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シナリオ詳細

高き山に荒ぶるココロ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●高き山に荒ぶるココロ
 鉄帝国北部に広がるヴィーザル地方。
 その一角に広がり、古くから牧歌的な雰囲気が漂う地方『ハイエスタ』には、春先の強い風が吹きすさぶ。
 そんな風は、ハイエスタの草原に芽吹く草木を振るわせ……更に。
『ヒ--ハー-!! 今日も良い風が吹いてるぜぇ!!』
 羽根を背にはやした、この地でみかけることは珍しい飛行種の男達が徒党を組んで、その風に乗るのを愉しんでいる。
 ただ、風に乗るのを愉しんでいるだけならまだいい。
 奴等は風に乗ると共に、まるで暴走族の如く周囲に騒音を撒き散らし、さらには目についた村や町を襲撃し、金目の物、食べ物、なんとなく気に入ったもの等を私利私欲を満たす為に奪い去るという……迷惑な事この上無い事ばかり。
 そんな彼らが襲撃する際に叫ぶ言葉は。
『ヒャッハー! この『ルフレーネズ』の前には無力だなぁ! 死ね、喚け、そして、苦しめぇええ!!』
 ……そんな彼らの傍若無人な振る舞いに、ハイエスタに棲まう人々は日に日に不安な夜を過ごすのであった。


「あー、イレギュラーズさん、ちょうど良い所に来てくれたのです!! 早速なのですけど、手を貸してほしいのですよ!!」
 と、キミ達を見るなり手を引いていく『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)。
 何やかんや流されるまま、ギルド・ローレットを訪れたキミ達を集めた彼女は、ふふん、と振り返ると。
「今日イレギュラーズの皆さんに集まって貰ったのは他でもないのです! 早速ですけど、皆さんにはヴィーザル地方にはびこる悪を退治してきてほしいのです!」
 ずびしっ、と指を立てる。
 そんなユリーカの言葉に、ノーザン・キングス……と頭が過る。
 だがユリーカは構わず。
「そうなのです! 皆さんももう知ってると思うのですが、『ノーザン・キングス』という、鉄帝国に叛乱している奴等が居るのですよ! それで今回もそんなノーザンキングスに肩入れしている高地民族『ハイエスタ』の『ルフレーネズ』という一族を倒してきてほしいのです!」
「この一族なのですが、この地ではちょっと珍しい飛行種の落ちぶれた者達の様なのです。まさしくやっていることは暴走族と変わらず、騒音を撒き散らして、たてつく奴には力尽くで言う事を聞かせる。そして欲しいものは全部奪って行く、という極悪非道な奴等なのです」
「それに春先のこの季節、高地であるハイエスタには強い風が吹いているのです。彼らはその風を上手く利用し、『今我らこそ最強!』とばかりに悪事を謳歌している……という訳なのです!」
「彼らがこのまま暴れては、周りの人達も安心して生活が出来ないのです。だから、今のうちに『痛い目』にあってもらって、更生を促してほしいのです。イレギュラーズの皆さん、よろしく頼むのですよ!!」
 と、ぐぐっと握りしめた拳を振り上げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 春の嵐が過ぎ去り、桜の花も舞い落ちた今日この頃に傍迷惑な暴走『ハイエスタ』達の討伐依頼です。

 ●成功条件
   『ハイエスタ』の高地を我が物顔で飛び回っている『ルフレーネズ』飛行種の若者達を討伐することです。

 ●情報精度
   このシナリオの情報精度はAです。
   想定外の事態は絶対に起こりません。

 ●周りの状況
   舞台は春先の『ハイエスタ』高地です。
   草原が広がる中に、所々に古城、さらには村や町があるという牧歌的な光景が広がっています。
   ただ春先という時候柄、高地にはかなり強い風が吹き荒れています。
   飛行種の彼らは、その風に乗って飛び回っており、ちょこまかと動き回るので、回避率はかなり高い様です。
   ただ、あまり頭は良く無い様で……簡単な挑発には乗っかりますし、自分達を誇示するように大変煩く騒ぎ立てます。
   しかし熱しやすく冷めやすいので、その辺りを利用して引き付けるのが良いかと思います。

 ●討伐目標
   敵となる飛行種の数は25人ほど。
   かなり若い飛行種達が群れているので、まさしく暴走族的な集団かもしれません。
   武器として利用するのは、片手で取り回しのしやすい長剣や槍などで、ヒットアンドアウェイの攻撃方法を軸としてとってきます。
   回避率は高いのですが、その代わり体力は並程度、といった具合です。
   また、バッドステータスの怒りについては聞きやすい様ですが、すぐに怒りも忘れてしまう様で解除も早い様なので、怒りで引き寄せ続けるとなると、一工夫必要かと思います。

   それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 高き山に荒ぶるココロ完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年04月11日 21時55分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
華蓮の大好きな人
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
シャノ・アラ・シタシディ(p3p008554)
魂の護り手
藪蛇 華魂(p3p009350)
殺した数>生かした数
ヴィリス(p3p009671)
黒靴のバレリーヌ

リプレイ

●狂い飛ぶ者
 鉄帝北部に広がるヴィーザル地方。
 広大な草原が広がり、牧歌的雰囲気が漂うこのハイエスタ地方には、春先となり春一番の如く、強い風が吹きすさんでいる。
 ……そんな牧歌的雰囲気にのんびり出来るか……と思ったのもつかの間。
「……今回の相手は、ハイエスタの不良集団でしたか……」
 眼を閉じ、口を真一文字に閉じる『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)。
 それに『殺した数>生かした数』藪蛇 華魂(p3p009350)が。
「ンフフ……春になると変なのがたくさん蠢くようになりますからねぇ……いけませんねぇ……」
 と不敵に笑う。
 二人が躱す言葉の通り、今回の相手はハイエスタに現れた『ノーザン・キングス』に与する一派が相手。
 羽を背に生やした、この地では珍しい飛行種の男達……彼らは自分達を『ルフレーネズ』と名乗り、傍若無人にこの地で暴走しているという。
 ……そんな飛行種の起こした事件という事に、同じく飛行種である『新たな可能性』シャノ・アラ・シタシディ(p3p008554)は。
「全、奴乗、春告、風、可哀。同、ヴィーザル住、飛行種、迷惑。早、退散、願」
 独特な話し方ではあるが、その表情からは『本当にいい魅惑だ』と言った感情が見て取れる。
 そんなシャノに『医術士』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)と『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)も。
「そうね……わたしは春の海が好き。いつもは冷たい海が暖かくなりはじめて、楽しくなるから。春の風は次に好き。風が運ぶ若草の匂い、新しい命の匂い……で? 今回のうるさい連中は何? 気分、ぶち壊しじゃない!」
「そうなのだわ。若さを爆発させるのは結構な事だけど、迷惑をかけすぎだわよ! 若気の至り……で許されるにも限度というものがあるのだわ!」
 確かに今回のノーザンキングス達は、若い者達だけで構成されているという話。
 ……とは言えここまで傍迷惑な事をしている彼らをこの近くの村人達が指摘出来る訳も無い。
 だからこそ、イレギュラーズ達にこの依頼が舞い込んだ……とも言える訳で。
「取りあえず、今回はお馬鹿さん達を静かにさせればいいのかしら?」
 と『剣靴のプリマ』ヴィリス(p3p009671)小首をかしげると、『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377も。
「そうだね。飛ぶだけなら構わなかったのにね。メイワクが過ぎるし、徹底的に叩き潰して行こう!」
 笑みと共に気合いを入れるイグナート。
 そして雷はただ前へ』マリア・レイシス(p3p006685)と華魂も。
「本当、困った連中だな……きついお灸を据えてやらないとな」
「ええ……少々熱いお灸を据えて差し上げなければなりませんねぇ……惜しむらくは私は怒りを付けられるスキルを持ち合わせていない点でございますが、このナリです。ヒョロくてすぐ倒れそうな三下臭のする中年がのこのこと歩いていたら、血気盛んな若者は進んでターゲットにして下さると信じておりますよ」
 と、華魂はそれだけに留まらず。
「それに小生……飛行種の解剖サンプルをまだ持っておりませんでしたねぇ……目か翼でも採取出来たら……」
 更に笑みを浮かべた華魂。
 ……それにオリーブは。
「一応今回は、更生を促して欲しいという話ですから……殺すのはできるだけ止めておくべきかと。まぁ……奴らが人を殺めるという一線を越えていなければ、ですが。取りあえず、全員倒して、その自尊心を粉々にする事から始めましょう」
 ……どちらも中々恐ろしい事を口にしているけれど……兎に角イレギュラーズ達に課せられたのは、『ルフレーネズ』達を倒す事。
 勿論可能ならば、更生を促す方が、この先良い事態になるかもしれないという言う願いもあるのだが……それは出来ればの願い。
「それじゃ、皆、行くのだわよ。取りあえず、五月蠅く騒ぎ立てている所を探すのだわ」
 と、華蓮の言葉に頷き、イレギュラーズ達は草原を歩き始めた。

