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シナリオ詳細

<獣のしるし>偽りの正義求め

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<獣のしるし>偽りの正義求め
 『麗帝』ヴェルス・ヴェルク・ヴェンゲルズ敗北の報。
 風の如く、衝撃的なその一報は鉄帝国だけでなく、周りに立する国々にも当然の如く知れ渡る。
 流石にその報を聞いた幻想や天義の国は、帝が退きそこに魔種が就いた事に驚くと共に、いつ来るかも解らない事に警戒を強める。
 無論それは魔種が就いただけで引き起こされたわけではない。
 ここ、天義の国においても冠位魔種らが聖教会にいた事により、国民達は天義の教義に異を唱える者達がまだまだ多く潜んでいる……そしてそれを如実に示したのが、独自の神を信じることを是としたアドラステイア。
 最初の内は、アドラステイアの強固な反発は、天義の国々に於いて白い目で見られていた部分もあるが……最近は、その様な行為をしなければならない、と街中で叛旗を翻す者も出始める。
 そして天義の上層部は、その声を抑えるが如く、鉄帝に向けての軍を立てて、赴かせる……鉄帝国を討伐し、魔種の帝を倒す事で確固たる教義を示そうと。
 だが……反発する声に応えるが如く、天義と鉄帝両国の国境沿いに存在する『殉教者の森』では……黒き人影を持つ軍勢達が、突如姿を表す。
『……う、うわあああ……!!』
 突如現れたその軍勢は、国内弱体化で弱っている鉄帝国へ攻め入ろうとしていた天義の軍勢は、黒き軍勢達の強力な戦力の前に、進軍を止められてしまう。
 ……だが、ここで撤退する事は敵わない。
『いいか、俺達はここから後退する訳にはいかない……ここで、止めるのだ!』
 と、強い意志を露わにするものの、敵陣の勢いは留まる事はなく、兵士達へ蹂躙の限りを尽くすのであった。


「えっと……その……あ、あの……すいません……ちょっと、お話……聞いて貰っても、宜しいでしょうか……?」
 天義の街角……忙しなく動く人々の狭間で、おろおろと声を掛けようとしているのは、『深森の声』ルリア=ルミナス(p3n000174)。
 そんな彼女の困り顔を見かねて声を掛けた君達に、ほっとした表情を浮かべた彼女は。
「ありがとうございます……天義の国……皆さん、忙しそうで……中々声を、掛けられなくって……いえ、そんな事は今はいいんです。その……大変なんです」
 鉄帝、天義、幻想と様々な国に報じられた麗帝敗北の報を聞いた彼女は、今、何が起きているのか……を調べるが為に天義の国を訪れる。
 街の人達に情報を収集していた所……彼女の下に聞こえてきたのは、鉄帝と天義の国の国境沿いに、突如正体不明の軍勢が現れ、天義の聖騎士軍の一派が撃破されたとの事を、彼女は聞いた訳で。
「天義の聖騎士団の方々は……上層部からの命令で仕方なく鉄帝に攻め入ったという話もあります。他国に攻め入るのは……褒められた事ではありません。」
「皆様、色々と思う所はあると思います……ですが、無闇に命を落とす事も、あってはなりません。それに……彼等を襲撃した者達を放置しておけば、この国も鉄帝国と同じような状況になりかねません……どうか……皆様のお力を貸して頂ければ、と思います。宜しく……お願い致します……」
 そうルリアは、申し訳無さそうに深く頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)と申します。
 今回の事件は、天義の国と鉄帝の国境、『殉教者の森』に現れた正体不明なる敵軍を討伐し、立ち往生している聖騎士軍を救出する事です。

 ●成功条件
   聖騎士軍を救出する為に、見える限りにある敵軍を全て討伐する事です。

 ●情報精度
  このシナリオの情報精度はBです。
  依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 ●周りの状況
   今回の舞台は『殉教者の森』です。
   ここは密集した木々が生え揃っており、非常に鬱蒼として陰鬱な気配が漂う場所です。
   国境には高く隔てるように塀が存在していますので、国境線は解りやすそうです。
   ただ木々が密集し鬱蒼としているが為、上空からの偵察をしようとも見えませんし、視界も全体的に悪いです。
   敵軍は何処から襲い掛かってくるかは解りませんので、視界不良で不意打ちに対処出来る形で戦う必要があります。
   
   聖騎士軍達は突然の襲撃に混乱状態に陥っていますので、最初の内は戦闘には役立ちません。
   しかしながら、正気を取り戻せば、ある程度の戦力にはなるかもしれません。

