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シナリオ詳細

<Je te veux>命の次にたいせつな

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●鉄帝の寒村にて
「私の宝剣が狙われているのですか?」
 寒村を納める若き領主、ミミリーは驚きに目を見開いた。
 それに頷き応えるのはローレットの情報屋である。
「小型のベヒーモスがこの地に派遣されているのが確認できた。間もなくこの領地に踏み込んでくるぜ。狙いはさっきも言ったが、あんたの宝剣――パンドラ収集器さ」
「そんな……」
 暖炉のぱちぱちという薪の燃える音が暫し。
 ミミリーは壁際に飾られた宝剣を手に取ると、それをぎゅっと胸に抱いた。
「これは亡き御父上から受け継いだ、大切なものなのです。うばわれるわけには……」
「ああ、こっちもそうさ。パンドラ収集器が奪われればその分滅びのアークがばらまかれることになる。ローレットとしてもそいつを守りたいのさ」

 幻想王国を襲った冠位色欲の凶行を何とか斥けるに至ったイレギュラーズだったが、その中にギルドオーナーの姿はなかった。代理として各国の情報収集や依頼遂行の可否を決定するユリーカが曰く、ラサ南部砂漠コンシレラにて大きな変化が起きたらしい。
 R.O.Oで観測された終焉の獣『ベヒーモス』。通称をでっか君と呼ばれたそれは微動だにせず蹲っているが、その背からはぼろぼろと崩れるように小型の終焉獣たちが現れ始めたのだ。それらは宙空よりどこかに転移陣を開き移動していく。
 その転移先は世界各国にあるパンドラ収集器の元であり、目的がその収集であると分かったのだ。
 ベヒーモスが何を糧にするか分からないが、この行動によりまるで酸素のようにパンドラを飲み込み、滅びのアークを吐き出しているかのようである。
 パンドラ収集器はイレギュラーズならば誰しもが持ち得るものだ。ローレットに属さぬイレギュラーズ達も思い思いの品がその収集器となって居る。
 集まったパンドラは空中庭園のざんげの持つ『空繰パンドラ』に蓄積されるが、どうやら何らかの影響のせいで滞っているらしい。
 ローレットはそんなパンドラ収集器を小型ベヒーモスに奪われぬように保護し、そのまま収集器をざんげのもとへ届、その役目を解いて返却することにした。

●命の次にたいせつな
「私は、立派な領主とは言えません。父が早くに鉄帝の動乱で戦に出て亡くなってしまったので、若いうちから領土を継がなければならなくなったためです。
 けれど、父はいつも言ってくれていました。『ミミリーなら大丈夫』と……家宝の宝剣と共に見守っている、と」
 ミミリーはいくらか前にイレギュラーズとして召喚され、その際に家宝の宝剣をパンドラ収集器とした。
 それは彼女の覚悟の表れであったし、戦う姿勢でもあった。
「私は父に――そしてこの宝剣に誓ったのです。領地の民が安心して暮らせるようにすると。領地を平和に納めてみせると。
 もしベヒーモスが領地へ攻め入るなら、何としても撃退しなければなりません。
 けれどこの領地の村には終焉獣を撃退しきるほどの兵力はありません。
 どうか、この村を……私達をお救いください」
 そのための依頼料はご用意します。そういって金貨の入った袋を使用人にもたせるミミリー。
「どうか、どうか……よろしくお願いします」

GMコメント

●シチュエーション
 寒村の領地を必死に納める若き領主ミミリー。そんなミミリーが父から受け継いだ宝剣を狙い小型ベヒーモスの一団が領地を襲撃し始めている。
 ミミリーの依頼を受けたあなたは、この撃退を引き受けたのだった。

●フィールド
 小さな村です。冬場ということもあって備蓄モードで過ごしているようです。

●エネミー
・終焉獣×多数
 まずは前衛部隊として送り込まれる終焉獣の群れです。
 多脚型の終焉獣で、影を武器にして攻撃する能力を持っています。

・小型ベヒーモス『シャドウデーモン』
 影を武器に変える能力を持った小型ベヒーモスです。
 影の檻を作って相手を閉じ込めたり、影の槍を作って攻撃を仕掛けたりと多様な攻撃手段を持っています。
 はじめは様子見をしているようなので、その間に終焉獣を倒しきってしまいましょう。


