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ギルドスレッド

Ecclesia Ruinae

本音

『本音を聞くため薬』というのを先日鏡禍は手に入れた。
ただ使う勇気が持てず、自分の部屋に置きっぱなしにしていたのである。
刻限を決めてはなぁなぁと引き伸ばしながら。

ある日、その薬が自室からなくなっていることに気づいて鏡禍は血相を変えて妻を探した。
誤って飲んでいたら、どうしてたらいいかわからなかったから。

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な、なんで知って……隠してたはずなのに。
あれで気付かれないと思ったの? バレバレよ。話したくなさそうだからそのままにしてたけれど。
うぅ……黙ってたのは申し訳ないと思いますけど、でもそれぐらいどうしても必要だったんです。
だから、返してくださいよ。
私に話したくないってことは、悪いことに使うからでしょう。それが判っているのに返してしまうのは、主義に反するわよ。
決して悪いことに使うつもりは……わ、わかりましたよ。
貴女に、使うつもりだったんです。
だって、ルチアさんは僕がどれだけ気持ちを伝えても、全然返してくれないじゃないですか。
僕のことどう思ってるかなんて何一つ教えてくれないじゃないですか。
怖いんですよ。ルチアさんを信じられない僕が、いつか本当に取り返しのつかないことを起こしそうで。
だから確かめられたらって、そのためだけに、手に入れたんです。……使う勇気は知っての通りなかったんですけどね。
……(沈黙)
えぇ、嘘でしょ。伝わってない……?
だって言ってくれないじゃないですか。
じゃあ、上辺だけの言葉を連ねれば良いという事かしら。
『貴方の事が好きよ、愛しているわ』
これで満足?
ちが、違う……違うんです。僕は……貴女の本当の気持ちが、知りたいだけで……。
負の感情なら過敏にわかるのに、正の感情は、好意や愛は全然、わからないんですよ。
それなら、こうしましょう。(瓶を再び取り出して、蓋を捻った)
今ここで、この薬を呷るわ。
えっ、ま、待って。待ってください。
だめ、まだ心の準備が。
(手を伸ばす。届かないだろうと思っているけど)
あぁ……(飲んだのを見てしまった)
やだ、こわい、ききたくない。
(耳を塞いで蹲る)
それじゃあ、何から話そうかしらね。ほら、これが貴方が望んだ事でしょ。逃げないでしっかりと聞く。(耳から手をひっぺがした)
やだ、やだやだやだ。
こわい、知るのがこわい。
(ぶんぶん首を振って、駄々をこねる子供のよう)
うーん、そうねえ。じゃあ、私の一日の行動の意図でも話そうかしら。
そ、意図。
まず、朝起きる時は貴方が起きるといけないから、できるだけゆっくり、お布団に寒い空気が入らないようにしてベッドから出るの。自然に起きるのが一番だからね。
それで、この時期は寒がりな貴方のために暖炉に薪をくべておくのよ。起きた時、冷たいのは嫌でしょう?
それから、貴方が起きる前に朝御飯の準備をしておくのよ。私は和食に造詣が深い訳じゃないから、あまりバリエーションを多くすることはできないのだけれど。でも、味噌や醤油はきちんとこの教会で仕込んでいるのよ。貴方の感想から、できるだけ舌にあうように微調整するには、豊穣とか練達とかから買い付けるよりも、自家醸造した方が簡単だものね。
知っているかしら? 私、朝食は割とどうでもいいと思っていて、だから珈琲一杯で済ませているのだけれど。貴方が来てからよ、こんなに朝から台所を使うようになったの。さすがに貴方には珈琲ってわけにはいかないし、かといって舌に合わないローマの料理を出すわけにもいかないし。結構頑張って練習したのよ、和食。今でもたまに卵焼きを焦がしたりしているけれど、そんな失敗作は出すわけにもいかないし……。
ま、待って。待ってください。
あの、いろいろ情報量が多くて、ちょっと混乱してるんですけど。
確かに起きた時寒くないし、和食出るようになったなとか思ってたし、味噌や醤油を仕込んでるのも聞いてたので知ってましたけど、そういう理由?
というか、料理は失敗しないって、言ってませんでしたっけ?
だって、私一人なら魚醤ガルムでかまわないのよ、味付けなんて。貴方のために決まっているじゃない、仕込んでいるの。
それに、料理を失敗しないだなんて話、まさか信じていたの? 私だって人間なのだから、そりゃ人並みには失敗するわよ。そもそも身分が身分だから、自炊なんて元の世界じゃしてなかったし。包丁で指を切るなんて結構しているのよ? ヒールするからなんてことないけれどね。
