PandoraPartyProject

ギルドスレッド

森の洋館

【RP】パンドラの夜

「明けない夜はない」と人は言う。
ならば、各々の胸を覆う暗雲もいつか晴れる日が来るのだろうか。

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…ん?
(ルミエールの問いに一瞬呆けた表情を浮かべ)

そりゃ好きだが。愛してるよ。
ンな事改めて聞かなくたって知ってんだろ。
(息を吐くように主人への愛を口にする)
……うん。そうね。
私も好きよ。だあい好き。世界で一番父様が好き。

……じゃあね、父様の番は好き?
小鳥のことは好きかしら?

(こんな事聞いてもいいのかしら。
迷いながら言葉を紡ぐ)
それは…、あー……。
(主人の番について問われると一転、どう答えてやったものかと言い淀み)

………悪い奴ではないんじゃねーの。
(どうにかその一言を絞り出し、明後日の方向に目を向ける)

なぁ、オマエら……。
こりゃ一体なんなんだ?
ンな事やってても面白くねーだろ。
家帰ってとっとと寝ようぜ……。
夢見が悪いっつーんなら子守唄でも歌ってやるからよ……。
……おまえは優しいよな、クウハ。
優しすぎるから、自分が傷付く以上に、誰かを傷付けるのも嫌なんだよな。

自分が耐えればいいって。我慢すればいいって。
そうすれば波風立たずに物語がうまく進むって。
そうやって幾つも言葉を飲み込んできたんだよな。

そして……これからもそれを続けるつもりなんだろう?
それを続けることで、なんて、おまえは気付いちゃいないんだもんな?

(胸倉を掴んでいた手をゆっくりと離し、今度は縋り付くようにイバラごと恋人を抱き締めようと)
俺が優しいって?優しくねーよ。
優しけりゃもっと上手くやってる。
それこそ旦那の番の事も「好きだ」と言ってやれただろうさ。
何も知らねー癖に好き勝手な事言いやがって……。
オマエは俺を美化し過ぎなんだよ。

……大丈夫だ。別にどうにもなりゃしない。
その内直ぐに慣れるだろ。
嫌でも慣れなきゃいけねェんだ……。

(縋り付く恋人を抱き返してやることも出来ず、拘束を受けたまま溜息を吐く)
……そうだな、オレは知らない。
だっておまえは、なにも話してくれない。
ひとりで抱え込んで、誰にも気付かれないところで静かに摩耗していくんだ。

……ああそうだ。慣れてしまえば楽になる。
どうせ手に入らないなら期待なんてしない。
どうせ裏切られるなら希望なんて必要ない。
最初からすべて諦めていれば、なにが起きたって傷付くことはない。
でも……慣れなきゃと義務化している時点でんだよ。

おまえは自分で気付いていないのかもしれないが、そうやって抑え込むたびにおまえは確かに傷付いて、擦り切れて、……いつか取り返しがつかなくなって……
そうして…………オレを、置いて、いくんだ。

(赤いイバラの上に、不釣り合いな青がぽとりと落ちる)
(ぽたりぽたりと雨のように、それは止まず落ち続ける)
ファニー……。
(涙を零す恋人を静かに見下ろし)

…ごめんな。俺自身にも分からねェんだよ。
何がそんなに辛いんだろうな。
何に苦しんでいるんだろうな。
大抵の事は「そういうものだ」と適当に流して、受け入れて……。
……それで良かった。今迄そうやって生きてきたんだ。
俺は、それが良かったってのに。
………………。
(恋人達の対話を見守っていた少女が深い深い溜息を吐く。
悲しみと呆れと苛立ちと倦怠を綯い交ぜに。
闇夜に青い吐息を溶かして………)

――――五月蝿い。
(二人を見据え、低い声ではっきりと一言)
…………ルミエー、ル?

