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シナリオ詳細

再現性東京202X:MESUGAKI & YANKEE

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 練達、再現性東京の一角にそこはあった。
 アニメ、漫画、ラノベ、ゲーム……。あらゆるサブカルチャーの聖地であり、コアでマニアックなオタクの坩堝。そう、再現性秋葉原である。
 グッズショップの立ち並ぶ中、とあるビルに入っていく人の姿が見える。どこか落ち着かないようなそわそわというか、うきうきというかまぁそんな感じで階段を上がっていくと、ポップで可愛らしい看板を出している扉の前に辿り着く。
 カランカランとベルを鳴らしながらその人物が吸い込まれるように中へと入ると――。
「いらっしゃーい。てかなに? あんたまた来たの~? いい年してこんな子供に慰めて貰おうとかマジ受けるんですけどぉ?
 そんなで生きてて恥ずかしくないの? きゃはは! 負け犬が本当の事言われてなんか震えてる♡
 悔しかったらなんか言い返してみよ? ほらほら♡ トクベツにこっちで話聞いてあげるからさ♡」
 出迎えたのは幼い少女(のように見えるけどしっかり成人です)。生意気に嗤いながら客を店の奥へと引っ張っていく。
 とんでもないことを言われているようにも見えるが、客は怒るどころかむしろ恍惚の笑みを浮かべている。いいのかそれで。
 そして更に、先ほどの客が入ってきた入り口とは別にあった、もう一つの入り口から新たな客が入ってきたようだ。それを出迎えるのは――。
「お前、なんで来てんだよ。……ったく、仕方ねぇなぁ。ほらこっち来いよ、とりあえずそこ座っとけ」
 学ランを着崩しピアスやリングを幾つも着けたガラの悪い少年(のように見えるけどこっちもちゃんと成人です)。気怠そうにしながらも客を席へと案内していく。
 やはり客は失礼だと怒るどころか、恍惚の表情を浮かべている。いいのかそれで(2回目)。

 そう。ここはいわゆるコンセプトカフェ。メスガキヤンキーの通称で知られる界隈では有名な店で、店内ではメスガキもしくはヤンキーに扮したキャストが接客するのだ。
 同じ店内に全く異なるコンセプトが二つで大丈夫なのかと疑いたくなるが、客がどちらを望んでいるかは入ってくる入り口で判別することが出来る仕組みらしく、これまで特にトラブルは起きていないらしい。
 いや、問題はそこなのか?
 ちなみに、ツーショットチェキ撮影や衣装チェンジ、呼び名指定、口調変化など追加料金を払えばそれだけオプションを追加できる親切(?)設計。
 一部の富裕層は嵐のように札束をばら撒き、自分好みのメスガキやヤンキーを侍らしているとかいないとか。


 さて、そんなコンカフェの控室に二人はいた。
「なぁ、本当にやるのか?」
「仕方ないじゃない。依頼受けちゃったんだから」
 特攻服にリーゼントのカツラを被ったステレオタイプな不良の衣装を身に纏った『あいいろのおもい』クウハ(p3p010695)がぼやいていると、ノースリーブにデニムのホットパンツという露出度の高いい衣装に着替えてきた『永遠の少女』ルミエール・ローズブレイド(p3p002902)が答える。
 なんでも、キャストの中で風邪が流行っているらしく欠員が出てしまい、急遽ローレットに人員募集の依頼を出していたそうだ。
 なぜこんな依頼を受けることになってしまったのかは不明だが、おそらく面白がったルミエールにクウハが騙し討ちでもされたのだろうか。
「にしても、何だよヤンキー&メスガキって。このコンセプト考えたヤツの性癖終わってるだろ」
「私は気にしてないけどね。可哀想なお兄さんとお姉さんを沢山癒やしてあげなくちゃ♡」
 依頼として受けた以上は最後までやるが不承不承といった様子のクウハに対して、ルミエールは寧ろこの状況を楽しんでるようだ。姿見に映った自分の姿を見て満足そうにしている。
 そうこうしている内に交代の時間が来たようで、二人は同じ依頼を受けたイレギュラーズと共に店内へと向かっていくのだった。

GMコメント

●ご挨拶
はい。というわけで、メスガキ&ヤンキーがコンセプトのコンカフェでのお仕事です。
……何を言ってるのか自分でもよく分かってませんが、
今回は
・『永遠の少女』ルミエール・ローズブレイド(p3p02902) 様
・『あいいろのおもい』クウハ(p3p010695) 様
からのリクエストなので、内容に関して何かあればこちらのお二人にお願いします。
私は悪くねぇ!!

