PandoraPartyProject

シナリオ詳細

マッチョラゴラを収穫しよう

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 それは正に筋肉だった。
「マッチョ」
 そう、マッチョである。
 姿形は筋骨隆々の益荒男。むくつけき胸筋をサイドチェストでアピールする物もあれば、オーガの顔を思わせる逞しき背筋をバックダブルバイセップスで表現する物もあった。
 ちなみにサイドチェストもバックダブルバイセップスも、筋肉をアピールするポージングの一種である。
 筋肉。むさ苦しいほどの筋肉。
 そしてほぼ全裸。
 身につけるのは黒いビキニパンツのみ。
 盛り上がった筋肉はオイルでテカり、剃りあげた頭は葉っぱ以外何も生えてない。
 そんな風に見える何かが、足首辺りまで地面に埋まった状態で、マッチョマッチョと鳴いていた。
「率直に言ってキモいですね」
「お気づきになられましたか」
「そりゃ気づくでしょう」
 壮年の紳士姿に見える男性にメイド姿の女性が冷たい声で返す。
 男性の名前はヴァン。魔法使いであり資本家であり発明家であり商会主である。
 女性の名前はリリス。ヴァンの共同出資者である。ちなみにメイド服なのは趣味だ。
「新商品の材料を見せたいとの事でしたが、アレですか?」
「ええ。ちなみに、マンドラゴラの伝承は知っておいでですか?」
「それは魔法的な、という意味で?」
「ええ、そうです」
「それなら知ってます。無実の罪で断首された男性の血と精から生まれるというヤツでしょう。引き抜く際に叫び声をあげ、聞いた者は死ぬとか」
「それから発想を得て作ってみたのがアレです」
「アホでしょ」
 断言された。
「それは早計というものです。まずはアレの効能を聞いて下さい」
「効能?」
「ええ。滋養強壮に効き栄養抜群。貧弱な坊やも飲んでいく内にみるみるマッチョに」
「それ口にしたらいけない成分が入ってますでしょ」
「大丈夫。うちの使用人に飲ませたら生き残りました」
「生き残るのが最高ラインですの? それ以前に、アレを食べたいとは思いません」
「問題ありません。煮汁を飲みますから」
「煮汁」
「はい。リンゴのような爽やかな甘みと香りがします」
「……」
 大きな窯で煮られるマッチョラゴラの集団を想像したリリスは眉を寄せると、ため息交じりに言った。
「まぁ、貴方の作る物ですから、有効な物なのでしょう。それで、何で私を呼んだんですの?」
「収穫手伝ってくれません」
「嫌です」
 即答だった。
「何故です」
「答えないと分からないほどアホですの? あんな気持ち悪いのに触りたくないからです。貴方の所の使用人にさせればいいでしょう」
「出来ませんよ、危ないじゃないですか」
「どういうことですの!?」
 頭痛を堪えるような顔で尋ねるリリスに、ヴァンは答える。
「いま見て分かるように、茎が地面から伸びているでしょう」
「……まさかとは思いますけれど、あの筋肉男みたいな部分のことですの?」
「ええ。大根とかと一緒です。ほら、大根も地面から伸びてる部分があるじゃないですか。より正確に言うと胚軸というヤツですが」
「そんな知識を披露しなくても良いですわ。それで、どう危険ですの?」
「茎の部分が熟すと地面から根っこを引き千切って自立して動くようになるんです」
「……つまり筋肉男な部分が勝手に動き回ると?」
「その通りです。それだけなら良いんですが」
「何ひとつ良くないでしょ」
 リリスのツッコミを無視してヴァンは説明を続ける。
「マッチョラゴラはマンドラゴラとは違い、マッチョの汗と涙を注いで作ったんですが」
「なんで?」
「無実の人間の首切るとか出来ないんで平和的にしようと思った結果です」
「……そこは良いんだけど、それが何で危険に繋がるの?」
「新しく発芽するためにマッチョの汗と涙を求めて、近くに居る人間をマッチョにしようとします」
「……帰って良い?」
「最後まで聞いて下さい」
 逃げようとしたリリスの肩を、ぐわしっと捕まえヴァンは続ける。
「とにかく、熟したマッチョラゴラは近くの人間を囲んでエクササイズをさせようとします。ちなみに、囲まれてエクササイズを踊られると、強制的に踊ることになります」
「……それだけ? 他には何かないの?」
「もちろんあります。マッチョビームを撃ってきます」
「マッチョビーム」
 うんざりしたような声でリリスは言葉を繰り返す。
 そこにヴァンは続けて説明する。
「マッチョビームは当たると、一時的にマッチョになるか、ビキニ姿になります。人によっては、その両方の変化が起こる場合がありますが」
「なんで?」
「さぁ? こう、魔法的な何か不思議なパゥワーで、なんかイイ具合になるんじゃないですか」
「魔法使いが不思議パワーとか言うな」
 リリスのツッコミを聞き流し、ヴァンは続ける。
「そこまでは良いんですが」
「何ひとつ良くないでしょ」
「問題は収穫しようとすると激しく暴れるんですよ。これが結構強くって。だから貴女に手伝って貰おうかなと」
「嫌よ。貴方がすれば良いじゃない。出来るでしょうが」
「えー、面倒ですしー」
「知らないわよ」
「じゃ、どうすれば良いっていうんですか」
「他に頼れば良いじゃない」
「頼るって……例えば、どこです?」
 リリスは、ちょっと考えたあと言った。
「ローレットで良いんじゃない」