(はっきりと耳に届いた言葉に、思わず振り返った)
(身体のあちこちから生えていた緑の羽が、少しずつ抜け落ちていく)
………ルミエール?
……どうした?何怒ってんだ……?

(ルミエールを見るその表情には困惑がありありと浮かんでいる。
不満を抱かせる程の大声を発していただろうか、と見当違いであろう考えを現実逃避するかの如く脳裏に泳がせながら、その動向を伺って)
……。
(恋人達の呆けた反応に不機嫌に小さく鼻を鳴らす。
その表情は怒りか悲しみか判別が付かず、青い瞳だけが異様に冷めていた。
凍える様なその瞳を恋人達に向けたまま、コツコツと近くへ歩み寄って)

五月蝿い。五月蝿いのよ、貴方達。
聞いていればさっきから、下らない事ばかりを並べ立てて。
あまりに愚鈍ね。なんてつまらない物語。
この私が目をかけてあげたというのに。
どうして私をこんなに苛立たせるのかしら。
それとも、ねぇ。ニンゲンなんて所詮そんなもの?
(低く、憎しみさえ宿る声音で棘のある言葉を吐き連ね、クウハを拘束する赤いイバラを白魚の様な指でギチリと握る)
……ルミエール? なにを……?
って、ばか、触ったら危ないって……!
(ルミエールのただならぬ圧に徐々に落ち着きを取り戻し、イバラに触れる細い指を引き離そうと)
…馬鹿?馬鹿は貴方でしょう。この愚か者。

貴方はそう言ったのよ?
その癖、たかがこれだけで大袈裟に騒ぎ立てるのね。
枯れるから美しいのでしょう?
美辞麗句を並び立てて賞賛してごらんなさいよ。
貴方そういうの得意でしょう?
だって貴方は道化Funnyだものね?

(引き離そうとする彼の手を嘲笑と共に振り払い、尚更に強く握り込む。
棘に刺された指から滴る雫が廃墟の床を赤く汚した)
……それ……は……
――――っ事情が違うだろ!
花が散るのも生命が死ぬもの自然の摂理だ! それは避けようのない定めだ!
けれどこいつのそれは…… 特殊な事象だろう!
人間同士の争いや天災とは訳が違う! 同列に並べられるかよ!!
あら、そうかしら。
猫が車に轢かれたようなものでしょう?
それも自ら望んで、ね。
それとも別の理由で喪うのなら、貴方は納得出来るのかしら。
魔法使いの寵愛が許せないなら、魔女の気紛れでは如何?
魂に毒を流し込んだら、この猫はどんな声で鳴くのかしらね。
(くすくすと悪意の滲む嘲笑を漏らし、未だイバラに捕われているクウハへ歪な好奇の視線を向ける)
――――ッ!!

(『』という言葉に、二の句が継げなくなる)
(契約は一方的なものではない。呼応したのは確かにクウハだ)
(それもまた、運命だったというのなら……)
(それもまた、物語の結末だというのなら……)

……いや、だ……

(失いたくない)
(失うのはこわい)
(…………こわい?)
(嗚呼、嗚呼、そうか、これが……)

……おまえはずっと、こんな気持ちだったのか、ルミエール。
何度も何度も置いて行かれて、けれど人間を愛することもやめられなくて。
……寂しかったよな。辛かったよな。……ごめん、オレはなにも理解っちゃいなかったんだな……。

――――でも、オレは諦めない。
好きに侮蔑しろ。愚弄しろ。醜悪でみっともないと罵倒しろ。
たとえ家族を裏切ることになったって、オレは……こいつを喪うことだけは、絶対に…………!!

(愛しい恋人を拘束していたイバラが、一瞬で霧散する)
(それと同時、彼を庇うようにしてルミエールの前に立ち塞がった)
いや…。あのな、オマエら。
俺が死ぬとか死なないとか、一体何の話だよ……。
近頃の様子で不安にさせたんなら謝るが、俺はこの程度じゃ死なねェよ。
二人とも一旦落ち着けって……。

(剣呑な雰囲気の二人を前に悪意を向けられた当の本人は、どこか呑気に肩を回して拘束されていた体を解していた。
目の前の魔女が本気であってもそうでなくても、どうでもいい。
何故ならルミエールは、自分よりも”弱い”)
――――っふふ、あは。アハハハハハハ!!

