PandoraPartyProject

シナリオ詳細

クソデカイレギュラーズ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●情報屋キータはいつも大げさ
 とある晴れた日のこと。
 昼下がりの日差しはまぶしく輝き、この瞬間に限っては、幻想のローレットはひとときの平和を享受していた。
 あたりには香ばしい焼き立てのパンの匂いが立ち込めている。
 不届きなことに、昼間っからビールを飲んでいるものもいた。荒くれものたちはめいめいに嘘かほんとかもわからない自慢話や噂話に花を咲かせている。
「うーん……地下水路のネズミ退治かぁ……」
『お騒がせ』キータ・ペテルソン(p3n000049)は依頼書を眺めていた。
 情報屋として、依頼のチェックは欠かせない。
「不服かー? 小僧。大事なことだぞお~、下水があふれてきたらひどいことになるからなあ」
「ぎゃはは、いえてらぁな!」
 酔っ払いが笑い声をあげた。
「いやさー、大事なのはわかんだよ。でももっとド派手な一発でぶちあがる依頼はないもんかなってさあ、思うわけだよ俺は」
「まずはコツコツと地道なことからだ。ゴミ拾いでもなんでもな。俺が駆け出しのころはパンツでもなんでも拾って回ったもんさなあ」
「お前それ金策じゃないのか?」
 熟練の男の長話が始まりそうになった時だった。

 顔面がこれ以上はないほど深海のごとくにブルーな男が、時速100kmはあろうかという速さで扉を思いっきり勢いよくすさまじい速さで開けたのだ――!
「超ド級絶対巨大スライムが出たぞーーーー!」
「え?」
 なんて?
「クソクソたいへんだーーーー! 超ド級絶対巨大スライムが出たんだー!」
「おいおい、落ち着けって。超ド級にバカでかいって? そのスライムはそんなに国一つ飲み込むほど巨大なのか?」
 ん?
 違和感を覚えた冒険者は喉元に手をやった。なんだ、今の構文は……。
「いやそれほどぜんぜん期待してみればクソつまらないほど薄っぺらい雑魚なんだが!」
 ん?
「子供が一人人生で一番というほど驚いて転んでありえないほどのひどいかすり傷を負ってる! あとびっくりして猛犬が逃げ出した! あー、とにかくもう死ぬほど空前絶後で大変なんだ!」
 なるほど、これは……事件のようだ!

●まとめると???
「超ド級絶対巨大スライムが出たんだぜ!」
 キータはドーンと胸を張った。
「いや! ぜんぜん少しも豆粒の様に大したことはないんだけどな!
そのすごくすごいスライムについて言葉で少しでも触れようとすると! こんなふうにアホみたいに語彙が膨れ上がって国中を呑み込んでいくんだぜ!」
 わかりづらいので地の文で説明してしまうと、その「スライム」について話そうとすると、どういうわけか、表現だけが過剰になってしまうのだった。
「ひどいよな!? ローレットは情報を完璧に水も漏らさぬほど完璧に確認しようとして今すっげー面白くてたいへんなことになってるんだぜ!」
 ならば報奨金も1000000000000Gとかになっていないだろうか――なっていない……。なっていたとしても経費が999999999000Gとかかかるんだろう……。
「あ、その超超超超スライムが超すごいのは話の上だけだから、実際の超超超超超スライムはまあ……誰もが認めるほど平凡でその辺にいるようなやつでぜんぜん強くはないんだぜ! 50人くらいで囲んで一斉に叩いたら子供でも完膚なきまでにちりものこさずに勝てそうなくらいだぜ!」
……だんだんと舌を噛みそうになってきた。
「でも、このまま放っておいたら幻想が瓦礫まみれになってきっと被害者がたくさん出て国が滅びてしまうんだぜ! というか面白いことになりそうだから実物が見たいんだぜ!」

GMコメント

●目標
・超ド級絶対巨大スライム100000体を退治する

●登場
<超絶対巨大スライム>×100000体

・超超超ビル倒壊体当たり(ただの体当たりです)
・PHHHHHHHHH超強い弱酸性(のたうち回るほどのバカでかいとは言い難いごくささやかな反撃ダメージ)

