PandoraPartyProject

シナリオ詳細

神はぱんつに宿る

完了

参加者 : 48 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●お賽ぱんつ
「皆様皆様。昔からずっと気になっていたのですけれど」
 なんだかやけにしおらしく、『俗物シスター』シスター・テレジア(p3n000102)が耳打ちして聞いた。
「ギルオス・ホリス(p3n000016)様に下着をプレゼントすると運勢が良くなるって本当ですの?」

 ギルオスの名誉のため念のため言っておくと、そんな事実はさっぱり存在しない。世界を司る妖精さんがギルオスにぱんつを贈った枚数によって闇市でのレア入手確率が上がるシステムを構築しようとしたという噂はあくまでも噂にすぎないし、ギルオスシュートしたらレアが手に入ったとかいう報告だって実際には単なる認識バイアスというやつだ。

 ……けれども。
「わたくし、それに関連してこの前、素晴らしい話を思いついてしまいましたんですのよ」
 テレジアが悪どいハムスター顔をした。
「この噂、特異運命座標だけで独り占めするのは勿体ないですわ? 人は、それが迷信だと解っていても幸運のため何かにすがりたいもの。わたくしも修道女という身ですから、人々に安心をもたらすために、広くこの噂を広めたく思っておりますの」
 顔と言ってることが一致しねえ。大方、みんながぱんつをギルオスシュートしようとして品薄になるのを見越して、ぱんつを高く売りつけてひと儲けしようとでも企んでるんじゃねえの?
「さ、さあ何のことでございましょ……???」
 あからさまに視線を逸らしたテレジアがあまりに怪しすぎるが、彼女はそれを誤魔化すかのように、こんな一言を付け加えてみせた。
「わたくしはそんなことちーっとも思ってございませんでしたけれど、皆様がそういうことをなさいたいと仰るのでしたら、お手伝いするのも吝かではございませんわ???」

 かくして無辜なる混沌に、空前のぱんつブームが(何度めか知らないけど)仕掛けられたのであった。
 このブーム……伸るか反るかは君次第だ!!

GMコメント

●これまでのあらすじ(リアル話)
 PPPに初めて闇市が実装された時、ちょうど闇市11連と同じ売値の『乙女のぱんつ』が実装されて、トレード用通貨として扱われてブームになりました。
 その余波で、事あるごとにいろんなぱんつが実装されました。
 なんかギルオス君に『おっさんのぱんつ』を贈った人がいました。
 何故か茶零四SD(当時GM)が装備させました。
 お茶さんがTwitterでコントを繰り広げるのでみんなが面白がって、要らないぱんつだとか要らないカースドだとか無意味にレリック化したぱんつだとかを贈りはじめました。
 GMも面白がって、ぱんつ風邪だとかPants Panty Projectだとかよくわからんシナリオを出しはじめました。
 ある時「ギルオスにぱんつを贈ると運勢が良くなると聞いた」とか適当なことを言い出した人がいました。
 それを聞いて闇市を引く前にぱんつを贈ったり引いた後でぱんつを贈ったりする人まで出てきました。
 それに関連して↑↑な感じのシナリオリクエストが届いたんだけど、これリクシナよりイベシナにしたほうが楽しいなって思ったので、GM判断によりリクシナを却下して誰でも参加できるイベシナに変えました。←今ここ

 ちなみに闇市の購入結果から直接売却や譲渡をする機能が実装された際の開発コードは『ギルオスシュート』――ギルオス君にぱんつを贈りつけるのが捗るな。

●このイベシナでできること(例)
【1】テレジアと一緒にぱんつを集めておく
【2】テレジアと一緒にギルオス君へのお賽銭ならぬお賽ぱんつをすると幸せになれるという噂を一般市民に流布する
【3】市民たちと一緒にギルオスシュートして運気向上を祈る
【4】テレジアと一緒にぱんつが値上がりしたのを見計らって【1】で集めたぱんつを売って大儲けする(予定)
【5】家がぱんつまみれになって可哀想なギルオス君を救うため、ホリス家にぱんつを盗みに入る
【6】その他ご自由に

  • 神はぱんつに宿る完了
  • GM名るう
  • 種別イベント
  • 難易度VERYEASY
  • 冒険終了日時2020年01月26日 22時15分
  • 参加人数48/∞人
  • 相談7日
  • 参加費50RC

参加者 : 48 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(48人)