「マッチョラゴラを収穫して欲しいのです」
 招集されたイレギュラーズに向けて、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は依頼の詳細を説明してくれる。
「見た目はマッチョな男の人の姿をした魔法的な植物らしいです。収穫する時に暴れるので気をつけて欲しいのです」
 なんだそれ?
 聞いていたイレギュラーズは思ったが、口に出しても不毛そうなので止めた。
 そこにユリーカは説明を続ける。
「場所は幻想王国、西の湾岸の地域です。詳しくは地図で確認して欲しいのです。それと依頼人が現地で立ち会うそうなのです」
 詳細を聞いたイレギュラーズは、微妙に不穏な気配を感じながら現地に向かうのであった。

GMコメント

これはコメディ系シナリオです。

おはようございます。もしくはこんばんは。春夏秋冬と申します。
PPPにてGMとしての活動、二本目のシナリオになります。
少しトンチキな内容になっていますが、よろしくお願いします。
以下、説明になります。

●成功条件
 マッチョラゴラの収穫を完了する。

●方法
 マッチョラゴラと戦闘して勝利してください。
 戦闘でマッチョラゴラのHPを0にすると勝利できます。
 
●フィールド
 畑です。マッチョラゴラが生えてます。
 イレギュラーズとマッチョラゴラが暴れても支障がないほどの広さがあります。
 足場による戦闘時の支障もありません。

●マッチョラゴラ
 怪しい植物です。
 マッチョと鳴いたり、エクササイズと掛け声を掛けて来たりします。
 基本、笑顔です。基本植物なので、痛がったりとかしません。
 頭の部分に花が咲いていましたが、すでに受粉させて種を取得済み。
 シナリオ開始時は、足首辺りまで地面に埋まってます。
 その後、地面から足を引き抜いて動き出しますので、対処することになります。
 戦闘時には、10体以上との戦いになります。
 それなりに強いので、場合によっては普通に重傷になります。

 攻撃方法は素手による攻撃。
 ノリと勢いで足技を使ってきたり体当たりしてきたり騎馬を組んで突っ込んできたりします。
 攻撃は全て、有効射程は『至近』になります。

 特殊能力

 マッチョビーム 
 ポージングを取ることで放つビーム。
 当たると、一時的にマッチョになったり、服装がビキニ姿になったりします。

 マッチョエクササイズ
 囲んで踊ることで対象者にエクササイズをさせる。
 エクササイズ中は声を掛けてくれます。

 例
 筋肉が喜んでるよーっ。
 筋肉キレてるキレてる!

