PandoraPartyProject

シナリオ詳細

もう拳しか信じない

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●信じられるのは拳のみ
 人間には知恵がある。
 知恵によって作られた武器がある。
 ありとあらゆる武器は人を最強に近い位置まで押し上げた。
 しかし、しかしだ。
 その武器が使えない状況にあっては、人間は簡単に最弱に引き戻されてしまう。
 ならば、最終的に信じられるものは己の拳しかないのではないだろうか?
 確かに人間は様々な生き物の中では比較的弱い。
 しかしその肉体を、そして拳を鍛え上げればどうか?
 その拳は、やがて岩をも砕く。
 もしかしたら、鉄より硬いものをも砕くだろう。
 いや、砕く。実際、そういう人間も存在する。
 ならば、それより硬いものは?
 出来るはずだ。
 出来なければならない。
 それが人の可能性なのだから。
「というコンセプトで古代文明の遺物を解析し出来ました。ナックルジェネレーターです」
「……一応説明を聞こうか」
 自信満々の研究員に顔をヒクつかせながら、監査員は問いかける。
「ありとあらゆる技も武器も、このジェネレーターを通せば一時的に拳闘の技に変換されます」
「ほう」
「たとえば、かの魔砲は魔砲拳……具体的な変換パターンには個人差がありますが、そんな感じになるわけです!」
「ああ」
「凄いでしょう!」
 胸を張る研究員に、監査員は眉間を揉んで問いかける。
「……で。このガラクタを鉄帝はどう活用すればいいのかね」
「そりゃまあ、拳しか通用しない敵が現れた時に」
 こいつぶん殴ってやろうか。
 監査員がそう考えたその時、急報が届いた。それは……。

●拳しか信じられない
「拳しか通用しない敵が現れたです」
 チーサ・ナコックはそう言うと大きく溜息をついた。
 正確には武器に頼らない徒手空拳の格闘術、そういうものしか通じないモンスターが現れたのだ。
 一体何故そんなモンスターが存在するのかは不明だ。
 あるいは古代文明の力を軍事利用する鉄帝だからこそ現れたモンスターなのかもしれない。
 その辺りは不明だが、別に解明する必要もない。
 大切なのは、そんなモンスターが鉄帝の街に迫っており、それを撃破する必要があるということなのだから。
「敵はどうやらサイに似た頭部を持つ巨人群のようです」
 一番小さいもので全長2m。これを仮にライノファイターとしよう。それが30体。
 そして一番大きいものが全長5m。これをライノグラップラーとしよう。これが1体だ。
 どちらも体型は人型生物に酷似しており、その硬質化した皮膚は格闘術以外の全てを著しく減衰する効果があるようだ。
 どちらも使うのは独自の格闘術だ。大きさで勝る相手に格闘で挑むのは普通であれば無茶だ。
 しかし運よく鉄帝では今、自分の武器や技を拳に上乗せしたり、格闘技に変換する機械が存在する。
 それさえあれば、普段格闘戦をしない者では真正面から立ち向かえるだろう。
 武器も技も通じない時、最後に頼れるのは拳だという。
 その時が今……つまりは、そういうことなのだろう。
「普段やれない戦い方を試すチャンスでもあるです。ガッツリやってくるですよ」

GMコメント

己の拳を信じましょう。ただそれだけです。

●ナックルジェネレーター
あらゆる武器と防具、技が一時的に筋肉や格闘術に変換されます。
たとえばリリカルスターは「虹色の軌跡を残す小さなリリカルスター(拳)が対象を叩きます。」みたいになったりします。オラオラオラ!
この辺り、具体的に指定可能です。
※【なお、元から拳やら格闘で戦っている方に関しては大きな変化はありませんが威力が普段の10倍になります】

●敵一覧
・ライノファイター(30体)
全長2mのサイ頭の人型モンスター。
ライノナックル、ライノキック、ライノラリアットを使用します。
また場合により、上記の3つを組み合わせたコンボ攻撃も仕掛けてきます。
【ナックルジェネレーターを通さない格闘系以外の攻撃、武器は通用しません】