ギルオス・ホリス(p3n000016)
猫崎・桜(p3p000109)
魅せたがり・蛸賊の天敵
セララ(p3p000273)
魔法騎士
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
主人=公(p3p000578)
ハム子
リュグナー(p3p000614)
虚言の境界
夜乃 幻(p3p000824)
『幻狼』夢幻の奇術師
イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
ヨハン=レーム(p3p001117)
おチビの理解者
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)
願いの星
マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)
黒鎖の傭兵
ゴリョウ・クートン(p3p002081)
黒豚系オーク
マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
記憶に刻め
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
ダスティ・ミケル・ジャスパー(p3p004221)
DJ
アーリア・スピリッツ(p3p004400)
キールで乾杯
ラヴィエル(p3p004411)
Most クソプレ Player
悪鬼・鈴鹿(p3p004538)
ぱんつコレクター
驚堂院・エアル(p3p004898)
でうすのかけら
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫
ガーベラ・キルロード(p3p006172)
noblesse oblige
エッダ・フロールリジ(p3p006270)
フロイライン・ファウスト
エレオノーラ・クーリッジ(p3p006337)
コメ米「こまこがね」生産者
獅子神 玲恩(p3p006606)
劫火の業 獅子座の玲恩
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
宮里・聖奈(p3p006739)
パンツハンターの血を継ぐ者
ヨシト・エイツ(p3p006813)
救い手
茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)
音呂木の蛇巫女
ミリヤム・ドリーミング(p3p007247)
アイドルでばかりはいられない
高槻 夕子(p3p007252)
クノイチジェイケイ
レイリー=シュタイン(p3p007270)
ヴァイス☆ドラッヘ
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
糸巻 パティリア(p3p007389)
跳躍する星
コルウィン・ロンミィ(p3p007390)
靡く白スーツ
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
虚無堕ち魔法少女
ジェーン・ドゥ・サーティン(p3p007476)
一肌脱いだ
ンクルス・クー(p3p007660)
山吹の孫娘
中野 麻衣(p3p007753)
秒速の女騎士
ヴィクトール=エルステッド=アラステア(p3p007791)
懐中時計は動き出す
ロべリア・ハンニバル(p3p007793)
悪意の華
赫染・霞(p3p007861)
紅玉
クリティ・ルリジサ・カレンデュラ(p3p007872)
三変化の金盞花
アスタ・ラ・ビスタ(p3p007893)
星の砂を望む
フェルシア・ヴァーミリオン(p3p007908)
賢者の石
黒影 鬼灯(p3p007949)
やさしき愛妻家

リプレイ

●ギルオスの悲劇
「なんだ……なんだこの依頼は……?」
 ギルオス・ホリス(p3n000016)の困惑に対し、彼の望む答えを返す者はいなかった。愕然と我が家の前で崩れ落ちる彼の背中だけが哀しく寒風に吹かれる冬の空。
「どういう事だ『俗物シスター』シスター・テレジア(p3n000102)! シスター! おいクソシスター!!」
 ギルオスは吼えた。血の涙を流しつつ吼えた。だが彼のささやかな運命への抵抗も空しく、事態はますますの混沌に陥ってゆく――。

●奇妙なる騒動
「ぱ、ぱんつ?」
 『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)には意味が解らなかった。いやもう少し正確に言おう……意味が解る人間など彼女に限らずおそらくこの世にはいまい。
 だが、混乱の中で何か拠りどころになれそうなものを見つけたならば、それにすがることで自らを納得させるのが人というものだ。然様ですわ、とテレジアが無駄に得意気に依頼票を出した瞬間が、マリアにとってはそれだったと言えるのだろう。
「そうか……依頼なら全力を尽くさねばなるまい……」
 だけどパンツを集めろって言われてもどうやって? 『売ってるのを買う』以外の方法ってあるんだろうか?
 そんな疑問を口に出したなら、偶然にもその場に居合わせた『魅せたがり・蛸賊の天敵』猫崎・桜(p3p000109)がどうやらいろいろと知っているようだった。
「正直、久しぶりに依頼を受けに来たらこんな世界になってたなんて驚くけど……パンツにそんなご利益があるっていうなら手伝うよ」
 たとえば道ゆく人にお願いしたり? あるいは無理矢理? 何ならいっぱいあるところから盗m……もとい貰ってきたって構わない。ところで自分、確かにパンツは集めてるけどこんなキャラだったっけ、と自問する桜や、何か恐ろしい犯罪の片棒を担がされてやいまいかと戦々恐々するマリアをよそに、謎のギルオス神格化計画は本人の意思とは裏腹に進んでいったようだった。

●ギルオス堂
 今日のギルド・ローレットの前には、謎のオブジェが設えられていた。
 巨大な籠を1本の棒が支えて、その下にパンツが鎮座されている。棒からはこっそりと紐が伸びていて……それの向かう先は『チョメッケモンゲ像の方』エレオノーラ・クーリッジ(p3p006337)だ。
「なるほど、これは僕を捕まえる用の罠」
 ギルオスはポンと手を打って……それから、「こんなんで捕まるかーい!」とセルフツッコミしてみせた。非難するようなエレオノーラの視線が痛い。だが彼には、彼女の期待に応えることなんてできやしないのだ。何故なら彼らから少し離れたところでは、『救い手』ヨシト・エイツ(p3p006813)が何やら怪しい工作物を作っているからだ。
「んんん? なんだか輿のように見えるのに、上に乗った椅子の手足の部分に、やけに丈夫そうなベルトがついてませんかねー!? あとパンツで飾りつけようとしてるせいで、誰を拘束するつもりか何となく想像がつくんですけどねー!!」
 ひとしきりツッコミを入れたところで、ギルオスは脱兎のごとく逃げだした。しかし……回り込まれてしまった! 機動力4の凡庸な情報屋には、機動力6の『アルティメット逆立ち礼拝者』リゲル=アークライト(p3p000442)を振り切ることなどできようはずもない。
「ギルオス様、どうしてお逃げになるのですか? 祭りとは人々の心を明るくし、街を活性化する素晴らしいもの。その様を俺はこの目で天義にて見てきたのです……今日は、ギルオス様が神輿に乗り街を練り歩くことこそ人助けなのです!」
「天義騎士がクソシスターの片棒を担ぐなぁぁぁぁっ!!!」