~メタな解説~
5mスライムは普通の雑魚スライムなのですが、このスライムに関する事柄は【状況描写がやたらと大げさになる】というミーム汚染があります。
そのためローレットでも非常に困っています。
実際の大きさも人の子供くらいですし、数はせいぜいが20体程度でしょう。
これは描写が大げさになるだけで、実際は元気よく戦っていれば100体とか200体とか倒していけるので大丈夫です。

※※※その他※※※
描写が大げさになります。もしかしたら逃げる人々を五億人助けたりするかもしれませんが、あくまでもスライムの効果であって、事実ではありません。
報酬も普通です。

●場所
 幻想の超巨大な普通の町です。好奇心旺盛な人々が刮目していたり、逃げまどっていたりします。このままでは超スライムがあふれて幻想が300回滅んでしまう……!

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAAAAAAAAAAAAAAAAです。
 想定外の事態は億に一つも絶対に国中を探しつくしても起こりません。たぶん。

  • クソデカイレギュラーズ完了
  • GM名布川
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年02月15日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
フランドール=ジェーン=ドゥ(p3p006597)
パッチワーカー
ドゥー・ウーヤー(p3p007913)
海を越えて
フリークライ(p3p008595)
水月花の墓守
トスト・クェント(p3p009132)
星灯る水面へ
暒夜 カルタ(p3p009345)
花合わせ
レべリオ(p3p009385)
特異運命座標
ホロウ・ゴースト(p3p009523)
幽霊少女

リプレイ

●ドドドドドドイレギュラーズ爆速☆推参
「超ド級絶対巨大スライムだぁ?」
 光の速さよりもはるかに速い赤い翼が、きらりと空を切り裂いた。
『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)だ。
「この最強最速クソデカ猛禽バードのカイト様がとっちめてやろーじゃねーか!」
 きいん。
 カイトが翼を広げると、風圧で辺り一面が覆い尽くされる。クソデカスライムの攻撃は、ことごとく無力化されていった。
「なーに、どんな敵が相手だろうがこの街守ってやろうじゃね―か!」
 今、そこに圧倒的神話が生まれようとしていた。

 一人、また一人。
 伝説が此処に集おうとしていた。
「なーにが巨大スライムだ、こっちは世界一巨大なクソデカサンショウウオだからね!」
『よく食べる』トスト・クェント(p3p009132)がざっぱんと超巨大な水たまりから登場する。その胴体は人間だが、下半身はオオオオオオオオオオサンショウウオだ。
 津波のような波がうねり、スライムがことごとく流されていった。
 創世神話のごとき勢い。新たな文明が今、芽吹こうとしている。
 辺り一帯をぐるりと見渡し、全身が地上に現れると……地図の上には新たなトスト湖が出現する。
「スライムなんか街ごと一飲みに⋯⋯というのもアレだから死ぬほど頑張って退治しよ」
 あたりは前代未聞の大災害に阿鼻叫喚……というのはあくまでミーム上の話で、実際の光景はそこそこ平和なものではある。
 とはいえ、だ。
(聞いた通りの死者1千万人の未曾有の大災害、というわけじゃないにしろ、けが人や被害は出てるんでしょ)
 驚異的生命体は、息を深く吸い。
「安全な場所に逃げようね!!!!!」
 トストの大音声が、混沌世界中に響き渡った。

 大地が大きく揺れる。
 その声は、別の存在を呼び覚ます。
 山、ひとつ。いや……『水月花の墓守』フリークライ(p3p008595)がゆっくりと起動したのだった。
「……アレ?
スライム 超ド級絶対巨大」
 フリークライの演算機能が、この異様な状況を把握しようと絶え間なく動いている。上を見上げるとクソデカ猛禽バードが空を覆い尽くしている。
「カイト クソデカ
ナラ フリックハ ……銀河レベル!?」
 フリークライは気がついてしまった。
 まさしく、フリークライの巨体はこの世界すべてと言っても過言ではない。
「主! 主! フリック 銀河! フリック 銀河!?」
 これほどまでに立派になったフリークライを、Drこころもきっと熱烈に見守っていることだろう。
「ン。ソウイウモノダト理解シテテモ 言語機能 故障ミタイデ 不安ニナッタリ」
 なんたって銀河一つ分であるので、思想もデカい。
「一刻モ 早ク クソデカスライム 塵芥 フリック 攻撃機能 カツテノ聖戦デ 破損――聖戦 何? 聖戦 何!?」
 何を喋ってもクソデカ神話級の存在になってしまう。フリークライは雑念を全て焼き払うように首を横に振った。
「ダメ。ツッコミ 入レル 時間停止
気ニシナイ 気ニシナイ 気ニナル」
 フリークライは自身の身体に永住する猛禽に声をかける。
「不死鳥サン 危険 離レテテ……」
「俺か!? この最強最速クソデカ猛禽バードか!?」
「違ウ 不死鳥 違ウ
普通ノ 毎回クリティカル 青イ鳥」

