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シナリオ詳細

<Je te veux>終焉、観測

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 冠位色欲を撃退するなど、イレギュラーズの戦いが続く中、ギルドマスター『レオン・ドナーツ・バルトロメイ』が失踪してしまう。
「ボクたちはやれることをしましょう!」
 その代理となるべく踏ん張るユリーカ・ユリカ。
 彼女の話によると、ラサ南部砂漠コンシレラにて、R.O.Oで観測されたでっか君……終焉の獣『ベヒーモス』の出現が確認されている。
 でっか君の背から崩れ落ちる欠片は小型の終焉獣となり、転移陣を使って混沌各地へと出現しているという。
「全く、迷惑極まりないね」
 『海賊淑女』オリヴィア・ミラン(p3n000011)は一つ溜息をついてから話を続ける。
 空中庭園のざんげの持つ『空繰パンドラ』のパンドラ蓄積が滞っているとの情報もあり、ローレットはパンドラ収集器を回収、ざんげの元へと届けた後、収集器の役割を解いて持ち主に返すことにした。
 レオンなら『持ち主に返さなくて良いように取り計らった』かもしれないが、それはさておき。
 皆、彼女の配慮に沿って活動しているようである。

 今回の依頼は、『覇竜観測所』からのもの。
 覇竜に現れた終焉獣の群れに滅気竜が伴い、ラサを目指して侵攻しているのだという。
「観測によると、どうやら竜種が一人でその群れを抑えていたって話さ」
 それは複数の頭を持つ毒の竜とのこと。
 どうやら、将星種『レグルス』アルディとみられる。
 彼女はヘスペリデス周辺で終焉の手勢と交戦を続けていたらしい。
 他の地域の状況を探りに単身ラサ方面へと向かった際、敵と遭遇。
 撃退したものの、一部を取り逃がしたとのことだ。
「竜種からすれば、覇竜から敵がいなくなれば問題はないはずさ」
 ただ、アルディは観測所の存在を知っていたのだろう。
 外へと終焉の手勢が逃れたことを示したのは、彼女なりの気遣いだったのかもしれない。
 ただ、その中には滅気竜となった亜竜が混じっていたようだ。
 アルディとの交戦で手負いとなってはいるが、脅威の存在であることに変わりはない。
「集落に至る前に、なんとしても始末をつけるんだよ」
 オリヴィアはそう告げ、観測所から示されたルートをメンバーへと示すのである。


 ラサ南部砂漠コンシレラ。
 ザザ、ズザザザ……。
 それらは暗色の見た目をした一行であり、昼間の砂漠ではひどく目立つ。
 まず、視認できる場所にも巨大なでっか君が聳え立っているが、そのミニチュアサイズ……といっても、全長3m程度もあるちっさ君こと小型ベヒーモス。
 続き、非常に大きな人の指の思わせる姿をした拒絶の指。
 こちらは4体もおり、横に並べばそのまま人の手の指を思わせる。
 そして、黒褐色の見た目をした亜竜……いや、滅びのアークによって滅気竜へと変貌した鉱亜竜ことミネライドンだ。
 砂埃を上げて移動する速度はさほど速くはない。
 ミネライドンはその気になれば素早く移動できるはずだが、他の終焉獣に足並みを合わせているのだろう。
 ――それらが人里へと至る前に。
 イレギュラーズはその行く手を遮るように近づいていく。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 <Je te veux>のシナリオをお届けします。

●概要
 竜種を観測する『覇竜観測所』より、滅気竜の出現が確認されたとのことで、掃討依頼が舞い込みました。
 終焉獣を含むその小隊はラサを目指しているようで、ラサ南部砂漠コンシレラにおいて食い止める必要があります。
 昼間、砂漠の上での戦いです。
 冬場ですが、それなりに気温が上昇しますので、対策があったほうがいいかもしれません。
 また、戦場となる箇所は傾斜がかなりあり、見通しはあまりよくありません。

●敵
〇滅気竜:ミネライドン(略称:鉱亜竜)×1体
 全長3mほど。見た目は黒褐色で、頭から背は堅い鉱石で覆われ、どっしりとした四足歩行の亜竜だったもの。
 滅びのアークに触れて変化しており、脅威となる存在です。
 ただ、後述の竜種との交戦後のようで、やや弱体化しています。