 だが状況は、ギルオスがいくら正論を吐いたところでどうにもならないところまで進んでいたらしかった。ローレット近くの空き地では『黒豚系オーク』ゴリョウ・クートン(p3p002081)が自らも角材を肩に担ぎつつ、何やら『靡く白スーツ』コルウィン・ロンミィ(p3p007390)や『跳躍する星』糸巻 パティリア(p3p007389)に指示を出している。
「ふむ……柱の位置はこんな感じか?」
「ぶはははっ、妥協のねえ、見事な仕事っぷりじゃねえか!」
「ゴリョウ殿ー、屋根瓦のバランス悪くないでござるかー?」
「完璧な仕上がりだ! 雨漏りもしなさそうだし、こりゃあ末代まで祀れるな!」
 巨躯と纏う木枯らしの力にて軽々と資材を運ぶコルウィンの怪力と、ヒトデの管足を伸ばしてどんなに高いところでも平然と作業するパティリアの器用さがあれば、ギルオスを祀るための御堂――通称『ギルオス堂』は見る間に組み上げられていった。この中にヨシトの神輿にギルオスを乗せて納めることで、人々が幸運を祈念するための場が完成するのだ!! ……ちなみに建材はコルウィンがローレット経由で発注した。たぶん請求はテレジアに行くはず。
「そんなわけで観念しなギルオス! ぶははっ、賽パンツ箱に投げ入れられたパンツは全て、御神体であるオメェさんに好きに持ってかせてやる!」
「折角お堂を作っても、中身がないんじゃ本末転倒でござる。神妙に祀り上げられるでござるよ!」
「何をこの世の終わりみたいな顔をしてるんだ? たまにはこういうカオスな仕事に全力で取り組むのも悪くないだろう?」
「どうして皆さん、そんなサイコパスみたいな言い方できるんですかねえ!? 一度でいいから祀り上げられる身にもなって……ぎゃぁぁぁぁ!?!?」

●ギルオス祭り
 恐怖のため失神したギルオスを見て、『ぱんつコレクター』リュグナー(p3p000614)は良しとした。
「やはりぱんつに愛される貴様なら理解したようだな……『令嬢のぱんつ』と『リズのぱんつ』を頭に“奉納”される意味を。
 では……今日こそ貴様の不思議な力――勝手にぱんつが集まってくるその力について、暴かせてもらうぞギルオス! さあ起きろ! そして吐くのだ貴様の秘密を!!」
 だがその探究のためギルオス堂計画者たちに与してギルオスを神輿に縛りつけたはいいものの、ギルオスはどうにもそんな秘密はないとシラを切るばかり。
「どうやら口は固そうだ……だが今日はこのまま観察を続けさせて貰うぞ!」

 そんなこんなで観念せざるを得なかったギルオスを神輿に乗せて、ギルオス祭りは始まったのだった。呆けたようになっている彼の不安を取り除くため、『ハム子』主人=公(p3p000578)が彼へと囁く。
「大丈夫ですよギルオスさん! 差し入れにダンボールを山ほど持ってきましたから、もう部屋で収納に困ることはありません」
 不安の原因はそれじゃないんだよなぁ……。
「それに部屋がパンツだけでいっぱいになった時も、ダンボールがあれば小屋を作って野宿だってできますからね!」
 それでもないんだよなぁ……とりあえず、「パンツ奉納時に願掛け内容を書くためのタグ」とやらを神輿の隣で配ってるのをやめてほしいんだよなぁ。
 ほらみんながあまりに楽しそうにお祭りしてるから、『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)が孤児院の子供たちを連れてやって来た。
「ほら、古いパンツをギルオスに投げつけるんだ。無病息災、金運向上……とにかく、いい事が起こるように祈るのさ」
 大人の目からはいかがわしいテレジアのゲス計画も、子供たちの純粋な目からすれば単なる奇祭に過ぎぬのだ。子ロリババアの『ダリア』と頭の上のハムスターに先導されて、代わりの真新しいパンツを配られた子供たちは喜んで今までのパンツを投げつける。
「福はー内ー! 福はー内ーですわー! 期間限定! 即日発送! 混沌パンツ大明神のご利益を得るなら今しかありませんわよー!」
 『祈る暴走特急』ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ(p3p001837)の怪しげな売り文句まで始まって、時代はまさに大ぱんつ時代! さらにヴァレーリヤは謎のメモをテレジアに渡して、それを大声で読み上げさせる。
「ええと……20代男性からのお便りですわ! 『最初は半信半疑でしたが、お賽ぱんつをした途端宝くじでは10万Gが当たり彼女もできました!』」
 しめしめ、これで詐欺で訴えられるのはテレジアのほうだ。国外脱出の用意までしてあげた私って、なんて優しくてデキる女!
 ああ、そんな詐欺の片棒を担がされるだなんて、なんて可哀想なギルオス・ホリス(ついこないだまで姓と名を間違えてローレットに登録していた男)さん!
 今は哀れな彼を助けるべき時と、『助手』ヨハン=レーム(p3p001117)は心で理解した。
「多勢に無勢……ですが助けを求めるぱんつ男(伊砂ILに発注した時はこんなはずじゃなかったんだろうなぁ)の声があれば、僕が戦う理由は十分だ!
 ……えっ、この前頼んでおいた闇市の結果が届いた? 全部ハズレ? ゆ゙る゙ざな゙い゙ぞギルオス!!」