「フラン50号だよ~」「フラン51号だよ~」「フラン52号だよ~」
 無数の『パッチワーカー』フランドール=ジェーン=ドゥ(p3p006597)。
 今フランに何が起きているのか、皆さんの中にイレギュラーズ動体視力をお持ちの者がいれば、それを察知しただろう。
 フランはただいつものようにフラフラと揺れているだけである。
 しかし、そこに今回のミーム汚染が加わると何が起きるのか。
 そう!普段の1億倍にまで達したフランのフラフラは音を超え光を置き去りにし、ついには時空の壁をも打ち破り、可能性世界の向こう側のフラン達を召喚するに至ったのだ!
「というわけで~」「101人のフランちゃんだよ~」「よろしくね~」

「うっひゃー、初めての依頼が10万体の超絶対巨大スライムなんてついてないなあ!」
『幽霊少女』ホロウ・ゴースト(p3p009523)は、ばらばらと倒れてきた五百トンのがれきをすり抜ける。
「あれ! あれが百万体のスライム!!!」
 シャオジーがぐっと指し示す先には巨大なスライムの津波があった。
「……敵は……超巨大で激しく攻撃的で天地を揺るがす存在のスライムが百万体?」
『海を越えて』ドゥー・ウーヤー(p3p007913)は首をひねる。目の前の光景と表現が全くもって一切合切一致しないのだ。桁も増えている気がする。
「……あれ、今何かおかしかったような」
「とにかく放っておくと幻想だけじゃなく混沌すら飲み込む超危険なスライムの軍団を今すぐどうにかしないと……」
「そうだよ! このままだと危ないね!」
「……やっぱり何かおかしいね?」
 首をひねるドゥー。
 心配そうな一般人に、ホロウはぐっと気合いを入れる。
「でもでも、心配御無用! なんたって、あの混沌で最強と悪名……もとい、名高い私達ローレット・イレギュラーズがやってきたんだから!」
 海と、山と。空を制したイレギュラーズに敵はない。
「頼りになる先輩達と、ビシッとバシッと駆除しちゃうよ☆」
「きゃうーん★ 先輩なんてとんでもないですぅ。2000年振りにスライムと戦うのですぅ。
カルタ、武者震いが過ぎて過振動によりソニックブーム放っちゃいますぅ……」
『花合わせ』暒夜 カルタ(p3p009345)はわざとらしく縮こまる。ほわほわした尻尾は画面全体の3分の100を占めていた。
 スライム。液体なのに個体、ゲルでゾルってのがまず有史以来の生命活動の至り、たったひとつの冴えた""正解存在""。
 カルタはそれを>>>知っている<<<側だ。
(ですので油断せず、石橋に発破をかけながら臨むのですぅ)
「表現が星より大きくなってしまうスライム、厄介というか面倒というか……
とはいえ戦闘能力自体は宇宙最強レベルなら問題はないな」
『特異運命座標』レべリオ(p3p009385)の張り巡らせた保護結界は、カイトのものと合わさり、幻想の領土全てを覆い尽くしてスライムの暴虐な体当たりを防いでいる。
「さっさと片付けて幻想を300回でも100万回でも救ってしまおうか」

