シナリオ詳細
モノクロームの贖罪
オープニング
●さいごにもういちどあいたかった
「――死ぬ前にもう一度、妻に会いたい」
それがマルセル・グレゴリアという資産家の老人の最期の願いだった。若い頃の彼は仕事に奔走し、結婚したばかりの妻を顧みず己が財産を増やすことばかりを考えていた。
妻のために良かれと思ってやったことが、かえって妻を悲しませる結果になったと気づいたときには、屋敷にはもう妻の姿はなかった。それから数十年。ずっとそれだけが彼の心残りになっていたのだ。
せめてひと目あって、謝罪がしたい、財産をすべて与えると、方々に手を尽くして妻の居所は判明したがすでに彼女は死亡していた。しかし、19歳になる孫娘が存在することが分かった。折しも別れた時の妻と同じ年齢なのは、運命だったのだろうか?
娘の名前はマルガレーテ。妻に去られてから、再婚をすることもなく時を経た結果、彼女が唯一の遺産相続人となってしまったのである。
マルガレーテは戸惑いながらも、とても可愛がってくれた祖母が愛した祖父に会うことを決断する。
「マルグリット!! マルグリット! 帰ってきてくれたのか……すまない、すまない」
ベッドに横たわる老人は骨のような手を伸ばし、マルガレーテを求める。
「ご主人様、彼女はマルガレーテ様。マルグリット様ではございません」
側に使えるバトラーが否定をするが、マルセルには聞こえていないようだった。
「近くにきてくれ、マルグリット、ああ、マルグリット。金の髪も、緑の目も。別れたあのときそのままだ」
感極まったマルセルは滂沱の涙を流し、最愛の妻と今際の際に会えたことを神に感謝する。
「あの、違い……ます。マルグリットはお祖母様です。……お祖父……様」
マルガレーテは否定する。しかし彼女の手を、マルセルはまるで老人とは思えない力で握りしめた。
「この、サファイアの宝石の指輪。結婚指輪だ。私がマルグリットにあげたものだ。いまでも、持っていてくれたのだな」
「その、この指輪はお祖母様の形見です。私は……っ!」
「神よ、感謝します、神よ! こんな老いぼれに慈悲を。もう一度妻とあえるとは……!」
ビクンと大きくマルセルの身体が震えた。大きく目と口を開き、あ、あ、あ、と言葉にならない声をだすと、そのままうつ伏せに倒れ二度と目をあけることはなかった。
彼は孫娘を、妻だと思ったまま他界したことは幸せだったのか、それとも呪いの始まりだったのだろうか……。
●しんでもあいたかった
結局その後、マルガレーテはグレゴリア家の遺産を継ぐことになる。多少の揉め事はあったとはいえ、唯一の継承者である。グレゴリア家の存続のために当主として屋敷に住むことになった。
異変はマルガレーテがグレゴリア家の当主となって1年目、20歳の誕生日を迎えた夜から始まった。
『妻よ、わが愛しい妻よ、ここは寂しい。来ておくれ、マルグリット』
まるで地の底から響くような声が聞こえてくるのだ。
こわごわと目をあければ、マルセルの顔をした霧が冥界にマルガレーテを引き込もうとするように足を引っ張ってくる。
「いやぁあああああ!!!」
叫びにバトラーやメイドが部屋に駆けつけるが、そのときには影も形もなくなっている。そんな夜が何日も続いていくうちにどんどんとマルガレーテは衰弱していった。
「お祖父様が私を冥界に連れて行こうとする。こわい。私はお祖母様じゃないのに」
ガタガタと震えながら執務室に向かう。昼間ならあの幽霊はでてこない。そう思っていた。
「きゃっ!」
突然足をすくわれてその場に転倒する。細い足首をみれば床から伸びた白い手が彼女の足首をぎゅっと握っていた。
「……っ!」
声もだせないまま、マルガレーテはその場で意識をうしなったのである。
●だから、そばにきてほしい
「みなさん、みなさん! お仕事なのです!」
くりくりとした緑の双眸を瞬きしながらユリーカ・ユリカ(p3n000003)はギルドの一角にいた貴方達に話しかけた。
木製のボードに留められたメモを捲りながら、ちょっとこわーいお話です! と目を細めた。
「とある資産家さんが最近亡くなられて、お孫さんが後を継いだのです。まあそこまではよくあるお話なのですが、今際の際にそのお孫さんを自分のおよめさんと勘違いして、息をひきとられたのです」
結果、資産家はゴーストになって、孫娘を勘違いしたまま自分のいる場所。つまり死の世界に引きずり込もうとしているのだ。グレゴリア家の執事は新しい当主がこのままとり殺されてしまうのではないかと、ローレットに依頼をだしてきた。というわけだ。
「資産家のおじいちゃんも悪い人ではないとは思うのですけど……とにかく、お孫さんがお嫁さんじゃないことをわからせてあげてほしいのです。それで成仏させてあげてくださいなのです!」
- モノクロームの贖罪完了
- GM名鉄瓶ぬめぬめ
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2018年01月22日 21時40分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●ひとめあなたに
黄昏を映す橙と深き海の如き双眸を細めながら、幻想種である『夢語る李花』フルール プリュニエ(p3p002501) は思う。
(この素敵な夢が覚めるのはいつかしら? できれば穏便にしてあげたいのだけど、だめなら――消してしまいましょう?)
