PandoraPartyProject

クエスト

闘技場設定は『練習場』から!

現在RC:0 (SRC:0)

  • いびきない
    現在報酬:基礎EXP24%、最新闇市アイテム×1

最低参加レベル=14レベル


「む~にゃんちゃん!」
 むぎゅり。
 無機質な部屋で、少女が少女に抱きついた。
 どちらも年の頃は十代半ばに見える。

「大好きっ!」
 抱きついた少女が輝くような笑顔でのぞき込む。
「や、やめてよレニ」
「え~」
 抱きつかれた少女――ムーニャは頬を染めて俯いた。
「そんな、わたし……好きとか」
 口ごもる。
「でも私知ってるよ。むーにゃんちゃんは女の子が好きだって」
「そ、そそそ、そんな」
 慌てる。
「レニちゃん、もしかして……」
 ムーニャはおずおずと訪ねた。
「私はむーにゃんが好き。きっとむーにゃんは私が好き。それじゃあ駄目?」

 ずっと一緒に居たい。友達の垣根を越えたい。
 受け入れてくれるという確信がある。

 信頼。親愛。友情――恋心。

「駄目!」
 突如ムーニャが怒鳴りつけ、レニの肩が驚きに跳ねる。
「だって……」

 私。私は――


 靴底が固い床を叩く。
 どこまでもなめらかだが、それでいて滑らない。
 床に壁。いずれも青みがかった不思議な材質だ。

 行き止まり。話ではこの先の部屋に呼ばれている筈だった。
 目の前には切れ目の入った壁しかない。
 開きそうではあるのだが指も架かりそうにない。ドアノブらしき物も見当たらないのだが。

 ――――セキュリティ認証。

 突如声が響き、イレギュラーズは身構える。

 ――――入室が許可されています。

 許可。それはその筈なのだが。

 ――――どうぞお入り下さい。

 声が止み、音もなく切れ目が輝き壁が開く。
 そういう仕掛けだったか。つまりこれがドアだということだ。
 先ほど案内されていたうちは、さっぱり仕組みが分からず気がつかなかった。
 練達というのはどうにも怪しい国である。
 旅人の仲間であれば、こういった仕掛けにも慣れているかもしれないが。
 幻想とさほど違わないような場所もあれば、鉄帝のような場所。さらにはこんな場所もある。
 てんでバラバラ。まるで混沌を乱雑に詰め込みいい加減にかき混ぜたようだ。
 この世界らしいといえばらしいのかもしれないが。
 さて――

「おっそ~い! ぷんぷん♪ だぞ♡」
 部屋に入ると十代半ば程の少女が腰に手を当て、頬を膨らませていた。
 フリルだらけのブラウス。髪や胸元を大きなリボンが飾り、プリーツの入ったチェックの膝上スカートといった出で立ちだ。
 珍しい格好だが、練達らしいといえばらしいのだろうか。
「こんにちは。博士に呼ばれてきたんだけど。どこかな?」
 訪ねた『冒険者』アルテナ・フォルテ(p3n000007)に向かい、少女がくるりと回る。
「はーい☆」
 身体をかしげて頬に指。ウィンク一つ。目元にきらきらと星が飛ぶ。
「わたしがムーニャ博士だよ♡」
 可愛らしさを通り越して、なんだか気恥ずかしくなるようなポーズだ。
「あ、えっと。ごめんね。え、博士!?」
 イレギュラーズ達が姿勢を正す。
「大丈夫♡ 今日はお願いがあって皆を呼んだんだ。えっとね~☆」
 少女は満面の笑顔でそう言った後、にわかに寂しそうな顔をする。

 博士はVRヘッドギアなるものをイレギュラーズに装着し、バーチャル空間でモンスターのようなものを退治してほしいのだと告げた。
 聞いていた通りではある。

「ま。聞いてくれ」
 少女――博士の声が低くなる。といっても声音は少女のものではあるのだが。
「俺はな。異美転おじさんなんだ」
「いびてん?」
「異世界美少女転生おじさん。本当の名前も大文字・良士郎(だいもんじ・よしろう)って言うのさ」
 博士は十数年前、この世界に転移してきた旅人(ウォーカー)らしい。
 元々は男性だったのだが、なんの因果か小さな女の子になっていたということだ。

「元の世界じゃあ、美少女になるのがな。夢だったんだよ」
 ならば念願叶って良かったのではないか。
 そう思えるが。
「違うんだ」

 博士には親友と呼ぶ少女が居る。
 名前はレニ。
 博士は見かけが。親友は年齢そのものが十代半ばの研究者だ。

 博士はつい先日、レニから告白されたのだ。
 好きだと。付き合いたいと。
「嫌だったの?」
「違う。違うんだ。そうじゃあねえんだ」
 博士は言う。
 己はおっさんなのだと。
 元の世界では会社に勤め、毎朝髭を剃り、夜には酒を飲み、年甲斐もなくゲームをして暮らしていた。
 そんな一人の中年男性なのだと。

 博士はレニのことが好きだと言った。
 受け入れたいと、そう思ったと言った。
 だが。
「汚しちゃいけねえんだ。俺はレニを。絶対に……俺なんかで!」

 レニは少女だ。レニが好きなのも少女だ。
「相手が俺じゃ百合には、ならネェんだよ!!!」
「え、えっと……」
「俺じゃレニを汚しちまうんだ。それだけは、嫌なんだ」
 博士は言う。作成した装置で自分自身の『おっさん分』を完全に消去したいのだと。
 イレギュラーズはバーチャル空間から博士の脳にアクセスし、中年男性としての記憶を抹消するのだ。
 副作用は無論――これまでの思い出。その全て。

「でも、それって」
 アルテナの呟きにイレギュラーズが頷く。
 おっさん分を消してしまえば、博士は己が何者であるのかすら忘れてしまうということだ。
「俺は他の練達モンとは違う。ハナから元の世界に戻ろうなんざ思っちゃいないのさ」
 ただ。ただ。
「おっさんであることを忘れちまえば。俺は真の美少女に、なれるんじゃねえのか」
 そのために親友であるレニの事さえも。忘れてしまえるというのだろうか。
「いいんだ、俺はこの世界の住人として生きていく。その心に違いはないんだ」

 ――仮にもう、レニと仲良くなれなくても。それは仕方のないことだ。
 博士はそう言うが。そうは言うのだが。
 やはり博士の依頼を受けることは、博士と……何よりもレニを傷つける。
 そう思えてならないのだ。

「はやく! はやくやってくれ! 仕事だろ!!」
 博士はそう言うと自分自身もヘッドギアを頭にはめ、スイッチに拳を叩き付けた。

 その瞬間。イレギュラーズの視界は暗転し――

 どうにかしてやる策は。

クエスト詳細

 謎のバーチャル空間での戦闘です。
 見た目も能力も、外の世界と同じような感じになるそうです。
 不思議ですね。

・敵
 セキュリティシステム×4

・同行NPC
『冒険者』アルテナ・フォルテ(p3n000007)
 近距離攻撃を中心に、傷が深くなってきた場合は回復を行います。

 担当GM『pipi

同行者(最大2人)

同行者は、経験値・報酬・称号等は入手出来ません。また、同行された通知も行なわれません。

味方NPC

アルテナ・フォルテ

対戦相手

セキュリティシステム
セキュリティシステム
セキュリティシステム
セキュリティシステム

全体の成績

総挑戦回数2550回
勝利1002回 敗北229回 引き分け2回 スキップ1317回

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