●目標
1.キャストとして接客し、お客様を満足させる
2.お客様として来店し、ヤンキーやメスガキを楽しむ

●シチュエーション
再現性秋葉原にあるコンカフェが今回の舞台です。
コンセプトはずばり『メスガキヤンキー』!
イケメンヤンキーがなんかめんどくさそうにしながらもお世話してくれたり、美少女メスガキに揶揄われて誘惑されたりといった事が楽しめます。
ほんと、この店考えた人の頭の中ってどうなってるんですかね?

ともかく、参加者の皆さんは、ルミエールさんやクウハさんと一緒に、依頼を受けて(ノリノリだったり騙し討ちされたりはRPの範囲でご自由にどうぞ)キャストとして働くか、たまたま(もしくは噂を聞いて仲間を揶揄いにとかでも構いません)訪れたお客様としてキャストとの一時を楽しむことを選ぶことが可能です。
お好きな方をお選びください。

●オプション
お客様としてご来店の方はキャストを選んだ方を指名することが出来ます。
また、追加オプションとして、別衣装やチェキ撮影なども指定することが可能です。お金さえ払えば基本なんでもありです。お金は正義なので。ただし、R18だけはご遠慮ください。
なお、キャスト陣に拒否権はありません。覚悟のある方はどうぞ。

ちなみに、クウハさんとルミエールさんはキャスト側で固定です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はC(コンカフェ)です。
 キャストに限り、お客様のご要望で想定しない事態が起こる可能性が高くなっています。


立場
キャストかお客様かお選びください。

【1】キャストとして接客
ヤンキーもしくはメスガキを選んで、それらの衣装・設定でキャストとしてお客様をおもてなしします。
基本的な衣装や小道具は揃っているものとして、プレイングで指定して構いませんが、お金を積まれれば容赦なく変更されます。
キャスト側に拒否権はありません。

源氏名的なものがあれば、相談卓での共有した上でプレイングでもご指定ください。

なお、メスガキとは言いますが女性じゃなくてもOKですし、ヤンキーも男女問わずです。

※OP内でクウハさんとルミエールさんは既に衣装を着ていますが、違う衣装がいい場合は着替えても構いません。

【2】客として楽しむ
コンカフェの客として楽しいひと時を過ごします。
キャスト(PC)の指定がありましたら、使命料金を支払うことで優先して相手をしてもらえますが、人気のキャストだとそれでも短い時間となるかもしれません。

追加料金でさらにオプションを指定できます。
R18ではない内容であり、見合った金額を支払えるのであればどんなオプションでも可です。言ったもん勝ちです。

ちなみに料理の味は可もなく不可もなくとなります。

※指名料・オプション料の支払いはリプレイ上の演出となります。実際のデータに変化はないのでご安心ください。
(調子に乗って追加しすぎて支払い能力を超過し、皿洗いとかキャスト堕ちとかもアリです。)

  • 再現性東京202X:MESUGAKI & YANKEE完了
  • GM名東雲東
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2024年02月21日 22時10分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

(サポートPC3人)参加者一覧(8人)

オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)
鏡花の矛
武器商人(p3p001107)
闇之雲
ルミエール・ローズブレイド(p3p002902)
永遠の少女
※参加確定済み※
カイト(p3p007128)
雨夜の映し身
ハンナ・フォン・ルーデル(p3p010234)
天空の魔王
クウハ(p3p010695)
あいいろのおもい
※参加確定済み※
コヒナタ・セイ(p3p010738)
挫けぬ魔弾
紅花 牡丹(p3p010983)
ガイアネモネ