 特殊能力を使うのはボケパートだけです。戦闘パートでは使いません。

●依頼人
 ヴァン 依頼人その1 現地に居ます。
 リリス 依頼人その2 メイド服を着て現地に居ます。
 2人に声を掛けても良いですし、掛けなくても良いです。

●流れ
 今回は、以下のような流れで進みます。

1 コメディパート

 ボケましょう。
 マッチョビームに当たってマッチョになったりビキニ姿になったり。
 その恰好でエクササイズをしたり。
 ボケるのはちょっと、という場合は、少し離れた場所で皆の勇姿を生暖かい目で見つつツッコミを入れるなども出来ます。
 自由に行動してください。

2 戦闘パート

 コメディパートでボケ倒したら、戦闘開始です。
 マッチョラゴラを全て倒して下さい。
 なお戦闘開始時には、マッチョラゴラの特殊能力により受けた変化は元に戻っています。
 
●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 今回の情報制度はBになっていますが、ボケパートなどの柔軟性を持たせるためです。
 PCの行動次第でマッチョラゴラが書いてあること以外をする事が出来るようにするためです。
 ただ極端に公序良俗に反するものは不可に成りますのでご了承ください。

 説明は以上になります。

 それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリプレイに頑張ります。

  • マッチョラゴラを収穫しよう完了
  • GM名春夏秋冬
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年02月14日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者
飛島 飛鳥(p3p002704)
鴉羽
ロゼット=テイ(p3p004150)
砂漠に燈る智恵
ハンナ・シャロン(p3p007137)
風のテルメンディル
マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)
涙を知る泥人形
トスト・クェント(p3p009132)
星灯る水面へ
ネイルバイト(p3p009431)
筋肉植物の親友
マナ(p3p009566)
太陽の恵み

リプレイ

「……マッチョラゴラ……マンドラゴラではなく?」
 現地を訪れた『鴉羽』飛島 飛鳥(p3p002704)は依頼人に尋ねる。これに依頼人のヴァンが応えた。
「オリジナルをオマージュしつつリスペクトしてます」
「……オマージュってことは、オリジナルとは違うと?」
「それは――」
 事情を説明され飛鳥は返す。
「ふむ、流石に血とかを使うのはアレなのでマッチョの汗と涙で……。
 ………男性から献血をしてもらうとかではダメだったので?」
「死にたて新鮮な血じゃないとダメなので」
 ヴァンの応えを聞いていた『言霊使い』ロゼット=テイ(p3p004150)は、興味深げにマッチョラゴラを見詰める。
(なんか、同情の結果得体の知れないものが生まれている。技術はこうやって進歩してゆく……のかな?)
 小首を傾げながらも好奇心が湧き立つ。
(効能とかどうなんだろう? 変化してるなら変化しているで、何かの役に立つかも知れないし。変わらないなら変わらないで、つまり犠牲者のコストカットできるわけだし――
 あれ、けっこう、ちゃんとした成果なのでは? このマッチョラゴラ)
 ロゼットの考えている通りなのだが、それはそれとして見た目のインパクトや、その他諸々が酷い。
「……マッチョって、『マッチョ』って鳴くんだね……」
 ポージングを取りながら鳴いているマッチョラゴラを前にして、『よく食べる』トスト・クェント(p3p009132)は遠い目をして呟いた。
「や、一応プラントマスターの端くれとしちゃ魔法的植物は気になるんだけども、植物疎通って通じるのかな?」 
 彼のように困惑している者も居たが、感嘆したように声を上げる者も居た。
「まあ、何と見事な!」
 筋肉植物を前にして、『武の幻想種』ハンナ・シャロン(p3p007137)は感心したのか声を上げた。
「マッチョラゴラを見るのはこれが初めてですが、丹精込めてお世話された事が分かりますね! とても素晴らしいです!」
 そう言うとハンナは、苦汁を込めた声で続けた。
「ここまで育ったものを刈り取るのは心苦しいですが、これも生きるため……。薬を求める子供達のためにもあなた達の煮汁を使わせていただきます!」
 ベッドに横たわる子供達をイメージしながら、ぐぐぐっと握り拳を作るハンナ。
 すると応えるように鳴くマッチョラゴラ。
「マッチョ!」
 すっげー怪しい。
 それを見詰めながら、『泥人形』マッダラー=マッド=マッダラー(p3p008376)は謳うように言った。
「混沌ならこういうこともある、喜劇のストックはあって困らないからな!」
 泥の吟遊詩人としては、ネタとして使えそうな物を見逃す手は無い。
「さてさて原典のマンドラドラとの差異から話していくのが大筋としてあるだろうが、いやこのインパクトのある見た目はどういう風に語ればいいのか見当がつかないな」
(知り合いのプリンと似た何かを感じなくもないが、混沌では定期的に自然界由来のマッチョが生まれるのか?)
 どう物語として落し込もうか考える。
 そんな中、飛鳥は話を進めるように言った。
「ともかく、収穫を手伝ってほしいと……ふむ……」
 マッチョラゴラと仲間のイレギュラーズを見ながら依頼人に言うと、応えが返ってくる。
「お願いします」
「まぁ、いいですけど……」
 気持ちを切り替えるように応えると、皆と共にマッチョラゴラの収穫をすることにした。