 見た目に対して動きは素早く、噛みつき、体当たり、鉱石飛ばし、エネルギー光線と遠近問わず汎用性のある戦いを仕掛けてきます。

〇終焉獣:拒絶の指×4体
 全長1~1.5mほど。
 身を盾とし、仲間を守ろうと立ち回りますが、砂地であることを活かして砂の中に潜伏することも。
 地面を叩きつけて揺らすことがある他、指先を叩きつけたり、爪でひっかりたりしてきます。
 爪で空間を引き裂いて浸食を進めることもあります。

〇『終焉の獣』小型ベヒーモス(通称:ちっさ君)×1体
 全身3mほど。R.O.Oで登場した「でっか君」から零れ落ちた欠片から変形した存在です。
 四本足の獣で、どす黒い霧でこちらに封印を含む状態異常、咆哮と共に飛行対象への状態異常、狂化による自己強化、終焉をもたらす浸食を行います。

●NPC
〇竜種・将星種『レグルス』:アルディ
 人型は麗しい女性の姿ですが、本来は全長7m複数の頭を持つ竜種。
 高い治癒力を持ち、全身から発する様々な種類の毒が恐ろしい竜です。
 いくつかの頭を使った連続食らいつき、複数のブレスを使いこなします。

 今回の戦いには参戦していませんが、覇竜で今回遭遇する敵の本体とも呼ぶべき集団を相手してくれていました。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

 それでは、よろしくお願いします。

  • <Je te veux>終焉、観測完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2024年02月27日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
シラス(p3p004421)
超える者
メリーノ・アリテンシア(p3p010217)
そんな予感
ユーフォニー(p3p010323)
竜域の娘
マリエッタ・エーレイン(p3p010534)
死血の魔女
セレナ・夜月(p3p010688)
夜守の魔女
紅花 牡丹(p3p010983)
ガイアネモネ