●我が物風
 そしてイレギュラーズ達はしばし、草原を歩く。
 ……すると、程なくして。
『ヒーーハー-!! 今日もいい風が吹いてるぜぇ!!』
 と、大声を上げながら、空を我が物顔で飛行している若者達の声が、遠くの方から聞こえてくる。
 間違いない……彼らこそ、このハイエスタで最近暴れ回っている飛行種『ルフレーネズ』の一族。
「本当、煩い奴らだネ。他者への迷惑なんて、全く考えて無いのかな?」
 とオリーブがはぁ、と溜息を吐くと、それに頷きながら、シャノは周りをきょろきょろ。
「……声、方角、指」
 声のした方角を指さすシャノ、それに皆も従い、その方角へと共に向かう。
 そして……行き着いた所には、若者達が他社への迷惑を顧みずに、空で踊り狂っている姿。
 大声を上げ、地面すれすれに飛んだり、空高く飛んだり、と……この近くに棲まう人達からすれば、暴走族の如く、迷惑なことこの上無いだろう。
 ……そんな飛行種達に向けて、敢えてマリアが。
「君達! バカな真似はもう辞めたまえ!」
 と大きな身振りで声を掛ける。
 だが、マリアの言葉に対しては。
『はぁ!? てめぇ何言ってんだ! 俺達を邪魔する気かぁ!?』
『ふざけんてんじゃねぇよ。俺達がいい気持ちで飛んでるだけなのによぉ!?』
 25人という集団心理もあってか、諭すマリアの言葉に罵詈雑言を返してくる。
 でも……そんな若者達へ、更にマリアは真摯に。
「いいか、理不尽に他者に暴力を振りかざす者は、いずれより大きな暴力によって叩き潰されると相場は決まっている!」
 と言葉を付け加えるが……やはり。
『うるせえんだよ! てめぇら突然来るなりなんだぁ? ふざけやがってよぉ!』
『そうだそうだ! ま、殺しちまえば文句はねーだろ?』
『だな……って訳でまぁ覚悟しろや!』
 更に苛立ち、空から急襲の急降下。
 ……そんな急襲に素早くヴィリスが反応。
「いい、空を飛んでても、こちらの攻撃は届くのよ」
 と、瞬きのタランテラを活用し、降りてきた敵に躍動的なステップで蹴撃。
『何っ!?』
 と、反撃を喰らうだなど思いもしてなかった彼ら。
 数体が彼女の一蹴に被害を受けるが、残りは距離を取ったまま一端停止。
 …ただ、ある程度距離は落としてきているので、そこにシャノが。
「風運、空避。狩人矢、獲物、届」
 と、イレギュラーズ達とは違う方角から、遠距離位置からのクリティカルスナイプで単体ながら高命中率の一撃で撃ち抜く。
 その一撃が羽根を射抜き、体勢を崩して地上へと落下していく。
 ……更なる仲間の被弾に、いい気になっていた『ルフレーネズ』の面々は。
『何なんだ、あいつら……』
『……もしかして、最近この辺りに出てきてるとか言う、イレギュラーズ達か? ……ったく、ふざけやがって……!』
 まるではめられた……とばかりに恨み言を呟くが、先ほどマリアの忠告を聞かなかった者の末路。
「そういう訳だ。さあ、大事になる前に、暴力というのがいかに恐ろしいものか教育してあげよう……」
「そうですね。イラッときたので、荒らぶらせていただきますね」
 マリアとココロがさらっと言い放ち、そしてそんな仲間達を補助する様に、華蓮が。
「さあ……皆が安心して、力を発揮出来るようにするのだわ……!」
 と仲間達に『それは舞い踊る天使のように』を発動し、強化を行う。
 次の刻、やはり先陣を切るはヴィリス。
「自分たちが楽しむのはいいけれど、人に迷惑をかけるのはやめなさい!」
 と、再度瞬きのタランテラで、地上近くの敵を次々と蹴撃。
 複数行動が発動した所に、更に。
「この騒音は余り好きではないのだけれど、合わせて踊って魅せましょう」
 と、再度瞬きのタランテラを重ね掛け。
 ……そんな彼女が踊りを踊るような攻撃手段に、ヴィリスは。
『何だこいつ、華麗に踊りやがって……ふざけてんじゃねえ!』
