シナリオ詳細
もしもし私リリファ! 今SHIN/JUKU駅にいるんです! たすけて~!
オープニング
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リリファ・ローレンツは再現性東京に来ていた。
色々とお買い物がしたかったのである。暇そうにしてた(してない)月原・亮を巻き込んで私服と共に繰り出すは『ある駅』だ。駅と言っても田舎に在る様な無人駅ではなく大きな施設であり、中にはショッピングモールも立ち並んでいる。
それらの利用の為に来たのだ。そして一通り巡り巡った所で……
「ふふーん! 今日は沢山お買い物出来ました!
さー月原さん後はご飯でも一緒に食べましょーか! ……あれ、月原さん?」
後はご飯でも食べて帰ろうかと。
そう思って隣を歩いている筈だった亮へと視線を向けれ――ば。
彼がいない。
あれ? と思って周りを見てみれば、亮どころか誰もいないではないか……
おかしい。先程までやかましい程に人影が在った筈だが。
「月原さーん! どこですかー! 全くもう。逸れるなんて仕方ないですねー!」
ショーウィンドゥを鏡に見立て、髪を整えるリリファ。
またいつ亮に会っても大丈夫な様にと――していれば背後に気配を感じる。
鏡越し。見据えたその人影は……あれ? 足が無いような……
「むきゃ?」
振り向く。さすればそこに居たのは――
「わ、わわわわ!? ゆ、幽霊――!!?」
『アー……ウッー……』
ぴゃ――!! と、逃げ出すリリファ。まさかこんな人通りのある施設で夜妖が!?
これはまずい。しかも一体や二体所ではない――もっと沢山の数が追いかけてきている! 至急カフェ・ローレットに赴き、イレギュラーズの皆を連れてこなければ……と思ったはいいのだが。
「あ、あれれ!? ここどこですか!? 外はどっちですか――!!?」
進めども進めども――外が見えない。
おかしい。上に下に右に左に進み続けているのだが、むしろどんどん中に入り込んでしまっている様な感覚に捕らわれているのだ。というか、さっき亮と一緒にあちこち巡った時にこういう場所通ったっけ……?
壁を見据えれば時折地図があるのだが――なんだか無茶苦茶な道順ばかりだ。
まるでダンジョンの様な錯覚を得て……は、ま、まさか……!!
「まさか……SHIN/JUKU駅がダンジョンという噂は本当だったんですか――!!?」
一度入ったらもう出られないという噂がある、SHIN/JUKU駅――!!
ただの噂だと思っていたのだが、これはどうにもガチらしい。いや夜妖が出てくる所を見ると……この辺りが、なんらかの事情により異界化しているのだろうか? どういう条件で迷い込んだか知れぬが、リリファはそこへと迷い込んでしまったのだろう。
そして追ってくる夜妖達はそんなリリファを逃すまいと手を伸ばし続けていて。
『アー……出口……出口ィ……』
「うわーん! ここどこですかー! 月原さーん! びえええ!!」
……いやというか彼らもなんかこのダンジョンの犠牲者的概念なのだろうか?
まぁとにかくこんな場所で迷って出られないのは御免だと――リリファは涙ながらに走り続けるのであった。
●
「おっ。なんだ――イレギュラーズじゃん。そっちも遊びに来てたのか? なぁリリファ見なかったか? さっきまで一緒だったんだけど、いつの間にか逸れちまって……」
同時刻。駅の中で亮は貴方に出会っていた。
貴方は依頼の帰りか、それとも亮と同様に純粋に遊びに来ていただけか……
まぁいずれにせよこんな所で会うとは奇遇だ――リリファ? 彼女には会っていないが……と?
「あれ? なんか急に辺りが静かになったな……って、人もいねぇ!!?」
瞬間。周辺の状況が一変する。
人で溢れていた筈の環境は静けさばかりとなり、異質なる雰囲気が充満しているのだ――
『うわーん! ここどこですかー! 月原さーん! びえええ!!』
更にはどこからかリリファの声も聞こえてきた。
……さすればなんとなく状況を察するものだ。これはきっと夜妖の仕業だと。
SHIN/JUKU駅がダンジョンであるという噂は……事実だったのだ!!