リプレイ


 ラサ南部。
「暑いな、2月だってのによぉ……」
 多少の環境は携行品もあって耐える『竜剣』シラス(p3p004421)だが、冬場にも関わらずこの気温は堪えていた様子。
 彼だけでなく、イレギュラーズは皆、砂地で移動、及び戦う為の対策を講じている。
 まず、多くのメンバーが低空飛行し、直接砂地を歩かないようにしていた。
「砂に足をつけたら砂だらけになるし、砂は熱いもの。いやだわ」
 ……とは、自前の翼を羽ばたかせる『狙われた想い』メリーノ・アリテンシア(p3p010217)の談だ。
 個々では、『【星空の友達】/不完全な願望器』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)は火傷防止の為、フード付きマントに通気性の良い長袖の服を着用し、内部には練達の保冷剤を忍ばせている。
 魔女帽子にマント姿の『夜守の魔女』セレナ・夜月(p3p010688)もやはり携行品で対策する。
 また、多少の傾斜もあり、この対策もまた多くのメンバーが講じており、飛行しているのもその一つ。
(逆に言えば、この環境はこちらも利用できる場面に応じて不意を打つ為に利用できます)
 加えて、広域俯瞰を使っているマリエッタはそんなことを念頭に置いて依頼に当たっている。
 その時、『陰陽式』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)が口に指を立てる。
 彼女は超聴力を活かし、何かを聞き分けようとしていたのだ。
「敵の数には注意だな。拒絶の指は最初から砂に潜ってて、こっちの奇襲に対してカウンターしてくるかもだしよ!」
 聖鳥の目覚ましによって、『ガイアネモネ』紅花 牡丹(p3p010983)もまた暑さを乗り切ろうとしていたが、彼女は浮かび上がりつつ広域の視点を持って周囲を見渡す。
 牡丹が希望するように、敵より先に見つけて奇襲したいところ。
 彼女もまた敵感知に加えて耳を澄まし、傍では『相賀の弟子』ユーフォニー(p3p010323)が砂面を注視して。
「来ます!」
 ユーフォニーの声の直後、近づく気配。
 まずは砂の中から移動してくる複数の物体。
 砂面の状態を超視力で見て、ユーフォニーは僅かな砂の動きを見逃さない。
 地中から砂埃を舞わせて現れたのは、終焉獣、拒絶の指4体だ。
 だが、それだけではない。
 身構えるそれらの獣は陽動らしく、重い音を立てて他の敵も接近していた。
 まずは、ここからでも姿が確認できるベヒーモス……の小型版ちっさ君1体。
 そして、覇竜に生息する亜竜……が滅びのアークを浴びて滅気竜と変貌したミネライドンだ。
「覚えてるわ、交易路の開拓の時に戦った亜竜。彼らも滅気竜となってしまうのね」
 ファミリアーの鳥を通して、視認していたセレナは物悲しそうに呟く。
 なお、情報によれば、元々この侵攻はもっと規模があり、一人の竜種が抑えていたのだという。
「アルディさんが守ってくれていたんですね……引き継ぎます」
「アルディ……この場にはいないけど、感謝を。奴等は必ず倒さないとね……!」
「ええ、きっと必ず守りましょう!」
 その竜種と面識のあるユーフォニー、ヨゾラが決意を語ると。
「はっ、アルディってやつ気が利くじゃねえか! 心遣いを無駄にしないためにもオレ達でとどめを刺さねえとな!」
「アルディとやらの頑張りを無駄にするわけにはいかん。一匹残らず殲滅するぞ!」
 牡丹も汰磨羈も、竜種なりの意を組んで気合を入れる。
「終焉獣を抑えてくれていた竜種には感謝を。あとは我々が引き受けましょう」
 これより先は人の領域。
 獣風情に好き放題させるわけにはいきませんからと、『死血の魔女』マリエッタ・エーレイン(p3p010534)も意気込んでいた。
 さて、こちらが身構える間にも、終焉獣、滅気竜の一隊は姿を現す。
 シラスは相手が足並みを揃えてこちらに現れたことから、ある程度の知恵はあると踏む。
 ただ、無力な旅の行商人を装っていたシラスは、敵からの警戒が薄まればと期待するが、それがどう相手の思考に影響するか。
 仲間達がそれぞれ戦闘態勢をとる間、メリーノは自身ができることをと心の中で強く想って。
「大丈夫、なんとかしましょう。世界はまだ終わらせないわ」
「世界を終焉になんて向かわせない、好き勝手はさせない。終焉獣は此処で食い止めてみせる!」
 ――戦ってくれたという竜も、自分達に協力してくれたわけではないとしても。
 ――きっと、生きる世界を守りたいのは同じだから。
 竜の気持ちを推し量りながらも、セレナもまた終焉に抗うべく、魔法の詠唱を始めるのである。