リプレイ


 渡された衣装から普段着に着替え直した『あいいろのおもい』クウハ(p3p010695)が深く溜め息をつく。
 恨めしそうに視線を向けたのは、コンカフェのキャストなどというおかしな依頼に巻き込んだ『永遠の少女』ルミエール・ローズブレイド(p3p002902)だ。
 今度はピンクと黒のツートンカラーが特徴的な地雷系の衣装を身に纏い、ニーハイソックスで絶対領域を演出して満足気な表情をしながら姿見で自分の姿を見ていた。
「どう? 可愛いでしょう?」
「うんうん、カワイイ、カワイイ。カワイイナー」
 ルミエールの問いに感情の無い声でそう返すクウハにもう一人が近寄ってきた。
「なぁにぃクウハぁ、私を見たくなったの~? わーざわざ推薦で道連れにしてさ〜ぁ?」
「クソッ、こっちもノリノリじゃねぇか……」
 シャツの裾を胸元で結びミニスカート。これぞ正しくギャルといった格好をしてクウハに絡んできたのは、『崩れし理想の願い手』有原 卮濘(p3p010661)。よく見れば、左胸の名札には「たるうぃ」と書かれており、これを源氏名として参加するらしい。
 どうせ逃げられぬならせめて道連れを。と巻き込んだはずの卮濘だったが、クウハの予想に反して楽しんでいるようである。
「まったくよぉ……。人が足りねぇって聞いてきてみれば……」
「よぉ、似合ってるぜ?」
 クウハの道連れはまだいたようだ。
 特攻服に身を包みレディースに扮した『ガイアネモネ』紅花 牡丹(p3p010983)に笑いかけるクウハだが、牡丹は頭を抱えていたのも束の間。スパッと割り切ると、とことんまでやってやるとやる気を見せる。
 どうやら相手が悪かったらしい。
「揶揄って満足させたらお金になるって、簡単で楽しいお仕事じゃない?」
「そうは言うがな……」
 と言って会話に混ざってきたのは『優しき水竜を想う』オデット・ソレーユ・クリスタリア(p3p000282)。こちらは水色のエプロンドレスで甘ロリ風に仕上げていた。
 どうやらイレギュラーズはこんな変な依頼でも前向きというかノリノリな者が多いらしい。
 だが、そうではない者も確かにいた。
「……~!」
 自分の来た衣装を見て羞恥に悶えているのは『天空の魔王』ハンナ・フォン・ルーデル(p3p010234)だった。刻陽学園(再現性秋葉原で最近話題のゲームに登場する学園)初等部の制服にランドセル。
 しっかりと防犯ブザーも装備済みだ。
「???」
 一方で疑問符を浮かべているのは『挫けぬ魔弾』コヒナタ・セイ(p3p010738)。衣装はノースリーブにハーフパンツとこれぞメスガキといったもの。
 男なのになんで?
 小柄な体格と中性的な顔立ちが決め手となり、メスガキを任されたそうな。
「はぁ……」
「そう溜め息ばかりつくものではないわ、紫苑の月。ほら、そろそろ時間なのだから行きましょう?」
 恋人のハンナや未だ疑問符を浮かべているセイに何かフォローもしなければ。頭の痛い思いをしているクウハだったが、ルミエールにそう言われて時計を見れば、確かに間もなく開店時間だ。
 フォローは本日の営業が終了してからにするしかないだろう。
 クウハがルミエールに手を引かれてホールへと出ていくと、残りのキャストたちも次々とホールへ向かっていく。