●創世神話
 神出鬼没の神風に乗って、天より太陽が舞い降りる。
「空は俺のものだ!」
 もはや新たな伝説となったカイトはスライムの群れに突っ込んでいった。
 炎狩。
 太陽が落ちてきたと思わんばかりの限りない灼熱がスライムを溶かし尽くしていった。
「灰すら残らず塵になっちまいな!」
 おびただしいそれなりのスライムの群れがカイトに押し寄せるが、スライム5万体の攻撃はみじんもカイトには届かない。
「はっ!」
 舞うようにすれすれで避け、羽は多少も汚れることはなかった。
「10万匹だろうが100万匹だろうが、避けきってみせらぁ!」
 太陽を堕とすことなど、できるものか。
「一瞬でも油断するとこのスライムは俺達の四肢を砕き、家々を壊し、大地を揺るがすと聞いたよ」
 ドゥーは息をのみながら、熾烈な戦いをを見つめている。あまりに早すぎて人類の目には捕らえられないが、過酷な戦いが繰り広げられているはずだ。
「おっ、なんだなんだ、世界滅亡か?」
(野次馬さん達も百万人以上集まってる……)
 一応はスライムではあるが、その体液は骨すら残らない勢いで溶かすと聞いた。
(……絶対に油断はしないでいこう)
 くるりとシャオジーを振り返る。
「シャオジー、逃げられる?」
「任せて! 世界一周するくらいの勢いで逃げるよ!」
 ぱーっとすさまじい音速で駆け出すシャオジーに、ほっと一息。手持ち無沙汰な民衆は目を離すと無限に増えてしまう。
 なにか役割をお願いした方が良さそうだ。
「ついでに、応援してくれると嬉しいな」
「! まかせて!」
 ドゥーの詠唱により、超ベリアルインパクトが放たれた。大地が盛り上り、ぐらぐらと揺れる。幻想全てが隆起し、巨大なスライムを押し戻している。
「おおっ! 新しい神話だ!」
「野次馬の人はちゃんと国外逃亡してね」
 野次馬たちは言われたとおり、国境の外に逃亡していく。
(……実際そのくらいの魔術が使えるようになったらすごいよね)
 そうしたら、自分のことがもう少したくさんとっても好きになれるだろうか。

(フリック ヒーラーダケド スライム 肉ヲ切ラセテ骨ヲ断ツベキ 強敵)
 フリックの龍樹大鉄槌が持ち上げられ、空を二つに割る。
(残像 残スレベルデ 回避サレカネナクトモ街一ツ 押シツブス 限度ノ フリック 大火力デ 圧殺)
 全てを飲み込んだドゥーの土塊をひといきに。
……。
(エ。街一ツ 押シツブス? ダメ ソレダメ フリック ダメ 不可! 不可! 不可!)
 フリークライの頭に警告音が鳴り響く。フリックの攻撃はスライム1万体だけを狙って砂塵にした。あふれたスライムも、また。龍樹を思わせる威容によって圧殺される。

「フラン86号だよ~!」「93号だよ~!」
 101体のフランドールがぶんぶんとスライムを追い詰めていく。101体全てからの一斉の名乗り向上は恐るべき圧を持って押し寄せるスライムをせき止める堤防となっていた。
「さすがに100万体は手に余るだろう。加勢する」
 レベリオが駆けつけ、名乗り向上をあげる。ピンチに陥っていた市民1万人は馬鹿でかい声で礼を言って即座に見学席に押し寄せていった。襲うものを失ったスライムの群れが30万体、レベリオに押し寄せる。レベリオはきびすを返して逃げ出す。
 だが、それが狙いだった。
「……よし、狙い通りだ」
 森羅万象、同じように繰り返すだろう。個体差で追いつく速度には差が生じる。 そこを狙って振り返りざまに、レベリオは衝撃をたたき付ける。レジストクラッシュ。意志抵抗力をすさまじい破壊力に変換した一撃は大地を割った。
 ぴくりとカルタの耳がそちらを向いた。
 このスライムの群れは、世界一強そうだ。
(カルタシザーハンズ。人を愛そうとしても、この手では誰かを傷つけるだけ。悲しい女なのですぅ)
 でも物理無効で音速で動く最凶最悪のスライムならば……?
 その那由多の巨大な体で1ターン10秒で平均30000回の通常攻撃を繰り出すカルタのヤンデレじみたゴアでスプラッタな愛を……?
 受けとめてくれる……?
 可能性に気がついたとき、胸が高鳴った。
 スライム10万体はさざ波立ち、なんらかまずいことを察した。だが、遅かった。
 ライマン・アルファの森が揺れる。未来永劫に繰り出される一撃。質量を伴った残像がスライムをなぎ倒していく。再行動。再行動。無限にカルタは刃を振るい続けることが出来る!
 トストの湖底のともしびが、逃げ遅れた市民1万人を捕らえた。
 巨大な津波のような衝撃波が、スライムを銀河の彼方まで吹き飛ばした。
「よし……」
 トストは振り返り、構える。イルーシュカがあたりを覆い尽くし、フリークライの植物と混じって、巨大な森を作り出していた。
「森 フリック 森 森?」
「……なら、こうだ!」
 ロベリアの花が咲き乱れ、花畑を作り出す。
「酸の霧、スライムと反応して効果が上がるだろ!?」
 スライムは耐えきれず、溶け出していく。1万体のスライムがはじけ飛んだ。