・ライノグラップラー
全長5mのサイ巨人。硬くて重くて強い重量級。
ライノナックル、ライノキック、ライノ百裂拳、フライング・ライノ・ボディアタックを使用します。
また場合により、上記の4つを組み合わせたコンボ攻撃も仕掛けてきます。
【ナックルジェネレーターを通さない格闘系以外の攻撃、武器は通用しません】

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • もう拳しか信じない完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年12月28日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

レッド(p3p000395)
赤々靴
郷田 貴道(p3p000401)
竜拳
志屍 志(p3p000416)
遺言代行業
咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳
日車・迅(p3p007500)
疾風迅狼
シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)
天下無双の貴族騎士
シャルロッテ・ナックル(p3p009744)
ラド・バウB級闘士
皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方

リプレイ

●己の拳に魂を込めろ!
「鉄帝の遺物から作られた発明品と周辺環境異変の関係性……これはもしや歴史的逸話がっす!?」
 ナックルジェネレーターを前に、そんな不穏なことを匂わせているのは『赤々靴』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)だ。
 勿論、匂わせているだけなので特に何かあるわけではない。
 ないが、そういうことを匂わせると後々ほんとに何か起きたりするのも鉄帝「らしさ」ではあるだろう。
「そんなことはさておき、なっくるじぇねれーたーっすか? なんでも拳に力を乗せる道具なんてすごーいっす。コレで暴れくるサイモンスターさん達を撃退してやろーっす! ……で、これ動作チェックしたっすか? 途中で壊れたりしないっすか? 虹色アフロになりはしないっすか? 大丈夫っすか?」
「虹色アフロか……いいな……」
 何やら不穏なことを言うレッドに研究員が反応しているが、大丈夫。
 これは爆発しないし虹色アフロにもならないしレインボーカラーで発光したりもしない。
 そしてレッドはナックルジェネレーターによって拳の力を一時的に手に入れる。
 さて、次は『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)である。
 ナックルジェネレーターを起動すると、瑠璃の射干玉が光になって身体に吸収されていく。
 そうして感じるのは、まるで鍛え上げられた刀のような筋肉の存在だ。
「無手での格闘術は学んでおりましたし今でも訓練はしておりますが、破落戸相手ならともかくきちんと訓練した戦士相手には試す度胸はありませんでした。それなりに避けられるようにもなりましたし、こういうお仕事ができるのは正直楽しみです」
 確かに自分の「射干玉」が此処にある。
 そう感じる瑠璃ではある……のだが。
「それはそれとして、この機械は依頼後には片づけたほうがよろしいのでは?」
 こんな危ない物は色々と「片づけた」方がいい気はバリバリにしている。
 ……そしてちなみに、武器など最初から持っていない者も存在する。
 たとえば『白百合清楚殺戮拳』咲花・百合子(p3p001385)である。
 百合子の武器は白百合清楚殺戮拳の理論と構えから生じる動きであり、元々武器など必要としていない。
 しかし、しかしだ。そんな百合子が興味本位でナックルジェネレーターを起動すれば、その筋肉が更に収縮し磨き抜かれ、美少女っぷりが上がるのを理解してしまう。
「力がみなぎるのは妙な機械の所為であろうか? 勝ってナンボ故、力は借りるがこういうのは地道に鍛錬してかないと体を壊す元だとおもう!」