(夜の静けさを引き裂いて少女の引き攣った哄笑が響く。
嗚呼、間違いではない。間違ってはいないのだ。
恋人を守らんとする骸骨の男も。
差し向けられた悪意を”くだらない″と切り捨てている悪霊の男も。
そのどちらもが正しくて、だからこそ狂愛の魔女の激情を煽る)


そう!そうね!貴方は死なない!
いいえ!死ねないのよ、可哀想な猫!
貴方にはもう!!
だから逃げろと言ったのに!!
今だってそう!!
あの程度のモノ、貴方はいつでも引き裂けた!!
なのにどうして逃げないのかしらね!?
はいはいはい……。
あー…、全くオマエって奴は……。
なぁ、ルミエール。オマエは聡い。
それぐらいのこと、オマエなら……。
いや、俺の口から聞きたいのか?

俺がそう望んだんだよ。
と俺があの人に願ったんだ。
さっきに関しちゃ、まあ。
逃げようと思えば逃げれただろうが、ンなことしたってしょうがねーだろ。
余計コイツが混乱するだけだ。

オマエの父親にしたってコイツにしたって、俺が逃げれば悲しむだろうよ。
特にオマエの父親は。
だから逃げない。それだけの事だ。
……っふふ。そうね。貴方、ずっとそう。
きっと、最初から。ずっとそうだわ。
いつだって他人の事ばかり……。

(駄々を捏ねる子供を諭すようなクウハの言葉に、その態度に、愛憎の魔女は俯いて嗤う。
嗚呼、識っている。
魔女は、少女は、識っている。
クウハはいつだって優しかった。
少女に優しくない時などなかった。
彼のその在り方はこれからだって、きっと変わることはない。
自分を犠牲に。他者に愛を。優しさを。
時に悪であったとしても、クウハはとても、とても優しい。
嗚呼、けれど。)
……でも。でも違うわ。紫苑の月。
私達の可愛い猫……。
貴方、そうじゃなかったわ……。
出会った時の貴方は自由だった。
何処にだって行けるし、なんだって出来るの。
父様の呪いに縛られていても。
だから私はをあげたのに……。

(次に顔を上げた時、少女は泣いていた。心から。
自分とよく似て、けれど違う、親愛なる愛しい月の自由が奪われる針が止まることを嫌がって。
青い瞳から雫が溢れ、白い頬を伝って廃墟に堕ちる)
ルミエール……。
(涙を流すルミエールを見て、僅かな間言葉を失い)

…なぁ、ルミエール。
オマエ、俺のこと嫌いか?
……大っ嫌い。
なによ。なんなの?
私より父様に愛されてる癖に。
なのに辛いだなんて。苦しいなんて。
私と違ってなんだって出来る癖に。
私は、私も、私だって。
私だって父様の特別になりたかった。
でも無理なの。だめなの。分かってたの。
私、弱いもの。脆いもの。つまらないもの。
私何にも出来ないの。
約束の一つも、願いの一つも、私叶えてあげられない……。

(”どうかそのままでいて”
愛する父と契約を結び、魔法使いのムスメ眷属となったその日。
あの日の父に願われた、ささやかで、けれど切実な願いを少女は忘れたことがない。