●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <Je te veux>命の次にたいせつな完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2024年02月19日 22時15分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

志屍 志(p3p000416)
天下無双のくノ一
ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)
黒武護
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
アルム・カンフローレル(p3p007874)
昴星
ラムダ・アイリス(p3p008609)
血風旋華
オニキス・ハート(p3p008639)
八十八式重火砲型機動魔法少女
マリエッタ・エーレイン(p3p010534)
死血の魔女
三鬼 昴(p3p010722)
修羅の如く

リプレイ


 ぎゅっと拳を握りしめ、腕に力を込める。
 そうするだけで、隆起した筋肉と血管が独特の形を作り出した。
 『修羅の如く』三鬼 昴(p3p010722)は鍛え上げた己の肉体を見下ろし、満足げに頷く。これはいわば、剣士が刀を確かめる動作に近い。
「世界各地に多数の小型ベヒーモスが出現しているとは聞いていたが、こんなところにまで現れるとはな。
 連中も本気ということか……。
 守るべき対象は領主の持つ宝剣。奴らがそれに辿り着く前に殲滅するぞ」
 その一方で、『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)は領主ミミリーの館から出て外の空気を吸い込んでいた。
(まあ単なる妨害目的なのでしょうが、相手側も希望の力を求めているのだとしたらそれはそれで愉快な話です。今まで我々がその企みを叩き折ってきたという事なのですから。
 それはそれとして、思い入れのあるものであることが多い収集器を奪うというのは許容できません。
 その企みも叩き折って差し上げましょう)
 春には未だ早い空気が鼻孔を伝って入り込む。ここ最近にしては暖かな気温だ。
 『黒武護』ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)が追って外に出てきて、仲間達の顔ぶれを確認する。
「力が無ければ頼ればいい、ってね」
 おそらくミミリーのことを言っているのだろう。貴族や領主といった人々がローレットを頼るのは今に始まったことではない。そして、その気持ちに応えてきたのも。
「終焉獣なんて全部倒して宝剣には触れさせないぞ。大切な思いを汚させたりはしない!」
 『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)が兜をはめ直し、丁寧に位置を整えている。
 いつも兜ごしに喋る彼なので、生声をあまり知られていない。それでも彼が有名なのは、数多くの依頼をこなしてきたからであろう。
「世界の危機、依頼人の事情、受け継いだ物、懇願。
 ただの依頼にこれだけの物が伴い、それらを背負って戦う訳です。
 だから負けられません。困りましたね、本当に」
 その隣に、杖を持った『昴星』アルム・カンフローレル(p3p007874)が並ぶ。
 がっしりとしたオリーブと比べるとかなりの細身だ。戦士と魔法使いという絵をそのままにした様子である。
「小型ベヒーモス、通称ちっさ君だっけ……各地でパンドラ収集器を狙っているらしいね。
 パンドラを失わせて滅びのアークをばらまかれたら、滅びの未来が更に近づいてしまう……。
 それは絶対に看過できない、滅びを防ぐと約束したから。
 それになにより、その宝剣……ミミリー君にとっては、大切なお父上の形見だものね。
 必ず守りきって見せるよ。だから待ってて」
「はい……」
 その言葉に応えたのは、屋敷から出てきたミミリーだった。
 手には宝剣が握られている。
 宝剣を一瞥し、頷く『血風旋華』ラムダ・アイリス(p3p008609)。
「パンドラ収集器を奪われれるのを防ぐのは当然として…ボクらの収集器はなにかしら自分たちにとって大切なものを使っているからね…其れを奪い取るってのは頂けないね?
 それじゃあ、お仕事と征こうか……獣共、ボクが斬滅してあげるよ」
 刀にそっと手をかけ、不敵に笑うアイリス。
 そういった仲間の言葉に、『八十八式重火砲型機動魔法少女』オニキス・ハート(p3p008639)もまた頷いた。
「パンドラ収集器が奪われたら世界の滅びが近づく。
 それに何より、罪もない人たちの命が、暮らしが脅かされている。
 絶対に守りきってみせるよ。
 この村も、きみがお父さんから受け継いだ願いも」
 パンドラ収集器を護るという使命は、そのまま物品に込められた想いを護ることでもある。
 ミミリーにとって命の次に大切なもの。それを守り通すことができたならば……。
「ここでもバンドラ収集器が……どうやら敵はよほどバンドラの収集を妨害したいようですね
 なれはこそ、この防衛線も守り切る必要がある……と」
 『死血の魔女』マリエッタ・エーレイン(p3p010534)は言ってから、ミミリーへと向き直った。
「一つ提案ですが、よろしいでしょうか領主。
 その宝剣、この魔女に預けていただいても?」
「この宝剣をですか……?」
 一度強く宝剣を握ったミミリー。マリエッタは深く頷いて続けた。
「ええ、利用用途など村を守るための囮ですとも。
 あのベヒーモスをこちらに確実に引き付けるために、村を守るための一因として」
 ミミリーは暫く迷うそぶりを見せたが、ややあってからマリエッタにそっと宝剣を突き出した。
「いずれにせよ、一度は預けることになるのです。どうか護ってください」
「はい。必ずや」
 マリエッタは宝剣を受け取り、深く頷いて見せたのだった。