 ヨハンがグーでギルオス(拘束され避けられない)をぶん殴っていた頃……ホリス邸でも『にげねこ』クーア・ミューゼル(p3p003529)が、闇市爆死の腹癒せを叩き込んでいた。
「なんで爆死していやがってるんですかー? 燃えて死ぬのは望みじゃなかったんですかー?」
 『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)が意地悪くからかってみせると、クーアは背中にちゅどーんと爆発のイメージを背負うかのごとき勢いで、深い深呼吸の後に山ほどのおっさんのぱんつをホリス邸へとぶん投げる。
「私が望むのは焼死であって、爆死じゃないのです!!!!!(ちゅどーん!)」
 私のこないだのキャンペーンとロレトレの戦利金、しめて3万Gを今すぐ返すのですハリーハリーハリーハリー!!!!!!!(ちゅどどーん!)」
 そんなクーアは隣で彼女に便乗してギル♂のぱんつをぶん投げる利香が、どうにも鼻持ちならないようだった。
「AFを! 出した分際で! オールノービスの! 苦痛と! 怨恨を! 知らずして! 闇市爆死を! 騙るななのですうぅぅぅぅ!!!!」
 すると対抗するかのようにさらなるぱんつを投下する利香。
「まあ確かに私はアーティファクトもレリックも出しましたがー……いいですか? 爆死というのは額です。私の場合は……

 15万。

 ねこの5倍注ぎ込んでようやく出しただけなんですから!!!!!」

 ああ、なんと哀しいことであろうか。今日もまたギルオスにぱんつを送って泣く者がいようとは。
 それは何故か? 『かくて我、此処に在り』マカライト・ヴェンデッタ・カロメロス(p3p002007)は思案した。どれだけ供物を捧げても闇市が当たらぬと言うのなら、いまだギルオスの徳がその領域に達しておらぬせいに違いない。
 ならば、為すべきは……何にも増して布教活動であった。社が完成し、神輿も練り歩いている今、その徳を更なる高みへともたらすことこそ肝要だ!
「彼の者にぱんつを捧げよ!! さすれば凡ゆる事柄が安泰となる!!」
 冷静に考えればそんなことを叫ぶマラカイトのヤバさが際立つだけのはずだったのだが、もはや『就寝中』ヴィクトール=エルステッド=アラステア(p3p007791)は何もかもが解らなくなっていたので、考えるのはやめて反射的にギルオス神輿を拝むことにした。
 それが信心であるのかさえも、ヴィクトールにはさっぱり解らない。ただ偶然にも聖職者の格好をしたままで通りにふらつき出てきて、服の中に手を突っこんで紐みたいなパンツを取り出してはギルオスに捧げておくだけ。すると人々もやはり思考を放棄したのか、さも当然であるかのようにヴィクトールに倣う。

 わっしょい! わっしょい!(どーん、どーん)
 わっしょい! わっしょい!(どーん、どーん)

 威勢の良い掛け声に合わせて、『葬列』アスタ・ラ・ビスタ(p3p007893)の太鼓の音が街に響いた。感情というものを知らぬ彼女にとって、祭りに盛り上がる人々の気持ちなど理解はできない。
 けれども――掛け声には太鼓を叩くものであることくらいは、文献調査により知っている。それに、彼女の人工頭脳には刻み込まれている……ギルオスがパンツ神で、パンツはギルオスに集まるのであれば、パンツ=ギルオスの公式が成り立つのだと。そして、それは別の方法――例えば連立方程式を用いたとしても、必ずや証明されるに違いないのである。

●ぱんつ戦争
 再び、ホリス邸――。

 大量のパンツが山積みになった部屋に、2人の女が哀れみの眼差しを向けていた。
「ねえ――思ったのだけど」
 あまりにあんまりな光景を前に知能を失った頭にて、『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)が呟いてみせる。
「このパンツをお焚き上げすれば、運気上昇とこのパンツまみれの部屋の処分を兼ねられるんじゃないかしら?」
「――何言ってんの?」
 『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)は辛うじて正気を保とうとした。けれどもそこに襲い掛かるのは、イーリンのこんな追加の一言だ。
「これだけのパンツを律儀に送られたからって置いてるギルオスもやばいわよね?」
 よし燃やそう。自分の中で正気がごりごりと削られていったのがウィズィ自身にも判る。燃やして全てを焼き尽くすことこそ、世界を清浄に保つため必要なことなのだ! ……が。
「……って、ここで燃やそうとするんじゃないわよ!!」
 どうやらまだ狂気以外の欠片が残っていたらしいイーリンのツッコミのお蔭で、危うく大火事の危機は去ったのだった。
 でもさ……ここで燃やさないってことは、パンツをどこかに運び出すってこと? 花の乙女がそんな汚れ仕事に手を染めて、はたして構わぬものなのだろうか!?
 そんな時2人はちょうどよく、一足先に部屋に忍び込んで一心不乱にぱんつを物色していた『嫁殿命な忍者(腹話術師)』黒影 鬼灯(p3p007949)の姿に気付いたのだった。
「ふ……これもひとつの人助け。ぱんつ泥棒などという楽しい依頼に満ちたこの異世界を救うため、一肌脱ごうではないか嫁殿」
『鬼灯くん……』
 腹話術で片手に抱く人形の冷たい声を代弁した後に、彼は運び出すという名目でぱんつに目を通しつつ、“嫁殿”に似合うものがないかチェックしていた。
「しかしよく考えたら……嫁殿用にはリサイズする必要があるな」
『鬼灯くん……』
「はっ、いや今のは違うんだ! 嫁殿、嫁殿ー!!」

