PandoraPartyProject

シナリオ詳細

屋根より高く、人よ上れ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 5月5日。
 異世界に於いて「こどもの日」と称される日である。
 「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」ことを趣旨とし、以て子供、特に男児の健全な成長を祝い、願う行事として持て囃されている。
 さて、そんな健やかな日である。鉄帝にその謂れが伝来するのも無理からぬ話ではあったが、さりとて異郷の風習、広く伝わることはなかった。現状では鉄帝の田舎町にその面影が残っているわけだが……。

『さあ今年もやってまいりました子供の日、ヒューマンフラッグ最強決定戦! 今年も腕力と腹筋と足……まあ全身の筋肉に覚えある猛者達の怒涛の「人のぼり」を見られるということで大いに盛り上がっております!』
 なんでかすげぇアレな行事として伝わっていた。家々を見れば、軒先にかなり頑丈そうな旗のぼり棒、そして屈強な親子が居並び、競技のスタートを今や遅しと待ち構えている。
『初めてこの行事をご覧になるという皆様、ならびにゲストのローレット・イレギュラーズ各位におきましては驚かれていることでしょう! ここでこの行事の経緯を説明いたします!
 かつて、異郷では「己の身一つでとらえた魚を柱に吊し上げ干物にした」という伝承をもとに、我が国では「仕留めた弱者の首を並べて吊るす」行事となっていたわけですが、残酷すぎるという物言いにより長らく中止されていました。ですが、ならば行事の原点に立ち返って「子供と大人で健やかな発育を競い合う」ことこそ鉄帝らしさではないか、そのように提言されたわけであります!』
 全然わかんねえんだよなあ。呆れたような表情を見せた一同だったが、まあいつもの鉄帝しぐさだなと考えを改めるのだった。……そもそも、なんでこんな行事に呼ばれたのだったろうか。イレギュラーズは思い出そうとする。


「『きたる5月5日に、屈強なイレギュラーズを派遣されたし。戦闘のない依頼であるが、負傷の恐れあり。承諾頂ける方々を所望する』……と、いう内容の依頼が届きました。場所は鉄帝、ヴィーザルより若干南側の、言ってしまえば辺境に属する場所ですね。どうやら催事の手伝いだそうですが」
 『ナーバス・フィルムズ』日高 三弦(p3n000097)は依頼書を読み上げると、ギフトで壁面へと地図を投影する。幻想と鉄帝を拡大した地図に打たれた光点が目的地だろう。
「事前に調べましたが、どうやらこの町、私達の世界にあった『こどもの日』……此方ではどの程度広まっているかわかりませんが、その風習を色濃く継いでいるらしいですね。鉄帝なので色々伝わり方が間違っているかもしれませんが」
 こどもの日というと、鯉のぼりや菖蒲湯、食でいえばちらし寿司や柏餅の類か。そういったものをノーリスクで愉しむ、というのは依頼書的に難しそうだ。
「でも、そこまで厳しい依頼ではないと思います。是非協力してあげて下さい」
 と、いって送り出されたまではよかった。

『旗のぼり開始後、最後まで旗に掴まっていた者が勝者となります! 今年はイレギュラーズの皆さんにも謹んでご参加頂き、楽しんでもらおうということで! ……なおかつて存在したという「印地打ち」をもとに、競技者各位には石を投げつけ妨害する行為が許可されています! 大怪我にならぬ程度に頑張っていきましょう!』
 頑張っていきましょうじゃなくて。もうちょっとおとなしい妨害手段はなかったのか。
 早くも無事で帰れるか心配になり始めたイレギュラーズであった。

