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シナリオ詳細

雪の女王と友達

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●大切な友達
 離れないで、手を繋いでいて。
 ずっとずうっと、隣にいて。
 誰より一番、あなたの友達でいたい。
「行かないで! お願いよ、カイルーン!」
「ごめんね、インゲラ。でも独りぼっちで寂しがり屋の雪の女王様に友達を返さないと」
 叫んだ声は届かなくて。伸ばした手は届かなくて。
 一体どうしたら、あなたを取り戻せますか?
 一体どうしたら、みんなで友達になれますか?

●大好きな友達
 もうすぐ春だと言うのにいつまでも寒い外とは違い、図書館の中はいつだって適温だった。
 それもこれも一番の理由は本の保護管理だろうが、人にとっても心地好いのも確かだ。
 それはラプンツェルも例外ではなかったらしい。
 図書館の一室に踏み入れたあなたたちを待っていたのは、机に置いた自分の腕を枕にして眠るラプンツェルだった。
 スヤスヤと眠る様は長い金髪と相俟って童話のお姫様そのものである。
 しかし呼び出して居眠りは良くない。
 あなたたちの誰かが揺り起こせば、短い悲鳴と共に起き上がる。
「ごめんなさい、わたしったら。すぐ説明するね!」
 今回の話は雪深い町が舞台。そこに住むインゲラという少女を手伝って欲しいのだと言う。
 彼女には仲良しの少年、カイルーンがいたのだがある日突然、旅立ってしまったのだという。
「『この子の持ち主が呼んでる』って吹雪で飛んできたボロボロの人形を持って行ったんだって」
 カイルーンは数日前、片耳に虹色のガラス破が入って以来、妖精などの声が聞こえるようになったいたそうだ。
 今回の事もそれで聞こえて、持ち主である雪の女王様に返すんだと雪の中を行ってしまったのだ。
「雪の女王様は独りぼっちでその人形だけが友達なんだって。だからカイルーンは行っちゃったんだね、寂しがるといけないから」
 つまり今回の依頼はカイルーンを連れ戻す事か、誰かが聞くとラプンツェルは首を降った。
 掲げていた本を降ろして二本の指を立てて微笑む。
「カイルーンと雪の女王様を、連れ帰るの。どうしてかは、インゲラに聞いてね!」
 楽しげにそう告げると、ラプンツェルはイレギュラーズに行ってらっしゃいと背中を押した。

NMコメント

ごきげんよう、桜蝶京嵐です
雪の女王様ネタです。

●世界
冬が物凄く長くて春と夏が超短い国のお話
雪の中ですが安心して下さい
雪の女王様のお家からスタートです

●目標
カイルーンと雪の女王を連れ帰る
無事、二人と一緒に帰るとインゲラが温かいスープを用意して待ってます。

●サンプル
雪の女王にかまくらを作り、その周囲を電気で年中無休で冷やすから引っ越ししないかと誘う
↑こんな感じで雪の女王が引っ越ししても大丈夫そうな提案をお願いします

●カイルーン
心優しい少年。
独りぼっちで寂しがり屋の女王が心配

●インゲラ
カイルーンの隣に住む幼馴染みで友達
そんな寂しいなら雪の女王も引っ越して来たら良いのにと思っている

●雪の女王
独りぼっちで寂しがり屋
でも身体が氷と雪で出来てるから寒い所じゃないと生きていけない。
昔、人間が落としたボロボロの人形だけが友達。

  • 雪の女王と友達完了
  • NM名桜蝶 京嵐
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年04月03日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談3日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
片翼の守護者
華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)
ココロの大好きな人
ヴェルデ・w・ヴェール(p3p009687)
月の守護者

リプレイ


 雪の女王の家は氷で出来た小さな城といった具合で、どことなく寒々した印象だ。
 正面と思われる所へ回ってみるが、不思議なことに扉が7つ。どれが本物か試されているようだった。
「寂しがりの雪の女王、か……まぁ、確かに1人ってのは寂しいような気がする」
 城を見た『紅獣』ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)が呟いてまあ前ならそんなこと、思う事も無かったんだろうがと出入口を探しに行った愛妻を愛しく見つめた。
 その様子を見た『嫉妬の後遺症』華蓮・ナーサリー・瑞稀(p3p004864)は憧れる心ごと無理に視線を外して不思議な城と向き合った。
「ええ。誰だって、1人で居るのは寂しいのだわ。優しいカイルーンさんも、雪の女王さんも……皆で一緒に楽しく暮らさなくてはね」
 とはいえ、後々の事も考えなければと頭を悩ませながら、壁伝いに出入口を探す。
 『若葉マーク』ヴェルデ・w・ヴェール(p3p009687)も華蓮の隣で力強く頷き、寂しげな城の足元を掘り返しながら出入口を探す。
「友達は大切なものだし、友達を想う気持ちもとても素敵なものだと僕は思うのだ!」
 誰もが笑顔でいられるようなハッピーエンドの為にもやれることを精一杯頑張るんだと笑顔を向ける。
「あった、ここだ」
 1人、颯爽と歩いて出入口を探していた『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)が氷のレンガを慎重に外していく。
 現れたのは古びた箱に入った鍵で、それを持って7つの扉の前に舞い戻る。
 ひとつひとつ試して、開いた扉から入って行く。