 避難の済んだ村へと、終焉獣たちが入り込んでくる。
 それを迎え撃つように展開したイレギュラーズたちだったが、その中心でマリエッタが宝剣を翳して見せた。
「――!?」
 一節にはベヒーモスたちは収集器のパンドラを嗅ぎつけて集まっているという。どうやら宝剣からパンドラの気配を嗅ぎ取ったのだろう。小型ベヒーモス『シャドウデーモン』が自らの影から爪を作り出して襲いかかっていった。
「私はしませんが――ついてきなさい!」
 爪の攻撃を飛び込み前転で回避すると、マリエッタは血のナイフを作りだしシャドウデーモンへと投擲。
 それは弾き落とされたものの、シャドウデーモンは終焉獣たちをつれ、マリエッタを追いかけて走り出した。
 それを更に追いかける形で走り出す瑠璃たち。彼女たちも早速攻撃に参加し始める。

 村の外へと走る一団。瑠璃は走りながら魔術を練り上げると、終焉獣たちめがけて『ケイオスタイド』の魔術を発動させた。
 突如として現れる混沌の泥が終焉獣へと襲いかかる。
 攻撃を受けた終焉獣は瑠璃めがけ反撃すべく、自らの影から槍を作り出し発射。
 瑠璃は攻撃を軽々と回避すると、次なる魔術を解き放つ。『ガロウズ・ギャロップ』だ。
 魔力の糸が終焉獣へと絡みつき、防御を無視してその多脚を切り裂いて行く。
「良い調子だね! それじゃあこっちも……!」
 ムスティスラーフは両手をサッと突き出して『ケイオスタイド』の魔術を発動。
 終焉獣の動きを鈍らせるべく混沌の泥を浴びせかけていく。
 ばっしゃばっしゃと浴びせた泥が纏わり付き、終焉獣たちが次々と転倒し始める。
「よーし、今だ!」
 サッと丁度良い位置へと移動すると、転倒した終焉獣たちめがけ『超むっち砲』を発射。口を大きく開けて放たれる緑色の閃光が終焉獣たちを包み込み、その圧倒的パワーによって肉体を削り取っていく。
「村の外へ走ることに集中しているせいか、割と戦いやすくなっていますね」
 クロスボウを取り出し呟くオリーブ。
 彼は得意の『掃射撃』を使って終焉獣へとクロスボウの射撃をしかけた。
 トリガーを引く度、ざくりと見事な制度で矢が刺さっていく。
 終焉獣はそんなオリーブを脅威と見なしたのか、影の矢を作りだしてオリーブめがけ発射してきた。
 矢がオリーブの頑丈なコンポジットアーマーに弾かれ、何発か地面へと転がってはとけていく。
 が、何発も撃てば当たるものらしく、皮革部分を貫いてオリーブの身体へと突き刺さった。
「……」
 鬱陶しそうに矢を引き抜き、クロスボウでの反撃に出るオリーブ。
「気をつけて、雑兵といっても終焉獣。そこそこには強いはずだよ」
 そう言ってアルムがオリーブの傷口に杖を近づけた。