●類い希なる聖戦
「へっ、行けるぜ!」
 カイトの一手、ハンズオブグローリーがべしゃりと大地を叩き潰す。風圧に耐えきれず逃げ出したスライム2万体。だが、キス・オブ・ストークが逃すわけはない。暗殺、というにはド派手な一撃で噴水のようにはじけ飛んでいく。
 暁天晨星を思えば、馬鹿でかい星がカイトの味方をしている。三億叉蒼槍がスライムをなぎ倒す。
「自陣営 ヒール可能 ヒール可能」
 フリークライのクェーサーアナライズが響き渡った。
「おっ、ありがとな!」
「クソデカ火力=燃費クリティカルリングモラエル級ノ 仲間 エネルギーチャージ
一刻モ早ク スライム 殲滅」
 これぞ、永久機関。
「まだまだぁ! 信頼する仲間と、応援してくれる奴等が居る限り敗けねぇぜ! 応援、よろしくなっ!」
「「「フランたちだよ~!」」」
 フラン101体が少しずつ体をずらしながらぐるぐると回り馬鹿でかい広場にスライムをおびきよせていく。
「いいかなー?」
「せーのっ!」
 フラン101人は、いっせいに煉気破戒掌を繰り出し、追いかけてきたスライムを景気よく爆発させる。
「よし……大丈夫そうだな」
 レベリオは構えを変える。
 レベリオのH・ブランディッッッッシュが多くのスライムを一掃する。
「いつだって特異運命座標の命は真紅(まっか)に燃えているのでござるな」

「うう、火力が全然ちっともゴミのように足りないですぅ~~~」
 イレギュラーズとしては若輩者……。仲間をカバーするどころかされる側の脳死フルアタ型。しくしく、うるうると涙に暮れる。
(論者からはボルタって呼ばれちゃいますなwwwんんwwww)
 大量のスライムに向かって、気丈な瞳を向ける。
「自分、不器用ですから。鉄砲玉として切り込むのがやくめですぅ。はやくします」
 運命力を信じ、ディスペアーブルーに希望を乗せ、ファイアフライで引き寄せた。
「当たってください。
ずっとカルタのターンの連撃だけが強みですぅ。
当たるんだよ!!!」
 カルタのターンは終わらずぐるぐると回り続け、宇宙が終わるまでスライムのターンはやってはこなかった。
「今なら……」
 ドゥーは死霊弓を向ける。
「これは、3億人の死者の怨念を束ねた一撃だよ……!」
 スライムの群れはずいぶんと極小になっていたものの、それでもまだ万といる。
 トストは後ずさりし、距離を保ちつつ巨大な虚無の剣を手にした。それでも、攻撃に飲まれて身体は微粒子レベルまで消失する。
「きゃあっ、トストさんっ」
「致命傷を食らったけどそんなのなんてことないね」
 しかし、消えたはずの身体はみるみるうちに傷は塞がっていた。
「この騒ぎを収めるためなら、何度倒れても蘇ってみせる⋯⋯両生類海種ナメると痛い目見るぞー!」
 ばっしゃんと水しぶきをあげ、トストはスティールライフで全てを干上がらせていく。トスト湖はすでに涸れ果て、跡地となった。
「言ったでしょ? 街ごと一飲みだってさ!」

「うんうん、いくよっ!」
 ホロウが超超超巨大魔弾をスライムに向ける。ビシバシと解き放たれる無限の魔力は、生まれたてのビギナーとは思えないほどの威力で成長して街を飲み込みスライムを焼いた。
「相手は超絶対巨大スライムなんだから油断せずにいかないとね」
「す、すごいぞ!!! あのルーキー!!!」
(ざくざくがんがん倒してけば、街の人達も安心するよね?)
 調子に乗って身動きのとれなくなっていた五億人がホロウの手によって活路を見いだす。
(そしたら私もヒーロー・イレギュラーズ? きゃあ! がんばろ!)

