであった。じゅるり。


 さて。もうなんか大体『しにゃこが悪い』で結論が出ている雰囲気だ、が。
「うわー時に事実は無闇に人を傷つけてしまうーっ!
 火口に爆発物入れて噴火誘発する様な蛮行、お目にかかれるとは思わなかった!
 やはりしにゃこは天才か……!?」
 夏子は王子様として降臨――白タイツに加えるは、ニッカボッカの様な短パン。
 馬に跨りしにゃこ……いやしにゃンセスを守護りに来たようだ。プリンス・夏子。
 右~見て 左見て~ ん~~~眺めるべくは女性陣。
 確かにグラマーしにゃっぴだけだけども、メイド女史も何気に……おっとぉ!?
『むきゃああああ!』
「わぁ、なんだなんだ!? あ、リリファちゃんか! おっきくなったなぁ」
『むきゃあ?』
「あー。皆がんばれー俺はミニファルゴンと遊……いや引き付けておくから。
 ほら、ここに美味い菓子があるんだ。外に行ったら食えねーぞ」
「なんかもー妾も考えるの面倒になってきたのじゃ。あっちでマシュマロ焼いておく故、終わったら読んでほしいのじゃ……むっ。お主も欲しいのか? ちょいと待つのじゃ、焼きマシュマロの方が美味いからの」
「ほれ、これも食うかミニファルゴン? ポメもちょっと休憩しようぜ」
『むきゃー♪』
 夏子が立ち回っている間に誠吾やアカツキ、それにルカはミニ達を引き寄せるものだ。
 誠吾は菓子をちらつかせ公園内に留まらせる様に。ソフィリア秘蔵の菓子の魅力には、ミニ達も抗えない様だ……あっ、バレる前に後でこっそり買って返さねーとな……食い物の恨みは怖いのだから……
 同時にアカツキは焚火をしながらマシュマロを焼いていれば、自然とミニ達が寄って来たので何個かくれてやった。蕩ける様な感覚が美味しいのかミニ達は顔を緩ませている。
 更にはルカがミニやポメ太郎に、人も犬も食べられるタイプのクッキーを順番に与えれば、カリカリと両手で持って食べ始めるものだ――
「こうやってみりゃ可愛らしいもんじゃねぇか。ま、そもそもリリファが魅力的な女性だからちっちぇえリリファが可愛いのも当然なんだが」
『むきゃ~~♪』
「あのわるーいピンク髪の奴はあとで皆で磔にすればはいオッケー! 万事解決!!
 今はうまいマシュマロを楽しもうぞ! ほれほーれ」
 猫みたいに首筋を撫でてやればミニ達の顔が蕩けるものだ――
 ああなんとも平穏な戯れか。
 このまま満足するまで遊んでやれば全て解決……は、しないが。

「……ほら。これ、あげるから……あのピンクの人のどこかをもぐと良いよ……」
『……むきゃ……!』
「そうそう……躊躇なく一撃でね……今度こっちに走って来た時に……うん……」