 先端がぼんやりと温かい光を放ったかと思うと、オリーブの出血した傷口を塞ぎ始める。あとに残ったのは小さな穴の空いた革だけだった。
 出血が少なくて済んだのは、もしかしたらアルムの『黄金色の恩寵』の効果範囲にオリーブがいたためかもしれない。この効果は見方に抵抗+20、【光輝20】の効果を与える強力な防衛効果を持っているのだ。
「さあて、お返しだよ!」
 アルムは空中に魔力の弾を作り出すと、それをバットで打ち出すかのように杖で払った。
 飛んで行った魔力弾が終焉獣へと命中し、その身体を弾き飛ばす。
「村から出ていくまえに、紅い華で大地を彩ってもらうとしようか。終焉獣の血が紅いかどうかは知らないけどね」
 そんな中でアイリスが急加速を開始。
 繰り出すは――剣禅一如「千紫万紅」。無念無想、無我の境地に至りし刃より繰り出される極技が一つ。
 次々に放たれる剣の閃きが終焉獣たちを纏めて斬り割いていき、その身体を破壊する。
 対する終焉獣も影の爪を作り出すとアイリスめがけ繰り出してくる。
 爪と剣がぶつかり合って火花を散らし、幾度もそれが行われた。
 だが最後には影の爪が破壊され、そのままの勢いで繰り出されたアイリスの剣が終焉獣の肉体を斬り割くのだった。
 ちらりとシャドウデーモンのほうを見るアイリス。
 シャドウデーモンは最初の一撃以来全く攻撃をせず、先頭のマリエッタを追いかけてはしるのみだ。
「此方の能力の程を見定めているのかね? ちょっと、不気味だね。」
「いずれにせよ、戦えば分かることだ」
 昴は走る勢いを増すと、終焉獣へ殴りかかった。
 筋肉で護られた肉体は武器であり防具。強烈な拳が終焉獣めがけ打ち出される。
 一発で終焉獣の堅い装甲がへこみ、二発で装甲が割れ、三発目で相手は爆散した。
「この程度か」
 小さく呟き、そして暴れ始める昴。
 周辺の終焉獣を次々に殴りつけては破壊していく。
 終焉獣が反撃にと影の槍を放ってくるが、昴はかわすこともなく攻撃を受け、おもむろに相手を殴りつけるのだった。
 終焉獣の肉体がまたも爆散する。
 オニキスがその瞬間を狙いにかかる。
「120mmマジカル迫撃砲重力弾――!」
 折りたたまれていたマジカルゲレーテ・シュトラールと八十八式マジカルジェネレーターが展開、連結。とてつもない威力の砲弾が発射され、終焉獣たちが纏めて吹き飛んでいった。
 残った終焉獣を吹き飛ばすには充分過ぎる一撃だ。
 ザッとシャドウデーモンがブレーキをかけ、振り返りざまに影の刃を解き放ってくる。
 オニキスはあえて防御をせず、その攻撃を体力で受けた。
「――ッ! シャドウデーモンが攻撃に加わった? ということは……」
 そして気付けば、彼女らは既に村の外へ出ていたのだった。