●新たなる時代へ
 暁天晨星。
 クソでかい星を背負ったカイトは再び太陽の如くにごうごうと燃えだした。

(……アレ?)
 フリークライはふと立ち止まる。
(フリック サッキ 思ワズ 主 思イ浮カベタ
デモ ソウナルト 主マデ オーバードライブ?)
「それも縁だよ フリック」
 見守る声は優しいもの。いつかのものとおんなじだ。
「というか、楽しそう。
せっかくだから、私もミーム汚染、満喫しちゃう」
 Dr.こころは微笑んで、いろいろな夢を乗せていく。
 フリックと一緒に空を飛び、この世の全てを探しに行って、メモリに焼き付いたまま、老いることのない少女は世界を駆けていく。
(主!? 主!?)
 その想像は寸分違いなく――いや、きっと誇張などなくたって「そう」なのだろう。
「言ウ! 主 生キテタラ 絶対 現状 楽シム!
イメージ暴走! イメージ暴走!
主 オ留守番!
主 オ留守番!
コノ上 想像デモ主 出張ルト フリック 超絶大混乱!」
 フィールドワークと称してどこまでも飛び出して、一番高い塔だとか。ひんやりした地面だとか。
 たのしいね、フリック、と言う声が聞こえた気がした。
(モシ今 植物疎通 使用 ドンナ声 聞コエルンダロ)
 クソでかい植物のざわめきでメモリがいっぱいになりそうな予感がしたので、シャットアウトする。
(シナイ。絶対 シナイ
フリ 違ウ)
「食らえ、私の超絶特大究極魔弾──!!」
 ホロウの一撃が、スライムを撃ち払った。燃えるカイトが隕石の如くそこに落下して……。
 どぶんと、全てのスライムを撃ち払った。

●終結
「フラン50号! 51号! 52号!」
 フランの姿がかすれていく。フラン101人の与太はこのスライムたちに支えられたものだったのだ。だからこそ、スライムが消えてしまえばフラン1~100号は耐えられない。
「「「またね~」」」
 ふらふらはいつもの速度に戻り、フランドールただ一人が残っていた。

「幻想の平和は俺たちクソデカイレギュラーズの手によって守られた!」
 カイトがゆっくりと舞い降りてくる。もうここには馬鹿げたミームも、なにもない。
「ミーム汚染がすごかったですねぇ。
感覚が抜けきらないままクソデカ語彙を使ってたら恥ずかしいので、控えめに報告しなきゃですぅ。
「謙虚さは大事よ」って母なる混沌(ママ)も言ってますぅ」
 カルタはうんうんと頷いた。
「卵の足りてないプリンみたいに脆いビー玉みたいなスライムに手も足も出ず、重軽傷者を出しながらも8人がかりでなんとか致命傷を負わせることに成功しました。爪楊枝にも失礼なレベルのクソザコナメクジよわよわカルタのせいですぅ……」
「補正 ナシ 補正……補正?」
「報告したとき、逆にこれも大袈裟なんじゃないかってならないだろね。写真でも撮るか」
 トストが手早くあたりを観察し、報告書に書き入れていく。
「うっ……超絶対巨大スライムを倒し尽くして悪が去ったら、街の人5億人くらいと…………あれ、街の人そんないなくない?10万体とか倒してなくない?さっきまで私………うわあああなんであんなノリできたの!恥ずかしい!!!」
「助けたのは事実だ。ほら、礼を言っている」
 がっくりとするホロウに、レベリオが慰めた。避難民……は億などはいないわけだけれども、それでも「ヒーロー」だったと請け負った。
「ナンダカ 超絶 疲労感」
 戻ってきた鳥さんを迎え入れるフリック。
「「フリックは真面目だね」ト 主 笑ッテソウ……」
「終わったね!」
 シャオジーが笑顔でやってくる。ドゥーはケガがないのを見てほっとした様子を見せた。
「なんだか夢を見ていた気分だよ……
でも普段は使わないような大きな数字とかすごい表現とか、楽しかった。……でも誰かの命がかかってる状態の時は困るなぁ」
「困ル フリックも」
「後片付けはきちんとしていこう」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

書いていてとてもとても超すごく楽しかったです。
ありがとうございました!!!

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