 軽く憤り、そして槍や長剣を手に、イレギュラーズ達にむけて反撃。
 ……しかしその攻撃を、オリーブとイグナードの二人が毅然と立ち塞がり、受ける。
「っ……結構すばしっこいみたいダネ。でも、動きが速いだけじゃやっていけないヨ!」
 と少しだけ嘲笑うイグナート。
 そしてオリーブが返す刀に、戦端を切り拓く。
 敵が突っ込んできた所に剣を叩き込む事で、敵の軌道を変えることで、敵の勢いを落とす狙い。
 それに逢わせるように、イグナートも敵の中で特に体力が減っているところに降魔烈火閃を飛び込みぶっ飛ばしていく。
 二人の攻撃に続き、華蓮とマリアが。
「本当……そこまではしゃげるのは、いっその事妬ましいくらいだわねっ!」
 と緑の雷を纏めて叩き込み、更にマリアも。
「さあ、人為的にお起こされる落雷を見たことはあるかい?」
 と天槌裁華の準備。
 そして二人の攻撃に、更に追加で。
「ふふふ! ルフレーネズかなにか知らないけど、どうやら君達は腰抜けの集まりのようだね! それだけの人数がいて、たった8人に向かってこられないのだから!」
 痛いところを突くように、あえて挑発。
『あぁ!? ふざけた事抜かすな!!』
 と、怒りを覚えた彼ら。
 更に華魂が。
「さてさて……医者ですからね。生かすのはお手の物でございますよ」
 と飛んでいる相手へディスペアー・ブルー。
 奏でる歌は、無数の少女が押し潰されるような苦しみの音色。
「医者ですから、殺すのはお手の物でございます。……箱の中には誰もおりませんよ? フフフ……」
 と、華魂の音色に耳を塞いだ所へ、シャノが。
「煩……。叫、喉、痛……?」
 彼らの五月蠅さに要らぬ心配をしつつ、ロングバレル・リコシェットで狙い撃ち。
 そして最後に、ココロは仲間達の具合を見た上で、体力が減っているオリーブとイグナートをターゲットにEmmanuelで回復。
 軽く頭を下げて感謝を伝えるイグナート。
 次の刻、ヴィリスは敵を見据えて。
「ほら、どんどん近づいてきなさいな!」
 と、また踊るようにしながら挑発。
『くるくると踊り回りやがって……ふざけんじゃねえ!』
 と返すが、更にココロも。
「そうですよ! こんな薄っぺらい水着を着ているわたしにびびって避けてるのかな?」
 と軽装をアピールしながら、神気閃光の一撃を叩き込む。
 ……そんなヴィリスとココロの言葉と服装に、くそったれ、とばかりに更に地上へと近づいてくる彼ら。
 そこに、マリアは紅雷瞬間広域放電で自己強化した上で、渾身の蒼雷式・天槌裁華。
 次々とその一撃に痺れて、地上へと落下。
 そしてそこへオリーブが。
「飛び立たなければ落ちた凧に過ぎません。舞い上がる前にその力を奪ってやりましょう」
 と痺れた状態の敵に、H・ブランディッシュを放つ。
 更にはイグナートが、何とか空に残った敵陣へ。
「ちょっとでも飛行種の誇りがあるのならかかってこいよ! 強く出れる相手に群がってる姿がまるでハエみたいだぞ!」
 と、彼らをハエ扱いにして、地面に降りてくるよう挑発。
 ……そして、華魂が。
「オペ中です、大人しくして下さい」
 と、錫杖を掲げ、何かぶつくさと唱えた刹那に、大蛇のような雷光を呼び出すチェインライトニング」。
 それで苦しむ敵に、華蓮が敢えて祈りの歌を奏、死なない程度に敵の体力を調整。
 ……そう、今回の重要な部分は、出来る限り敵を更生させる事。
 生かさなければ、更生の機会も無い訳で。
「そのままじゃ、更生の見込みは薄そうなのだけれど……やるべき所はしっかりとしないと、なのよ」
 とココロは呟きつつ、攻撃と回復のバランスを取る。
 そんなイレギュラーズ達の攻撃と、回復の二重奏の前に……ただ上空で煩く飛び回り、特殊な力も持たない彼らは満足に抵抗も出来ず、全て地にひれ伏すのであった。