 敵は比較的機動力が遅めだが、滅気竜となったミネライドンは見た目以上の速さで襲い掛かってくる。
 そいつへ1人、牡丹だけが突貫していく。
 拳に蹴り、頭突き、自慢の片翼まで使う喧嘩殺法で滅気竜へと挑む牡丹。
 相手が如何に強化された亜竜であっても、彼女はこの戦いを制しようとして。
「しばらく付き合ってもらうぜ!」
 アオオオオオオオォォォ!
 牡丹の呼びかけに、滅気竜は望むところと吠えてみせた。
 続々と襲い掛かってくる獣には、他メンバーが対して。
 現状、滅気竜とは別に、終焉獣……拒絶の指4体とちっさ君こと小型ベヒーモス1体の合わせて5体の獣がこの場にはいる。
(ちっさ君は封印が厄介ですからね)
 小型ベヒーモスは全身から霧を発してこちらの技を封じてくる。
 そうされる前にと、世界をさながら万華鏡のように知覚することで自身の能力を高めたユーフォニーはちっさ君をメインに指を纏めて捉えて。
「それは、世界。私だけの世界」
 瞳を閉じた彼女は彩られた色彩の波が揺らめく空間を具現化する。
 距離を取って攻撃できる利点を活かし、彼女は攻撃を仕掛ける構えだ。
 その攻撃に棒立ちとなっている敵を、汰磨羈が続いて狙う。
 すでに、魂魄より自身の限界を断ち切る程の力を得ていた汰磨羈は、同じく獣を纏めて薙ぎ払うべくケイオスタイドを巻き起こす。
 根源たる力が泥となって獣どもへと浴びせかかっていくが、汰磨羈が発動させていたグラビティ・ゲートの効力も相まって、敵が一気に押し流される。
 汰磨羈のこの一撃によって、獣は滅気竜と大きく引き離されることに。
 なお、汰磨羈がこの後何かを狙っており、上空へと飛び上がったメリーノが自分にソリッド・エナジーを付与する。
 ほかにも、自己強化を施しながらもメリーノは大きな動きがあるのを待っていたようだ。
 その間も地上部ではメンバーの攻撃が代わる代わる繰り出される。
 煌めく星空の泥はヨゾラが発したもの。
 己自身である魔術紋を輝かせるヨゾラの展開するケイオスタイドは星空のよう。
 運気を大幅に下げた敵を、今度はマリエッタの魔法が襲う。
 輝かしい光が戦場の獣どもを照らす。
 ちっさ君が面倒なのは先述の通りだが、拒絶の指もちっさ君や滅気竜を庇おうとしてくる厄介な相手。
 それらを纏めてマリエッタは堕天の輝きで照らし、その動きを鈍らせる
 徐々に敵の体力が削れるのを注視するマリエッタだが、気を許さず仲間と波状攻撃を続けるべくさらなる攻撃の為に詠唱する。
 光が止んだ後、箒星に跨るセレナが砂の少し上を飛行し、全身に光を纏ってちっさ君へと突撃する。
 拒絶の指はまだ態勢を崩したまま。
「余所見なんてさせないから!」
 この隙を活かし、セレナはちっさ君の気を強く引く。
 同じタイミング、いつの間にか、ちっさ君の背後へと回っていたのはシラスだ。
 一般人を装っていたシラスだが、仲間達が敵の注意を引いてくれたおかげもあり、斜面の陰からちっさ君の近くへと迫っていた。
 変身バンクによって、シラスはいつもの戦闘衣装へと戻ってちっさ君へと一言。
「バーカ、油断してんじゃねえよ」
 予め、聖骸闘衣を纏っていたシラスは自身のファイトスタイルで攻め入る。
 彼もまたちっさ君の霧による封印が面倒と考え、速攻撃破を目指す。
 魔力で包んだ拳や足で連打を浴びせかけ、態勢を崩した敵に痺れまで与えていく。
 アオオオォォォ……!!
 満足に動けぬ獣であったが、その瞳は爛々と光り輝いていた。


 暑い砂漠での戦い。
 人と獣、竜の攻防によって、砂舞う地での戦いは一層ヒートアップする。
 1人、離れた場所で、牡丹は滅気竜ミネライドンが他の敵との合流を食い止めながら、その猛攻を抑える。
 しばらくは防御に集中し、牡丹は仲間達が他の厄介な敵を殲滅するのを待つ。
 ちっさ君へは、マリエッタ、セレナが主として攻撃する。
 マリエッタが相手の守りを崩しつつ光を叩き込み、ちっさ君が抗うように身悶えしながら食らいついてくる。
 それを抑えるセレナは無数の魔杭で返してその身を打ち付けていく。

 その間、他メンバーが砂中へと潜行する拒絶の指を叩く。
 序盤、足止めを喰らって満足に動けずにいたが、合間を縫うように、1体だけが潜行する状況も。
 一気に浮上した後奇襲を仕掛けようとしてくるが、メンバーは冷静に対処して。
「……今です!」
 浮上してくる指の動きを砂面の変化から察したユーフォニーは破式魔砲で撃ち抜いていく。
 空間を裂き、指で地面を叩いて揺れ動かすことのできる指。
 汰磨羈は潜行しようとした別の1体の動きを、今度は見逃さない。
「どうやら、地中がお好きなようだが。たまには飛んでみてもいいと思うぞ?」
 ここぞと、汰磨羈が砂へと触れた敵含め、敵陣を一気にケイオスタイドとグラビティ・ゲートを合わせて利用し、真上へと打ち上げた。
 丁度、メリーノが待つところへ、指が舞い上がって。
「たまきちゃんが真上に上げてくれる、それを真下に打ち下ろすのがわたしの仕事だわ」
 メリーノは空中で舞うのは、終焉の武舞。
 だが、メリーノは大太刀を振るって指を切り刻む。
 見事の技の冴もあり、彼女は指を地面に向かって叩き落とす。
 その1体は耐えることができなかったのか、砂地へと墜ちる前に姿をかき消した。
 墜ちてくる残りの指。
「楽園追放……敵達を全部撃ち滅ぼせ!」
 ヨゾラは楽園追放――神聖秘奥の術式を展開し、世界を滅ぼさんとする眼前の獣どもを打ち祓う。
 さらにシラスが集まる獣の周囲に無数の光球を生み出し、一斉に爆発させる。
 ほとんど何もできぬ指達を、イレギュラーズがなおも追い込む。
 墜ちながらも、地中へと潜行しようとする個体もいたが、メンバーはそれを許さない。
 再度、汰磨羈が打ち上げた敵に、ユーフォニーは最大火力をと躊躇いなく彩の波を浴びせかけていく。
 また1体、うねるように体を揺らめかせて消える下、再度墜ちた敵へと素早く迫ったシラスの叩き込んだ魔力の連撃が指を一気に爆ぜ飛ばす。
 2度、空中を舞ってなお、しぶとく潜行しようとする残りの指に、汰磨羈はなおも泥となった根源の力で空中へと巻き上げる。
 自ら追撃する汰磨羈はその指を結界で捕捉し、内部に生み出した六刑地獄で滅殺する。
 そこから抜け出すこと叶わず、そいつは跡形もなく消滅していった。