「へぇ~、私みたいな小さい子がお好みなんだ? 変態よねぇ♡」
「もっと! もっとください!!」
 開店して間もなく、指名の入ったオデットはテーブルに着くと開口一番そう言い放った。
 どうやらその言葉がクリティカルだったようで、ウッ!と胸を押さえる客に更なる追撃を仕掛ける。
「変態って言われて言い返せないのね。もぅ~、怒って頭まで真っ赤かしら?」
「悔しかったら言い返してごらんなさいよね! ざぁこざぁこ、よわよわ~♡」
 畳みかける連続攻撃――いや、口撃。これこそまさに、求められているメスガキ像だろう。
 満足したらしい客から注文を受けると、くるりと振り返る途中で背中の羽を広げてふわりと一瞬だけ浮遊。そのとき、エプロンドレスの裾が広がりその中をちらりと覗かせ、指名客の視線が釘付けになる。
 が、それもオデットの狙いである。
 にやりと口角を上げたオデットは振り向きざまに更なる口撃。
「っ! もうちょっとで……」
「もしかしてぇ? 今スカート覗けたりしたら、とか思った? こんな小さい子相手に犯罪じゃない~?」
 見えそうで見えない。計算し尽くされたで誘ったオデットは、嘲笑いながら続ける。
「そもそも私みたいな子に給仕させてる時点でやばい趣味よね♡」
「うぅ……っ!」
 もうやめて! お客さんのHPはもうゼロよ! とどこからか聞こえてきそうな気がするほどの容赦ない攻めっぷり。
 だが、それがいい。こんなコンカフェにくるような客はそれを望んで来るような頭のおかし――ゲフンゲフン。紳士ばかりである。
 オデットが去った後には奇声を上げて喜んでいたという。
「お客様からのご指名です。4番テーブルへお願いします」
「分かったわ♡」
 次もこの調子で客たちをからかってやろう。
 そう思って指定のテーブルに向かうと、そこには見たことのある顔が座っていた。
「親友!?」
「楽しい事をしているって聞いたから、遊びに来たわよ」
 オデットが驚きながら親友と呼んだのは『高貴な責務』ルチア・アフラニア(p3p006865)だった。
 なんでここにルチアが……。驚きと羞恥で顔が赤くなり始めたオデットだが、イレギュラーズの情報網を甘く見てはいけないという事だろう。
「それじゃ、ここなる傲慢不遜の人間を、人外の妖精らしく揶揄って下さるかしら」
 そんなルチアの言葉に、オデットは口をぱくぱくとさせるしかなかったのだった。


 キャストの指名は留まるところを知らない。イレギュラーズが接客をしている。という事が口コミやSNSで広がり、期間限定イベントのように扱われているらしい。
「お帰りなさいませ、ご主人様♡ なあんて、ご主人様扱いして貰えると思った? バッカみたい、そんなわけないじゃなーい?♡」
「ナイスメスガキ!!」
 指名の7番テーブルに向かったルミエールが、待っていた客に嗤いながらそう言い放つが、やはり客はそれを求めているため、怒るどころかむしろ悦んでさえいる。
「こぉんな子供に相手してもらいにくる大人とか惨めすぎ♡ キモーい♡」
「理解(わか)らせたい!!」
 更なる悪態に舞い上がった客はそう言ってルミエールに手を伸ばそうとするが、当然ながらおさわりは厳禁である。ぎりぎりのところで理性を働かせ、辛うじて触れないように耐えていた。
 だが、ルミエールは容赦しない。そこで遠慮するようではメスガキを名乗れないのだから。
「胸を押し付けられたり耳元で囁かれたり、そういうのが好きなんでしょ? ほらぁ、もっと構ってほしかったら……。どうすればいいかわかるでしょ?」
「ハァ……ハァ……ハァ……!」
 ぎりぎり触れないように気を付けつつ客の隣に立つと、スカートの端を軽く摘まんで持ち上げながら体を寄せて耳元で甘く囁く。
「お金を払うだけじゃなくって、誠心誠意お願いして?」
「お願いします!!」
「あはは!こんな惨めなことさせられてまで構って欲しいなんてヤバーい♡」
 理性を吹き飛ばした客が財布からチップを取り出し、テーブルに叩きつけながら頭を下げるとルミエールはその様を嘲笑う。
 と、その時。隣のテーブルに呼ばれていたクウハの姿が見えた。
 流石に、接客中の相手を放り出して話しかけるわけにはいかないが、幸いにも客は頭を下げていたルミエールの事は見ていない。
(頑張れ♡ 頑張れ♡)
(アイツ……)
 やる気のなさそうだったクウハがちゃんと仕事をするようにと、メスガキ風の身振りでエールを送る。
 それに気付いたクウハは、頭を抱えたくなる気持ちを抑えつつ、依頼を受けた以上はと割り切って呼ばれた8番テーブルの接客を始めた。
「はぁ、ったく……。こんなところに来やがって。暇なのか?」
「気怠そうなイケメンヤンキーキター!」
 クウハにとって怠い仕事なのは間違いなく、恐らくその言葉は素に近い。だが、それ故に迫真の演技に見えたのだろう。指名客は大喜びだ。
「その辺テキトーに座っとけよ。メシ食いてーなら適当に作ってやっからよ」
「じゃ、じゃあリクエスト! いいですか!?」
「分かったよ、うるせぇなぁ……」
 客に椅子へ座るように促してからそう言うと、メニュー表を見ながら興奮した客が注文を行うと、あくまでも押しかけられたヤンキーとして振る舞いつつ、注文を持って厨房へ。
 さて、ここで注文票をキッチンスタッフに渡すのは簡単だが、それは違うとクウハの中の何かが訴える。
 このコンカフェで振る舞われる料理のほとんどは、温めるだけで出来るようなものばかりで味はイマイチ。料理はあくまでもシチュエーションを楽しむ道具の一つという扱いなのだ。
 しかし、せっかくなのだから美味しいものを食べてほしい。そう思ってしまったクウハは、自ら厨房に立つとその腕を振るって、注文された料理を作ると客の下へそれを持っていく。
(あーあ、生き生きと仕事してやがる奴らはスゲェよなあ。演技すんのも疲れんだろうに。)
 先ほどのルミエール然り、ノリノリのイレギュラーズは意外と多い。振る舞われた料理に悦ぶ客の相手をしつつ、そんな仲間たちの様子を見て感心するクウハであった。