 だがそんな漫才じみた平和な空間は、突如として訪問したひとりの出前係によって破られたのだった。
「へいラーメン一丁お待ち! 貧困に喘ぎ今日のぱんつにも事欠く庶民を嘲笑うかのようにぱんつを独占するギルオスとその一党には、この宇宙サルミアッキラーメンのお届けで~す!」
 『宇宙人調査員』驚堂院・エアル(p3p004898)による激ヤバラーメンの配達と同時、『ぱんつコレクター』悪鬼・鈴鹿(p3p004538)まで部屋に飛び込んできてぱんつを掻き集めはじめた。
「フッ、ギルオス・ホリス……我々、ぱんつハンター界隈でも有名人だったが、遂に一般人からも神の如き扱いをされるようになった今、我々『PH(ぱんつハンター)協会』に是が非でも協力して貰わねばな」
 何その協会聞いたことない。ついでに罪悪感に苛まれつつホリス邸の鍵を開けてくれた『劫火の業 獅子座の玲恩』獅子神 玲恩(p3p006606)のことも、そろそろ誰か思い出してあげてください……どうしてこんな犯罪行為に加担させられてるんだろう……ああ、炭酸で酔っぱらって「ぱんつ神とヒキニート神への信仰!」なんて喚きながら全裸になったところを鈴鹿に見られてさえいなければ、弱みを握られて便利に使われることなんてなかったはずなのに……。
 けれども玲恩の嘆きも空しく、エアルも鈴鹿もぱんつブルジョワから富を没収しぱんつ貧民に還元すべく、凄まじい勢いでぱんつを鑑定&回収しはじめた。これには『パンツハンターの血を継ぐ者』宮里・聖奈(p3p006739)さえもがドン引きである……あれでもこれ人助け? そもそも元からいろいろおかしかったんだし、これくらいはもしかして許容範囲なの???
 恐怖な新聞が届けば寿命が100日減るが、ぱんつならば逆に100日延びる、などとよくわからない理論を提唱して貧民にぱんつを配布しようとするエアルの言葉も宇宙語だったが、ぱんつ義賊として働きつつちょっとくらい自分のコレクションも充実させるのがぱんつハンターの生き方なのと悪どい顔をしてみせる鈴鹿も、聖奈は理解したくはなかった。少なくとも、並行世界の母親から聞きたい言葉ではn
「わかったら行くの、聖奈、肉壁」
「「はい!!」」

●ぱんつ売りの乙女たち+α
 かくしてホリス邸からはぱんつが根こそぎ奪われて、ギルオスは棚ぼた的に新たな収納スペースを手に入れることができた。その際、鈴鹿から荷物運びを押し付けられ、聖奈はとっとと逃げてしまったせいで泣きながらぱんつの山を運ぶ羽目になった肉壁もとい玲恩の姿が目撃されたらしいが、初依頼でこれとか可哀想すぎるからみんなも見なかったことにしてあげよう。
 ともあれ、お祭り気分は十分で、収納スペースも確保済み。だったら……遠慮なくぱんつを売りまくるに決まってるじゃない!!

「ぱんつ……あるわよぉ?」
 ほのかに顔を赤らめて道行く男たちに熱い息でそう囁いたのは、『キールで乾杯』アーリア・スピリッツ(p3p004400)。今日の彼女はバニー姿で、さらに甘い香水まで吹きかけている……これで落とせぬ男なんて、よほど妻子を愛しているのでなければないかもしれない。
 ついでに今が昼間じゃなくて、頬の赤みがべろんべろんに酔っていたせいでもなくて、その熱い息がやけに酒臭いのではなかったのであれば。

 大人って汚いと、『クノイチジェイケイ』高槻 夕子(p3p007252)は思うのだった。
 だから、声を大にして言いたい。
「この世界は間違っているわ!!」
 ぱんつ。
 それは大事な部分を守る最後の領域。最奥にして秘奥。
 それは誰もが知っているのに、世界はこうも軽々しくお金に振り回される。
 それはお金の業なのか、それとも人の業なのか? それともそれを恥ずかしいと思わないことこそが人の業なのか?
 だからこの乱痴気騒ぎの中、たとえ空気読まないと謗られても夕子は言いたい。
 だって、だって……!
「あーしのぱんつが乙女のぱんつより安く取引されるってどういうこと!? マジありえないんだけど!」