 アオオオォォォォ!!
 ちっさ君は比較的早く自身のペースで立ち回れるようになっていたようで、咆哮を上げてこちらの動きを止めようとしてくる。
 ただ、セレナにその咆哮は届かない。
「霧に巻かれようと、咆哮が響こうと、わたしの結界は通さない!」
 自分に近づく敵を、セレナは無数の魔杭で撃ち抜いて牽制する。
 小型とはいえ相手はベヒーモス、さすがにしぶとい。
 また、荒ぶる滅気竜はかなり手強い。
「オレは硬い、オレは無敵だ!」
 自らにそう言い聞かせる牡丹は防御を固める合間にも、燃え上がらせた片翼を直接叩きつけ、あるいは炎を発して堅い滅気竜の体を焼く。
 なんとか耐えようとする牡丹を、マリエッタも無穢のアガペーで支援する。
 押せればいいが、さすがに竜種が抑えるレベルにまで強化された滅気竜を一人で相手するのはやはり厳しいようで、マリエッタがしばらく支える形だ。
 続き、メンバーは小型ベヒーモス、ちっさ君へと攻撃の矛先を向ける。
「ちっさ君ねえ。小さいって言っても全然小さくないわぁ」
 改めて、そいつを空中から見下ろすメリーノがそう漏らすのも無理はない。
 その全長は3mほど。
 オリジナルであるでっか君があまりにも大きすぎるのだ。
 さて、汰磨羈すぐにそのちっさ君を結界に閉じ込めて地獄の裁きを与える。
 強引に抜けだすちっさ君へ汰磨羈がさらに呪詛の一撃を浴びせかけた直後、魔術紋を輝かせたヨゾラがその腹へと渾身の極撃を打ち込む。
 メリーノも空中を舞いながらも、大柄なちっさ君を切り裂いていく。
「切り刻めば動かなくなるものね」
 メンバーの攻撃が集中すれば、みるみるうちにちっさ君の動きが鈍る。
 ブオオオオ、オオオオォォォ!!
 これでもかと霧を発し、イレギュラーズの力を削ごうとしてくるちっさ君だが、全身の傷は深く、もはや最後の悪あがきといったところ。
「問題ないわ。一気に攻めるわよ」
 セレナの号令で自我を強く持ち、不調を振り払うメンバー達。
 仲間が多く敵へと取り付く状況もあり、ユーフォニーは破式魔法による射撃でちっさ君を撃ち抜く。
 ここぞとマリエッタが自身の血より生みだされた数々の武装で多数の傷を与えて。
 両腕の印を活性化させたマリエッタは高まる力を持って、ちっさ君の傷を一気に抉る。
 ア、アオォォ…………。
 弱々しく吠えたそいつは目から光を失い、砂の上に倒れていく。
 砂埃が舞い上がる中、そいつの体は何も残らず消え去ってしまった。