「ええ~? お兄さんここがどういうところかわかってて来たの~? しかも私たちを指名とかきもちわるう~♡」
「ほんとマジそれ~」
 1番テーブルの客はそれなりに予算を積んで来たらしく、ハンナとセイの二人で相手をすることになったようだ。
 心を殺してメスガキになりきるハンナとセイ。
「こ~んな小さい子に馬鹿にされに来たなんて、とんだマゾじゃん♡」
「いいぞぉ! もっと貢がせろ!!」
 ケラケラと嗤うハンナやセイを見て、怒るどころかこうなるのだから業の深い界隈である。
「ほらよわよわさん♡ 特別に注文聞いてあげるから好きなのたのみなよ♡」
「オムライス!!」
 そう言ってハンナがメニュー表を取り出すが、既に注文は決まっているようで即答されたのでそれをちゅぼうへ伝えに行く。もちろん、馬鹿にしたように嗤うのも忘れずに。
 さて。料理はレンチン数分で出来上がるのだが、何事にも建前というものがある。”料理が出来るまで”の少しの間、客の希望でセイがオプションでゲームの相手をすることになる。
 カードとダイスを使った簡単なゲームなのだが、実はキャスト側が必ず勝てるように仕組まれている。
 客側がぎりぎり勝てそうだと熱くなったところで、キャスト側が勝つようにするのがポイント。らしい。
「ざぁこ♡ ざぁこ♡ お兄さんファンブルしてる♡ 負け組ざぁこ♡」
「次! 次は勝つから!!」
 と、客が勝負にのめり込みそうになったところでハンナが料理を運んできた。
「はい、どうぞ♡ ん? 何か言ってほしいのお? お兄さん、何かしてほしい時はぁちゃんとお願いしないとだめだよねぇ♡」
「お願いします! 例のアレを……!」
 テーブルに皿を置いて何かに気付いたらしいハンナがそういうと、客はもう我慢できんと勢いよくお願いする。当然、チップも相応に弾んで、だ。
「は~いよく言えましたぁ♡ それじゃあ言ってあ・げ・る♡」
 そう言ってハンナがセイへと視線を向けると、二人で客を挟み両側から仕掛ける。
「ざぁこざぁこ、よわよわ~♡ なっさけなぁ~♡」
「うわぁ、これで喜ぶとかマジ変態さんじゃん♡」
「我が生涯に一片の悔いなし……」
 二人掛かりの攻めを受けて、客はもう限界を迎えて昇天するのだった。