「あっ! リリファがい……うわ! 何か連れてるぞ、アイツ!」
と。声がした方向へと駆け抜けてみれば――リリファの後方にはまるでゾンビか幽霊の様な個体達がリリファを追いかけ回していた。なんてこった。ダンジョン化しているだけではなく、夜妖もまた普通に存在しているとは……!
が。入口があれば出口もまた必ず存在するものである。
たしか噂では『中央東口』……いやあれ? 『東口』だったっけ? いや『地上出口(東)』だったか、それとも『北口東出口』だったか……? ええいとにかく! 歩いて探し続けていればいつかは見つかるだろう――だから。
「まずはリリファを助けてからだな……!」
とりあえずはリリファを助けてから脱出の目途を立てようと、亮と共に行動を開始するのであった……
- もしもし私リリファ! 今SHIN/JUKU駅にいるんです! たすけて~!完了
- GM名茶零四
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2022年05月31日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
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「えっ? ナンて……? 中央東口ってナニ? 中央の東にあるの? 東にある中央寄りなの? 中央東って地名とか? えっ? 北口東? 北まで出て来たよ!! おかしくない!!? 北なのに東ってどういうこと!!?」
そういう事なんだよ『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)!! SHIN/JUKU駅がダンジョンと言われる所以――ふふ。どこに行けばいいのか分からない……! いや割とマジで迷いそうだよ、これが……SHIN/JUKU駅!
「な、なんだか私が聞いてたSHIN/JUKU駅とちがうんですが……! え、ここって本当にSHIN/JUKU駅ですか……? 前に来た時はもう少し普通のお店が立ち並んでるモールの様な場所だった筈ですが……」
「……この駅、確かに大きいですけど、本当にこんなにも文字通りの『ダンジョン』みたいな感じでしたっけ……? 以前、道に迷った際にばっちり駅の中の地図まで頭の中に入れた筈ですが……」
が。普段のSHIN/JUKUとは違うと『華奢なる原石』フローラ・フローライト(p3p009875)や『闇に融ける』チェレンチィ(p3p008318)は記憶を手探りするものである。絶対違う。ここ絶対違う!
なんか見た目は似ているが雰囲気は一変していると勘付くものだ。
特に以前、片手に地図とaPhoneを持ちながらこの辺りを歩いたのに迷ったチェレンチィにとっては二度目の彷徨い体験に等しい……! くっ、どうして己は何度となく迷ってしまうのか――え? 迷った訳ではなく、本当に駅がダンジョンに……?
「……という事は自分が方向音痴という訳ではないのですね。よかった……」
超小声 & 超小吐息。
――が。良かったなどと言っている場合ではないと瞬時に気付くものだ。此処が夜妖の作り出した空間であるならば安全でもなんでもない……! 一刻も早く脱出せねば!
「それにしてもSHIN/JUKU駅、ねぇ……いやていうかこれって完全に新じy、こほん」
同時。『ケイオスイーツ』カフカ(p3p010280)はなんとなし――次元を超えたSHIN/JUKU駅の事が脳裏に思い浮かぶものだが――まぁ咳払い一つと共に眼前に集中。
「ま、そこはええやろ。とにかくまずはリリファちゃんやな!」
「ひひひ、さ! リリファさんこっちですよー! お邪魔虫には退散してもらいましょーか!」
「ぴえええ! あ、カフカさん、エマさん!! たすけて――!!」
そう。SHIN/JUKU駅の構造はともあれリリファの救助をしてからだ、と。
彼女を追いかけまわしている間に割り込み盾とならんとする動きをカフカが行えば、攻撃手として動くのは『こそどろ』エマ(p3p000257)だ。手にした短剣が夜妖共の首筋を抉る様に――暗殺の一手を成すもの。さすればその動きを皮切りに。
「キシャアアアア! 貴様等いい度胸っす!
俺の楽しみにしてた至福のスイパラタイムを邪魔するとは!
一、二度殴った程度じゃ済まさないっすから覚悟しとけっすよ!」
他のイレギュラーズ達も動き出すものだ――特にスイパラ……スイーツパラダイス・ランチ時間限定をすっごく楽しみにしていた『No.696』暁 無黒(p3p009772)は、こんな空間に引きずり込まれてご立腹である! 夢に見てたケーキが!! プリンが――!!
己を守護する加護を齎しながら、同時に敵を一掃せんばかりの撃を紡ぐ。
スイパラの恨みと共に。まだ間に合うっすかね? 間に合うっすよね!? うおお頑張るっす!