 まさにその通りではある。これはあくまで仮の力。真なる美少女は機械では生まれやしないだろう。
 さて、同様に鳳圏に伝わる八閃拳や、同様に鳳圏に伝わる高速戦闘術『雷迅走破』の変化形である雷華閃光を武器とする『挫けぬ軍狼』日車・迅(p3p007500)も武器らしい武器など持ってはいない。
 当然ナックルジェネレーターを起動すれば、その内に荒れ狂う力……つまり筋肉の増加を自覚できていた。
「拳……それは我らヒトが生まれた時から備わっている解除不能の打撃武器。剣が砕け、魔力が尽きたとしても、この拳だけは最期まで一緒に戦ってくれる頼もしい存在です。しかしまさか拳しか効かない敵がいるとは……不思議な相手ですが、おかげで思い切り殴り合えますからとても嬉しいですね! 剣や銃を相手に拳で制圧するのも良いですが、やはり拳と拳のぶつかり合いは特別です!」
「うむ。拳以外通じぬ敵であるか! 吾もそういう体になってみたいものであるな! ステゴロ挑み放題ではないか!」
 迅に百合子も頷き、和気あいあいと語り始める。
 拳を武器にするものにしか分かり合えないものがあるのだろう。
「分かりますわ。拳と拳、筋肉と筋肉、そして力と力をぶつけ合う瞬間こそ至高の時間ですの!」
『青白い令嬢』シャルロッテ・ナックル(p3p009744)も同じ気持ちであったようで、ナックルジェネレーターでCrownless Queenを変換すると会話の輪に加わっていく。
 シャルロッテは肉体言語を主軸とするナックル家次期当主であり、令嬢だ。やはり拳には一家言あるようだった。
「うんうん、分かる! 凄く分かるよ!」
『正義の味方(自称)』皿倉 咲良(p3p009816)もまた、シャルロッテに同意する。
 咲良もまた、クラス「ゴリラ」であり、その身に纏うは乙女の勝負服と己の拳のみ。
「拳しか通用しないのかぁ…...! 元の世界では空手部女子だったアタシとしては腕が鳴るね! これってさぁ、なかなかない経験だよねぇ! よっし! 絶対にぶっ倒してやるぞー!」
 ナックルジェネレーターによって色々パワーアップを果たしてしまった仲間が多すぎるが、ちょっとモンスターが可哀想になってきたかもしれない。
「格闘術以外の攻撃を通さない敵か……これはまた、面白い敵に出会ったな。とはいえ、僕はいつもは武器を使うことが多いが武器無しでも十分に戦える実力を持っている。そのことをこの戦いで証明しようじゃないか」
 言いながら『チャンスを活かして』シューヴェルト・シェヴァリエ(p3p008387)が自分の武器を変換すれば、残るは『喰鋭の拳』郷田 貴道(p3p000401)のみ。
 仁王像みたいなポーズで敵を待ち構えている貴道に、研究員が「君はいいのかね?」と聞けば貴道はフッと笑う。
「ナックルジェネレーターだったか? 要るかよ、そんなもん。要するに風変わりな武器だろう、そいつは? ミーには拳があれば十分だ! 第一、武器持ち連中は別に普段通りの強さになるだけなんだろ、フェアじゃねえからな。てめえのやり方に拘れねえなら、実戦でボクシングなんざやらねえよ、HAHAHA! ……第一よ、ミーの拳が10倍になんてなっちまったら……他の連中なんざ要らねえぞ?」
 なんという自信だろうか。
 確かにそれだけの自信とこだわりがあれば貴道にはナックルジェネレーターは不要だろう。
 とにかく、これで準備は出来た。迫るモンスターたちに向けて、全員が不敵な笑みを浮かべる。
「拳しか通用しない敵、ねえ? 随分と、気合いが足りねえ奴等みたいだな。あ? なんでかって? 馬鹿野郎、相手が剣だろうが槍だろうが銃だろうがミサイルだろうが魔法だろうが、拳一つでぶち抜いてやるのが愉しいんだろうが。ハナっから保険かけて自分の土俵で戦おうなんざヘタレのやる事だ。デカいからどうしたよ? ミーは冠位魔種だろうが竜種だろうがコイツで挑んできたぜ、ずっとな!」
 そう研究員に伝えると、貴道はもう待っていられるかとばかりに走り出す。
 始まる。始まるのだ。鉄帝ステゴロ大会が……始まって、しまったのだ。

