PandoraPartyProject

シナリオ詳細

クッキーなんてもう知らない!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●そういう方向で世界は滅び始めるらしい
「いーーーーやーーーーだーーーーー!!!!!!!!」
 その日、世界中に絶叫が響き渡った。驚いた鳥が飛び、勇気のある何匹かが何事かと様子を見に来る。
「やだやだやだ! クッキーなんてもう飽きた!」
 小さな小屋の中で一人の少女が暴れていた。床に転がりじたばたと駄々をこねていた。
 少女はクッキーちゃんと呼ばれており、この世界唯一の人型であり、クッキーを食べることで日々を生きている。否、正確にはクッキーを食べることが生きがいの少女であるのだ。
 一秒に一枚はクッキーを口に入れていたい系女子であり、クッキーを食べた過ぎてわがままを叫ぶことはあったが、全く真逆の発言に大丈夫だろうかと様子を見た鳥たちは思った。

 ここは少しばかり変わった世界。
 川は水の代わりにジャムが流れ、木にはクッキーが生り、小石はよくよく見るとチョコチップ。
 空からは雨の代わりにはちみつが降ってきて、地面はいろんな種類のクッキー生地、ちょこちょこ地面を歩く虫っぽいそれはジンジャーマンクッキー。
 コケコッコーと鳴く鶏がクッキーを産み、小麦は小さなクッキーを実らせてしなり、クッキーを嘴いっぱいに詰め込んだペリカンが湖から飛び立つ。
 あちらではパチパチと時折焼けたクッキーを吐き出しながらたき火が燃えており、こちらでは突然何もないところから(強いて言えば空気から)クッキーが現れて地面を転がっている。
 そちらには真っ直ぐに一本の道が出来上がっていて両脇に抉り取った分のクッキーが塀のように積みあがっていた。
 ほとんどクッキーじゃないかって? 気のせいだよ気のせい。

 そんなクッキーだらけの世界で、クッキーを食べるものが誰もいなくなるという危機が訪れ始めていた。

●クッキーを食べさせろ!
「みんな、困ったことになっちゃったみたい」
 どことなくしょんぼりした顔で『ホライゾンシーカー』ポルックス・ジェミニが言った。
「何度か案内してるクッキーの世界なんだけど、ちょっと滅んじゃいそうなんだよね」
 続けて説明する世界の状況というのがこうだ。

 クッキーを食べることが大好きな少女がなぜか突然クッキーを食べるのをやめてしまったのだそうだ。それ自体は実は何度か起きていることではあったのだが、早くて数秒、長くて数時間レベルのものでしかなかった。
 しかし今回はすでに数日に及んでおり、その結果クッキーが世界にあふれかえり、滅んでしまう危険があるという。

 そんな馬鹿な、と聞いてたイレギュラーズは思ったが、だからと言って放置しておける自体でもないのは確かである。
 ならどうしたらいいのか。視線で問う彼らへポルックスは微笑んでいった。
「またクッキーちゃんにクッキーを食べてもらえばいいんだよ」
 ポルックス曰く、クッキーちゃんは飽きたから食べたくないと言っているだけなので、彼女の知らない新しい食べ方を見せてあげたりすればまた食べ始めるだろうとのこと。
 そうでなくても、例えばおいしそうにクッキーを食べてみせたり、無理やりにでもクッキーを口に入れればそのうちクッキーのおいしさを思い出してクッキー食べるようになってくれるはずだという。

「クッキーに埋もれるのはともかく、滅んじゃうのは嫌だよね。だからどうかもう一回、彼女にクッキーが好きって気持ちを取り戻させてほしいんだ」
 お願いね、とイレギュラーズたちに告げてポルックスはクッキーまみれの世界へと彼らを導いたのだった。

NMコメント

 一年ぶりぐらいでしょうか、お久しぶりです、心音マリでございます。
 こちらは前作『ジャムクッキーが食べたいのっ!』前々作『クッキーが食べたいのっ!』の続編となりますが、読んでいなくても全く問題後字いません。
 そして変わらずギャグでございます。
 クッキーに飽きたという少女にあの手この手でクッキーを食べてもらうようにする依頼です。

・舞台について
 地面がクッキー生地でできていて、クッキーが実っていたり、動物がクッキーを生み出したり溜め込んだり、ジャムの川やチョコチップの小石があったりするお菓子好きの人歓喜の世界です。