いつまでもそのままで。
そして、悠久の時を永遠に……。

けれど、少女は変わってしまった。
誰よりも大切な父様。愛しい父様。
その幸せをいつだって願っている。
それなのに少女は変わってしまう。
魂は擦り減り、摩耗して、いつの日か永遠の眠りに堕ちる。
あの日の願いを裏切ってしまう。
……裏切っているのだ。今だって、きっと)
(少女の言葉に、とても大きな溜息が零れそうになる)
(どいつもこいつも自分を犠牲にしてまで誰かの望みを叶えようだなんて)
(その望みとやらも『土台無理な内容』であると、自分たちも気付いているだろうに)
(それでも望みを叶えようとして、苦しんで、傷付いて、それなのに「自分が悪い」のだと語る)
(……それを愛情だというのなら、なんて残酷な呪いだろう)
…そうだよな。
(ルミエールの言葉を真摯に受け止め、一言だけ言葉を返す。
自分を庇い立っているファニーの頭に手を置いて、ルミエールに歩み寄ろうと)
(触れられた感触に、一度だけ愛しい恋人を見上げる)
(何も言わず、微動だにせず、けれどもしもの場合を考え指先に魔力を集中させたまま二人を見守る)
……っ、父様も、父様も嫌い……。
貴方にあんなに愛されてるのに。
こんなに愛されてるのに、縛り付けて。
どこにも行けなくしてしまって。
貴方の愛を信じてないのね……。
あんまりだわ。こんな酷いことってないわ……。

(ひっくひっくと泣きじゃくりながら、歩み寄るクウハに手を伸ばす。
甘えん坊で哀しがり屋の少女は冷たく暖かい彼に、腕を回してぎゅっと抱きつく。
受け止めてくれる事を疑いもせずに)
……。
(ルミエールを抱きとめて、柔らかい金糸の髪を撫でてやる。
どう答えれば納得させてやれるだろうかと言葉を探し)

……ルミエール。違うんだ。
あの人は手を離そうとしてくれていた。
それに気付かない振りをして手を取ったのは俺だ。
俺が望んだことなんだ。
あの人が悪いわけじゃない。
オマエがあの人を責める必要は無いんだよ。

(その言葉に嘘は含まれていない。
繋いだ手を離せずにいるのはクウハ自身の弱さの所為である筈だ。
脳裏に浮かぶのはいつかの主人の姿。
愛する者が傍を離れ、失う恐怖と不安に苛まれ、弱り切ったあの姿……。
あの苦しみを味合わせたくはなかった。もう二度と)
…………はぁ。(今度こそ、抑えていた溜息が零れる)

……クウハ。なぁ、クウハ。オレの一等星。同じ地獄を共有する恋人よ。
かつておまえが願ったその望みは、本当にいまも「自分の望み」なのか?
主人を困らせたくないからと、主人を不安にさせてしまうからと、そんな風に「主人の望み」にすり替わってやいないか?

なぁクウハ、オレとおまえが抱えるものを『地獄』と名付けたのは他でもないおまえ自身だ。
それなのに『慣れなければいけない』と思うのは
おまえが、おまえの気持ちが、その当時と変わってしまったからじゃないのか?

強欲が膨れ上がって、現状に満足がいかなくなって、けれど欲しても手に入らないという状況だけが変わらず其処にある。
けれどおまえは
おまえが苦しいのは、辛いと思うのは…………そのせいじゃないのか?

いまの状況が苦しくて、痛くて痛くてたまらなくて、耐えられないのに。
それなのに逃げることより耐えることを選んでいるのは…………本当に、おまえ自身の望みなのか?
……俺自身の望みだとも。

オマエの言う通り、俺は変わっちまったのかもしれないな。
もしかすると心の何処かで逃げたいと思っちまってるのかもな、俺は。
だが、その為の契約だ。
他人を愛し、愛される事を望みながら愛情に怯える俺が、望みから逃げずにいられるように、俺自身があの人に枷を嵌めさせたんだよ、ファニー。
それに今となっちゃあの人の望みも関係ないのさ。
あの人が俺を手放したくないと願う以上に、俺自身があの人から離れたくない。
だからやっぱりこれは、俺自身の望みなんだ。
…それがどれ程滑稽なものであっても。

