PandoraPartyProject

シナリオ詳細

春風に声を奏で

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●春風に声を奏で
 深緑に繋がる妖精達の国、妖精郷アルヴィオン。
 常春の穏やかな暖かさに誘われた小さな身体の妖精さん達が、花の香りや春の風を楽しむ為に、空を舞う。
 その舞い方はまるで、風と共に踊るワルツの様。
 妖精さん達の綺麗で透き通ったような歌声も相俟って、風と共に踊っている様な……そんな光景。
『~~♪ ラララ~~♪ ランラララー♪』
 嬉しそうに舞う妖精達は……完全に油断しきっている。
 ……でも、油断している妖精達を狙う影。
『……グルゥゥ……』
 どこかかから迷い込んだのだろうか?
 ……この妖精郷に居る筈のない、獰猛な狼のような姿をした、獣の群れ。
 妖精達はちょっと疲れたのか、花の上に腰掛けると、その小さな身体を支えてくれるような花をベッドにして、そっと横たわる。
 穏やかな気候が昼寝するにはとても良い温度なので、うとうととし始める妖精さん達。
 ……そこに。
『グガルゥゥゥ!!』
 獰猛な獣たちがは花畑を踏み荒らしながら、妖精さん達の下へと駆ける。
『キャーー!!』
 悲鳴を上げて逃げ回る妖精達だが、空を飛ぶより素早い彼らは跳ね周り……妖精達を次々と喰らって行った。


「イレギュラーズの皆さん。ちょっとお願い、聞いて貰ってもいいです?」
 と、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は、ギルド・ローレットを訪れる君達の裾を惹く。
 仕方ないなぁ、とユリーカについていくと……そこにはクルル・クラッセン(p3p009235)の姿。
「今日はですね、クルルさんから御話が来たのです! という訳でクルルさん、宜しく頼むのですよ!」
 と、ユリーカに促されたクルルが。
「えっと……こうやってお話しする側に廻るのって、何だかちょっと照れるわね……」
 少し頬を赤くしながらも、コホンと一端咳払い。
「集まって貰ったのはね、ちょっと嫌ーな話を聞いちゃったの」
 嫌な話、と言われた皆は、どういう話、と首を傾げる。
「妖精郷に、魔物の群れが迷い込んでしまったらしいのよ。そして魔物達は、妖精郷で平穏に過ごしていた妖精さん達を次々と喰らい尽くしちゃう……という話よ」
「妖精さん達からすれば、突如自分の身に降りかかった災難、って言う事になるわね? 妖精さん達が平穏に過ごしているのを、お腹が空いたから食い荒らしてやろうだなんてのを看過してみている訳にはいかないもの! でも私一人じゃとてもじゃないけど対抗しきれないから、みんなにも力を貸して欲しいな……って。平和に生きてる妖精さん達を守るのも、わたし達の仕事の一つでしょ?」
 とクルルの言葉にユリーカはこくりこくりと頷き。
「そうなのです! イレギュラーズとして、困っている人を見捨ててはいけないのですよ!!」
 ユリーカが目をキラキラと輝かせながら言う事を否定出来ない。
 そして。
「という訳で皆さん、宜しく頼むのです!!」
 と、満面の笑みで、皆を送り出すユリーカなのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 今回クルルさんの呼びかけにて、妖精郷で暴れる魔物退治をお願いしたい、という依頼です。

 ●成功条件
   『魔物』達を全て倒す事と、妖精さん達を守りきる事です。

 ●情報精度
   このシナリオの情報精度はAです。
   想定外の事態は絶対に起こりません。

 ●周りの状況
   妖精さん達が居るのは、チューリップの花が咲き乱れているお花畑です。
   妖精さん達はチューリップの花をベッドにしてうとうととしており、そこに魔物の群れが一斉に襲いかかってくる、という状況になります。
   皆さんが到着するのは、魔物が襲いかかる直前なので、叫んだり、呼びかける程度しか時間の余裕はありません。
   当然魔物達は、逃げ遅れた妖精さんを最優先に狙いますので、短い時間で妖精達をいかに早急に逃がすか、というのがポイントとなります。
   尚、妖精さんは30人位、チューリップのベッドでねむねむしてます。寝覚めは良い方らしいです。