 そんな魂の叫びが耳に飛び込んできたならば、『分の悪い賭けは嫌いじゃない』リアナル・マギサ・メーヴィン(p3p002906)もそわそわと、自らの秘所に目を落としたのだった。
 自分のぱんつが闇市で取引されている。そのことはもう彼女も諦めた。
 だが……彼女だってこう言いたい。
『なんで私のぱんつが乙女のぱんつと同値段じゃないんだ?』
 と。
 別に『リズのぱんつ』と同価格に、などという贅沢は言わない(なんか怖いし)。『レオンのぱんつ』ほどでなくともいい……あれは何故高いのか解らない。
 でも、でも……。
「私が乙女(30)でないとでも言いたいのか闇市の値段管理人! 奴に血を見させてやれ! 頼んだぞギルオス! 頑張れギルオス!!」

 ああ、人は何故小さな布切れに、値段をつけたりつけなかったりするのだろう?
 その答えを『『幻狼』夢幻の奇術師』夜乃 幻(p3p000824)は知っている……それは、物語があるからだ。
 ならばそれを、作ってやればいい。大通りで目を伏せ弱々しく座り込み、片手で自らの(ものとされる)ぱんつを手に嘆き待つ。すると何事かと人がやって来るから……こうだ。
「今、僕はお金がなくて、これしかないんです。どうかこのパンツを1万Gで買い取ってはいただけないでしょうか?」
「無茶言うな! そんな大金あるわけないだろ!!」

 そんなわけで幻の計画は失敗したわけだが――もし成功していたらどうなったのだろう?
 そのことに思い至った瞬間、『賢者の石』フェルシア・ヴァーミリオン(p3p007908)は悲しい気持ちに襲われていた。
 魔力を使えば幼化する自分と、ぱんつを売れば穿けなくなる人々を重ね合わせる。実のところ幻が売ろうとしたのはギフトで一時的に作った偽ぱんつなので問題はないのだが……では、他の人たちは?
「私がギルオスさんのぱんつを集めてしゅーとするわ! そうすれば闇市で高価なぱんつが出るようになるなんて面白いし(※出ません)、皆に返すぱんつも見つかるんだもの! いざとなったら……私が穿いてるぱんつもギルオスさんに送るわ?」

 そんな覚悟をフェルシアが決めていたところ、風に乗って軽快なラップが聞こえてきたのだった。

 へい嬢ちゃん 姉ちゃん母ちゃんお婆ちゃん
 女が体 冷やしちゃダメじゃん
 自分の下着 脱いで風邪ひきゃ全部おじゃん
 運がほしい、祈りたい? 脱がずにオッケーできるぜYOU CAN
 こいつでいい 安いぱんつで効果出んじゃん

 クールなビートを刻むのは、『DJ』ダスティ・ミケル・ジャスパー(p3p004221)! リズムに合わせて脱ぐパフォーマンスは、ひとりの男の覚悟の証。ホント、右見ちゃぱんつ、左にゃぱんつでワケ解んねぇぜBULLSHIT!
 けれども何が一番ワケ解んねぇって、ダスティのラップに重なるBGMだ。

 ギルオス♡ ギルオス♡ ギルオス♡ ギルオス♡
 ギルオス♡ ギルオス♡ ギルオス♡ ギルオス♡

 まるでサブリミナルのように繰り返される『愛の妖精』ラヴィエル(p3p004411)の囁きが、タダでさえ頭のおかしくなりかけていたローレット近隣住民たちを、さらなるギルオス信仰の中へと蹴落としてゆくギルオス♡ ギルオス♡ 今やぱんつは誰のも彼のも値上がりし、幻想はまさしくぱんつバブルの最中!
 でもお蔭で……今ならこの必殺技が使えるかもしれない。
「よく聞いてテレジア……その技の名は、『クラウドファンディング』!」
 『魔法騎士』セララ(p3p000273)が打ち立てた計画資料には、『黄金のギルオス像』とかいう謎の単語がでかでかと載っていた。なお作った後のことはセララも知らない。
「ちなみにクラファンっていうのは、資金提供してくれた人にはリターンを出すんだ。この場合はギルオスのサイン入り『ギル♂のぱんつ』(原価30G)なんだけど、ギルオスは今拘束されてるから字を真似してテレジアが書いてね」
「ふ……お安い御用ですわ!」
 かくしてまた詐欺の罪状を押し付けられる哀れなテレジア(自業自得)。