「けっ……仕事終わりにこんな事に巻き込まれるたあ、とんだ災難だぜ。俺ぁ酒飲みに来ただけだったんだがよ! オマケにこいつらの面倒も見なきゃならねぇとはなぁ――!」
更には『山賊』グドルフ・ボイデル(p3p000694)の視線はリリファや亮の方へと。
全くいつまで乳繰り合っているのか。
……ま、ウダウダとハッキリしねえガキどものケツをぶっ叩いてやるのもオトナの役目かねェ!
「しゃあねぇな。とりあえずは邪魔な連中をさっさとぶちのめすとするかね――!」
直後。グドルフは亡霊共を薙ぎ払う。
膂力の全てを注ぎ込んで――『お邪魔虫』共をぶちのめさんと!
●
『アー……出口ィィッィ!!』
亡霊達は最早正気を保てていないのか、叫び声と共にイレギュラーズ達へと襲い来る。
『はじまりはメイドから』シルフィナ(p3p007508)は己が撃をもってして彼らを打ち破り、更にはイグナートの拳やチェレンチィの一閃も続けば、無作為に動き連携泣き夜妖は総崩れになるもの――
「ぴえ~! 皆さん、ありがとうございます!! 突然追いかけられちゃって、後はただ必死で……!」
「おいボウズ!なあに目ェ離してんだよ、まったく!
このおれさまの手ェかけさせやがって。
てめえのオンナならてめえがバシッと守っとけ!」
「イテテ! オンナ? 何言ってんだよ、リリファは友達だぜ?」
もう一発叩いとくか――? 救助したリリファと亮を見据えながらグドルフは思うものだが、しかし悠長にはしていられない。救助できたのは良いが、またどこから連中が襲い掛かってくるとも知れぬのだ……今は揃って脱出を目指すべきだろうと。
しかし一体どこを目指せばよいのか。地図が無茶苦茶なのはまだいいとしても、えーと、『中央東口』を目指すんだったか……?
「フムフム……俺の直感だとこっちの方っすね! こっちの方からスイパラの気配がするっす!!」
「えひひ……万一の為に私は、通った道を覚えておく事にしますね。そしたら迷ったとしてもその道は除外出来ますし……中央東、中央東口……と」
故にこそ出られると噂のかの地を目指し無黒は己が直感を信じ捜索を続けるものだ――そう! 己がスイパラタイムに間に合う為にぃぃぃ! エマはその動きに追随しつつ、マッピング開始だ。通った道のりを記憶し、少しでもこのダンジョンの出口の為の解明を成さんとする。いやしかし、それはそれとして。
「いやぁ、亮くんもリリファちゃんもデート中にこないなことに巻き込まれるなんて災難やなぁ」
「そうです、よね。月原さんとデート中、なのに……大変、でしたね」
「だからデートじゃないですもーん! ただちょっと遊びに誘っただけですもん!」
「え、それがデートちゃうの? まあ、男女で仲良くお出かけしたら恋仲じゃなかろうとそれはもうデートやろ。大丈夫大丈夫。そのまま亮くんが傍で守ったげて。ほらほら今度は逸れん様に、な?」
「はいはい、勿論だって」
フローラとカフカの視線が亮とリリファに向くものである――デートやろ? 違うもん! そしたら『仕方ないので手を繋いであげますよー!』って言いながら亮の袖を指先で握るリリファ。デートですよね? 違いまーす!
「ひひひ、そうですよ。私、戦いは不得手なもので。えっひひ。守ってくださいね?」
「うむむ。しかしこっちで良いんでしょうか……前に覚えた地図、いやアレがこんな特殊な場所だと役に立たないとは思うのですが……でも、なんとも同じ景色ばかりが続くと不安になってきますね――とッ!?」
さすればニコニコとエマが言を紡ぎ、次いでチェレンチィが周囲を警戒しながら眺めるもの……と、していれば物陰より夜妖がいきなりに出現する。まるで奇襲する様に――!
『ォォォ出口ィィィ!』
「まったく、しつこいレンチュウだよね! こちとら看板とか見るのに忙しいんだから!」
さすればイグナートが周囲を俯瞰する様な視点から真っ先に動き出すものだ。
破邪の一閃。正しきを墓標するソレの後に――壁諸共貫かんとする掌底を一つ。
えーい、こんなのもう最悪壁をぶち抜いて進んでもいいんじゃないかな! ホントに!