ふわふわとした髪を揺らし、ふんわりと緩く笑む彼女が物騒なことを考えているなどと気づくものはこの場にいるのだろうか。
「ばーさんが聞いたら…キレたくなりそうな案件だな。マルセルのじーさんには良い加減目を覚まして貰わんと」
苦笑する『死を呼ぶドクター』レイチェル=ヨハンナ=ベルンシュタイン(p3p000394)は困ったもんだ。と呟く。
「お爺さんとお婆さんが結んだ愛、その最も尊い一粒がマルガレーテさんですっ! こんな形で失ってしまうのは3人にとって宜しくないっ!」
ふんす! と息巻く『お気楽未来人』ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638)。
「ええ、そのとおりです。……数十年前は哀しいすれ違いで……今回は哀しい人違い、か。少し、やるせないね」
そんな彼とは対象的にマルク・シリング(p3p001309) は憂鬱げに微笑み、目的地の使用人の詰め所のドアをみつめると、ノックをする。
一方、マルガレーテ執務室のドアの内側すぐで 『剣禅一如』ヨシツネ・アズマスク(p3p004091) が目を瞑り座禅を組み、待機している。その姿はサムライと呼ばれる者たちそのものである。一切の隙きなく、変化には即対応できるであろうことは間違いない。彼のなかにあることは「一切、強きものとの戦い」だ。来る戦いのために逸る気持ちを抑え佇む美丈夫は声すら発することはない。
(さてさて、転がり込んできた急な立場、財産。こんな経緯のお嬢様ってのは孤独なんじゃないか? ふむ、うまいこと取り入ることができたら……色々楽ができそうだな)
少々邪なことを考えつつ、スラム上がりの『ライトウエイト・ドロップダウン』サンディ・カルタ(p3p000438) は試算する。
「マルガレーテさんは俺が守ってやるから安心しなよ」
「はい、ありがとうございます……」
マルガレーテの声には疲れが見える。
「ねえ、お婆ちゃんと貴女の好きなことの違いってどんなのなの? 男の人の好みとか! 食べ物とか!」
まるで歌い出すような勢いで深淵の海から来たイルカの少女、『海淵の呼び声』カタラァナ=コン=モスカ(p3p004390) は初の任務の嬉しさを隠しきれないかのように矢継ぎ早に質問する。
「は、はい、そうですね、服の違いや髪型の好みなんて顕著ではないでしょうか? お祖母様は青いドレスがお気に入りでした。お祖父様が好きだった色だそうです。この指輪に似合うからと。髪型は私とは違ってあまり結い上げることはなかったと思います」
綺麗に結い上げられた髪に触れながらマルガレーテは答える。
「それ! 指輪! 外しておいてほしいなあ! ねえ、おばけはその指輪から出てきてるってことはない?」
カタラァナは指輪が亡霊を作っていると考えているのだ。
「そうだな、その指輪の有無が、祖母と主の違いであるといえるであろう。外しておけ」
尊大な口調で、とはいえ、彼女を心配するように『天津神の末裔』高千穂 天満(p3p001909)は大仰な所作で指差し指摘する。
イレギュラーズの言葉に逡巡しながらもマルガレーテは白い指から宝石を外し、執務机にいれるとかちりと鍵をかけた。
「いえ、指輪はただの指輪です。入浴中や睡眠中は外しますが、その時に現れることもありました」
「それ、貸してくれない? 僕もつけたいな」
「……すみません。これはお祖母様の形見ですので……大切なものなので、誰かにお貸しすることは出来ません」
にっこりと笑顔で手をだすカタラァナに申し訳無さそうな声でマルガレーテは答えるが、その声には固いものが感じられる。
「んじゃま、マルガレーテさん、こんどはおばあさんのことを教えてくれよ」
サンディは空気を変えるようにそう聞く。ナイフでジャグリングをしながら近づき、そのナイフをマルガレーテの前に突き出せば、彼女はきゃっと悲鳴を上げて目を瞑る。
恐る恐る目をあければ、いつのまにやらナイフはアザミの花になっていることに目を白黒させる。
「アザミの花言葉は安心、あとは独立とかそういうの、マルガレーテさんにぴったりだろ? いろいろ話を聞かせてくれよ」