「ここでなら、思い切り戦えそうですね」
 建物など大きな影の少ない、雪の降る野外。
 マリエッタは宝剣をしまい込むと、血の大鎌を作り出した。
 自分が戦いづらい場所に誘導されたと気付いたのだろう。シャドウデーモンは低くうなり声を上げて闇の大鎌を作り出す。
 血を蹴り飛び出す二人。交わされる斬撃はぶつかり合い、しかし勝ったのはシャドウデーモンの方だった。
 血の大鎌が砕け、血へと溶けて流れていく。
 だがマリエッタは止まらなかった。宝剣を取り出すと血を纏わせ、巨大な剣に変えて斬りかかる。
(ミミリー。貴方の家宝は、家族の想いは――貴方の大事な町を守れるのだと証明する為にも!)
 振り向きざまに繰り出されたその一撃はシャドウデーモンを斬り割き、その瞬間を狙ったかのように昴が距離を詰めた。
「新技の試し打ちに付き合ってもらおうか」
 繰り出したのは『コードレッド・オーバーゾーン』。その威力は驚きの12630。
 ゴオッと風をきって繰り出された昴の拳はシャドウデーモンが咄嗟に作り出した影の盾を容易く撃ち抜き、そのボディを思い切り吹き飛ばした。
「――ッ」
 吹き飛ばされ、バウンドして転がるシャドウデーモン。
 が、そこは小型とはいえベヒーモス。
 素早く立ち上がったかと思うと影の槍を何本も作り出し昴へと放ってきた。
「ぐっ――!」
 直撃を受けるも、根性で耐える昴。
「終焉獣達は本能に従って動いているだけなのかもしれないけれど…容易くボク達が世界を終らせるわけないじゃないか……むしろ、ボク達がキミ達を終わらせてあげるよ」
 その瞬間。追撃にシャドウデーモンが走ろうとした矢先にアイリスは飛びかかっていた。
 シャドウデーモンの側面より魔導機刀『八葉蓮華』を抜刀。
 魔力収斂圧縮加速機構が組み込まれた鞘と機械刀からなる魔導兵器だ。
 鞘内に収斂圧縮された魔力の爆発的エネルギーにより刀身を加速させ超速の抜刀は、シャドウデーモンの腕を一瞬にして切り落とす。
「グオオオオ!?」
 流石のシャドウデーモンも困惑と痛みで声をあげた。
「宝剣に手出しはさせないよ!」
 そこへ追撃をしかけたのはアルムだった。
 杖の先端に魔力を込めると、ライフルのように構えて魔力を解き放つ。
 弾丸となった魔力の塊はシャドウデーモンの肉体へと突き刺さり、回転をかけてそのボディを貫いていった。
「オオオ!」
 流石のシャドウデーモンもここまでの攻撃の連打に耐えられなかったのか、傷口を片腕で押さえてうめき声を上げた。
 ギラリとアルムをにらみ付け、闇の槍を大量に放つ。
 と同時に、闇の檻がアルムの足元から出現し動きを封じた。
「うわっ!?」
 咄嗟に自らに治癒魔法をかけてカウンターヒールを行うアルム。
 それでも身体に突き刺さる槍の痛みをこらえることが難しかった。
 が、そうしてアルムに注意を向けているのはシャドウデーモンにとって致命的なミスを招くことになる。
 オリーブが猛烈に突進し、ロングソードをシャドウデーモンに突き刺したのだ。
 シンプルな攻撃ながら、見事に弱点を突いて差し込まれた剣にシャドウデーモンはまたもうめき声をあげる。
 オリーブを突き飛ばし、自らはどたどたと後退した。
 鋼覇斬神閃。鉄帝国の『対城技』と『対人技』の先に見出された『対神技』。その威力は九千台にも上る。
「今だ! 超むっち砲を喰らえー!」
 ぴょーんと跳躍して『超むっち砲』を連射するムスティスラーフ。
 そんな彼にシャドウデーモンは巨大な槍を作り出して発射した。
 ざくんと槍が突き刺さり、目を大きく見開くムスティスラーフ。
 が、この大きなダメージはムスティスラーフの望むものであった。
 ケイオス・レギオン、発動。
 混沌の群れを飲み干す力が湧き上がり、復讐の力が最大限に解き放たれる。
 カッと開いた口から強烈な超むっち砲が発射され、シャドウデーモンの身体に大きな穴があく。
 が、それを影で埋めて回復を試みるシャドウデーモン。
「悪あがきですね」
 瑠璃はソウルストライクを乱射。黒い魔術の塊が次々に瑠璃の頭上に浮かんだかと思うと、それらが次々にシャドウデーモンへと発射されていく。
 片腕と影の盾でなんとか防御を試みるシャドウデーモンだが、手数の多さゆえに盾は穴だらけとなり、片腕もまたボロボロになっていった。
「これで終わりだ」
 オニキスは自らのマジカル☆アハトアハトを展開。
「インフィニティモードに移行。マジカルジェネレーター、フルドライブ。バレル接続。固定完了。超々高圧縮魔力充填、120%。ターゲット、ロック――」
 展開したスコープでしっかりとシャドウデーモンをとらえると、身体の四方からアンカーが射出。地面に突き刺さり上体を固定する。
「マジカル☆アハトアハト・インフィニティ―――発射(フォイア)!」
 そして放たれる最強の必殺兵器。威力一万台にも及ぶ超強力な魔力砲撃が、シャドウデーモンの上半身をまるごと吹き飛ばし消し去ったのだった。

 後日談、ではない。
 戦いを終えたあと、ミミリーはその宝剣をイレギュラーズたちに一度託したのだった。
 空中庭園のざんげのもとへ届け、パンドラの収集を行うためである。
 そして役目を終えた宝剣は再びミミリーのもとへ返されることとなるだろう。
 イレギュラーズたちのねぎらいの言葉と共に。

成否

成功

MVP

マリエッタ・エーレイン(p3p010534)
死血の魔女

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete

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