 小屋の中にはクッキーを作るための素材と大きめのオーブンが一台あります。ジャムも素材の中にはありますが、種類はあまり多くないようです。また少女はこの中で今も『クッキー飽きた!』と駄々をこねています。

 小屋の東側には牧場があり、その入り口にはたき火が置いてあります。こちらで直火でクッキーを焼くこともできます。

 世界の法則はクッキーのために収束しているので、適当な大きさのクッキー生地をオーブンで焼こうが直火で焼こうが魔法で焼こうが美味しくできます。
 そのため壊滅的に料理が下手な人でもクッキーが焼けます!
 さらに『クッキーのためならこれが必要!』だと思えばそれがどこからともなく現れます。
 例えば、クッキーでマシュマロサンドを作るためにマシュマロが欲しいと思えば、マシュマロの花が生えるでしょう。

 また今回は世界の危機を理解しているのか、嘴にクッキーをたくさんため込んだペリカンが協力してくれます。
 クッキーを焼かずとも、ほしいなと思ったクッキーを彼らが嘴から無限に提供してくれるでしょう。
 もちろん自分でクッキーを用意してもかまいません。

・登場人物について
 少女:クッキーを食べたくて食べたくてしょうがない子。名前はないですが『クッキーちゃん』と呼ぶと明確に反応します。
 一秒に一枚はクッキーを口に入れていたい系女子ですが、今回は『飽きた!』と駄々をこねて食べようとしません。
 ただし数日間何も食べてないのでお腹ペコペコですし、本質的にはクッキー大好きなので口に入れられたらもぐもぐしちゃいます。
 無限の胃袋かってぐらいたくさん食べるので量は気にせずあげちゃいましょう。

・サンプルプレイング
 クッキー嫌いになっちゃったの? でもこの世界のクッキーおいしいけどなぁ。もぐもぐ、うん、おいしい。もぐもぐもぐ、太っちゃいそうだけどいくらでも食べられそうだなぁ、ねぇクッキーちゃん? おいしいね!
 でも飽きちゃったなら別の食べ方がいいのかな。マシュマロとかチョコレートとか餡子とかをクッキーでサンドしてみたり。
 あるのかな? わわ、目の前に出て来たよ。すごい世界だね。


それでは皆様のご参加と素敵なプレイングをお待ちしております。

  • クッキーなんてもう知らない!完了
  • NM名心音マリ
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2022年06月21日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

フルール プリュニエ(p3p002501)
夢語る李花
ルミエール・ローズブレイド(p3p002902)
永遠の少女
佐藤・非正規雇用(p3p009377)
異世界転生非正規雇用
ロリ☆ポップ(p3p010188)
おかし大明神

リプレイ

●クッキーの世界へようこそ
「こんな不思議な世界があるのね」
 世界に降り立って『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501)はそういいながら辺りを見渡した。
 クッキーは好きだが確かにクッキーだけでは飽きる気持ちもちょっとわかる。ただ、見渡した視界の中に木にレーズンと一緒にレーズンクッキーが実っていたり、そもそも足元の砂利がチョコチップだったりと、材料が色々あってできるクッキーはプレーンだけではないんだなと思う。
 そんなフルールの隣で同じく興味深そうにしているのは『永遠の少女』ルミエール・ローズブレイド(p3p002902)である。
 今日は一緒にクッキーを作るつもりで来たが、それはそれとして疑問は生まれるもので。
「この世界だとクッキーが通貨だったりする? クッキーを金に変える錬金術が問題になったり、おばあちゃんがクッキーで宇宙を生み出したり……」
「いやー、それはないと思いますよ?」
 でも甘い宇宙ならありかもですね、と『おかし大明神』ロリ☆ポップ(p3p010188)が答えた。クッキーから生まれた宇宙が甘いかどうかは知らないが素材的にはあり判定になりそうらしい。

(くっ、俺はダイエット中で食べられないというのに……)
 キャイキャイと話す三人の一歩後ろで『間食禁止』佐藤・非正規雇用(p3p009377)はそんなことを考えていた。
 歩くたびに、いや歩かなくても視界にクッキーが入って来て誘惑が大変よろしくない。ダイエット中なのになんでこんな世界に来てしまったのか。
「ぐぬぅ『大事なものは、失ってから気付く』ということを教えてやる!!」
 誘惑を断ち切るように吠えた。前の三人がびくっとして、非正規雇用おにーさんどうしたの? とフルールが首をかしげていた。