 ●討伐目標
 ・影に象られし兵士達
   人型、動物(狼)型の形状を取る影の存在たる者達です。
   影の様な者達ではありますが、こいつらは戦う力はそこまで高くありませんので、倒す事自体はそんなに難しくはないです。
   ただ、大量の敵数が居るので、倒しても倒しても次から次へと現れる……そんな厄介な敵となります。
 
 ・全てを喰らう『ワールドイーター』
   ずんぐりとした黒い巨体の四足歩行の獣達です。
   何となく犬が巨大したっぽい形ではありますが、性格は凶悪凶暴、かつ知能的なものはなく、ただただ目の前に現れる敵対する物を容赦無く喰らい尽くす……という状態です。
   こいつに食われると、行動不能になりますが、こいつを倒せば取り戻す事が出来ます。
   攻撃力及び体力は高め、更には強力な毒を周囲に撒き散らす効果を持ちます。

 ・率導せし致命者
   ワールドイーター及び、影の兵士達を連れ歩く者達です。
   その姿は、明かな人の姿で、尚且つ小さな身の丈をしています
   少年少女の様な姿ではありますが、意外に戦闘能力は高いです。
   又回避能力も高めで、攻撃回避しながらカウンター気味に攻撃を仕掛けてくるテクニカルファイターな感じになります。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <獣のしるし>偽りの正義求め完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2022年11月27日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼
イリス・アトラクトス(p3p000883)
光鱗の姫
武器商人(p3p001107)
闇之雲
天之空・ミーナ(p3p005003)
貴女達の為に
エマ・ウィートラント(p3p005065)
Enigma
ソア(p3p007025)
無尽虎爪
雨紅(p3p008287)
愛星
リドニア・アルフェーネ(p3p010574)
たったひとつの純愛

リプレイ

●隙を突く刻
 鉄帝国皇帝敗北の報を聞きし、天義の国。
 その報はかの国だけでなく、周りの国にも少なからずの影響を与えており、ここ天義の国に於いては天義の教義に異を唱える様な者が現れるだなど、影響を及ぼし始めていた。
 勿論、国の教義に異を唱え、反発されてしまえば……その反対はがいつしか大きな奔流となりて、国を滅ぼす元凶にもなりかねない。
 故に、天義の国が国威高揚のために打ち出したのは、帝交代の隙を突いて、あわよくば国を則るべく、攻め入る軍の派兵。
 ……とは言えそんな命令に対し、不平不満を人知れず者達も居る訳で。
「……これだから天義って国は」
 はぁ、と深い溜息を吐くのは『味のしない煙草』リドニア・アルフェーネ(p3p010574)。
 それに『刑天(シンティエン)』雨紅(p3p008287)と『永炎勇狼』ウェール=ナイトボート(p3p000561)の二人も。
「ええ。思う事が全くないとは言いませんが……」
「そうだな。とは言え軍隊に所属するならば、お偉いさんの命令は絶対だから仕方ない。印象を悪くして、左遷や減給されたら、家族に迷惑を掛ける事になって仕舞う。周りも行くんだから、止めようがない、流されてもしょうがない……そんな気力が下がっているタイミングに奇襲をされたら、普段の力を出せないよな……」
「ええ。人命を助ける事に躊躇いはありません。とは言え今回の依頼……正体不明の敵と、鉄帝との国境沿いで発生する事件……冠位強欲の件は資料でしか知りませんが、此度も魔種の関与はありそうですね……」
「そうね。まぁ……どうこう言おうが故郷の危機である事は確か。ならば天義の騎士の家系として、助けて差し上げなければなりませんわ」
 三人の会話の通り、今回は……鉄帝国との国境沿いにある深い森『殉教者の森』において、鉄帝国に攻め入る軍隊が襲撃される事件が次々と発生している事から、その確認と救出を依頼された訳である。
 帝交代の前までは、その様な事件が発生した記憶もない……と言うよりかは、天義側が軍勢を率いて仕掛けた所から、この事件が起き始めている。
 更にはその敵陣の中には、かの『ワールドイーター』に似た様な個体も確認されているのだ。
「うーん……確かに帝敗北の報から時間にすればそれほどでもないような、もう大分経ったような……そういう感覚ではあるけど、またあの時みたいな事件が起こるっていうのは穏やかじゃないわね……しかもワールドイーターでしょ? 原因も分からないってのは怖いわね」
 と、顎に手を当て思慮する『光鱗の姫』イリス・アトラクトス(p3p000883)に『紅矢の守護者』天之空・ミーナ(p3p005003)と『Enigma』エマ・ウィートラント(p3p005065)も。
「ああ。今度は一体何かと思っていたら……また死者と、そんでもって世界を喰らうモノ、か。これが何を意味するのか……ってとこか?」
「ええ。かの冠位魔種『強欲』の影、R・O・Oから浸食してきた存在でごぜーますね。何故過去の存在が今になって現れたのか……今考えても仕方ないでごぜーますが……どこかで情報が得られると良いでありんすね」
「ええ。だって軍の人達は好き好んで派兵に言って居る訳じゃないんだし、その命を貪り喰らうワールドイーターやら、他のを含めて確実に倒さないと!」
「そうだな。俺を待ってる息子達が居る様に、兵士さん達の事を待って居る誰かが悲しまないように、一人も死なせてたまるか!」
 ぐっ、と拳を握りしめるイリスに、ウェールも己へ活を入れる。
 そして『猛獣』ソア(p3p007025)はニコットと笑みを浮かべて。
「うん! この殉教者の森、深い森みたいだけど大丈夫! ボクは何と言っても森の王だからね。きっと草木や獣たちが、聖騎士さんや敵の居場所を教えてくれるよ!」
 自信満々なソアに、『闇之雲』武器商人(p3p001107)が。
「たしかに、虎の娘の言う通りだねぇ……それじゃぁ森の道案内は頼むとしよう」
「うん! ねえ、みんな。ボクに力を貸して!」
 そう言いつつ、森の木々に語りかけるソア。
 ……すると、木々はざわめき、僅かな風が吹く。
「ん……うん。あっちの方みたいだよ!」
 と先陣を切り誘導するのであった。