GMコメント

 こどもの日について調べたらマジで「印地打ち」(石合戦)って風習があったそうです。なくなったそうです。当たり前だ。

●成功条件
 『ヒューマンフラッグ最強決定戦』に参加し盛り上げる
(オプション)最後まで勝ち残る

●ヒューマンフラッグ最強決定戦 #とは
 鉄帝の辺境で鯉のぼりの風習がクソ曲解された結果作られた謎の催しです。
 人々がそれぞれの家の軒先に立てられたポールにヒューマンフラッグ(詳しくは調べれば出ます)で上り、姿勢キープして耐え続け、最後まで残った家の子が歳男として健やかに過ごす子供の模範となる、という趣旨の催しとなっています。なお、石を投げての妨害も可能。凄まじく蛮族なんですがそれは。
 イレギュラーズの皆さんには選手としての参加および大会の補佐(脱落した一般人の手当等)を担当していただきます。妨害には参加できません(仲間に対する妨害を除く)。
 なお、ぶっちゃけそれだけで尺がもつかって無理くさいので食事やお風呂も用意してあります。
 その辺の協力をするとかエンジョイするとか、そういう行動もあっていいと思います。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

  • 屋根より高く、人よ上れ完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年05月18日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
一条 佐里(p3p007118)
砂上に座す
アウローラ=エレットローネ(p3p007207)
電子の海の精霊
マッチョ ☆ プリン(p3p008503)
彼女(ほし)を掴めば
ノルン・アレスト(p3p008817)
願い護る小さな盾
玄界堂 ヒビキ(p3p009478)
斧鉞
アリス・アド・アイトエム(p3p009742)
泡沫の胸

リプレイ


「えぇ……何このお祭りは……ちょっと脳筋すぎないかい?」
「こどもの日に謝ってほしい」
 『雷はただ前へ』マリア・レイシス(p3p006685)は鉄帝には比較的甘い。何画とは言わないが甘い。はずだ。
 だが、そんな彼女ですらこの脳筋ぶりにはちょっとヒき気味。
 本来の風習を知っている『砂上に座す』一条 佐里(p3p007118)は言うに及ばず。彼女の知っている「こどもの日」は、きっと餅食ったり菖蒲湯浸かったりする程度で、きっとこういうもんじゃないはずだ。
「アリス……女の子……守れるように……なりたい……だから…がんばる……」
 『蕾蜘蛛』アリス・アド・アイトエム(p3p009742)の動機は……純粋、かもしれない。多分きっと。一念天に通ずとはいうが、目標を持って研鑽してきた実力を活かそう、と思うのは間違っていないはずだ。
「このまえ、梅泉さんに、襲われて、どうにか、生きのこれたことで……わたしも、案外、弱くなんてないと、思えるように、なりましたの」
 そして、成長を肌で感じている者はここにも1人。『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)――イレギュラーズとして高位の打たれ強さを持つ彼女にとって、『体力自慢の為の競技』は、寧ろ臨むところであろう……そもそも、凄く軽そうだし。
 一方。『甘い筋肉』マッチョ ☆ プリン(p3p008503)箱の催しに対し、非常に強い感銘を受けていた。
 筋肉自慢達が集い、人々の目標となるべく一番を競い合う。何と素晴らしい競技であろうか! もとより頑健な肉体を持つマッチョにとって、これほどお誂え向きのイベントもそうそうあるまい。……だが。
「イシナゲナド、ヨクナイ!」
「そうですね、石を投げるのはちょっと本来の儀式とは違」
「ナゲルナラ、プリンダ!!!」
 マッチョは石を投げることを否定した。強くて美味しいプリンであるべきだ、と。佐里はツッコみかけたが、彼には通じないだろうなと諦めの念を強くした。
「石も鉄帝らしくて面白いけど、プリンかい……? まあ、美味しいからヨシ!」
 マリアは善人なんだけど、善人だからこそこういうところでガバいのであった。
「うーむ、何度見ても真っ当な思惑から生まれた催事には思えんな……」
「『屈強な』と指定した意味が分かった気がします」
 『斧鉞』玄界堂 ヒビキ(p3p009478)と『願い護る小さな盾』ノルン・アレスト(p3p008817)は子供ながらにやたら三角筋と広背筋が発達した子供達を見てその異様さに表情が固まった。だが、両者ともに招かれた以上は全力を尽くそうと心に決めた身である。ちょっとやそっと理解不能でも、投げ出すとか逃げるとかとはまるで無縁なのである。
「こどもの日とかあるんだねー、それも元々は旅人さん達が伝承したのかな? それとも混沌に元々あったのかな?」
「佐里君が知っているから混沌の外のイベントなんだろうけど……どうやったら鯉のぼりが謎の人のぼりに……!」
  『電子の海の精霊』アウローラ=エレットローネ(p3p007207)の疑問に答えたマリアだったが、やはり改めて聞いても理解が及ばない。多分、一番混乱をきたしているのは佐里なのだろうが。
「ひとまず、参加者をまとめて、登録にいってきますの。わたしと、ノルンさん、ヒビキさん、アリスさんの、4人が選手ですの」
「うん……選手……秘策も、あるし……」
「招待されておいて無様を晒すわけにはいかんからな」
「これでもちゃんとトレーニングはしているのです……がんばります!」
 選手として名乗りを上げた4人は、何れも「それなり」以上にこの競技に自信がある様子。目的は様々ながら、意気込みは十分……どこまで粘れるやら。