●クッキーとの関係は青春にも似て?
 先んじてクッキーちゃんのいる小屋にやってきたのは非正規雇用とロリ☆ポップだ。
「ハロー☆ハロー☆お菓子の使者、ロリ☆ポップです!!」
 私は甘味のプロなので作るも食べるもお任せください! とピシッとポーズを決めるロリ☆ポップへ、もう飽きたもん、とそっぽを向くクッキーちゃん。
 そんな彼女の前にジンジャーブレッドマンが現れた。ビックリするがそれはクッキーではない、布でできたパペットだ。誰がやっているのかと視線を動かせばそのにいるのは非正規雇用である。逆の手には少女のパペットもある。
「人間関係に例えると分かり易いと思うから、人形劇にして説明するぜ」
「なんて?」
 クッキーちゃんがガチ目に首を傾げた。
「クッキーでの人形劇はボクは初めてみるから新鮮だねっ!」
 せっかくだから見させてもらおうとロリ☆ポップは台所へ向かいながらも観客の一人になる。

 幼馴染のクッキー君(ジンジャーブレッドマン)はオラついた男の子。毎日突っかかってきて、正直うざい。ある日、少女のフラストレーションも限界に。
「何そのナレーション」
 突然始まった人形劇に困惑したクッキーちゃんの突っ込みはスルーされました。
『毎日毎日うるさいなぁ……クッキーなんてもう知らない!!』
 裏声のセリフと共にそっぽを向く少女。するとクッキー君は神妙な顔。
『わ、悪かったよ……俺はただ、お前に笑って欲しくて……。今まで、しつこくしてゴメンな』
それからクッキー君が話し掛けることはなくなり、学校で顔を合わせても素っ気ない態度……。気まずい関係のまま時は流れ卒業式に。あ、彼ら学生だったんですね。
『俺、アメリカに留学するんだよね……。お前とはもう会えないと思うけど、マフィンとかドーナツもいるからさ。寂しくなんかないだろ?』
『バカ!寂しかった!!』
 少女がガバっとクッキー君に抱き着いて人形劇が終わった。

「クッキー、食べたくなった?」
 恥ずかしそうに頬をかく非正規雇用にクッキーちゃんはこう言った。
「マフィンとかドーナツのほうが正直気になっちゃった」
 しかし視線は抱き着いたまま置かれた二つの人形に注がれている。思うところがないわけではないらしい。
 そんな心が揺れ動いているところへいい匂いが漂ってきた。
「食べる気にさせるのが大切なので、ボクは香りを重視します!」
 匂いの出どころは台所。もちろん犯人は人形劇を見ながら作業を進めていたロリ☆ポップである。
 フルーツにナッツ、チョコレート、紅茶の入った缶まで、彼が望んだ材料はあちらこちらの棚の中から次々見つかる。もちろんクッキーの材料もだ。
 トントンと手慣れた様子で材料を切り、生地に練りこみ、次から次へと生地を仕上げていく様子はさすがパティシエの卵といったところだろうか。
 焼き方にもこだわり、じっくりじっくり火にかけて香ばしく焼き上げていく。先ほどから小屋の中を満たす匂いの正体はこれだった。
「香り≒味は世界法則! よってクッキーの味も多種多様!」
 テーブルにずらりとクッキーと並べ、さらに紅茶まで用意したロリ☆ポップは胸を張る。
「私は甘味のプロなので作るも食べるもお任せください!」
 味は保障すると暗に告げつつ、食べないのなら自分たちで食べてしまおうと頭の上にある捕食器に目配せまで。ぷりんちゃんと呼ばれるその捕食器は食べたーいとばかりによだれをだらだら流している。
 どうしようとぐぬぬしているクッキーちゃんの耳に歓声が飛び込んできた。