にやりと兄貴風をぴゅうとふかせながらサンディが笑えば少しだけ緊張がほぐれたようにマルガレーテが笑んだ。
「そうなのかしら……ありがとう」
「旦那様と奥様のお若いころは喧嘩も絶えませんでしたが、仲睦まじいご夫婦でした」
バトラーは彼らの質問に昔を懐かしむように語り始めた。
肖像画の貸与については快諾してくれたが、壊さぬようにとだけ注意される。なるほど、肖像画に残るマルグリットはマルガレーテと瓜二つだ。しかし目元のほくろ以外にも彼女ら二人がもつ印象は異なる。マルグリットが華やかな薔薇であれば、マルガレーテは野に咲く百合のようであると、自らの髪に飾られたすももの花を撫でながらフルールはそう評した。
残念ながら、離れて暮らしていた執事とメイドではマルグリットの死因や永遠の眠りについた場所までは答えることはできなかった。伝聞の限りでは、マルグリットの実家で心臓発作で、それほど苦しむこともなく亡くなったということだ。詳しくはむしろマルガレーテのほうが知っているだろう。
「かしら? 旦那様はよく、奥方様は歌をうたっていたと聞いたわ!」
「かしら? かしら? あまりお上手ではないけど幸せそうに歌うと聞いたわ!」
「旦那様の幽霊? 悲鳴をあげているうちに消えてしまうのですけれども、やっぱり奥方様に未練があるのでしょうね、しきりに奥方様の名前をよんでいらっしゃるのよ」
「それはともかくイレギュラーズってどこからきたの? どこへいくの?」
「あなたはお医者様なの? 男性? それとも女性?」
「未来からいらしたの? ねえ未来ってどんなところ?」
『キャァアアアアアア!』
『ピィイイイイ!!』
噂好きのメイドたちのおしゃべりが、全く関係のない話に移行したころに、悲鳴と、同時にゴーストの出現の合図であるホイッスルの音が聞こえ、それに反応した情報収集班の4人は駆け出した。
●ゆめのあとさき
それは、執務を終え、移動中に起こった。玄関ホールに差し掛かったところで、地獄の底から這い出してくるような声が周囲の空気を震わせる。
「おじいさま……!」
マルガレーテは露骨に怯え始めその場に蹲る。ホイッスルを吹きながら彼女とゴーストの間に割って入ったサンディは「まかせろ!」と嘯きカタラァナと共に守りを固めた。
移動中、カタラァナがエコロケーションを使用し、警戒していたこともあり、十分な備えができていた彼らは迅速に戦闘準備を整えると、味方の到着まで、マルガレーテを守るがために応戦する。
静かで美しいバラードがホールに広がると、音もなく近接した天満の焔式が炸裂し、ゴーストが悲鳴をあげた。
『マルグリット! マルグリット、さあおいで、怯えないで』
床からせり上がった大きな黒い影が手を伸ばせば、天満とヨシツネの背中に冷たいものが走る。
「『剣禅一如』ヨシツネ・アズマスク参る」
その構えは背水。後に引くものはない。負ければ己が死するのみ。
「チェストォオ!」
その技は示現流。一撃で敵を屠る必殺の技。
しかし、ブレイドは空を斬り、ダメージを与えた手応えは薄い。ヨシツネはだからこそ、と壮絶な笑みを浮かべる。
「斬れぬのであれば、斬れるまで。命の限りを尽くし、剣鬼の如しに斬り続ければよいだけの話。死中に必殺を見出す。それこそが剣の道よ!」
「面白い、言うではないか、剣の鬼よ」
なんか始まったなあと、カタラァナとサンディは目を合わせる。
「またせたな」
銀糸を曳きながら遠距離まで届くレイチェルの魔術式が黒い影――ゴーストを貫く。
「大丈夫ですか?」
ダメージを大きくうけていたヨシツネに、マルクのライトヒールが癒やしを齎した。
「合流、ね。さぁ、戦いましょう、躍りましょう。私達はお爺さんを助けに、奪いに来ました。お爺さんは何を望むの?」
踊るような儚き花は鮮やかな火花を身にまとい、ゴーストに襲いかかる。
「貴方の想い人はその方ではありません。あれが貴方の愛する妻でしょう!?」
ヨハナは、魔弾を撃ちながら、マルクのもつサファイアの指輪をはめた青いドレスの女性の描かれた女性を指差す。
『ああ、マルグリット、マルグリット』
「そちらのマルガレーテさんをよく見てください!本当にその人が貴女の愛する女性であるのか!」