「えっと、ようこそ……?」
 かなり戸惑いながらも雪の女王とカイルーンは4人を出迎えてくれた。
 女王はふわふわの雪で出来た髪を揺らし、身体と同じくらい美しい氷の机と椅子に4人を座らせ、冷えた茶を出す。
 そのタイミングで華蓮が保冷バッグを開き、バニラのアイスクリームを机に並べる。
 手土産に作ってきたの、食べてと促すと女王は初めて見るのか、恐々と手を伸ばす。
 それを見ていたカイルーンが大丈夫だよと優しく声をかけて実食を促す。
「どうかしら……? 暖かいものも美味しいけど、冷たくて気持ちいいお菓子も良いものなのだわ」
 とっても美味しいと女王が笑ったところでルナールがそういえばと話を切り出す。
 扉が7つもあって、なかなかの難問だったと思い出して苦笑する。
「どうして出入口が分かりにくくしてたんだ?」
 すると女王は悲しげな顔をして俯いてしまったので、代わりにカイルーンが口を開く。
 なんでもこことは違う所にいた時、雪崩を女王のせいだと思った近隣の村人たちに攻められて以降、人が近くにいない所へ移動して生活しているそうだ。
「大変だったんだね! でももう大丈夫、ボクたちとカイルーンの地元へ帰ろう!!」
 話を聞いたヴェルデが悲しげな表情を変えない女王に抱き着き、よしよしと頭を撫でてやり、華蓮が手を取って語り掛ける。
「一緒に行きまきょう? あのね、実はあなたとお友達になりたいと思ってる子からのお願いで私達は来たのだわ」
 町に長くいれるよう、冷蔵庫や冷凍庫のような食糧の保管庫の管理など、そういった仕事を貰えないか町の人に頼んでみるとも言い募る。
「ねえ、女王。僕も僕の地元に女王を招待したいな」
 カイルーンも言い添えて、女王の手を握る。そんな3人に女王は「ええと」と悩み、パッと顔をあげた。少し頬が赤い。
「お願いします……! ひとりは寂しいの……!!」
 ボロボロになった人形をぎゅっと抱きしめ、涙を溢れさせる女王。その涙をルーキスがそっと拭って微笑みかける。
「それじゃあ、町に行こうか」


 町に着いた一行はカイルーンの両親、インゲラ、そして町のみんなに歓迎された。
 それからインゲラと町の人の視線が女王に降り注ぐ。
 それに気付いたカイルーンが前に進み出て、事情を話し始める。
「それで、みんなにお願いがあるんだ」
 女王を町の仲間に入れて欲しいこと、そのために今はオグロ爺がやっている氷室の管理を手伝う仕事をやらせて欲しいことをカイルーンが。
 彼女のための家を作る土地と材料、そして人手を欲しいことをイレギュラーズが話す。
「あのっ、お願いします! お仕事ちゃんとするので」
 女王が必死の想いで頭を下げたとき、「ワシらは賛成だ」と老人の声がした。オグロ爺と幼馴染みで町長のラグノオだった。
 それをきっかけに町のみんなが女王を歓迎する。

 華蓮とオグロ爺が女王に仕事を教えている間に町の力自慢とルーキス、ルナールが女王の住まいを作っていく。
「雪と氷ならあるってことで。ルナールとで大きめのイグルーを作ろう」
「流石うちの奥さん。これでいこう、力仕事は俺の担当な」
 2人は笑いあいながらも、町の人の協力して書いた設計図を見ながら作業をすすめる。
 イグルーとは本来、雪のみで作るが仮にも女の子の住まいだからと町に保管してあった石板で土台を作ることになった。
 普通の住まいに使うには薄すぎて使い道に困っていた石板だが、氷と雪だけで城を作って暮らしていた女王なのだ。
 薄い石板ベースの家は頑丈でむしろ、身体を保てる寒さだけを維持した城より快適なはすだと一生懸命に手を動かす。
「こういう時は他の世界の知識が役に立つねぇ。暇つぶしに旅人達から蒐集していた甲斐があるよ」
 ルーキスが上機嫌に外壁をレリーフで飾るなか、ルナールは雪の塊を作っては潰していた。
 可愛い小鳥を作って飾りにしたいらしいが、生み出されるものはたっぷり太った雄鶏の風体である。
「いっそ雪ウサギを量産して飾るか、これなら流石に俺でもつくれるだろう」