 白ギャルメスガキのたるうぃになりきった卮濘も、その蠱惑的な肢体を存分に活用して客たちからの視線を集めた上で、メスガキらしく煽っていく。
 キワドイ衣装もあって、”そういった”視線が向けられるがそこはイレギュラーズの身体能力である。巧みな身のこなしで”決定的”な部分は決して見せず、触らせず、客の案内や料理の配膳を行っていく。
「ざぁこざぁっこなおにぃ〜さんおねぇ〜さんたちぃ〜♡ たるうぃわからせたいなら〜ぁ〜、死ぬ程に愛してみてね♡」
 そう言って満足しながら帰っていく客を見送ると、すぐに別の客が入ってきて片付けたばかりの席へと座った。
 店内の様子をきょろきょろと伺うその人物は、どうやらこういった場所には不慣れらしい。
「なんかこー、ホント特殊だよなぁ」
 と呟いたその客の正体は『雨夜の映し身』カイト(p3p007128)だった。興味本位で入ってみたはいいが、非常に特殊な空気感に圧倒されつつある。
 が、呼吸を整えて気分を落ち着けると、キャストをどうするか考える。
 メスガキとヤンキーから選べるようだが、少なくともメスガキはカイトの趣味ではないのでヤンキーにすると、スタッフに告げてキャストを一人付けて貰う。
「げ。てめえなんでここにいるんだよ!?」
「うわっ!?」
 カイトに付いたキャストは特攻服に身を包んだ牡丹だったのだが、互いにまさか顔見知りが現れるとは思ってもいなかったようだ。
「わりいかよ。オレがこんな所でバイトしてちゃ」
「いや、悪くはないが……ホントどうした? 大丈夫?? 変なことされてねぇか?」
 演技と本心がほとんど重なっている牡丹に、心底心配そうな視線を向けるカイト。なにやら変なところで歯車が嚙み合ってしまったようだ。
「俺の事はいいからさっさと注文を言え、注文を!」
「あ、あぁ。そうだな。とりあえず、カレーを頼む……」
 カイトに注文されて持ってきたカレーは牡丹お手製だ。
 レンチンしてお終いの味気ないものではなく、しっかりと手間をかけて作ったものでその味には自信がある。
「旨い! これ、ホントにお前の手作りなのか?」
「なんだよ、オレが料理上手くてわりいか? ああん? 文句あるなら舌引っこ抜くぞ!」
 料理上手なヤンキーというギャップを狙って用意していたのだが……。
「これだけ料理出来るならもっと仕事選べるだろ? 仕事終わったら相談乗るぜ?」
 本気で心配されたのだった。