「よく観て下さい、マルセルさん!貴方が本当に愛していたマルグリットさんは、こっちだ!」
マルクもまた肖像を掲げ、叫んだ。
『指輪、指輪はどうした? マルグリット』
促され、橙のドレスを着る館の女主人の指先をみて、ゴーストは明確に動揺する。そこにあるべきサファイアの指輪がない。
『ああ、ああ、アァアアアアアアア!』
刹那、怨嗟の叫びが周囲に響く。身体の芯から凍えてしまうようなその叫びが、その場にいるものすべてに降りかかった。
「やべっ!」
サンディが自らを顧みずマルガレーテを庇う。静寂とバラードで抵抗力が増している状況だけに、凍結するものはいなかったが、だからこそ、カタラァナは声の限りに歌い続けることを強く誓う。
マルガレーテから聞き出した話。マルグリットは最後までマルセルを愛し、待ち続けたことを歌詞にのせて、伝えた。マルセルが好きだった食べ物をマルガレーテに昔から食べさせていたことや、いつだって、マルガレーテに大好きな貴方と伝えていたということも。
『ああ、ああ』
いまなお、苛烈なゴーストの攻撃は止まない。味方の説得を信じ、真摯に攻撃を重ねていた、天満とヨシツネが体力の限界を向かえ倒れる。マルクの治癒は状況を回復せんがために連続して行われたが、ジリジリと削られていく状態は、万全とはいえない。それでも確実にゴーストが弱体化していっているのはわかる。あと少しだ。
「愛する者の未来を奪いに? 共に逝きたい誰かを探しに? それとも、私達に消されに? 私達はお爺さんをお婆さんの元に連れていける。ふふ、聞き分けなく暴れて消えますか?」
望みを果たすか、果たせず消されるか、さぁどっち? くすくすと笑いながら踊るフルールの火花は確実にゴーストの体力を削っていく。
『愛、するもの、未来……ぉお、おお……』
間合いを詰めた、レイチェルは霊魂疎通を使って、焔の魔術を展開しながら直接的にマルセルに話しかける。
「幸せだったんだろう? マルグリットとの日々は? 後悔してたんだろう? 向かえにいけないまま死に別れたことを! だからって、別人を引き寄せたって何の意味もねぇ!! じーさん、アンタが好きなのは『マルグリット』だろ?孫の『マルガレーテ』じゃない! 目を逸らすんじゃねぇ! もう理解してんだろ!? だからこんなに小さくなってる! それが証拠だ! じーさん…可愛い孫を勘違いであの世に引き摺り込んだら、後悔するぞ?」
戦いが始まったときより随分と小さくなったその影はビクリと身体を震わせた。
「忘れてしまったんですか、貴方は、マルグリットさんとのこの思い出を! ずっと貴方の迎えを待っていたマルグリットさんは彼女(マルガレーテ)じゃない、この肖像画に描かれた……そして、もう亡くなってしまった、この人だ!」
瞑想をしていたとはいえ、余力はもう底が見えかけている。それでもマルクは伝えるべき真実を突きつける。マルセルが目をそらしていた妻の死という事実から逃げることを許さない。
『ああ、ああ、マルグリットは、もう、この世にいないのか……』
イレギュラーズたちから、マルグリットとマルガレーテの差異を上げられ、それは正しいことであると、マルセルは納得するを得ない。それだけの材料を彼らは用意したのだ。恩讐に、妄執に目を逸らせていたことを思い起こせば、苛烈だった攻撃が止まった。
「残念ながら……貴方は今すぐに、彼女が眠る場所に向かうべきです」
悲しげな声でヨハンが不殺の術を紡ぎあげる。一度は死んだ彼をもう一度殺すのは忍びないという感傷。
それは彼自身の優しさが紡がれた術式だったのかもしれない。
「おばあさんも、あんたをまってるぜ」
守る必要はもうないと、サンディは前に出て小さくなった影に呟くと、鋭く踏み込み、霧散させた。
「あの世でばーさんと達者にやれよ?」
レイチェルはその金銀妖瞳(ヘテロクロミア)を細め煙管を懐から取り出し、火をいれるとその煙に乗せて魂が愛するものの元へと届けと送り出す。
(俺は、叶わなかったから)
叶わなかった祈りはどこへいくのだろう。だが、彼の思いだけは叶うようにと誰かにむかって願う。
『すまない、マルガレーテ。わが愛しい、マルグリットと紡いだ未来。その未来とちゃんと向かい合えなかったことだけが、無念だ……』