●天義の際に障る影
 ……そして、森の中へと分け入って行くイレギュラーズ。
 暫しの静寂が包む殉教者の森は、空から差し込む灯りは少なく、薄暗い。
「かなり暗いな……取りあえず光源を確保しておくか」
「そうですね」
 ミーナの言葉に頷き、イリスと合わせて己の身を光に包む。
 暗闇に二人の暖かい光が灯り、取りあえず見渡せる範囲の視界は良好……と言った所。
「これで、良しっと……一応暗視持ちの人達の情報も手がかりになりますから、宜しくお願いしますね」
「と……こういう森だ。足を封じ襲い掛かってくる事も考えられる。だから足場が暗くなる程までは離れないでくれ」
「ああ、勿論だ」
 イリスとエマにサムズアップで応えるウェール。
 光と暗視の両面から、薄暗い森の中に目を凝らし……進む。
 そして……森に足を踏み入れ、一時間程が経過した、その時。
『……!!』
 ……ふと足を止めるのは、先陣を歩くソア。
「ん……どうしたんだい? 虎の娘」
「……声が、あっちから聞こえるよ」
 そう言いながら、森の奥を指さすソア。
 その方向に視界を懲らすと……木々の間から、剣撃の火花がちらりと見えて、更に雨紅も。
「敵の気配……間違いありません」
 とエネミーサーチによる敵の気配を強くその方角から感じ取る。
「了解ですわ。急ぎましょう!」
 とリドニアの声と共に、その方角に駆けていくと。
『う、うわぁ……! なんだこいつらっ……!』
『人……じゃない!? なんだあの犬みたいなやつらは……って、素早いっ!?』
『く、くるなっ。くるなぁぁぁっ!!』
 重なる悲鳴……駆けつけるイレギュラーズ。
 薄暗い森の中で暴れ回る四足歩行の熊状の『何か』と、人、狼……と様々な影を象った『何か』。
 軍兵達は、突如の襲撃に混乱をしている様で……悲鳴を上げて逃げ惑う状況。
「おーおー、大変な事になっておりんすねぇ。ここまでくると、もはや壮観でありんすな」
 何処か他人事なエマの口ぶりに、武器商人は。
「隠者のコは、いつもそんな感じだねェ……まぁ、分からなくもないけどねェ」
「ええ。まぁ、今は依頼を受けた身でありんすから、こっちの対応といたしんしょう」
 そんなエマの言葉に頷きつつ、声高らかにウェールが開口一番。
「聖騎士達よ! 特異運命座標が応援に来たぞ!」
 張り裂ける声の爆弾で、兵士達に呼びかける。
 ただ、その一言では混乱を納める迄には至らない……故に、更に。
「おい、しっかりしやがれ! それでも天義を護る剣であり、盾である騎士か!」
「立ち向かう勇気はまだあるか!? なければ振り絞るんだ! 俺達がやられたら、こいつらが天義の街に雪崩れ込むぞ! 家族を! 大切な人を! 誰かの笑顔を護り続ける為に、死ぬな! 生きる為に力と勇気を振り絞れ! 無茶するのは俺達イレギュラーズに任せろ!!」
 ミーナとウェールが更に強く言葉を重ね、混乱の境地に陥る兵士達を奮い立たせる。
 そうしている間にも、イレギュラーズ達は森を駆けて兵士達を越え、敵との狭間に割り込む。
 イレギュラーズ達の背を見る兵士達……振り返らずに、イリス、リドニアが。
「アイツらは、私が相手をする!」
「蒼熾の魔導書がアルフェーネ家、友軍に参った! 恐れず悪を滅せよ!」
 威風堂々たる宣言で、兵士達を力づける。
 そして兵士達の脇に、雨紅と武器商人がやってくると。
「大丈夫ですか? 私達が来たからには、皆様を必ずお守りします」
「そうそう。無事なコは怪我したコを連れて一端お下がり。我(アタシ)たちは救援だからね。立て直したら、こいつらの駆除を手伝っておくれよ」
 と怪我人を後ろに下がらせつつも、戦う意思のある兵士達に加勢を依頼。
 一時は混乱で半壊していた彼等ではあるが、イレギュラーズ達の声に再度奮起し、戦う意思を少しずつ見せ始める。
 とは言え敵の軍勢は、復帰を待ってはくれない。
 大多数を占める人やオオカミの影を象った者達が前線を引き上げ、数多の攻撃を繰り出す。