「オマエタチ、コッチニコイ!」
「うわ……なんだあのおじさん……頭プリンだ……」
 仲間達が選手登録に行くその頃、マッチョは子供達を集めて何かを始めようとしていた。用意されたのは競技用ポール、を囲うように設置された大皿。流石にポールそのものは「こんなこと」で準備できるほどではなかったらしい。
「ヨクミロ、コレガプリンダ!」
 思い切りプリンを振りかぶったマッチョは、ポールの根本目掛け全力で投げつける。衝撃、そして気持ち悪いほどの回転をつけたそれはポールをねじ切ってしまった。
「えぇ……マッチョ君は何をやっているんだい……?」
「見なかったことにしましょう」
 今から飛び回ってパトロールしようと準備していたマリアは、倒壊するポール似愕然とした表情を浮かべた。倒れたポールが家を壊すのではと思ったが、連続で突き刺さるプリンがそれをバラバラにして未然に防ぐ。
 佐里はそちらを見ることなくプリン丼(実質うに丼)を無表情でかきこんでいた。その姿はピンクのミニスカナース、しかも白タイツ。マッチョ共々、只者ではない雰囲気がありありと伝わってきていた。
 マリアはすこし逡巡してから、「そうだね、マッチョ君なら問題ないはずさ、ヨシ!」とか言って飛び上がっていく。
「アウローラちゃんは治療とかできないから、脱落して怪我してそうな人がいたら連れてくるね!」
「そうですね、お願いしてもいいですか?」
手持ち無沙汰にしていたアウローラは、佐里に指示を仰ぐと素早くどこかへ駆けていった。やる気はあるが方向性を見失っていた彼女にとって、的確に指示を出せる佐里の存在は大きい。
『色々起きているようですが、ひ、ひとまず問題ないでしょう! ――競技を開始します、皆さん位置について!』
 プリンが引っ掻き回してちょっと混迷を帯び始めたヒューマンフラッグ大会であるが、選手達がそれぞれ配置についたのでひとまず始められそうだ。子供達が手に手にプリン持って駆け出す図はシュール通り越してやべー構図なんだが。
『競技……開始っ!!』
 合図を受け、大人も子供も一斉にポールを掴んで上りだす。ヒューマンフラッグで重要なのは、身軽さと腕から腹筋にかけての筋肉。足を持ち上げるための下半身も……なので、正直なところ全身の筋肉のバランスが重要となる。
「ハッ、ハッ……」
「んっ、はぁっ、は……っ」
『おおっと、最初に抜け出したのはゲスト枠のノルン選手、そして西街区のブライアン君だ! 大人達はまだ彼等の半分くらいか! 情けないぞ!』
 ノルンの身のこなしと腕の動きは、他の競技者達よりも素早かった。もうひとりの子供はどうやらそこそこ名のしれた面子らしく、周囲から黄色い声が上がっている。
「頑張って……しがみつく……ついていく……!」
「あそこまで上ってしまえば、石もあまり届くまい……上りきればいいのだ!」
 それにやや遅れる格好でアリスとヒビキが続く。競技開始前に周囲に筋肉アピールをしていただけあって、ヒビキを虎視眈々と狙う者は多い。が、個別の高さに上り切るまで妨害は不可、しかも彼のポールはひときわ高い。体力自慢だからこその選択肢だ。