●至苦の解き
 ……そして、数人を除き、対処を終えたイレギュラーズ。
 目の前には、何とか命だけは救われた『ルフレーネズ』達。
『……』
 と、正座させられた彼らはしゅんとなり……頭を垂れている状態。
 ……そんなルフレーネズ達に対し、少し厳しい表情で接する華蓮……ただ笑って優しくしているだけではママじゃないからこそ、時には厳しく。
「良いかしら? 世の中に不満が有るのなら、やる事は暴れる事じゃなくて、変える努力なのだわよ!」
 と説き伏せるが如く、まずは語りかける。
 更にヴィリスがそれに続いて。
「そうよ。あなたたちねぇ……楽しいのは分かるけど、人様に迷惑をかけてはだめでしょう? 自分たちだけよければいい、っていう考えだからこうやって怒られるのよ? 空を飛ぶのは楽しくて気持ちが良いのでしょうけど、もうちょっと考えないとね?」
 と彼らに問いかけていくスタイル。
 とは言え彼らにとって今迄続けていた事……一朝一夕で、その性格が直るなんて事は無さそう。
 ……とは言え真摯に説き伏せてくるイレギュラーズ達に、多少なりとも心が揺れつつあるのも事実。
 そんなルフレーネズに対し、マリアが。
「それほど元気が有り余っているのなら、私の領地で働きたまえ! 領軍か、VDMランドのスタッフか、好きな方で働くといい! 真人間に更生してあげよう!」
 更生の機会として、自領で働くことを提案するが、でも。
『で、でもよぉ……そんなの、したくねぇよなぁ……』
『ああ……だってよ、そんな人を楽しませるなんて事、したことねーもん……』
 ごにょごにょと不平不満を愚痴り続ける彼らは……正直な所、働きたくないオーラが全力で出ているような気がする。
 ……そんな正座している彼らの背後にそっ、と回り込むのはシャノ。
「……」
 そんなシャノの気配にも気付かず、更にヴィリスが。
「それじゃ、折角空を飛べるのだから、それをお仕事にすればいいのじゃないかしら? お詫びになっていいと思うの。地に足を付けて、ちゃんと働かないとだめだよね? ……私は、足は無いのだけどね!」
『……え? 足が、無い……?』
 きょとんとしている彼ら。
 ……まぁ、確かにじっと見れば、足が剣になっているのだが……ぱっとみた限りは太もももがあるから、そう思わないのも当然。
 そんなヴィリスの言葉にきょとんとしている彼らの正座する足を……つん、とつつくシャノ。
『あぎゃぁあっ!?!?』
 正座して痺れた足に外的刺激……突然の事に悲鳴をあげて、悶える。
「是、一種、仕置」
 とシャノは無表情で、その隣、さらにとなり……と次々と正座している足をつついていく。
 至る所で悲鳴が上がり、体勢をを崩す彼らにとって、血を流すのとは別の意味で、かなりのダメージが及んでいるのは間違いない。
 ……そして、一通り足をつついた後に、こほんと一度咳払いしながら華蓮が。
「いい? あなた達はこれから、どんなに時間が掛かっても良いから、壊したものは弁償して……困らせた倍の人数を幸せにするの! それができて、ようやくスタート地点なのだわよ!」
 と言うと、それにオリーブも。
「そうですね……本当なら、お前達の翼を切り捨てでも良いのですが、意向に従い更生を促しているのです。君達が迷惑を掛けた方々にわびをいれる事……それが条件です。やるなら自分も同行し、間に入るくらいはしましょう」
「そうなのだわ。最初は心ない言葉を掛けられるかもしれないのだけど……でも、あなた達が更生したいというのならば、私達が手伝うのだわよ」
 そんなオリーブと華蓮の言葉に……しばしの間ごにょごにょと会話する彼ら。
 ……そんな彼らの背後に、またすっと迫るシャノ。
『……分かったよ! ……分かったから! だから、やめてくれって!!』
 と、完全に先ほどのに怯えてた彼らは、地面に頭をこすりつける様にわびを入れる。
 そして……彼らと共に、まずは周りの村へ詫びに出るオリーブと華蓮。
 残ったイグナートは。
「でも、強風でぶんぶん飛び回るのは、メイワク行為が無ければ楽しそうだね?」
 と言うと、シャノはこくり頷く。
「折角だし、ちょっと遊んで行こうかな? 勿論、みんなにメイワクは掛けない様にね」
「同意。飛、楽」
 と二人は風にふわりと乗るように飛び回るのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ノーザンキングス依頼に参加頂き、ありがとうございました!
春の嵐に暴走する飛行種、という事で……近くに暴走族ならぬ暴走種がいたら迷惑だろうなぁ、と改めて思いました、まる。

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