●みんなでボケよう 
 マッチョ達が地面から足を引き抜き、イレギュラーズ達に突っ込んでくる。
 熟したて、ぷりっぷりの活きの良さを見せるマッチョラゴラ達に、マナ(p3p009566)は元気よく挨拶した。
「わーっ! 君たちが人が育てた新しいお友達?」
「「「マッチョ!」」」
 掛け声合せポージングを取りながら応えるマッチョラゴラ達。
 これにマナは笑顔で応える。
「すごいねー! みんな挨拶できるんだ!」
「「「マッチョ!」」」
 恐縮です。
 とでも言うように、マナを囲みながらポージングを取るマッチョラゴラ達。
 なんだか会話が出来てる気がする。
 嬉しくなったマナは、笑顔で褒めた。
「おぉー! とっても太い幹と枝に根っこだねー」
 マッチョラゴラ達の、マッチョな体幹と腕と足を見て諸手を上げて褒めてあげる。
 するとマッチョ達は、お裾分けと言うようにビームを放った。
「およ? なになに? わきゃー!?」
 ポージングと共に放たれたビームに被弾。
 途端、ビキニ姿に包まれた均整のとれたマッチョ姿になる。
「……おぉ? おぉー! 私も太くなったー!」
 ぴょんぴょん飛び跳ねて喜ぶマナに、マッチョラゴラ達は彼女と並ぶように動く。
「なになに? せーの?」
 マッチョラゴラ達にマナは合わせていると、掛け声と共にリズムカルな踊りが始まる。
「マーチョ!」
「マチョ!」
「エクササーイズ!」
「えくささーいず!」
 まねっこをしながら一緒に踊るマナ。
「あはは! 楽しいね!」
 笑顔を浮かべているマナに、マッダラーが声を掛ける。
「いいよー! 上腕二頭筋活性化してるよ!!」
「ありがとー!」
 踊りながら笑顔で返すマナ。
 彼女の笑顔に手ごたえを感じながら、マッダラーは駆ける。
「味方のマッチョ姿をしたためるのが詩人の仕事! だが! マッチョを見れば声掛けをせずにはいられないな!」
 それと同時に、より多くの者達に伝えるために走り回る。
(女性陣には申し訳ないが市井の楽しみのための取材だ許せ)
 すると途中でマッチョラゴラ達に囲まれる。
「むっ、ビームを放つ気か」
 しかし余裕だというように言った。
「そんなもの喰らったところで泥の身体には影響ないと思うがッナイスバルク!!!」
 即座にマッチョ落ちするマッダラー。
「くっ、これは――なんという強烈なマッチョニズム、大腿四頭筋が膨らみすぎて巻いている包帯がちぎれそうだ」
「「「マッチョ!」」」
 称えるようにポージングするマッチョ達。
 マッチョ達に合せてポージングしながら、マッダラーは状況を確認する。
(能力の向上は感じられないところをみると、なるほど状態異常の一種か)
 エクササイズをしながら身体を動かして確認すると、今一番やるべき事を意識する。
「こんなことをしている場合ではない」
 マッダラーは言い切った。
「皆のマッチョに声掛けをしに行くぞ!」
「「「「マーチョ!」」」
 マッチョラゴラ達を率いて声掛けをしに走り出すマッダラー。
 その先では、マッチョラゴラ達と熱いぶつかり合いをする者もいた。
「ほう、このオレ、ネイルバイト様の肉体美を御所望とはてめェら分かってるじゃねェかァ!」
 マッチョに囲まれた『探偵軍大佐』ネイルバイト(p3p009431)は、臆することなく強笑を浮かべ迎え入れる。
「見たけりゃ見せてやらァ!」
 全力疾走でマッチョの群れにダイブ。
 マッチョ達は一斉に囲むとポージングと共にビームを一斉発射。マッチョになるネイルバイト。
「見晒せェ! 渾身のサイドチェスト!」
 それはまさに肉体芸術。 肉体美を損なわず纏うビキニは逞しさと共に美しさを盛り立てる。
 強化されたシェイプシフトも使い究極へと足を踏み入れた。
「「「マーチョ!!」」」
 称えるように囲み鳴くマッチョ達。
 そこにネイルバイトは語り掛ける。
「マッチョラゴラっつったか……よォオマエら、どんな女が好みだ?」
 それは言葉ではなく、強化した肉体言語による語らい。
 胸筋や大腿筋を収縮弛緩させることでマッスルモールス信号を成立させ筋肉で話しかけ、強化した植物疎通でマッチョ達の意思を汲み取る。
「なるほどオレのような女、か……」
 笑顔で応えるマッチョ達にネイルバイトも応える。
「どうやらオレとオマエらは親友のようだなァ……!」
「「「「マーチョ!」」」
 ネイルバイトに応えるようにマッチョ達は騎馬を組む。
「ふ、お前ら……とうっ!」
 ネイルバイトは跳び上がるとマッチョ達の身体を駆け昇り、ポージングを取りながら仁王立ち。
 そのままマッチョ神輿で駆け回る。
 そこにマッダラーの掛け声が。
「目を瞠るデカさだな!!」
 シェイプシフトで攻撃力の上がった胸部装甲込みで褒め称えた。
 みんなノリが好い。