 他方、アリスはスピードはそれなりのようだがポールを保持する力に難があるか、腕捌きの割にはやや進みが遅い。競技ルール的には適度な位置で止まっても大丈夫だが、さて。
『オ……っと、ここで抜け出したのはゲストのノリア選手! 海種としての姿で腕の力で上りきったかと思えば、あの姿はまさに伝承の「こいのぼり」だ!!』
「これだけ、わたしに有利な、ルールなのですから……優勝予告くらい言わなければ、罰が、当たってしまいますの!」
 ノリアは言葉通りにゼラチン質の尾ひれを掲げると、風にその身を預けるかのようにはためかせる。周囲の風も、人々の声もなんのその。完全に周囲と一体化していた。
 次々と人々がポールを上りきり、ヒューマンフラッグの姿勢を整え始める。初参加だったろう少年が上りきれずに涙をのむ、鍛え方が足りない小太りの男性が哀れにも柱にしがみつき落下を堪える様子などは風物詩であるのか、子供は慰め、大人は石を投げられとっとと落ちろといわんばかり。
「それにしてもすごい光景だね……っていうか必死なおじさんが石を投げられてるじゃないか! もうあれは降りられないんじゃないのかい……?」
 マリアは宙を飛び回り、人々を観察して回る。途中で降りたならまだしも、中途半端に上って降りられなくなっている者は助けねばならない。それが一般人であれば、尚更。……なのだが。
「これで……んっ……!? む、むり~~っ!」
 ポールからずりずりと落ちそうになりつつ必死に耐えるノエル!
「モットタエロ、プリンヲクエ!」
 それをさせまいとプリンで足を打ち上げようとするマッチョ!
「妨害なのだから……耐えてもいいんだな!?」
「ノゾムトコロダ!」
 ヒビキはといえば、大分よく耐えている。というか避けている。ポールすらブチ折りかねないマッチョのプリンを紙一重で避け、時折ガッツリ受け止めながら耐えようと必死だ。……落下した時の負傷がただじゃ済まんしな。
「みんなー! がんばってねー!」
 そんな面々を応援するのはアウローラ。子供達を佐里のところに送り届ける傍ら、何でか応援も兼ねてプチライブじみたことを始めていたのだ。電子の妖精としての習性というやつだろうか?
「あちこちの負傷者の治療で忙しいのに……なんでプリンが飛び交ってるの……?!」
 佐里はせわしなく治療に奔走しながら、しかし異様な光景に目を剥いた。いや、石の投げあいは怪我人が少ないのだろうが、衛生的に色々まずいのではないか、とか。ゼラチンを投げてるだけでなぜああも痛そうなのかとか、今まさにイレギュラーズが数名ポールから垂直落下したとか。あれは治療しても怪我が残るだろうな。
「あっちはおいときましょう。食事の準備は大丈夫かな……?」
「うん……見なかったことにしよう!」
 斯くして、佐里とマリアは別の場所で同じ結論に達するのだった。