 ●討伐目標
   敵の魔物ですが、口の中から燃え盛る炎を吐く事が出来る『ヘルハウンド』が10匹です。
   攻撃手段としては飛びかかって食らい付く(妖精さんをぱくりと食べたり、牙で噛みついてきたり)のと、業炎のBS付きの炎をを前方の扇状に吹き付ける攻撃の二つです。
   当然ながら炎が吹き疲れればチューリップもろとも妖精さんも焼け焦げてしまうので、どちらの攻撃も妖精さん達にとっては致命傷なのは間違いありません。
   尚、ヘルハウンド達の体力ですが皆様と互角に渡り合える位のタフさは持って居る様です。
   
   それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 春風に声を奏で完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年05月14日 22時02分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クロバ・フユツキ(p3p000145)
深緑の守護者
ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド
サンディ・カルタ(p3p000438)
金庫破り
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹
エリス(p3p007830)
呪い師
胡蝶(p3p009197)
クルル・クラッセン(p3p009235)
森ガール

リプレイ

●春風に身を任せ
 深緑に繋がる妖精達の国、妖精郷アルヴィオン。
 常春の穏やかな暖かさと共に、小さな身体の妖精さん達が、花の香りと春の風を全身で楽しむ……そんな風景が広がる、穏やかなる場所。
「うーん……」
 そんな穏やかな妖精郷を駆けながら、少し顔を悩ませていたのは、今回の依頼を持ち込んだ『森ガール』クルル・クラッセン(p3p009235)。
「ん……どうしたんや? クルルはん」
 その表情に気づいた胡蝶(p3p009197)が心配そうに声を掛ける。
「いや……依頼を持ってきたけど、本音を言うとネ? 弱肉強食も自然の摂理かな……とも偶には思うの。勿論それはそれとして、妖精ちゃん達を助けない理由にはならないかなーって」
 そんなクルルの言葉に、『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)は。
「自然の摂理かもしれないけど、でも妖精達を助けないなんて選択肢は俺にはない。絶対に助けるんだ……!」
 ぐっと拳を握りしめ、一際強く振り上げるサイズ。
 それに『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)も。
「うん! どこから迷い込んできたのかはわからないけど、平和に暮らしている妖精さんを守らないと! 妖精さんをいじめようとするなら、やっつけないと!!」
 サイズに呼応する様に拳を振り上げる。
 今回の依頼は正しく妖精郷に住まう妖精達を襲う脅威から守る事。
 その脅威は獰猛な狼のような姿をした、『ヘルハウンド』の群れ。
 勿論彼らが、元から妖精郷に住んでいるだなんて事……聞いた事も無い。
「つまりは妖精を喰おうとするヘルハウンドをぶっ飛ばしてきて欲しい、と……久しぶりにシンプルな依頼だな。まぁ……楽って程でも無さそうだけど」
 と『皆が無事であれと』サンディ・カルタ(p3p000438)が呟くと、それに『死神二振』クロバ・フユツキ(p3p000145)が。
「ああ……やれやれ、ホントピンチには恵まれているな、君ら! だが妖精郷をこれ以上好きに荒らさせるわけにはいかないな。喰われる側はお前たちというのを嫌という程わからせてやろうじゃないか!!」
「そうだな……かわいいレディに頼まれたんじゃ、断る道理もねーやな!」
 サンディとクロバの言葉に、クルルは。
「ありがとう。そうだね……泣いたり笑ったり、わたし達と同じように感情を見せる存在を、見捨てる事は出来ないもの!」
 くすり、と微笑むと、胡蝶も。
「そうやねぇ……でも、妖精はんからの依頼、彼女達が魔物に襲われるんは困るわぁ。ならばしっかり守れるように立ち回ろうかねぇ……依頼自体も久しぶりやし、無理せん程度に頑張ろうかねぇ」
「そうだね。今日も人助けのお仕事ー……がんばろーっ!」
 思いっきり気合いを入れるクルル。
 そしてイレギュラーズ達は……妖精達がすやすやと眠るチューリップのお花畑へと急ぐのであった。