「『↑』って矢印ある看板を通り過ぎて逆側から見ると『→』って矢印描いてあるんだけれど、これはどっちが正しいの? どう読むの? むしろちゃんとどっちかが正しいの? もしかしてゼンブ間違ってるのかな?」
「う、ううん……この辺りに精霊がいてくれればもう少し分かったかもしれないんですが……全くいませんね」
「足で探すしかないんかなぁ。はぁ、ま、そいならなんとか頑張ってみよか」
そして邪魔がいなくなればイグナートが疑問を呈すものである――
直後にはフローラとカフカが周囲に精霊がいないかと探すのだが……現実の空間ではなく、なんらか異常な場所であるが故か精霊の類すら一切見当たらない。案内板の精霊とか……いないのか。逆に言うと現実側だったらいたかもしれないが。
やむなし。故にカフカはローラーシューズを身に付けながら歩みを進めるものだ。
如何なる悪路でも踏破せしめるその祝福。スムーズな先導に一役買って……
「ひひ、でもとりあえず迷わない様に目印だけは付けておきますか……
どうせ無人のお店ですし、かっぱらっても問題ないですよね。だーれもいませんし」
「そうですね……緊急時ですし、ちょっと拝借してみましょうか。
この油性ペンでも……おっ。ちゃんと付きますね」
そして、精霊がいないのなら仕方なしと――エマとチェレンチィは別の手段に取り掛かるものである。それが近くのコンビニから油性ペンをかっぱらって、壁に目印を付ける事。此処は通ったのだと分かればいい――幸いにして簡単な道具ぐらいなら揃ってる様だし。
「ん~~しかし、亡霊の音ぐらいしか聞こえないですねー詰まんない所です……」
同時にエマは優れた三感をもってして周囲を探るものだ。
何か手がかりになりそうな音や匂いはないかと……さすれば。
「オッ〜、そういや今は無人だったか。
……おいおいていう事はよ、ワンチャンこの店にあるもん根こそぎ持っていけるかあ?」「む~持って帰るのはどうなんでしょうね。異界のモノですし何が起こるか……」
「……『よもつへぐい』ではないですけど、食べ物は危なそうな感じが」
グドルフが口端を吊り上げ、コンパスなどを懐にちょちょっと。しかしリリファやフローラは心配である――此処は現実の、正しい空間ではないのだから。まぁ食べ物の類でなければ何とかなるだろうか……? でも我慢、我慢です。
異質な場所で安易に食せば何が起こるか分からぬ。
それよりも壁に情報を、と彼女は記すものだ。もしも今後このダンジョンに迷い込む人がいたとしても……そして中の亡霊達にとっても、その道しるべになりますように、と……
『アー……ウー……』
「んげ。おいおい、あっちにまーた連中がおったで……潰していくしかないかなぁ」
「タスク! リリファの事は頼んだよ――オレ達がまずは倒してくるから!」
「ああ! イグナート、頼んだぜ! リリファ前に出すぎるなよ――そそっかしいから見てないとなぁ」
「むむー! なんですかソレ! 私の方がおねーさんなんですからね!」
と。歩いていれば……やはり夜妖はまだまだいる様である。先程と異なりこちらに気付いない故、今度は此方が奇襲を駆けれそうだと思えば、カフカは味方へと周知し。さすればリリファらの安全を第一に考えるイグナートが先んじて前へ往くもの。
さてさて出口までは一体後どれぐらいな事か――亮にむきゃむきゃと不満を告げるリリファの声を背後に聞こえながら、イレギュラーズ達は危機を排すべく一撃を放った。
●
その後も幾度か亡霊の様な夜妖達に遭遇していた。
が。散発的にしか出逢わぬ上に、一個体ずつはそう強い者でなければイレギュラーズ達の敵ではなかった――グドルフがぶっ飛ばし、無黒が死者特化の聖なる術式一つ。イグナートが拳撃一閃し、チェレンチィが確実に仕留めるべき斬撃を繰り出せば容易く仕留められ。
更には、気付かれてなければエマが暗殺の一手で隠密奇襲。
距離が遠ければフローラが魔光を放ちて撃滅しようか――
そして安全が確保できればカフカなどが即座に捜索に戻るものである。この中に迷い込んで暫らく経つが、そろそろ中央東口が見つかる頃だろうか……さっき中央東ロ(ろ)とかいうトラップ出口があったのにはビックリしたけれど。危ない危ない。捜索に優れる者達がいて気付いて助かった。
「はぁ、はあ……ていうかもう普通に体力的に疲れてきたっすね……
お二人も折角のデートだったのに、大変な目にあったっすよねぇ。
え。絶対デートっすよね?」
「だから違いますって! デート? ていうかデートって何するものなんですか?」
「そりゃ一緒に買い物行ったりとかスイパラ行ったりとか……
あっ。もしよければ皆さんもこの後一緒に、スイパラ行くっすか?」
「おっ! 良さそうだな~リリファ、みんなと一緒にスイパラ行くか~!」
そうですね、月原さん! と無黒提案のスイパラにニッコニコ顔のリリファ。
やれやれこれはちゃちゃっと脱出しなければいけないと、無黒は更に周囲に視線を巡らせるものである……風が吹いてきている方だろうか。或いは辿り着けていない亡霊から察するに、亡霊が少ない方角ではないだろうか――?