僕、のため……。
だってあんな自信満々で言われたらそうだと……。
うぅ……失敗するなら、怪我してしまうなら、料理なんて作らなくてもよかったのに。
僕が作ったのに、どうして。
え、嫌だけど。
「貴方のために料理がしたい」のよ、私は。わかる?
僕のために料理がしたい?
それは、その、僕のことを想ってくれてる、ってことなんでしょうか?
貴方の事を思っていない日なんて一日たりともないわよ?
少なくとも今は、私の生活の中心は貴方の為、貴方と共にある為にあると言っても過言ではないと、思っているけれど。
ちょ、ちょっと待ってください。
え、じゃあ、あの、ルチアさんは僕のこと、好きで、愛してくれてる、んですか?
お馬鹿。なんて基本的な事を聞いてくるのかしら、この人は。
ローマに居た頃ならともかく、好きでもない、愛してもいない相手と結婚なんてしないしないわよ。好きでなくなったのなら離婚しているわ。
こう見えて、私って我儘なのよ?
(急にボロボロと泣き始めた)
じゃあ、僕、怯えなくていいんですね。
ちゃんと、愛されてるって、思っていいんですね。
貴女の気持ちを勝ち取ったって、自身を持っても……。
何よ、何も泣くことないじゃない。
勝ち取ったかどうかはともかく、私の気持ちは貴方のものよ。この先も、ずうっとね。
ごめんなさい。ずっと、不安で怖くて。
貴女が離れていってしまうかもしれないという不安がどうしても拭えなかったんです。
それを僕は認めなきゃいけないと思う一方で、認めたくなくて。
いつか貴女を殺してしまうのではないかと怖かった。
でもそんなこと、考えるのすら馬鹿なことだったんですね。
僕はあなたをちゃんと心まで手に入れた、と。
ほんっとお馬鹿さんね、貴方は。
確かに私はわかりにくい女なのかもしれないけれど、そんなの当たり前のことじゃない。
(頭を胸に抱きよせた)
はい、ごめんなさい。
(されるがまま抱きしめられて)
貴女から言葉が聞けてよかった。
……ひとつだけ、本音を聞けたついでにお願いがあるのですが、いいですか?
証を刻みたいんです。
妖怪や八百万の神々もたまにしていた「自分のものだ」と同族に示す証を。
やったことはないので初めてになるのですが、ルチアさんにはどうしてもやりたいんです。
痛いかもしれなくて、刻んだら戻せないので、躊躇ってきたのですが、良いのなら。
なんだ、そんなこと。
もっと無理難題を言われるのかと思っていたわ。それで、どこに刻みたいの?
これ十分無理難題では……?(困惑)
場所ならどこでもいいんですけど……いつでも見れて隠せる場所がいいな。左手首とか、どうでしょう?
心臓を食べたいだとか、鏡の世界に連れて行って返さないだとか、そういうのを無理難題って言うんでしょう。(この女はギリシャ神話の神々を基準にしているぞ!)
手首、そんなところで良いなら。はい、どうぞ。(左手を差し出した)
心臓を食べたら一緒にいられないですし、鏡の世界より外の世界のがよっぽど良いって知ってますから。
……じゃあ、やりますね。
(差し出された左手を取って、集中するように目を閉じると手首の上に黒い鏡のかけらが浮かび上がった。
続いてそのかけらが手首へと突き刺さり、沈んでいく。
不思議なことに痛みと倦怠感が襲うだろうが怪我はしていないように見える)
……終わりましたよ。大丈夫ですか?
(しばらくして、そう言ってから手を離す。左手首には鏡のかけらがのような黒い痣を中心に円状の幾何学模様が描かれていることだろう。
服の袖やリストバンドなどでちょうど隠れそうな位置とサイズ)
あら、もっと痛いものかと思っていたわ。焼鏝でも当てられるような。(やや顔をしかめていたが、あっさりと言った)
えぇ……結構痛いと思ってたんですけどね。
いや、大丈夫ならいいんですけど。
これでルチアさんは僕のもの、です。
どんな人にも、どんな人ならざるものにも、何一つくれてやりません。
もとより、誰かにものになんてなるつもりはないわよ。
そうでしたね。僕がそれを信じられなかっただけで。
でもいいんです。これで、そう、僕にとっては結婚指輪みたいなものなんですよ。
まぁもしかするとかなり力を込めたので証から僕の妖力が溢れるかもしれませんが。そうなったとしても使いこなせそうですしね?
使える物はなんでも使う主義なの。むしろ、引き出して使ってみせるわ。(痣に軽く口づけた)
もぅ、ルチアさんったら煽るのがお上手なんですから。
(痣に口づけられたのを見て赤くなった)
僕の力を振るうルチアさん、か。とても楽しみです。

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