●踏み荒らす者
 そしてチューリップ畑へと到着したイレギュラーズ。
 周りを見渡す限りは、特に何か変な感じも無いし……妖精達は当然、ヘルハウンド達が来るだなんて思ってないので、穏やかな気候に安らかな寝顔を浮かべている。
 ……そんな妖精達の寝顔に『魔風の主』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)が。
「花を寝床に眠る妖精達か……普段であれば、その可愛らしさに心を和ますところなんだけど。でもこんな状況じゃまた別の機会に、かな」
 ぽつりと零す。
 ……その言葉を聞いて、という訳ではないだろうが。
『ウォォォォーン……!!』
 そんなに遠くない所から、響き渡る獣の咆哮。
 その声の方向に視線を向けると……まだかなり遠いが、黒い獣の群れの影が、こちらへと駆けてきているのを確認。
「く、嫌な予感がして可能な限り急いだが……ギリギリだな。この刹那を制して、必ず妖精を守りきる!」
「そうですね。何とか間に合いましたから、急いで妖精さん達を助けないと!!」
 サイズと『呪い師』エリス(p3p007830)が頷き合うと共に、速攻で焔が保護結界を張る。
 チューリップ畑全部、とまでは行かないが、取りあえず妖精達が眠る範囲を保護する結界を展開し、被害を最小限にする細工を施す。
 そして、早速エリスが。
「みなさん、魔物が迫っています! 私たちが誘導しますので、こちらに来てくださーーい!!」
 と大声で叫び、起こす。
 突然叫ばれて驚いたのか、チューリップのベッドからぽとん、と落ちてしまう妖精さんやら、何なの、何なの!? と驚いて空を飛び跳ねる妖精さん。
 とは言えちょっと驚いた者の、周りをキョロキョロ見渡して、えっ、と……とイレギュラーズを視認し……僅かな間にクロバが。
「気持ちよく眠ってるところ悪いけど、起きろ! 起きてエリスの方に行くんだ! そうしないと、もう起きれなくなるぞ!!」
 妖精達を少し焦らせるよう、言葉を付け加える。
『えっと……あ、うん!!』
 そんなクロバとエリスの呼びかけに、少しばかりまだ寝ぼけているのもあるが、エリスの方へとふわふわーっと飛んで行く妖精達。
 妖精さんの数をカウントするが……まだ30人居ないので、更にチューリップ畑を走りながら、クロバ、そしてウィリアムが妖精をたたき起して、エリスの方向へと誘導していく。
 ……そうしている間にも、エリスの逃げた方向とは逆方向から駆けてくるヘルハウンドの群れ。
『ガルゥゥゥ……!!』
 ひらひら妖精が逃げていくので、軌道を変えて妖精を追尾しようとするが、そんなヘルハウンド達の真っ正面へと立ち塞がる。
「そこまでだ! ここから先には行かせない!」
 とサイズが声高らかに宣言すると共に、ヘルハウンド達へ名乗り口上で怒りをぐっと惹きつける。
 だがそれで全部が全部を惹きつけられた、という訳ではなく、逃れたヘルハウンドも数匹……だが。
「さぁ、早速だけどここから先には行かせはしないぜ!」
 更にサンディが名乗り口上を早速発動し、ヘルハウンド達へ宣戦布告、更に焔も。
「妖精さんを追いかけ回して、苛めるだなんて駄目だよ! そんな狼さん達は、ボクが許さないんだから!」
 とこちらも名乗り口上を叫ぶ。
 三人がそれぞれ怒り付与の行動を取ることで、怒りの付与漏れを幾重にも重ね、万が一、一つ抵抗されたとしても大丈夫な様に動く。
 そして怒り付与した仲間達の一方で、クルル、胡蝶の二人は。
「それじゃ、早速だけど攻撃をさせて貰うね!」
「そうやね。犬っころには悪いけど、これも依頼やからなぁ。手加減出来んけどごめんねぇ?」
 と言いながら、クルルが泣き叫ぶマンドレイクを叫ばせ、ヘルハウンドに纏めて麻痺の効果を付与。
 更に胡蝶は一端神薙で、最前線に並ぶヘルハウンドを薙ぎ払う。
 そして、取りあえずイレギュラーズの行動一巡した後、対しヘルハウンドの反撃開始。
 ただ、取る行動は知性的ではなく、目の前のイレギュラーズ達に鋭い牙で噛みつき、更に別のヘルハウンドは炎を範囲放射する。
 ……普通なら、その炎にチューリップ畑は焼け焦げるだろうが、先の保護結界のお陰もあり、ほんの僅かに焦げる程度の被害で済む。
「良かった、上手い具合に効いてるみたいだから、心置きなく戦えるね!」
 焔の言葉に頷くサイズ。
 そして次の刻、サイズは更に敵陣に深く斬り込み、ルーンシールドとマギ・ペンタグラムを続けざまに発動し、物理、神秘の攻撃に対する完全な壁となる。
 とは言えヘルハウンドの牙と炎はサイズに向けて集中砲火される事になり、多少なりとも疲弊していく……だが。