●拳だけが人生だ
「不意打ち騙し討ち、そんなつまらない事致しませんわ! 筋肉の前では正々堂々真っ向勝負でいきましてよ!!」
 叫ぶシャルロッテのリーガルブレイドブローが様子見にとライノファイターへ放たれる。
 そこから繋ぐコンボ……いや、繋がらない。粉微塵である。
 威力11750のボディブローが放たれれば、大抵の敵は粉微塵になる。仕方がない。
「なんてこと。でも、やはりアレは違いそうですわね……」
 シャルロッテが視線を向けるのは、この群れのボス……ライノグラップラーだ。
 そして、そんなライノグラップラーに向けて突き進むのは貴道だ。
「頭から落とすのはセオリーだ、雑魚の相手は後でいい!」
 なるほど、確かにセオリーだ。放つ大蛇槍はライノファイターに命中し、しかしライノファイターはよろけながらもプッと血を吐き貴道を睨みつける。
 ……だが、突破できないほどではない。貴道は止まりはしないのだから。
 そしてレッドは……どうやら、普段やらない感じの戦い方に戸惑っているようだった。
「普段やれない戦い方ができるのならえーっと……アイゼン・シュテルンパーンチっす! あ、あれ? あ! あーばばばっ! 手が勝手に動くっす! ぱ、パンチが! と、止まらないっす! ひぃぃい! 腕が疲れるっす……!」
 そう、降り注ぐは万物を砕く鉄拳の星。
 レッド百裂拳と呼び変えてもいいかもしれない。とにかくレッドの拳はライノファイターを大きく後退させ、しかしレッドも疲れてしまう。
「ぜぇはぁ、ぜぇはぁ……やはりボクに肉体労働はキツいっす。ココは殴るのを頑張るみんなを支援しに……歌を奏でて癒していこうっす! さ、さすがに回復技までなっくるじぇねれーたーで動くわけでは……ないっすよね?」
 コーパス・C・キャロル。普通であればそれは皆を癒す歌だ。
 しかし、しかしだ。
 ナックルジェネレーターにかかれば全ての技は格闘術になる。
 よってこの後のレッドの地獄は確定したが、さておこう。ムキムキィ・ムキムチ。
 本当にさておいて、瑠璃のようにナックルジェネレーターにより変換された力を使いこなしている者もいる。
「武術としては決まった型を持たず、普通に立っている状態から敵の死角――背後や体の影などの視界外を指しますが、当方では武器の間合いの外という意味合いでも使っております――に移動して打つ、と、言葉にしてしまえばそれだけの事になります」
 キックや貫き手、指を曲げた状態での掌打。クロスカウンターまで使いこなす瑠璃の所作は美しく、まるで武術の教導官のようですらある。
 瑠璃にかかれば【スーサイド・ブラック】も敵の攻撃を受けながらもその攻撃自体を遮蔽として貫き手を使うという技に早変わりだ。
 そうして「道」は開いていくが……まだ足りない。
 敵も拳のみを武器とする者たち。その命をかけてでも通しはしないという気概がある。
 だが……その壁に、百合子もまた突っ込んでいた。
「白百合清楚殺戮拳は理力の拳。無駄を削ぎ落し、時に体術により魔法の領域に踏み入れ殺戮に足る打撃力を生み出す拳法! 全盛期に比べればまだまだか弱き拳であるが……野生のみに支配された拳に負けるほどではないとも!」
 そう、百合子の白百合百裂拳がライノファイターを消し飛ばし、更に道を開いていく。
 すでに貴道はライノグラップラーとやりあっている。だが、恐らくはこのライノファイターたちを合わせたよりも強い。
 可能な限り早く援護に向かわなければならないのだ。
 だからこそ、迅もライノファイターへと果敢に襲い掛かる。
「手早く殴り倒させていただきます! 何せ30体もいますので!」
 まあ、だいぶ減ってきてはいるが……迅が至近の間合いまで距離を詰め、デッドリースカイで殴りつければ、威力31760を叩きつけられたライノファイターは空へ跳ね上げられた時点で、上空にて待っているのは確実すぎる死である。
 具体的に言うと汚い花火的なアレである。
 そんな中、シューヴェルトの凄まじい攻撃がライノグラップラーへの道を塞ぐ最後の1体を殴り殺そうとしていた。
「さあ、ただ格闘するだけでは手に入らない『斬撃』による痛みを知ってみることだな!」
 そう、シューヴェルトの技には格闘術も多いが剣術もある。
 そしてそれは、シューヴェルトの中で自然と「格闘術」へと変換されていた。
「まずはこれだ! 貴族式格闘術、蒼脚! そして喰らえ! 騎士式剣術、翠刃!」