一方、ヴェルデとインゲラ、カイルーンは女王の唯一の友達だった人形を直していた。
 カイルーンとインゲラが人形本体を直し、ヴェルデは季節ごとが洋服を作っていく。
「ねえ、女王はこの子がいてくれたから寂しくなかったんでしょう?
だったら大切な友達なら余計にもっともっと長くいられるように綺麗にしてあげたいのだ」
 そう言ったのが20分ほど前で。ヴェルデは春、夏と来て、今から着せる冬物を完成させると喝采をあげた。
 女王の勉強を見ていた華蓮もそれを聞いて拍手を贈る。
「素敵だわ! とても可愛いコートなのだわ!」
 ずっと気になっていた女王はついに勉強の手を止め、だんだんと友達が直っていく様を見て涙ぐむ。
 どんな時にも寄り添ってくれた唯一無二の友達が生まれたてのように美しくなる。
 喜びで胸がいっぱいだったのだ。
「ありがとう……、こんな美人だったのね。私のお友達」
 今すぐ人形を抱き締めたい衝動を我慢して涙する女王の背を華蓮が優しく擦る。
「女王は意外に泣き虫だわね。ほら、笑って。その方が可愛いのだわ」
 微笑んでなだめ、女王を落ち着かせる。そうして落ち着いた所で勉強会を再開して華蓮自身も知らなかった商売方法を学ぶ。
 そこへ、ルーキスとルナールたちが拠点へ戻ってくる。
「ただいま」
「女王、出来たぞ」


 ルナールとルーキス、そして町の力自慢たちが作り上げた女王の家は美しいレリーフとたくさんの雪像で飾られていた。
 雪で出来た動物が作るアプローチを通って中に入ると、広めの空間が広がっていた。
「インゲラたちが遊びに来ても大丈夫なよう、広めに作ったんだ」
 町の誰かがそう告げ、女王は嬉しそうに微笑んだ。
 それをきっかけに誰も彼もが自分頑張った所を自慢して、その度に女王は喜んだり感心したりしていた。
 そこへ、町長とその奥さん、奥さんによって集められた料理自慢が手を振りながらやって来た。
「待たせたな、女王の歓迎会をしよう!」
 町長がそう宣言するなり、わあっと町中の人たちが沸き立った。
 町長が女王とイレギュラーズを町の中央へ連れていくと、一緒に用意されていた雪の台へと昇る。
「まずはイレギュラーズ諸君。カイルーンを連れ帰ってくれてありがとう!」
 町長が礼を言い、頭を下げれば町の人たちからもありがとうと、叫ぶ声が聞こえる。
 それに一同は頭を下げて、どういたしましてと口々に返す。
「そして今日、新しい仲間が増えました! 雪の女王さんです!」
 今度は女王が前に進み出て、よろしくお願いいたします、と言いながら頭を深く下げる。
 その頭をあげた途端、割れんばかりの拍手を浴びたのだった。
 その後、町長の乾杯を合図に町は飲めや歌えの宴会となったのだった。

 宴会が終わり、落ち着いた頃。
 町の正門にイレギュラーズとインゲラ、カイルーン。そして女王と町長が並んでいた。
 インゲラとカイルーンが前へ出て、1人ひとりと抱擁する。
「ありがとう、4人とも! またね!」
「さようなら、ありがとう!」
 ルーキスとルナールがカイルーンの握手を返してこちらこそ、と別れを告げる。
「雪像作り、なかなか楽しかったぞ」
「雪遊びも中々奥が深かったからねー。次は大物作りたい」
 次に出た女王はまた深く頭を下げて、ありがとうと告げる。
「驚いたけれど嬉しかったです。皆様、どうかご無事で」
 瞳を潤ませる女王にヴェルデがにこっと笑いかける。
「世界が違っても僕らももう友達だと思うから! どうか幸せな日々がみんなの頭上に降り注ぎますように! なのだ!」
 華蓮が前へ出て女王の頭を撫でつつ、インゲラとカイルーンに別れの挨拶をする。
「色々とあったけれど楽しかったのだわ。これからもお互い頑張りましょう」
 こうしてインゲラ、カイルーン、雪の女王たちの願いを見事叶えたイレギュラーズ。
 町長をはじめとした町のみんなに見送られ、帰って行ったのだった。

成否

成功

状態異常

なし

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