(迷いも憂いも吹っ切れたと穏やかに微笑み、自分の為に泣き続けているルミエールの頭を撫で続ける。
我儘で気紛れで残酷な迄に心優しい魔女の抱える哀しみが、ほんの僅かでも晴れるように)
(……知っている)
(同じ地獄にいるのだ、知らないはずがない)
(どんなに苦しくても、傷付いたとしても)
(離れてしまうほうがよっぽどつらいのだと……自分も知っている)

……なぁクウハ、地獄は始まったばかりだ。これから永遠に続くんだ。
だから、なぁ、どうかひとりで抱え込むのだけはやめてくれ。
つらいときはつらいって、痛いときは痛いって、言っていいんだ。
少しでいい、少しずつでいい。ちゃんと言葉にしてくれ。
おまえを支えるには、オレは頼りないかも知れないけど……
それでもどうか、自分の傷に見ないふりをしないでくれ。静かに擦り切れていかないでくれ。

おまえを喪うのだけは……オレは、絶対にいやだからな。

(最愛の恋人の背中に額を寄せ、祈るように言葉を紡ぐ)
(届かなくても、響かなくても、それでも、そうせずにはいられなかった)
…、そうだな……。
……ごめんな。

(つらいときはつらいって、痛いときは痛いって、言っていいんだ。
恋人に贈られたその言葉は、奇しくも自分が主人に贈った言葉によく似ていた。
自身の不甲斐なさに苦笑し、赤い瞳を静かに伏せる)
私の紫苑の月……。私達の可愛い猫……。
(彼の言葉に、撫でてくれる手に感情が次第に凪いでいく。
溢れる涙こそ止める事は出来なくても、顔を上げてクウハの瞳を見つめ)

嗚呼……。それでも、それでもよ。
全てが貴方の望みだとしても、私言わねばならないわ。
私は父様の手。父様の足。御伽噺の魔法使いの十八の界。
父様に出来ない事であるなら、私がやらなければ。
だって私は永遠の少女。御伽の少女アリス
子供達の永遠の友達Nursery Rhymeですもの。

貴方の家族が泣いているわ。
子供達が寂しがってるわ。
他ならぬ貴方を恋しがって。
大人も子供もみんな、みぃんな、貴方の事を想ってる。
いけないのよ。いけないの。
貴方はあの子達のカミサマなのに。
放っておいちゃいけないのよ……。
カミサマ、か……。

(館に留まる死して尚眠らぬ住民達に“カミサマ”と評される程の大それた施しを与えているつもりはない。
全てはただの気紛れ。暇潰しの一環だ。
だが、放り出しても構わないものであるかといえばまた違う。
彼等は皆自分の大切な家族だ。
家族として扱うと、そう決めたのは自分だ。
あの館の主である以上…いや、何かしらの事情で館を離れることがあったとしても、彼等の平穏を護ってやるのが“家族”としての責任だ)

言われてみりゃ最近碌に構ってやれてなかったな……。
あの人の事ばかりにかまけてるわけにもいかねェか……。
…………ついでにオレにも構え。
せっかく引っ越したんだから。

(背中に寄せた額をぐりぐりと押し付けながら)
……ぐす。
(漸く止まった涙を洋服の袖で拭うと、ファニーに倣って額を押し付ける。
そこにあるのは少しの対抗心)

……私にも。私にも構ってくれないと嫌。
私も紫苑の月が好きだもの。
愛してるの。本当よ?
遊んで。構って。一緒にいて……。
…ったく。しょうがねェな、オマエらは。
(愛しい恋人と愛らしい妹分に両側から乞われて穏やかに微笑み)

心配しなくたって構ってやるとも。
悪霊に愛を乞うとは物好きな奴らめ。
…今日はもう遅い。
三人で手ェ繋いで帰るか?ん?
……約束だぞ。
最近調子悪そうだったから遠慮してたが……結構寂しかったんだからな。
特に…………夜、とか……。(最後のほうは小声で)

(最愛の恋人の横にするりと回り、その手を繋ごうと)
夜?夜って?
紫苑の月に遠慮して一人遊びでもしてたのかしら。
やぁだ。白亜の星ったらはしたなぁーい。

(意地の悪い顔でファニーを揶揄い、反対側のクウハの手を取ろうと)
な…………ッ!
っおまえにゃ関係ねぇだろ、このマセガキ!