 そんな敵影の攻撃を喰らうがごとく、一際大きい犬の如き影は獰猛な鳴き声を上げて、周囲を見境無く貪り喰らう。
 ……そんな敵の攻撃を喰らい消える影……だが、少し数が減っても、別の所から更なる影となって姿を表してくる。
「この影みたいな奴らは、倒してもきりがなさそうだね。なるべく無視したい所だけど」
「ああ、そうだな。ならば私らが路を切り拓こう……行くぞ」
 そうミーナは言うと共に、死神の断罪なる刃で以て、塊拡がる影の群れを次々と滅する。
 更に武器商人も、破滅を呼ぶ声にて影群を纏めで消滅させていく。
 そんな二人の攻撃で、ワールドイーターに向けた活路を切り拓いて行き……そこへ雪崩れ込むイリス、エマ、ソア、リドニア。
 何とか立ちはだかろうとする奴らは居るも、それらには。
「邪魔しないでください!」
 とイリスの乱撃の一閃で以て薙ぎ倒していく。
 そして、ワールドイーターの下へ辿り着くと共に、その風貌を再確認。
「他のと違って、実体がある四足……やっぱり、R・O・Oで見た敵? これは倒さないとまずそうだね」
「そうですわね、余り時間を掛けたくありませんし、一気に行きますわよ!」
「ええ」
 三人相互に頷き合い、リドニアが先手を取り赤い闘気の一閃を叩き込む。
 その一閃は深くワールドイーターの身に突き刺さり、かなりのダメージを与える……更にソアの凶刃な刃と、エマの熱砂の執刃が更にワールドイーターを傷付けて行く。
 かなりのダメージを喰らった筈……だが、ワールドイーターは倒れない。
「これは……中々強力な敵の様ですね。皆さんの全力攻撃を喰らっても、倒れないとは」
「ああ……そうだな……ん?」
 雨紅の言葉に頷きながら、ウェールの視界に……ちらりと別の影が映る。
「どうされましたか?」
「……右の方。他とは違う影があるぞ」
 ウェールの言葉に、暗視の視で目を凝らす雨紅……ワールドイーターと、他の影とは明らかに違う、影の様だが影ではない、実体の姿。
 明らかに子供のような姿だが……はっきりと感じ取れる、敵の気配。
「あれが、致命者……でしょうか?」
「ん……ああ、その可能性が高そうだねェ。ワールドイーターに続けて、彼を狙うとしよう」
 そして武器商人は、仲間達に向けてテレパスを使用し、致命者の存在と位置を共有。
 前線のエマが頷きつつ、前線の仲間達にもその情報を共有し、ターゲットを定める。
 勿論、ワールドイーターを先に倒さなければ、こいつが何をしでかすか分からない訳で。
「何にせよ、先ずはワールドイーターを倒します! 皆さん、一気に仕掛けますよ!」
 その掛け声に合わせる様、前線に立つ四人はワールドイーターに総攻撃。
 それを妨害しようとする影兵達はミーナとウェール、武器商人、更には奮起し戦う兵士達で対処。
 雨紅は、周りの状況を見渡し、不意の襲撃を避けられるよう声を掛けつつも、致命者の位置を常に監視し万が一にも見失わない様にする。
 かの如くに戦況を進めていき……この戦場に存在するワールドイーターを、数十分の国を経て倒したイレギュラーズ。
「……良し。今だ!」
 ミーナの声に合わせ、一気にターゲットを致命者へとシフトするイレギュラーズ。
『……っ』
 短く息を吐き、周りの影兵達を囮にし、己は下がる致命者。
 しかし、下がった先には前線から展開してきたリドニア達。
「必命の凶手……喰らいなさいな!」
 とリドニアは敢えて必中の一閃を叩き込み、致命者の身を呪縛に包む。
 その動きが鈍り、地面に足を突きし致命者……更にソア、エマ、イリスが連携し、致命者に連続攻撃。
 どうにか躱そうと、その小さな身の丈で駆け回るが……流石に避けきる事は出来ない。
 再び地面に臥し、また立ち上がろうとする致命者……そこにウェールが。
「……子供の姿をしているが、容赦はしない……!」
 唇を噛みしめ、霹靂の一閃をその身の真中に叩き込む。
 必殺たる一閃は、躱す暇を与えずに……其の身を崩壊させる。
 そして……致命者の消失と共に、数多いた周りの影兵達も、まるで同一の身の如く姿を忽然と消していくのであった。