 盛り上がるマッチョラゴラ達を見て、『心臓もさもさらしいわ!?』ヨハン=レーム(p3p001117)は得心した。
「ははあ、きんにくモリモリマッチョマンの変態。
 脳が理解を拒んでますが体を鍛える事は悪いことじゃないですよね!」
 見た目はフェミニンな可愛い系だが、生まれは鉄帝なので現状を受け入れる。
「良いでしょう、マッチョラゴラ。お前のマッチョバトル受けてたつ!!」
 真正面からマッチョの群れに突っ込む。
「きんにくフレンズになるべくトレーニングだ!!!」
 肉体言語を大いに発揮して、躍動感ある肉体でマッチョ達に語り掛ける。
「マッチョビームで来い!!」
 一斉に降り注ぐマッチョビーム。
 輝きに包まれそれが晴れたあと、何故か肉体美をメイドビキニめいた物で包まれていた。
 それを見て依頼人のリリスがポツリと呟く。
「これもアリですわね」
 なんか知らないがサムズアップした。
 こうして皆は、ノリ良くマッチョ達にぶつかっていく。
 のではあるが、全員が全員、マッチョに進んで跳び込むわけでもない。
「……いやいや、おれはほら神秘職なので筋トレとかは――わあ!!」
 マッチョ達に囲まれたトストは、マッチョ達がポージングを取ったので反射的に手にした木の杖――イルーシュカを盾にしてしまう。
 そこにマッチョビーム直撃。
 すると杖からマッチョの形をした芽が、にょるんと伸び出す。
「イルーーシュカーーー!?!? う、うちの子になんてことを!」
 伸び出た芽はポージングまで始める。
「うっ、杖までビルドアップしてマッチョ杖みたいに……こ、怖い……重い……」
 おののいていると、マッチョ達を引き連れたマナが笑顔で駆け寄ってくる。
「わー、ここにもお友達がいるー。きみも大きくなるの?」
 イルーシュカにマナが話し掛けると、マッチョな芽もポージングでご挨拶。
 何だかふわふわした和みのある雰囲気に包まれる。
 その空気に、思わずトストが気を抜いていると、いつの間にか囲まれていた。
「囲まれた!?」
 慌てて逃げようとするが、マッチョビーム一斉照射。
 マッチョ&ビキニ姿で筋トレをする事に。
「こ、こんなのおれのイメージじゃない~!」
 恥ずかしさを感じていると、マナが笑顔で一緒に筋トレを始める。
「私もするねー」
 2人で筋トレをしてるので、幾分恥ずかしさが薄れるトストだった。
 皆が次から次にマッチョにされる中、飛鳥は懸命に逃げ回っていた。
(なんか取り囲もうとしてきますが嫌な予感しかないのですが)
 追い駆けてくるマッチョ達を、ビームに当たる気満々な仲間の元に誘導する。
 誘導先はハンナ。
 元から囲んでいたのも合わせ、大量のマッチョビームが放たれる。
 直撃するハンナ。
「嘘……これが……私……?」
 自分の姿に、トゥンク、と胸を高鳴らせる。
「何年も剣を振っても少しも肉がつかないこの私に、こんなに見事なマッスルが!」
 目を輝かせるハンナ。
「見てくださいこの取れたて新鮮な肩メロンを! 長年の夢は今ここに!」
 世界に知らしめるようにポージング。
 称えるようにマッチョ達が鳴き声を上げつつポージング。
 それを見た仲間が声を掛ける。
「肩にリヴァイアサンが乗っている!」
 マッダラーは称賛を響かせるように。
「キレてるキレてる! 輝いてるよー!」
 飛鳥はマッチョ達と踊るハンナを盛り上げるように声を掛ける。
(あぁ……夢のようです)
 ハンナは声援を受けながら、自然会話でマッチョラゴラ達と意志を通わせエクササイズ。
「ハッスルマッスルです!」
 大盛り上がりだった。
 そんな中、ロゼットもビームの洗礼を受けていた。
「あ、これ動き易い」
 ブラが三つにパンツが一つの変則ビキニ状態になったロゼットは、マッチョ達とエクササイズをしながら感想を呟く。
「実際動きやすいから良いよね、この格好」
 猫のブルーブラッドな彼女としては、重いので動くとき服はそんなに好きではない。
(普段から脱いでたら変態なので、着るけれど)
 ついでに言うと、えっちぃので色々と問題が発生するだろう。
(えっち的な意味では大体けもせーふでいいんじゃないかな。まさか人外に興奮するタイプの変態さんはここにはおるまい)
 と思って周囲に視線を向けると、みんなマッチョに囲まれていてそういう次元では無かった。
「……よし、踊ろう」
 みんな踊っていて楽しそうなのでマッチョと一緒にエクササイズ。
 Iの字バランスもなんのその。液体かな? というような柔らかさを披露した。
 そうして皆がエクササイズを十二分に行い、清々しい汗が流れると――
「「「マーチョ!」」」 
 ごくろうさまでーす! というようにマッチョ達は鳴いて一端離れる。すると依頼人が言った。
「そろそろ収穫お願いしまーす」
 というわけで、収穫が始まるのだった。