「俺は妖精を守る為の鎌だ! 喜んで猛攻を受けよう! だが只では喰われん! 携行品のタイヤでも喰っていろ!」
 いつの間にか持ち込んできていたスリックタイヤで炎を出来る限り軽減する。
 そして、ヘルハウンド達の応酬を一通り受け止めた所で、胡蝶がすぐにミリアドハーモニクスで回復していく。
 刻の経過と共にサイズは耐え続け、胡蝶が回復。
 更に他の仲間達がヘルハウンドの動きを監視し、決して妖精達の方向へと通さない様に動き回る。
 そのお陰で、クロバ、ウィリアム、エリス三人の妖精達の避難誘導は無事に完了し……そして三人も、戦列へと復帰する。
『グルゥ……』
 と、対峙するイレギュラーズが増えて、威嚇するように唸り声を上げるが。
「迷い込んできたとはいえ、ここは妖精の友が暮らす土地。お前達の狩り場じゃないよ。それでも暴れ廻るのであれば排除するまでだ……今度はお前達が狩られる番だね」
 とウィリアムがヘルハウンド達へ宣告。
『グガァアア……!!』
 勿論ヘルハウンド達は、一切引く様な意思は持ち合わせておらず、怒りの咆哮と共に左、右から次々と噛みついていく。
 それにクルルが。
「このままだと皆燃やされちゃうし、妖精ちゃん達も危ない目に遭っちゃう……だからお願い、力を貸してね!」
 と味方を巻き込まないよう、単体に向けてアルラウネの口付けを放つ。
 その攻撃を喰らうも、更に牙と炎で対抗してくるヘルハウンドへ、全て身を呈するサイズの覚悟の鉄壁。
「俺のせいで要請に被害が行くなんて、それこそ重傷を負ってでもごめんだからな! 絶対に通さない!!」
 その覚悟をサポートする様、胡蝶は回復に集中。
 そして、クロバと焔の二人がサイズが耐えきった脇より攻撃。
「食っていいものとダメな奴を見分けられない野良犬ってやつはさ、さすがに庇ってやれないんでね!」
 と昏ノ太刀・滅影から緋燕へと続け、敵を纏めて攻撃。
 更にウィリアムのチェインライトニングが識別と共に敵を後ろから薙ぎ払い、更にエリスもワールドエンド・ルナティックにて、仲間を識別で排除しつつ、敵範囲を一網打尽に仕掛けて逝く。
 そして、最後にサンディは、仲間の体力具合を見据えた上で、呪刻奪命剣を一匹をターゲットに放つ。
 その一撃により、やっと一匹倒れてくれる。
「ふぅ……こりゃ、一匹が中々しぶといってのは本当の様だな」
 と息を吐くサンディに、焔が。
「うん、そうだね! 後九匹……数を減らして行く方がいいかな?」
「いや、焔はそのまま範囲攻撃を続けてくれ。総じて体力を減らせば、後々倒すのが楽になるだろうからな」
「了解だよ!」
 サンディと焔の会話に従い、継戦。
 とは言え敵が動き回るのは厄介なので、クルルは。
「左側、ちょっと離れて!! そこに行くよ!」
 と声を上げて仲間達の移動を指示。
 仲間達が退避した所に、速攻で泣き叫ぶマンドレイクを鳴かせて、ヘルハウンドへ麻痺、呪縛、混乱……とその動きを大幅に制限する様に工夫。
 その間にクロバ、焔、ウィリアムの三人は昏ノ太刀・滅影、緋燕、チェインライトニングにより、敵の体力を総じて減らしていく。
 更にサイズは名乗り口上を適宜繰り返す事で、一時的にでもフリーになる様な事が無い様に叫び続ける。
 彼の疲弊具合はかなり重くなりつつあるのだが……でも、決して挫けたりはしない。
 そして、決死の覚悟で壁を務めつつ、一匹ずつ、確実に攻撃を繰り返すイレギュラーズ。
 妖精達を避難させて、二、三十分程が経過した頃には、10匹群れて居たヘルハウンド達も、残るは後2匹迄に減少。
「ここまで減れば、後は一匹ずつしっかりと張れば、逃げる事は無いでしょう……勿論油断は禁物ですが」
「ああ、そうだな」
 ウィリアムに頷くサンディ。
 そして8人のイレギュラーズ達は、4人ずつに別れ、生き延びていたヘルハウンドを包囲。
『グルゥゥウゥアアア!!』
 しかし彼らは獰猛に牙を剥き、決して尻尾を巻いて逃げるような事は無い。
「ある意味勇敢だな?」
 とクロバの言葉にも怒りの咆哮。
「まぁ俺の言っている意味はわからなくても構わないよ。ただ、本能で思い知れ……お前たちの命運を決めるのは、この死神(オレ)だってことをな!!」
 とクロバの神気斬界・暁焔が敵を一刀両断に斬り裂き……地へと臥す。
 そして……残る一匹へ、サンディの崩滅呪王。
 その一閃も又、敵の身を切り刻み……そして焔が。
「さー、これで最後だよっ!!」
 とデッドリースカイを穿ち……最後のヘルハウンドも絶叫の如く咆哮を上げて、崩れ墜ちて行った。