 ときに、アリスは特に集中砲火を受けやすい位置にいた。
 なにしろ上った位置が低い。そこそこ屈強な子供達なら豪速球で石をブチ中てられる位置だ。だが、彼女は動かない。何故か?
(がんばったら……汗……かくから……蜘蛛糸にして絡ませちゃお……)
 そう、彼女は自らの汗をギフトで粘着性の糸に変え、手に絡め取らせることによって滑り止めにしていたのである。糸のベースとなる粘液は汗から作り出すことができ、努力を重ねるほどに糸を生成できる。完璧な作戦だった。
『……あーっと! これはいけません! アリス選手の手元を確認したボランティアの審判が手を交差させた!!』
 ……完璧な作戦だったがゆえに、周囲は気付けなかったのである。
 アリスが気付けば、青息吐息でポールから離れられなくなっている事態に。そして、マッチョが回復用のプリンを投げ続けたばかりに、体力の際を行ったり来たりして降りるに降りられない状況だったことに。
 そういう意味では、なんていうかアリスは優勝候補に食い込んだワケだが、頑張りすぎた結果といえるだろうか。
 マリアも驚いた様子で転身し、即座に救出に向かうが、ポールから引き剥がすのにまたひと悶着あったのは別の話である。

(わたしは、石程度の怪我では、へこたれませんから……棒に、つかまって、つかまって、つかまりつづけて……)
『おっと、ノリア選手これは凄い! 殆どの選手がリタイアしたなか、彼女は姿勢を崩さない! ご本人から「落ちるまで競技続行を希望しますの」とコメントを頂いておりますので、優勝が確定してからも競技は続行いたします!』
 そんな中、異彩を放ったのがノリアである。そこそこの耐久力と、有り余る体力を遺憾なく発揮して競技に挑む彼女は依然として平然とポールを掴み続けている。
「ノリア君、大丈夫かい? 無理はしないでほしいんだよ……?」
「大丈夫ですの……鉄帝のかたがたに、『コイよりアナゴのほうが立派』と、思って頂く、ために……わたし、がんばりますの!」
 気遣わしげに問いかけてきたマリアにも、元気よく(?)応じるノリア。彼女の覚悟は本物とみるや、マリアは地上へと降りていった。

「ノルン……お疲れ様……やきそば、食べる……?」
「ありがとうございます、いただきますね……! それじゃ、こっちからもおかえしですっ」
 アリスとノルンはといえば、所々で用意されていた食事やこれに乗じて催されていた屋台を渡り歩き、互いに食事を分け合っていた。
 かっこよくなりたいと言っていたノルンの健闘を讃えるアリス、無理をしてまで力を示そうとした勝負強さを讃えるノルン。精一杯頑張ったからこそ、美味しい食事にありつけるというものなのである。
「鍛錬したならしっかり食う、とても大事なことだ! 石投げもいいが、怪我の少ないようにやって欲しいものだな」
「ソウダ! イシデハナクプリンヲ!」
「そういう話でもないと思うがな……無駄にならないならいいのだが」
 ヒビキとマッチョはといえば、大勢の子供達と食卓を囲んでよい成長とはなんぞや、丈夫な体とはなんぞやと言葉をかわしていた。ひときわ「デカい」マッチョの肉体を参考にしようとする者もいるが、プリンとしか答えない姿が参考になるかはともかく。
 少し視線をずらせば、人々に囲まれながらミニライブじみたことをしているアウローラ、食事の準備に追われつつ、炊事担当のご婦人から大浴場へと誘われる佐里の姿があった。
 今日一番地上で駆けずり回ったのは誰あろう佐里なのだから、そのような役得があっても……いいだろう、絶対。
「そういえば……ノリアさんは本当に大丈夫なんでしょうか……?」

「毛仔のあと、すぐに、大人と似た姿になってしまう、コイよりも……プレレプトケファルスから、レプトケファルス、シラスアナゴを経て、大人と似た姿になる、アナゴのほうがよっぽど、成長を象徴する、魚ですの。出世魚のように、名前だけ、変わるのではなく、肉体も変わる、マアナゴ……名より実を取る、鉄帝のかたがたに……知ってほしいんですの!」
 その頃のノリアは、というか宴会がひとしきり終わってなお、ポールに悠然としがみついたままだった。多分落ちそうなら自分で降りてくるのだろうが、「こいのぼり」に一石を投じるため、真剣そのものの表情。
 周囲の人々はきっと、というかこの街の人々は彼女の勇姿を忘れはしまい。
 この街のヒューマンフラッグ競技に、新たな起源が書き換えられたのは言うまでもない。

成否

成功

MVP

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚

状態異常

ノルン・アレスト(p3p008817)[重傷]
願い護る小さな盾
玄界堂 ヒビキ(p3p009478)[重傷]
斧鉞

あとがき

 それでもこう、スタンスって十人十色何だなあって思います。よく細切れのポール落ちてきて怪我人出なかったな……。

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