●収穫(戦闘)
「それじゃ収穫しよう」
 元の姿に戻ったロゼットは、まさに獲物を狙う猫のように一端伏せて。
 尻尾をふりふり狙いをつけると跳び掛かる。
 一瞬で間合いを詰め、バーストストリームで刈り採った。
 戦端の口火が切られた所にヨハンが踏み込む。
「きんにくフレンズでも最後はバトルで決めないといけないのですね……」
 感傷は心の奥に。代わりに報いるための力を示す。
「僕の全身全霊のきんにくで相手をする事が彼らへの最後の手向け! さぁ行くぞ!」
 武装解放。
「寓喩偽典ヤルダバオト! その力を今ここに!!」
 高らかな呼び声と共に、力を現す。
「シリアスとトンチキの境界線! 我らが掴むは筋肉の栄光!! ヤルダバオト第一のページ!! イオニアス! デイブレイクーーッ!!!!」
 暁と黄昏の境界線が、刹那の栄光を味方にもたらす。
 護りの強化を得て、皆は積極的に前に出る。
「真の肉体の強さを見せよう、マッチョラゴラ君」
 間合いを詰め、肉薄する距離に踏み込んだマッダラーは、H・ブランディッシュを叩き込む。
 鋭い乱撃が、まとめてマッチョを切り裂いた。
 そこに間髪入れず追撃を放つハンナ。
「ビームの効果が切れて元に……儚い夢でした」
 残念だが、今は収穫に集中する。
「仕方ありません、お仕事の時間です」
 重心を落とし一足一刀の間合いを詰める。
 振るわれる殲刃神楽。
 これまで積み重ねた重みが刃に宿り、狩り採っていく。
 仲間が前に出てマッチョラゴラ達を一か所に集めた所で、トストは全力でディスペアー・ブルー。
 深海に誘うような魅了の歌に導かれ、マッチョラゴラ達は同士討ち。
 そこから逃れたマッチョ達が襲い掛かって来るが、動きを見極め距離を取る。
 それでも近付かれた相手には衝撃の青を撃ち放ち、間合いを詰められれば魔哭剣を振るい牽制した。
 イレギュラーズが優勢。
 だが数で勝るマッチョ達は構わず突進。
 そこに真正面からネイルバイトがぶつかる。
 序盤はキャタラクトBSを使いマッチョ達を翻弄するように動いていたが、やがて捕まり肉弾戦。
 それは肉体を使った語り合い。
 体力を削られ追い詰められながら、正念場で一歩前に。
「こっからオレの全力は始まるのさァ! 使うぜ“噛一重”!」
 体力が削られて初めて発動する噛一重が、戦闘巧者へと一段押し上げる。
「今までの殴り合いでオマエの動きは見切ったァ!」
 自身の速さの全てを威力に乗せてソニックエッジ。
 ボロボロになりながらも熱く戦う。
(あぁ、楽しいねえ)
 この世界に来た甲斐がある。
(クソ上官に指図される退屈な軍人生活なんぞより余程、この世界の方が――」
「楽しいねェ!」
「マッチョ!」
 拳と拳で語り合った。
 ズタボロになる中、マナが緑の抱擁。
 さらにヨハンが回復に動く。
「マッチョラゴラ、脳は筋肉だ。これも筋肉、これも筋肉。
 つまり僕はお前より賢い! ヤルダバオト第二のページ!!
 サンクチュアリ!!! 仲間の筋肉損傷を治癒しろ!!!!」
 これにより皆は癒される。
 そこからダメ押しとばかりに全力集中した神気閃光。
「ヨハァァァアアアン! サァァァンシャアアアアアイン!!!」
 一気に倒されるマッチョ達。
 残りを皆で手分けして止めを刺していく。
 飛鳥も飛翔斬で刈り採ると、マッチョ達は全て収穫された。