「「できたー!」」

●クッキーで遊ぼう!
 一方、フルールとルミエールの二人はこちらも台所で仲良くクッキーを作っていた。作ろうとしているのはただのクッキーではない、ルミエールの誘いでクッキーでトランプを作ろうとしているのであった。
「材料はどうでしょうか。クラブ、ダイヤ、ハート、スペード、それぞれで味を変えてみても面白そうだと思わない?」
「それはいいアイディアだわ」
 クラブはプレーン、ダイヤはレーズン、ハートにはチョコチップ、スペードには抹茶。それらを混ぜ合わせ長方形に型を抜いていく。オーブンに入れて焼いてあげればほんのり膨らみはするものの概ねカードのような形になった。
 後はアイシングしたいなー、とルミエールが見渡すと「どうぞ!」とばかりに色とりどりのアイシングが床から樹のように生えてきた。
「すごいわ。本当にクッキーのためなら何でも出てくるのね」
 これ幸いと二人で手分けして丁寧にトランプ模様を描いていく。こうやって絵を描いていくのは普通のお絵かきとも違った楽しさがある。
「ジョーカー、ジョーカーは私が描いてみたいです!」
「じゃあフルールちゃんに任せるわね」
「ええ、ジョーカーって嫌われものでしょう? だから、ぱんつ!」
 意気揚々と描き始めようとするフルールの手を掴んでルミエールは首を振った。
「ぱんつはダメよ?」
 メッとされてしゅんとしたフルールはピンク色のアイシングから白色のアイシングに持ち替えた。ダメって言われたならしょうがない、お化けにしよう。

「クイーンはクッキーちゃんにするのはどうかしら」
 ルミエールの提案にそれはいいとフルールは頷いて。きっと可愛いわ、とフルールは笑うがふと気づいてしまった。これを食べるときに頭から行ってしまうとこう、すごくアレな状態になってしまうのではないかと!
 どうしましょうなんて一人でちょっとした心配。

 こうして完成した五十四枚のクッキートランプ。それらを並べて二人はみんなを呼んだ。
「トランプのクッキーか~! 遊ぶこともできそうだな!」
「これまた斬新ですね!」
「わぁすごーい、私がいる!」
 非正規雇用、ロリ☆ポップ、クッキーちゃんとそれぞれに感嘆の声を上げ、遊ぼうと誘われればそこに否やはない。
 ロリ☆ポップの用意したテーブルにぐるりと座って、紅茶を片手にクッキーのカードゲーム大会だ。
 ゲームの種類はなんだってあるが選ばれたのはババ抜きだった。一枚だけ中央にお化けのジョーカーが置かれ、残りの五十三枚が五人に分けられる。
 最初に非正規雇用が顔をしかめた、ジョーカーを引いたのだろう。
「佐藤くん、バレバレだよっ!」
 ロリ☆ポップに突っ込まれてぐぅと唸る。それでもゲームは順調に進んでいた。
 変化があったのは何巡目か、ルミエールがカードを引いたとき。
「ああ、ジョーカーを引いちゃったわ」
 彼女が引いたカードにはお化けの絵。どうしようと思うがこれはクッキーなのだ。食べてしまえばなくなってしまう。だから、もぐもぐとジョーカーを食べてしまった!
「えっ! そんなのずるいじゃない!」
 クッキーちゃんは抗議するがイレギュラーズたちはなるほどとばかりに自分の手札を食べ始める。
「……ダイエットは明日からでいいか」
「佐藤くんはダイエット中? 甘いものは美味しいので、ダイエットなんか気にしなくて平気なのだよ!」
「フルールちゃんも、はい。あーん♪」
「あーん!ふふ、美味しい♪」
 もぐもぐとおいしそうにクッキートランプを食べる四人。一人食べないで見ているクッキーちゃんにはとどめの一言。
「うふふ。このままだと負けはクッキーちゃんになりそうね?」
 最後にカードが残っている人が負けである。食べられなければ負けなのだ。

 クッキーは食べたくない、でも負けたくない。ただそもそもなんで食べたくなかったんだっけ?
 飽きたから? でも遊んだし気にしたこともなかった香りを楽しんだし人形劇には心が動いた。クッキーは嫌いじゃない。

 もぐ、と持っていたクッキートランプをかじる。今まで食べてきたどのクッキーよりもおいしく感じて我慢できずに丸ごと一枚平らげてしまった。
「おいしい! おいしいね!」
 ぱぁと笑ったクッキーちゃんはそのままロリ☆ポップの用意したクッキーにも手を付け幸せそうに頬張る。
 このままいくらでも食べられそうなクッキーちゃんに四人は顔を見合わせて笑い。ロリ☆ポップがステッキを振ると辺りにクッキーの雨が降り始めたのであった。

成否

成功

状態異常

なし

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