 剣術……といっても剣は持っていないので手刀を剣に見立てた一撃である。
 剣となんら変わりないその一撃はライノファイターを切り裂き、大きな隙を作る。
「トドメだ、最後の一撃! 貴族騎士奥義、碧撃!」
 瞬間的に呪いの力を限界まで開放して放つ貴族騎士としての大技は見事にライノファイターを打ち倒す。
 そして……ついに道は開けた。
「HAHAHA、お先に始めてるぜ!」
 仲間たちの到着に貴道が笑う。
 なるほど、確かにライノグラップラーは強い。
 ナックルジェネレーターを通した攻撃ですら、それでようやくといったレベルかもしれない。
 しかし、しかしだ。
 此処にはいわゆる「戦士」が非常に多すぎた。
「強そうなライノグラップラーさんとはお話してみたかったんだぁ! せっかくだから、拳で語り合いながらね!」
 そんな事を言いながらガッツポーズを作るのは咲良だ。
「武器が通じないとが胸熱も胸熱じゃん! いいよいいよ! あたしそう言う少年漫画っぽい展開求めてたからさあ! うれしくてしかたないんだよね! 自分の正義のために殴りあおうよ! そこでわかる気持ちとかあるじゃん? アタシはその気持ちを知りたい!」
 言いながら襲い掛かる咲良の姿はまさにゴリラオブゴリラ。
「貴方は貴方に取っ手の正義があるかもしれない。でも、あたしもね、あたしの正義があるんだよォっ! だから、アタシは、本腰入れてぶん殴ることしか考えていない純粋な拳だけで殴り合いをしたいんだ!」
 本気を出して放つ拳はズガーン、という凄まじい音を立てて。しかしライノグラップラーは健在。
 ライノナックルで吹っ飛ばされた咲良は、楽しそうにニヤリと笑う。
「いいね! 女の子だからとか関係なく、本気の殴り合いをしてみたかったんだ!」
「お待たせしましたわ。うふふ、倒し甲斐のある肉体美ですわね!」
 そしてそこに更に襲い掛かるはシャルロッテ。
 リーガルブレイド(ボディブロー)からの淑女式パワーボム。
 全長5mのサイ巨人にパワーボムをきめるその姿は、まさに淑女。
 そして……態勢を立て直したライノグラップラーが見るは、百合子の姿。
 これまで使用していた「小百合」ではなく、使うは殺人剣の極意を瞬間だけ我が身に宿す「芒に月」。
 白百合百裂拳を連打し連続攻撃の破壊力で押し切る戦法であった。
 相手はライノグラップラー。
 真っ先に此処に来た貴道との激戦、そして怖い女子との二連戦。
 最後にとびきり怖い美少女が拳を振るう。
「どちらが強いか、どちらが格闘家として優れているかどうか理解させるにはどうすればよいと思う? 吾は、純粋な力押しで勝てないって思わせたら良いと思う! さぁ! その自慢の角へし折って床の間に飾ってやる故かかってこい!」
 叫び、百合子はライノグラップラーのナックルを真正面から受けてニヤリと笑う。
 そして放たれるは白百合百裂拳。
「ユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリユリィーーーーッ!!!!!!」
 吹っ飛ぶライノグラップラーは、まさに再起不能。
 残りのライノファイターも迅が倒し切り、死屍累々となった現場で、めっちゃご機嫌な百合子が笑う。
「吾は確かに最強であったが、最強など水物よ。地面を舐めて血を流しながら拳を握る事こそが美少女種族の本懐。故郷を離れて長らく経った今でこそ強くそう思うとは不思議なものよな」
「なんか分かる気はするな」
 百合子に咲良も頷き、シャルロッテはすでに研究員に詰め寄っていた。
「その攻撃が全て肉弾戦になるジェネレーターを全土に広めるようにお願いしますわ! これがあれば全ての人達と殴り合えますわ!」
 なんて恐ろしい事を言っているのだろうか。
 シャルロッテの野望が叶うかどうかは未来の鉄帝の良心にかかっている、が。
「何はともあれ、これで終了だな! HAHAHA!」
 そんな貴道の笑い声が響き、筋肉痛になったレッドが瑠璃に運ばれていく。
 そうして拳で語り合った戦場には、ただ爽やかな風だけが吹き抜けていた。

成否

成功

MVP

咲花・百合子(p3p001385)
白百合清楚殺戮拳

状態異常

なし

あとがき

ストリートファイトをイメージしてたらメトロな町だった件について。
ご参加ありがとうございました!

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