●天義の声
 そして、全ての影が消失した後。
『……ほ、本当に……奴らは消えたのか……?』
 にわかには信じがたい……といった雰囲気の聖騎士軍。
 ……そんな彼等に頷きつつも、周囲への警戒を解くことはない雨紅。
「ええ……勿論、完全に安心出来る……という訳ではありませんが」
『そ、そうなのか……でも、取りあえずは大丈夫……って事だよな……? よ、良かった……』
 安堵の息を吐く聖騎士軍。
 そんな彼等に向けて、エマが。
「しかし、聖騎士軍も大変でごぜーますねえ。聖騎士軍も初戦は社会の歯車の一つにしか過ぎない、という事でありんすか」
 と言うと、更にリドニアも。
「そうですわ。天義の上層部は何を考えてますの……? これって……」
「ん。そうでごぜーますよ。魔種討伐の為の遠征ではなく、もはや侵略行為に他ならないでごぜーますよ。これが正義の為とは、くふふ。上層部も追い詰められて無くとも、侵略していたんでござりんすかね?」
 エマの言葉には、何処か棘を感じるものの……確かにやっている行為自体は、他国の混乱に乗じた侵略行為に他ならない。
 そんなエマの言葉に対し、聖騎士軍達は口を噤むがのみ……そう、彼等だって、本来はこの様な事を好き好んでしたい、なんて訳もない。
「まぁ、どちらでも良いでごぜーますね! どちらにせよ、やらかしている事に変わりはないのだから!」
 更なる言葉に、項垂れる彼等の表情を見て……リドニアも。
「……そうだな。確かに……アルフェーネ家も逆らえないな。これが正義と言うのなら、な」
 敢えて自嘲気味に語りかける事で、彼等の心労を少しでも解きほぐせれば……。
 ……そんな聖騎士軍達に向けて、やれやれ……といった感じで肩を竦めつつ、一人一人の肩をぽん、と叩いて。
「まぁまぁ……まだアレらの正体もわかっていないし、闇雲に進軍っていうのは余りにも危険だろう? 一端戦略的撤退をして、体勢を整えるがいいと思いますがねぇ……」
 と言いつつ、耳元で。
『……勿論、撤退した後の事に対しては我(アタシ)らからは何も言わないさ。尻尾撒いて逃げるも良し……また戦うのも、それはそれで、という訳』
 ほのめかす武器商人の言葉に、はっ……と気付いたような表情を浮かべる聖騎士軍。
 そして。
「それじゃあ、一端撤退だ。さぁ、虎の娘、もう一度道案内、宜しく頼むヨ」
 何かを企むかの如く笑みを浮かべた武器商人に、ソアはうん、と頷くのであった。

成否

成功

MVP

ウェール=ナイトボート(p3p000561)
永炎勇狼

状態異常

なし

あとがき

ご参加ありがとうございました!
他国の混乱に乗じた侵略行為という言葉……確かにその通りだと思います。
国威高揚の為にやらざるを得ない、といった感じなのでしょう……。

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