(まさか聞こえていたとも揶揄われるとも思わず、赤らめた顔でそう言い返し)
あーあーあー…。
オマエら喧嘩すんなよ。仲良くしろって。
(やれやれと苦笑しつつ、二人としっかり手を繋ぎ)

…気付いてやれなくて悪かった。
我慢ばっかさせちまってごめんな。
これからは出来る限り善処するよ。
(ファニーを見下ろし、繋いだ手を軽く揺らして)
……っ、……、……いい。
勝手に我慢してたのはオレだ。
これからは、ちゃんと言うようにする、から……
だからおまえも、嫌だったら断ってくれていいし
つらいときとか、しんどいときは、ちゃんと言ってほしい。
理由までは聞かないし…………少しずつ、ほんの少しずつで、いいから。

(繋がれた手をけして離すまいとぎゅぅと握り返す)
(恋人を見上げる目元には、まだ青い液体が滲んでいた)
…分かってるよ。分かったから、もう泣くな。
ただまぁ、夜に一人で出歩くのは俺の趣味でもあるからよ。
そこは見逃してくれっと助かるが。
(わかっている。本当はわかっている)
(痛みを自覚させるのは酷なことだ。そうやって自分を守っていたなら、なおさら)
(けれどせめて苦痛の”原因”を自覚してくれるなら、回避は無理でも緩和の対処ぐらいはできるかもしれない)
(……わかっている。これはエゴだ。優しさなどではない)
(自分はただ、恋人が静かに摩耗して、知らないうちに壊れてしまうのが嫌なだけだ)

……おまえの趣味にまで口出しはしないさ。
今夜は……とても怖い夢を見たんだよ。
星の見えない夜にオレの一等星おまえまで消えてしまうんじゃないかと思うと、怖くてたまらなかったんだ……。
紫苑の月。ねぇ、紫苑の月。
私にはなんにもないの?ねぇ。
私、貴方のせいで怪我をしたのよ?
貴方のせいで悲しかったわ。
レディを泣かせちゃいけないのよ。
お詫びして貰わないと気が済まないわ。ねぇ。

(クウハの腕に抱きついて自分に視線を向かせようとぐいぐい引っ張っている)
あ?俺のせい?オマエが勝手に怪我したんだろ。
泣かせちまったのは悪かったが……。
…そうだな。菓子でも作ってやろうか?
それとも添い寝がいいか、レディ?
(腕を引くルミエールに視線をやって)
……両方。
帰りましょう、帰りましょう?
良い子は眠る時間だもの。
三人一緒よ。紫苑の月は真ん中ね。

(その返答に少女の機嫌はあっさり上を向く。
早く早くと繋いだ手を引き、二人を帰路に促して、永遠の少女は花のように笑った)
川の字か。いいな、それ。
そうと決まれば、とっとと帰ろうぜ。

(少女に合わせるように歩を進め、愚か者は小さく振り返りながらようやく笑みを見せた)
はいはい。
帰ったら取り敢えず紅茶でも淹れるか。

(少女と恋人に手を引かれ、悪霊の男も歩を進める)
(三人が去った廃墟には再び夜の静寂が戻って)

(各々が其々の地獄に灼かれ、暗雲は晴れる事がない。
けれど時折、全てが完璧だと思える瞬間はあって、希望と呼ぶにはか細い光を糧に、似た者同士の三人は笑う。
今日も明日も永劫に、命尽き果てるその日まで。きっと)

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