 ……そんなわけで。
 流石に見かねた聖人君子のような人たちが、テレジアのためぱんつを集めて借金返済の足しにしてあげようと立ち上がったのである。

●可哀想なテレジアに愛の手を
「モノがモノだけに恥ずかしいけれど……どうせなら派手に行きたいわ」
 見た目はロリでも中身は大人。ここは思い切って真っ赤なレースや紅の紐などで攻めてはシスター様のお手伝いができるのではないかしら、と大人っぽい提案をしてみた赫染・霞(p3p007861)だったが……次の瞬間にはあまりのことに、思わず顔から火が出るかのようだった。
「な、中野様、何をなさってるの!?」
「何って……見てのとおりっすよ? こうやって使用済みにしないと値段がついてくれないっす。……あっ、ちゃんと3分蒸らさないといけなかったっすねー」
 あたかもコーヒーを淹れる時のごとく、『秒速の女騎士』中野 麻衣(p3p007753)は当然のように3分間穿いてから脱ぎを繰り返しはじめた。
 えっちょっと何言ってるのか解らない。解りたいとも思わない。思わず霞が周囲の顔色を覗えば、『三変化の金盞花』クリティ・ルリジサ・カレンデュラ(p3p007872)も全く理解が追いつかなかいというような顔をして、『一肌脱いだ』ジェーン・ドゥ・サーティン(p3p007476)に助けを求めていた。
「これは……試練? リリーのことは親友だとばかり思っていたけど、これは『私』を試すための試練なの?」
 けれども彼女らが戸惑っている間にも、『神話にて(ぱんつ)』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)の演説が始まり2人の正気を揺さぶる。

 諸君 私はぱんつが好きだ
 諸君 私はぱんつが好きだ
 諸君 私はおぜう様のぱんつが大好きだ!!!!

 様々な都合により具体的な演説内容はプレイング(リプレイ公開後2週間ほど公開される)を確認していただくとして、自らも闇市に流す用のぱんつを幾度も穿いては脱いですると秋奈はギルオス邸に向かって駆け出していった。えっ流されたいの? そんなことして何の意味あるの?
「そんなの決まってるわ……知名度を上げるのよ!」
 既に遥か遠くまで去ってしまった秋奈に代わって答えたのは『躾のなってないワガママ娘』メリー・フローラ・アベル(p3p007440)だった。
「正義? 道徳? そんなものでわたしは縛れないわ! 何だったら写真も一緒につけて、ぱんつと写真のどちらにもフルネームでサインしておくわ! 『生産者の顔が見えるぱんつ』なんて素敵だと思わないテレジア?」
 メリーがテレジアに水を向けたなら……あっ、クソシスターが悪どいハムスター顔をした。でも写真に意味があるのは霞の大好物なメリーみたいな子が映ってるからで、映ってるのがクソシスターじゃ意味がないんだよなぁ……。
「大丈夫よテレジアさん☆ 同じ幻想種のよしみとして、ジェーンちゃんたち『シャドウプロジェクト』も協力したげるから……その代わり、何か大きなイベントがあった時には一口噛ませてね♪」
 ジェーンが勝手に約束してるけど何この地獄。巻き込まれたクリティは堪ったものじゃないけど、脳内で別人格たちが「『妾』は面白いから乗る」だとか「人助けとあれば『僕』はそれくらい構わない」だとか好き勝手言ってる。今、唯一の希望の星は『天義の希望』ミリヤム・ドリーミング(p3p007247)の抗議くらいだ。
「確かにボクは『アイドルとして売れるためには何でもするッス』とは言ったッスよ? けど……何が悲しくてこのシスターなんかのためにそんなことまでしなきゃいけないんッスか!?」
 ……けれど。
「えーっ!? テレジアさんはいい人っすよー? それとも何か、嫌な理由でもあるんすか?」
 麻衣の純粋無垢な眼差しのせいで、ミリヤムも次の言葉を失ってしまった。だって、言えないじゃん……自分が元々天義の聖女で、邪悪センサーがテレジアを断罪せよと囁いてるなんて。

 さめざめと泣きながら先輩ジェーンに逆らえず自分の使用済みぱんつにサインしてゆく2人(ジェーンだけは普段ぱんつ穿かないから(!)人前でぱんつを脱ぐ恥ずかしさに興奮して悶えていた)の様子を眺めて、『敬虔なる徒』ンクルス・クー(p3p007660)は難しい顔を作ったのだった。
「ふむ……新品のパンツをそのままじゃ駄目なのか。人というのは難しいね」
 そっちかよ。だが人の世をよく知らない秘宝種にとっては、他者の遣り方を真似て人を知ることこそ正義。いつか強くなった時にはサインが必要になるんだしその練習と、販売の際にも信仰蒐集する練習だと思って、同じ(?)シスターの力になるほうが良いだろう……どうせ、パンツなんてまた買えばいいだけなのだから。
「ああ、そのとおりだ。パンツの1つや2つ、困っている人を助けられるなら安いものです」
 『展開式増加装甲』レイリー=シュタイン(p3p007270)は無理強いはしない。だが……大義と自らの羞恥を比べれば、当然前者を取るべきだと考える性質だ。
「レイリー様はサインはなさいますの?」
「私も必要かテレジア殿? 流石にそれは恥ずかしいなぁ……しかし、どうしてもその方が人助けになると言うのであれば仕方あるまい」
 真面目すぎるレイリーは……しかしその時、どうしてもですわとせがむテレジアの目元に、何やらカモでも見るかのような表情が浮かんだことには気付かなかったのだ。

 けれどもまさかその時は、テレジアがカモられる側になるなんて……!(※メディア用コメント)