「やぁ、クウハさん。遊びに来ましたよ」
「お前まで来てるのかよ……」
 クウハを指名したのは『夜鏡』水月・鏡禍(p3p008354)だった。今日一日、ちらほらと見知った顔を見かけていたクウハは、親しい友人の登場に目を覆うように手を当ててボヤく。
 しかし、まさか鏡禍にそんな趣味があったとは。そんな視線を向けるクウハだが、それに気付いた鏡禍は慌てたように手と顔をぶんぶんと横に振る。
「違うんですよ、別にそういうのが好きってわけではなくて……。かっこいい男性像の参考にしようかなと思ったんです」
「まぁいいけどよ……」
 コンカフェの楽しみ方としてあっているのだろうか。とも思わなくもないが、鏡禍がそれでいいのならこれ以上は言うまいとクウハは言葉を飲み込み、一方で鏡禍はクウハや他のヤンキーキャストの振る舞いを楽しみつつ、「かっこいい男」の参考にするべく目に焼き付けている。
「すみません。指名が入りましたVIPルームへとお願いします」
「と、指名だ。悪いな」
「いえ、お相手ありがとうございます」
 スタッフに呼ばれたクウハがVIPルームへと向かうと、その途中で同じように呼ばれたらしいルミエールと合流した。その事実にクウハは一つの確信を得る。
「やぁ、待っていたよ」
「やっぱりか、慈雨……」
「私たちを同時指名するなんて父様くらいよねぇ」
 二人を迎えたのは『闇之雲』武器商人(p3p001107)。
 今、このコンカフェでクウハとルミエールはトップクラスの人気を誇り、長時間の接客をさせるには相応の額を積まねばならない。
 そして、テーブルにドン! と積まれた札束から察するに、金の力で捻じ伏せてしまったのだろう。合法的に二人へ貢げると聞いて、武器商人は金に糸目など付けるはずもないのだ。
「ったく、しょうがねぇなぁ」
「いつまでもムスメ離れできないなんて、ホントなっさけなーい♡」
「おぉ! いいよいいよぉ!」
 まさかの登場に驚かされはしたが、キャストと客である以上はしっかりと務めを果たさなければならない。
 頭を描きながらボヤくクウハに、嘲笑うルミエール。
 そんな普段見られない二人の姿に、武器商人も興奮気味でオプションをどんどんと追加していく。チェキ撮影でスリーショットを撮ったあとは、順番にハグをして貰って最後には食べ物の「あーん」をしてもらうのだ。
「ほらよ」
「あーん。うんうん、美味しいねぇ」
 クウハの向けたスプーンに乗ったオムライスを頬張り武器商人の頬が思わず緩む。
 こういった場所の料理とはさほど美味しいものではないのだと思っていたが、なんと今回はクウハの手作りらしい。当然レトルトなどとは比べ物にならない味であり、その事実をしれば美味しさも倍。クウハにあーんして貰ったということでさらに倍……と、武器商人の主観では極上な一品と化していた。
「どっちが子供なのかしら♡ ご飯は一人で食べられまちゅか〜?♡」
「ふふふ、どっちだろうねぇ」
 反対側から迫るルミエールはクッキーをつまんで武器商人の口元へ運ぶと、ぱくりと口の中に入れる。こちらもクウハお手製であるため、やはり美味しさマックスでまさしく天にも昇る心地と言えるだろう。
 そうしてコンカフェを堪能する武器商人だが、そんな時ほど時間が早く過ぎ去っていくものである。気付けば閉店時間が迫っていた。
「おっとそろそろ時間だね。終わったら合流してどこかでご飯を食べていこうかね? 他のコたちも連れてさ」
 このまま二人と一緒に家に帰りたいところだが、キャストは閉店後も残って店内の掃除やレジの清算といった仕事がある。
 武器商人は一旦、二人と別れるととんでもない額となった会計を眉一つ動かさず、上機嫌で支払って店外へと出ていった。
 なお、この日の売り上げはクウハが歴代の記録を大きく抜き去ってトップに輝いた。

●営業後キャスト控室
 全ての業務が終了したところで、控室は死屍累々となっていた。
 仕事で疲れたということもあるが、今日一日を振り返って羞恥心で心が死にそうな者が数名……。
「元気だせって。慈雨がこの後メシ奢ってくれるって言ってるしさ?」
「…………」
 クウハが励まそうとするも、ハンナから返事はない。ただの屍のようだ。
「なぜ……」
「結構可愛かったわよ?」
 未だにメスガキ役という配役に納得がいっていないらしいセイに、ルミエールが自信を持ってと言うが、それで正しいのだろうか?

「親友に見られた……」
「なんでこんなことに……」
 オデットはオデットで親友にメスガキをやっている所を見られたし、牡丹は本気で心配されて料亭やら喫茶店やら、幾つかの名刺を渡されていた。
 元気なのは完全に楽しんでいたルミエールくらいではないだろうか。
「と、そんなことよりクウハ! オレとも写真撮らねぇか?」
「はぁ?」
「ダチとこんなかっこで馬鹿やってる写真が欲しいだけさ」
 どうよ? と投げかけられると、クウハもまんざらではなかったようだ。
「しかたねぇなぁ。一枚だけだぜ?」
 そう答えてこの日の記念に一枚撮ると、他のキャストたちも記念写真を撮り始めるのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

コンカフェバイトお疲れ様でした。
キャストの皆様もお客様となった皆様も、楽しんで頂けましたら幸いです。

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