 と、その時。公園の隅でミニ達とフランが――何かしていた。
 フランが渡すのはお菓子。小さな飴ちゃんで買収し、しにゃの下へ向かわんとしている……あ、あのフランさん……ローレットにはハイルールが……
「ハイルール? えーとほら作戦作戦、だめーじこんとろーる。やむを得ないぎせいなんだよ」
 ヒッ。は、はい!
 突然虚空を眺めて誰かに発言するフランにミニ達が『むきゃ?』と首を傾げるが、とにかく作戦実行だとフランは指揮を執るものである……! あっ、夏子さんのおむねにも詰め物してあげよっと。よいしょ、よいしょ。
「おや? アタイいつの間にこんなワガママボディに……わぁ、なんかリリファちゃん狂暴になってない!? しにゃっぴ! あんまり動かないで! 庇うケドさ、これはちょ……! わあスゴい。ミニゴンが集まってしにゃっぴをコアに新しいモンスターになりそうじゃん。次の夜妖かなコレ?」
「ぁああああ――!? どうして!? どうしてミニファルゴンが全部こっちに!!? あっ、そうか! みーんなしにゃに構ってほしいんですね!? ふふふこれが可愛さ余って憎さ百倍って事ですね!」
 さすれば夏子・しにゃこがリリファルゴンのみならずミニにも追いかけ回され始めるものである――でも夏子を叩くミニゴンの手は痛くない。あらやだカ~ワイィ~
 と、想っていれば。しにゃは夏子を見捨てて飛行して木の上へと跳躍!
 ひどい。けれど、戦略的行動ですと思考しながら脱出の為に必要な発電機を探し始めるものである――しにゃこさん、ゲームのやりすぎですよ! これ吊るされる類じゃないから!
「リリファ、こっちにしにゃこは居ないぞ。あっちだ、あっち」
「えー!? ベネディクトさん密告なんて騎士の風上にも、うわ沢山来た――!!」
「まぁ囲まれても死にはしないでしょうし、大人しくそろそろ罰は受けてください」
 さすればベネディクトがミニ達を誘導してしにゃこを追わせるものである――騎士の風上にも置けない行為? 大丈夫だ、今日の俺は休養日でオフだからな。
 一応、ミニ達はしにゃこを追っている間は勝手にどこかに行こうとはしないので、公園から出さない意図もあっての事だ。だからしにゃこ、犠牲になってくれ。リュティスも命だけは助けてやると言っているから……
「っと、そろそろ限界かのう。しにゃこやーこちらアマギ給水ポイントじゃぞー全身の穴という穴から体液を絞りつくしてリリファルゴンに捕まる前に水でも飲みにこぬかー? あつあつの焼きマシュマロもあるぞー!」
「ぜーはーぜーはー! ごくごくぷはー!」
 限界近いしにゃこ。アカツキが誘導し、水ぐらいは飲ませてやろうとするものだ。
 ……しかししにゃこ、なんとも罪深き女よ。
 妾も会話の途中でいきなり身体的特徴について煽られたら火をつけた状態でファルカウ上層部に放りこむかもしれんが、そもそも幻想種は均整の取れたスレンダーな体型の者が多い故に、煽られた事も怒った事もない。なのにしにゃこは……容易く激怒させる能を秘めているとは……
「ほれ、一瞬休憩したら逃げ回るのが罰じゃと思って限界まで頑張るのじゃな。 生きて帰ってくるのじゃぞー!! 生き残ったら後でフランちゃんと一緒に湾に沈めてやるからのう!」
「ええ!? それって生き残っても死ぬだけではヤダ――!」
「あっ、リリファ先輩が外に……! てやー!
 あんまり外の人に迷惑かけるのはだめ! 分かってるでしょ、リリファ先輩!」
『むきゃあ……』
「な、なにその視線は!!? なんか、なんか憐れんでない!?
 これリリファ先輩もよくやるポーズだからね!? びえええええん!!」
 と、その時。しにゃこを見失って外に行かんとしていたリリファルゴンの前で胸を張るフラン――あれ、いや起伏がないから背中かな? ともあれ外に出るのだけはなんとか押し留め。そして。

「ハァハァ……も、もう無理吐く……わ、解った! 解りましたから!
 詫びじゃないならなんですか、金ですか!? いくらでも出します! さっきの人気クレープ店でいっぱい奢ります! だ、だから命ばかりは……えっ、そんなのじゃダメ? 駅前の高級スイーツ店で食べ放題だったらどうですか!? しにゃあそこには顔が効いて……!」

 だが許さない。そういう領域の問題ではないのだと。
 リリファルゴンはしにゃこを追い詰めつつあり。
「こええ……てかここの女連中全般が……おっと……」
「よぉ、リリファ。いや、悪かった。しにゃこが全面的に悪い。
 だがアイツも反省してるしボチボチ許してやってくれねえか?」
「そそそ、そうですよ! ルカさんもこう言ってるんだから、しにゃは無罪で、あ”ー!」
 さすれば誠吾が言を零し、ルカがしにゃの前に立って庇い始める――が。余計な事を言い始めたので頭掴んで万力のように締め上げてから遠くにぶん投げた。
 ――だがこれは天が与えた、しにゃチャンス! とぅ!
「ハハハ! これでさよならです、しにゃは今度こそ逃げさせてもら――うわメイドが」
 直後。リュティスもピンク髪(しにゃこ)を追い始める。
 時間を見てもそこそこな時間が経っているが故に。連続的な行動を繰り返せば、しにゃこでは恐ろしきメイドの足からは逃れられぬものだ……がっちり確保し、そして。
「――最後に聞くだけ聞いておきましょう。素直に捕まるか、叩きのめされるか選」
「し、しにゃは屈しませんよ不当な圧力には! しにゃの栄光は永遠で――」
「ではどうぞ」
 あ”っ”――!! ロープでぐるぐる巻きに拘束されたしにゃが、リリファルゴンの前に転がされる。