●悪意の華
「クックック、カモども……もとい善意の提供者の皆さんのお蔭で結構なぱんつが集まりましたねぇ!」
 ばばーん、とその時現れたのは、テレジア派のメイド、『悪意の華』ロべリア・ハンニバル(p3p007793)!
「これを売り捌いてテレジアさんの借金もなくしましょうね! あたしのコネを活用して、必ずや大金に変えてみせますよ!」

 そんな自信満々な台詞を残して消えてから数日。ロベリアはどこぞのリゾートで、悠々自適なバカンスを優雅に楽しんでいた。
「売上の4割はあたしの『紹介料』。それくらい当然の報酬……」
 ……と言いかけたところにスッと現れたひとつの影。ロベリアは何気なくそれを振り向いて……。
「ロべリア……我がキルロード家の……いえ、『キリングロード』のコネクションを好き勝手使い放題。その上、皆様の善意を踏みにじる行為とは……」
「……げぇ!? お嬢様!?」

 『noblesse oblige』ガーベラ・キルロード(p3p006172)に見つかり連れてこられたロべリアが“善意の提供者”たちにフルボッコにされているのを横目に、ガーベラはお詫びの印にと、しおらしくテレジアに無事だった分の売上を差し出した。そんなことされたらテレジアは……ちょっぴり、わがままを言いたくなってしまうじゃございませんこと!?
「ガーベラ様の誠意、然と受け止めましたわ! ですが……ああ! 着服されてしまった分は一体どういたしましょう!」
「うぐ……そういうことでしたら、これで……」
 忸怩の念を漂わせつつ、ガーベラは脱いだ。けれども……それを見た途端、テレジアの顔色が見る見る青ざめる!
「い、いいえそのお気持ちだけで結構ですわ!? その柄は『令嬢のぱんつ』と同じもの……わたくしまだ暗殺されたくなんてございませんの!!」

●闇証券
 脱兎のごとく飛び出していったテレジアの後姿をそっと見送って。
 ニット帽にマスクの『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)は、“顧客”の男にこう説いた。
「今のが……あっちが詐欺である証拠でありますよ。本物ならばこっちで売ったほうがお得であります。何せこちらは証券での買取。運試しなどではなく投機で一発! 得た利益の一部がお客様に還元されるでありますよ」
「ええと……そこまで仰るのでしたら、これで」

 ……しかし。
 そのエッダは預かったはずの投資用ぱんつを早々に売って、とっととトンズラしてしまったのだけど……?

●真のビジネスの勝者は最高値がつくまで待ったりはしない
「ぱんつがキロ売りされるなんて世も末ですし、そろそろ売り浴びせの時間ですわー」
 『氷雪の歌姫』ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)がパチリと指を鳴らしたならば、彼女が常に相場より少し高めで買い集めていたぱんつが、大量に市場に放出されはじめた。
「何だと……このタイミングで大量ショートだと!?」
「まさか、こんなにも早くぱんつバブルが終わるとは……!」
 恐慌に陥るぱんつ市場関係者たち。一時は数十倍にも上った取引価格は、みるみる元の値段に向けて暴落しつづける。こんな時、勝者は常に“最初に売った者”――つまり、ユゥリアリアのみだ。
 この損失を少しでも軽く済ませようと、ある人々はすぐさま他者より一歩早く安値をつけた。だがより賢明な者たちは別の手段を選ぶ――ぱんつ価暴落の情報が伝わる前に、地方で先物売りに出すんだ!!
 まずは膨大な量の情報が、そして取引期日を迎えた実ぱんつが、瞬く間に幻想じゅうを移動しはじめた。おびただしい量のぱんつを集めていた人々は、ぱんつの輸送と保管のために追加の出費をせざるを得ない……たとえどれほどの損失を出していようとも。

 つまり。

「ゴールドラッシュで儲かったのは、ツルハシとジーンズを売った者だと言うことです」
 その流通経路を一手に押さえた『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)の手には、一切のリスクなしで利益が転がってくる寸法だった。
「やはり歴史には学ぶべきですね……所詮、『ギル♂のぱんつ』なんて10倍になっても300Gでしかないのですから」

 かくして一時は幻想じゅうを席巻するかに思えたぱんつへの熱狂は、再び何事もなかったかのように元の鞘へと戻っていったのだ。
 バブルの引き際を見誤った商人たちと、知らぬ間に詐欺師として告発されたテレジアと、今や負債と化した大量のぱんつの無償引き取り手として選ばれる羽目になったギルオスの、癒しきれない悲哀だけを残して。

成否

成功

MVP

ユゥリアリア=アミザラッド=メリルナート(p3p006108)
氷雪の歌姫

状態異常

ギルオス・ホリス(p3n000016)[重傷]
ロべリア・ハンニバル(p3p007793)[重傷]
悪意の華

あとがき

 私は、『集めて』『噂を流して』『集めたのを売れ』(ついでにシュートしたり盗みに入ったりしろ)ってシナリオを作ったはずなんだ。
 だから、ギルオスを神輿に縛り付けるまではまあまだわかる……なんで自分のを脱いで渡す人がこんなにいるの??? そんなに闇市に流されたいの?????

 君たちの願いはよく解った……ではそのようにしよう。もし今後闇市で、このイベシナで見た名前の人のぱんつを見つけたら、今回たくさん脱いで売ったやつが流れたんだと思ってね。

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