謝罪の言葉が最後に届き、重かった空気が軽くなる。全てはもう終わったのだ。
「マルガちゃん! おわったよ!」
消えてしまった影が消えた場所を見つめながら涙を流していたマルガレーテにカタラァナが屈託のない笑顔で話しかけると、彼女は終わったのですねと呟いた。
「おじーさんの夢物語はこれでおしまい。ね、マルガレーテおねーさん」
本当に消してしまってよかったの? と問わんばかりにクスクスと笑うフルールの真意は綿菓子のようで掴めない。
それでも、祖母たちのながい、永い夢物語は終わったのだ。
「みなさん、ありがとうございます」
そういって、微笑んだマルガレーテの笑みはまるで憑き物がおちたかのように晴れ晴れとしたものであった。
「また、遊びにきていいかい?」
サンディが問えば、彼女は答える。
「はい、ぜひ。大したもてなしはできませんが……!」
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
勘違いお爺ちゃんの退治ご苦労様でした。無事誤解は溶け解決しました。
みなさんの言葉がお爺ちゃんを変えました。きっとあちらの世界でお婆ちゃんと出会えていることでしょう。
半ばで倒れた方もいますが、貴方達の真摯な努力はお爺ちゃんに伝わったと思います!
MVPは最後まで悩みましたが優しいあなたへ。
GMコメント
鉄瓶ぬめぬめです。 この時期鉄瓶で淹れた熱いお茶を飲むのはとても幸せに感じます。ちゃんと洗っているのでぬめぬめしてませんよ。
今回の依頼はかつての妻とそっくり生き写しの孫を妻と勘違いしたまま死んでしまった、おじいちゃんを成仏させてあげてください。
ゴーストさんですので、物理攻撃は効きにくいのと8人で倒すのでやっとの強さですが、お孫さんが妻でないことを説得しながら納得してもらう度に弱体化はしていきますので、説得も大事になります。
事前に屋敷内で説得材料をあつめるために、バトラーさんに聞き込みはできます。
いつ、どこでゴーストはでてくるかはわかりませんが、概ねマルガレーテの側に現れることは間違いないでしょう。
・成功条件
勘違いおじいちゃんを成仏させてあげてください。
・敵さん
マルセル・グレゴリアのゴースト
序盤は物理攻撃は効きづらいかもしれません。
おじいちゃんに妻ではないことを納得させてあげることができたら少しずつ弱体化します。
弱体後は物理攻撃も問題なく効きます。
怨嗟の叫び 広域 ダメージと【凍結】
冥界の呼び声 単体遠距離 ダメージと【ショック】
通常攻撃は範囲対象になります。
・登場人物
・マルガレーテ・グレゴリア
金髪碧眼の20歳の女性です。目元にほくろがあります。祖母のマルグリットに生き写しです。(祖母にはほくろはありません)
祖母からもらったサファイアの指輪は形見であり大切なものです。祖母からはマルセルのことは聞いています。祖母はとても寂しくて飛び出しただけで、マルセルのことを嫌ったわけではありません。迎えにきてくれたら帰っていくつもりでしたが、ついぞ迎えはないまま祖母は死んでしまいました。そのことについて少しだけマルガレーテは複雑な思いをもっていますが、祖母がマルセルのことを愛していたことは理解しています。
現在は衰弱していますが、基本的には明るく快活で聡明な女性です。
気丈にも執務は欠かさず行っています。
・バトラーさん
マルセルが若い頃から彼の執事をしていました。マルグリットのことも知っています。頼めば肖像画も貸してくれます。
いろいろ話を聞けば答えてくれます。マルガレーテのことは孫のように思っています。
・メイドさん
は噂好き。
・ロケーション
基本的にはグレゴリアのお屋敷のなかになります。わりと広いです。
マルガレーテは執務があるので執務室にいることが多いです。
お互いがお互いに愛し合っていたのに、ちょっとしたすれ違いが今生の別れになってしまいました。不器用すぎるおじいちゃんをなんとかしてあげてください。
よろしくおねがいします。
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