●春奏曲
 そして、ヘルハウンド達を全て倒しきったイレギュラーズ。
「ふぅ……終わったね。みんなお疲れ様ー!」
 と皆に労いの言葉を掛ける。
 それに、一番大変な役目を引き受けたサイズは。
「あ、ああ……何とか、終わったな」
 と荒い呼吸を整えていく。
 何はともあれ、ヘルハウンドを倒した事により、当面の間ここには平穏が訪れる事だろう。
「うーん……でも、倒したのはいいんだけど……この魔物、どこから入り込んで来たんだろう?」
 と焔が小首をかしげる。それにエリスが。
「確かに……そうですね。少なくとも元々此処に居たとは考えにくいですし……」
「そうだよね? でも此処、妖精郷にはそうそう簡単に入り込めちゃう場所じゃないと思うんだよね。それでもやっぱり、偶然に迷い込んじゃっただけ、なのかな?」
「ええ。私達がここ、妖精郷に来れるように、偶然に偶然が重なって入ってきた、と考えるのが普通かな、って思います……まぁ、ちょっと調べておく必要はありそうですが」
「だよねー……よーっし、それじゃちょっと調べて見ようか!」
 目を輝かせ、取りあえずは倒れたヘルハウンド達の死体を調べる焔と、それを手伝うエリス。
 そう二人調査している横で、ウィリアムと胡蝶は……周りのチューリップたちの被害状況のチェック。
 保護結界のお陰で、大きな被害には至っていないが……獣の爪後は色んな所に残っており、流石に被害は多少なりともある状態。
「んー……と、その辺り、ちょっと任せてもいいか?」
 とクロバの言葉。
 頷くと共に、クロバはクルルと共に、妖精さん達が避難した所へと向かう。
『……あ!』
 そして、イレギュラーズ達が来ると共に、目をキラキラと輝かせて飛んでくる妖精達。
「大丈夫ー? 怪我はないかなー?」
 と笑顔で声を掛けるクルルの頭の周りを飛び交う妖精達。
『うん……大丈夫ー。えーっと、本当に、ありがとー!』
『命の、おんじんー! 本当、頼りになるのー!』
 そんな妖精達の声を聞いていると……こちらも又、嬉しくなる。
 そして、すっかり安心しきった妖精達を連れて、チューリップ畑へと戻ってくるイレギュラーズ。
 仲間達がある程度修復してくれたので、妖精達は。
『チューリップ、守ってくれたのー。ありがとー!』
 と、とっても嬉しそう。
 そんな妖精達にクルルは。
「そうだよね。こんな素敵なお花畑だもの。荒れ放題にされちゃったら一大事だものね!」
『うんー。そうなのー。チューリップ、包み込むようで、気持ちいいんだよー』
「そうなんだね、ふふふ……良かったよ」
 微笑むクルル、それにクロバが。
「でもまぁ……チューリップに寝そべったままだと、こう言う事がまた起こるかもしれないしな……安心して寝れるように、ツリーハウスでも作ろうか?」
『ツリーハウスー? ……うん、ありがとー!』
 満面の笑みで、クロバに頭を下げる妖精達。
 ……そして妖精達の為にツリーハウスを作るクロバと……その間、妖精達と暫しの交流を楽しむイレギュラーズなのであった。

成否

成功

MVP

ツリー・ロド(p3p000319)
ロストプライド

状態異常

なし

あとがき

小さな身体の彼女達ですから、大きな獣さんには無力でしたが……皆様の徹底的なブロック・マークのお陰もあり、全員無事となりました。
妖精郷の救世主の皆様、ありがとうございました!

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