 残る敵は滅気竜、ミネライドンのみ。
 ここまで踏ん張っていた牡丹だったが、度重なるミネライドンの猛攻を堪えきれなくなりつつあった。
 ブオオオオオ!!
 吠える滅気竜は食らいつきの後、エネルギー光線を放つ。
 防御して乗り切ろうとしていた牡丹だが、ついにパンドラの力を借りることに。
 牡丹は頼もしい人だが、さすがにパワフルな亜竜を彼女一人で抑えるのは大変だろうと踏んでいたセレナがそこで飛び出す。
「守り手なのはわたしも一緒よ!」
 セレナが危機を察して前線を交代する間に、ヨゾラがすかさず仲間に愛を与えてリカバリーさせようとする。
「ここで倒れたら熱中症が心配だし、誰も倒れさせないよ……!」
 そこに滅気竜が猛然と繰り出す体当たり。
 汰磨羈がそこに加わり死角から仲間と挟撃しようとするが、滅気竜は鼻息荒く鉱石を飛ばしてメンバーへと叩きつけてくる。
 ヨゾラがパンドラに縋って気力を振り絞るところに、メンバーが駆け付けてくるが、滅気竜はなおも猛攻を仕掛けて光線を発射してくる。
 汰磨羈は結界内に閉じ込めてからの地獄攻めに陽の太刀を浴びせるコンボで仕掛けていたが、思った以上の滅気竜の力に膝を尽きかけ、やはり運命を掴み取って戦場に留まっていた。
 一方、イレギュラーズは仲間が踏ん張る間に、滅びのアークに
 ユーフォニーは万華の煌めきで包み、敵の態勢を崩しながらも、収束力を高めた魔法を放って堅い竜の体を撃ち抜く。
 マリエッタも血の武装で滅気竜を苛む。
 大きく態勢を崩さず、すぐに倒すとはいかぬ強敵。
 それでも、マリエッタは堅い守りの滅気竜へと接近し、光を撃ち込んで叩き潰そうとする。
 相手の攻撃もあり、自身の体力がだいぶ削れていることを自認するメリーノ。
「頭とかは頑丈そうだから……」
 仲間達との交戦もあり、狙うならば腹、あるいは……。
 タイミングを見ていた彼女は、光線の構えをとるべく口を開いた敵へと五閃を叩き込み、斬撃痕を残す。
 ブオオオオ、ブオオオオオオオオオ!!
「やっぱり、お口の中までは鍛えられなかったのね」
 メリーノの考えは正しかったらしく、滅気竜は痛みに悶えて砂埃を上げて暴れ始める。
「……眠らせてあげなきゃ」
 滅気竜となったミネライドンは安らかな眠りを与えるしかない。
 セレナは前線に戻った牡丹とスイッチし、魔杭を無数に打ち出して滅気竜の体へと打ち込んでいく。
 抑えがいてなお、周囲で戦うメンバーも消耗が激しい。
 シラスは瞬時に自己回復しながら、魔力撃を立て続けに浴びせてその杭を強く体へと食い込ませ、滅気竜を酔わせる。
 ブオオオオオオ!!
 大きく口を開いて食らいつこうとするミネライドンだが、ここは牡丹が微笑みながら食い止めて。
「オレ“達”の勝ちだ!」
 その腹目掛け、ヨゾラが星の光の如く瞬いて。
「とっておき、星の破撃! これで……潰えろ!」
 渾身の星空の極撃を受け、ついにミネライドンの体が大きく揺らいだ。
 ブ、オオ、ォォ……。
 嘶いた滅気竜はどうと音を立てて砂の上に横たわる。
 完全に動きを止めたのを確認したイレギュラーズはサムズアップし、ハイタッチするなど、勝利を確信して喜び合うのだった。


 滅気竜を倒したイレギュラーズは汗を流しつつも、周囲の警戒を続けつつ簡単に互いの手当てに当たる。
「勝てたのは、皆とアルディのおかげだね」
 この場の仲間達は皆、頼りになるし、アルディが事前に戦ってくれていたことも大きいとヨゾラは考える。
 もし、今度会ったら、お礼を言いたい。
 そう思い立ちながらも、彼は仲間と共に帰投することにしたのだった。

成否

成功

MVP

仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式

状態異常

ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)[重傷]
【星空の友達】/不完全な願望器
紅花 牡丹(p3p010983)[重傷]
ガイアネモネ

あとがき

 リプレイ、公開です。
 MVPは終焉獣を上空へと打ち上げる作戦をとった貴方へ。
 今回はご参加、ありがとうございました。

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