 ――貴女のことは忘れないですからね。ええ、二秒ぐらい。

 公園に、しにゃこの悲鳴轟く。
 しかしリリファルゴンが元に戻ったのも――それと同時であったとか。


「済まない、リリファ。
 しにゃこには確り謝罪はさせるので今日はこの辺りで許してやってくれないか」
「ええと……さっきまでの記憶があんまりないんですが、私は一体?」
「――何も覚えてないんだったら大丈夫だ。しにゃこが色々奢ってくれるという話があってな」
 そして暫くすればリリファの意識も目覚めた。
 どうも彼女は覚えていない様だ――無理に思い出させればまた怒り狂わないとも限らないので、黙しておこうとベネディクトは微笑みと共に話題を流し。
「あ~あ。ミニゴンが満足してきえちゃった……
 あんなに沢山いるなら、何人かぐらい持って帰りたかったのに」
 さすれば、仲良くなったポメ太郎などに手を振りながら消えていくミニゴン。
 バイバイ。また会う日までね――
 ……さて。ではしにゃこよ『公約』を護ってもらおうか。
「ってことで奢りご飯だー! えへへ、リュティスさんがこれ作れるようになったらもう無敵だねっ」
「ふむ、クレープですか? それなら作れると思いますからね……後は材料に何を使っているかどうか……判別と後学の為にも、是非味わいたいものです」
 そして往く高級スイーツ店! フランは涎を我慢できず、リュティスはふむ、と頷きながら様々な種類を眺めているものだ――まぁこういった普段食べられないモノが味わえるなら悪くはないと思考。覚えたらまた皆様に振るう機会もあろう……スイーツがお好きな方には少しサービス出来る様に、と。
「ま、今日の事はよあんまり気にするなよ。お前さんは十分魅力的な女性だ」
 と、直後。
 ルカがリリファへと頭を撫でる様に触れながら言を紡いで。
「綺麗な紺の髪も、サファイアみてぇな瞳も。何より誰かが危ねえ時は前に出て戦える。そういうところが特にサイコーだ。俺は好きだぜ。お前さんみたいなイイ女はよ」
「え、えへへ。なんですかルカさん~ほめ過ぎですよ~! そういうのは好きな女性にだけ言った方がいいんじゃないですか~?」
「ん? あぁ、俺は好きな女は別にいるんだけどな」
 その時。ルカ・ガンビーノの脳裏に思い浮かんだのは……ある女性の後ろ姿で……
「この店は来るのは初めてだな。ポメ太郎も食べられそうな物があったら出して貰おうか」
「わふ!」
「結果的にこれでリュティスの料理のレパートリーが増えるなら万々歳なのか?
 まぁいいや。とにかくリリファほら、喰え。折角の機会だろ?」
「はーい! もぐもぐもぐもぐ~~!」
 ともあれ。しにゃの財布を犠牲に皆で楽しむものだ。
 あらゆる甘味。至高の菓子はまるで舌の上で蕩けて消える様だ……
 散々に堪能し――では帰ろうか、と思った所で。
「はぁー、もう今日は疲れましたね!
 死ぬほど走ったから胸の重量物が重くて肩こりが……」
「はっ?」
 あー!! いや今のは違います!
 そうしにゃは言ったのだけど――もう遅かった。
「しにゃっぴスゴいね。徹底的にヤる気じゃん。エリートヘイト装置じゃん」
「へ? ふふん! よく分かりませんが、もっとしにゃを誉めて良いんですよ!」
「今のは褒められたのか? あ、とりあえず足出た分ぐらいは支払うぜ」
 夏子が、この後待ち受ける被害を想えばこそしにゃへと声を掛け。
 ルカや誠吾は端数を祓いて――直後。
「しにゃこさん、夜の東京湾散歩いこっか」
「えっ? いや今は別にそういう気分じゃ」
「いこっか^^」
「そうじゃの。為には湾で泳がせるのもいいものじゃろ――」
「ま、待って、話せばわk」
 フランとリリファ、そしてアカツキに連れ去られるしにゃこ。
 まーた『助けてー!』と言う声が聞こえてきたが、まぁ、その。

「……しにゃこ、口を滑らせてまた追いかけられても、もう流石にフォロー出来んぞ」

 ベネディクトは苦笑しつつ――その旅路を見守るのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 依頼(?)お疲れさまでしたイレギュラーズ!
 皆で最後はスイーツを堪能できて、しにゃこさんも海で泳ぐことが出来てハッピーエンドですね!
 ありがとうございました!!

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