推理しうる要素が幾つかあると彼は思考をフル回転。あっ、そう言えば現実のSHIN/JUKU駅は西がオフィス街っすからスーツ着てたりOL風の亡霊とか多いかもしれないっすね! 東口はア●タ茂あるっすから、もしかしたら大きいサングラスしてマイクを片手に持ったやたら『髪切った?』って聞いてくる亡霊とかもい……
「んっ? 今あっちになんかそんな影がいたような……はっ! もしや東口が近い!?」
「おお、ほんま? 中央東口って確か地下1Fにあるんよね――ていう事はそこな階段を下った先……? あーもうこっちきてまだそんなに経ってへんのに頭ん中ごちゃごちゃしてきたわぁ」
刹那。無黒がなんとなし――此方の方ではないかと直感するものだ。
さすればカフカは額を抑えつつ周囲を窺う。はぁ、流石にそろそろ出たい所であると……その時。見据えた階段の下から亡霊達が幾らか駆けあがってきていて……!
「むっ。全くしつこい人達ですね――方角的には此方の方で正しい様に感じますし、突破しましょうか」
「やーれやれ。ガキ共のアレソレを邪魔すのは、なんたらに蹴られて死んじまえってなぁ!」
故にこそ最後の力を出し切るものだ。チェレンチィが穿つ三閃が敵の身体を貫き、グドルフの全霊が一刀両断するが如き剛撃を。こんな所で邪魔なんぞされてる暇はないのだ――だからこそ。
「さー走り抜けましょーかね! えっひひ! 私もお腹ぺこぺこになってきましたし!」
「迷路の必勝法知ってる? こういう時はね――」
エマは速度に身を任せ、短剣一閃。引き抜き打ち込み邪魔立てする者を排除すれば。
イグナートが狙い定めるは――再びの、壁だ!
「『壁を壊す事』だよ! ゼシュテルのエライ人が言ってたから間違いないね――!」
「イグナートさん! それどう考えても超物理的解決法の様な――!」
打ち壊す。全身全霊をもってして。
彼の拳が数多を討ち貫き――そして。その先に在ったのは『中央東口』の看板。
走り抜ける。遂に見つけた出口へと。駆け抜けれ――ば!
「……おっ!? 出れた。出れたな! やったぜ、戻ってこれた!」
「沢山の人の気配……間違いありませんね、あぁ良かった……これで今年着てみたいな、って思ってた水着を買いに行けたり、テイクアウトグルメ巡りが出来ます……」
「え、フローラさんそんな予定だったんですか!? じゃあ今度私と一緒に行きます!?」
一瞬。まるで空間が歪む様な感覚を得ると同時に――イレギュラーズ達は現実世界へと戻ってこれた。周囲には多くの人々や、営業されている店が立ち並んでいるもの……喜ぶ月原の隣では、ほっとした様子のフローラに、リリファが声を掛けていて。
「ぬぉぉぉ! 俺様が、俺様が店からかっぱらったアレソレが……消えて……!