 戦い終わり運搬作業。

「……なんか、屈強な男の人を担いでるような……気分……どうなのこの絵面……」
 トストは運搬しながらイルーシュカを確認。
「ちゃんと元に戻った? 種とか紛れこんでないよね」
 問題は無いので安心する。
 そして収穫したマッチョ達をその場で調理する事を飛鳥は提案したが、器具が無いので無理とのことだった。
「煮汁だけでも持って帰りたい所だったが……」
 話を聞いたマッダラーは残念そうに言った。
 収穫終わり帰り際、ハンナが祈る。
「願わくば先程のエクササイズで流した汗が次代のマッチョラゴラの糧となりますように……」
「糧になりますよ」
 そう言うと依頼人のヴァンは種を撒く。
 するとにょきにょき伸びる新芽。
 それを見たマナは笑顔で言った。
「また遊ぼうねー!」
 そしてネイルバイトも続ける。
「さらばだ親友、旬になったらまた会おうぜェ……!」
 応えるように、風に揺らめく新芽達であった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

ネイルバイト(p3p009431)[重傷]
筋肉植物の親友

あとがき

皆さまお疲れ様でした。

皆さまのプレイングのお蔭で、締めの部分で新芽が発芽することになりました。
最初の想定ですと、収穫して終わり、という内容で締める予定でしたが、今回のような結末になりました。
それと今回は収穫が目的だったので、調理などは出来ませんでしたが、新規のシナリオでそういった物に関わる内容を出していこうと思います。
また、その内リクエストも受け付けられるようになりたいと思っています。

それでは最後に重ねまして、皆さまお疲れ様でした。ご参加ありがとうございました!

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