くそ! こんなのアリかよ! あああ気分悪りぃ! 一杯引っかけるしかねぇな!!」
「えひひ! グドルフさん、私も連れてってくださいよ~!」
「サ! ミンナで打ち上げでも行く? スイパラの方が良いのかな!」
同時。グドルフは――あのダンジョンで盗って来た筈の文房具などが何故か消失している事に憤怒。……している風に見せかけて月原とリリファを残して去るムーヴを見せるものだ。さすればエマやイグナートも各々に動きを見せるもの――
……それにしてもこれは本当に興味本位なんですが。
「リリファさんと亮さんってその、アレなんです? カップル的な?」
「むきゃ!? だーかーら、友達ですよ友達! 気の合う人なだけですもん!」
「いやぁ、ホントですかぁ……? えひひ、いやぁ、そのですねぇ……」
ちょっといいなー、なーんて思ってたりするんですよぉ……ひひ!
本気か、冗談か。いつもの引きつり笑いを見せるエマ
何はともあれ――これでダンジョンSHIN/JUKUからは脱出出来た。
もう一度あの世界に至る事があるか、それは分からないが。
「……せめてスイパラの時間と被らないようにはしてほしいっすね!」
既にスイパラ予約時間が過ぎ去っている事に涙する無黒が――万感の思いを込めて、天に叫んだとか。
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
依頼……いえダンジョン『SHIN/JUKU』攻略お疲れさまでした、イレギュラーズ!
もしかしたら類似ダンジョンとしてUMEDAとかあったりするかもしれませんね……この世にはダンジョンが多い……!
ともあれ、ありがとうございました!
GMコメント
ふふん。そろそろ水着の時期。今年の水着はマイクロビキニなんてのもいいですね……! 今度SHIN/JUKU駅に買いに行こうかなぁ! そんな事を言ってたら月原さんが『マイクロなのは胸だけにしておけよ』って言うので、頭から噛みました。むきゃ。
ともあれ以下詳細です! よろしくお願いします!
●依頼達成条件
皆でSHIN/JUKU駅から脱出せよ!
●フィールド『SHIN/JUKU駅』
それは再現性東京の一角に存在する場所です。
なんでも『ダンジョン』と呼ばれる程に広大な駅……という話が冗談の類として存在していたのですが、しかしある条件を満たすと不思議な空間に引きずり込まれてしまうようです。その空間は正にダンジョンの如く、広い模様です。
周囲はファーストフード店やコンビニ、衣類店などが存在しています。
ただし店員や一般人の類は一切いません。完全に無人の空間です。
灯りの類は付いたり消えたりと、不穏な気配を醸し出しています……が、基本的には点いている時間が多いみたいですので、視界的にはあんまり問題ではないでしょう。
一方でどの道に進んでも全く出口や外が見えない程に『先』があります。
どちらに進んでも似たような道やお店が立ち並び、はたして本当に出られるのか否か……という感覚を貴方達に与えてくるかもしれません。ただし入口があれば必ず出口があるものです――
実は『中央東口』という方向を目指すと、そこから元の世界に戻る事が出来ます。
貴方はこの噂を知っていても良いですし、なんとなく気付いても構いません。
ただし『中央東口』を目指してください。『東口』は違いますし『地上出口(東)』は違います! そこに行くと出れず、またどこかの道に出てしまうループに嵌ってしまいます……どうなってるんだここはー!
一応、東西南北の方向自体は正しいようなので「超方向感覚」などのスキルがあればそれに頼ってもいいかもしれません。仮に、そういった非戦スキルが無くても虱潰しに探していけばやがて出口は見つかるでしょう。
●SHIN/JUKU駅の亡霊達
恐らくSHIN/JUKU駅から脱出できなかった亡霊が夜妖となってしまった者達です……いや本当かは分かりません。そういう噂があって、噂という情報が個体になってしまったのかもしれません。
まぁ何はともかく彼らは皆さんを外に逃がすまいと追いかけてきます。
SHIN/JUKU駅各地でバラバラに出現してきますが個体としてはあまり強くありません。
ただ【足止系列】のBSを付与してきて、進行を妨害しようとはしてくるようです。ご注意を!
●リリファ・ローレンツ
月原さんと遊びに来ていたのですが、ダンジョンに迷い込んでしまいました。
デートじゃないですもん! ひとまず今は複数のSHIN/JUKU駅の亡霊達に追いかけられてます。まずは助けてあげてください……!
●月原・亮
リリファと遊びに来ていたのですが、突如逸れてしまいました。
皆さんと一緒に行動します。戦闘能力としては、近接型です。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
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