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シナリオ詳細

良薬はゴブリンもお好き?

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●クリマ草
 王都より北方、アーベントロート領へ向かう道すがら、街道からはずれた小高い丘へと登った先にその場所はあった。
 新緑の大樹が天高く伸び、大地に影を落とす。
 そんな大樹の周りを、青白い小さな花弁が群生し、花開いていた。
 細い茎が伸び、見るも鮮やかな花弁へと繋がる。そんな細い茎を守るように緑の葉が幾重にも広がり、彩りを添えた。
 ――クリマ草。
 その青白い花弁を細かく刻み煎じることで、肩こり、腰痛、神経痛によく効く薬となる。
 民間療法に類する薬ではあるが、王都の薬師にとってみれば、ごく普通に利用される薬草だ。
 野生のクリマ草の群生地はそう多くなく、そんな数少ない野生の群生地が、その大樹の周りにあったのだ。
 
 しかし――。

 青白い花弁を踏み荒らすように、緑褐色の影が蠢く。
 ゴブリンだ。
 いま、野生のクリマ草の群生地は、野良ゴブリン達の滞留所となっていた――。

●薬草収集
 ギルドローレットに出入りする特異運命座標(イレギュラーズ)にはいろいろな依頼が舞い込む。
 今回もまた新しい依頼が舞い込んだ。
「今回やってほしいのはクリマ草という薬草の収集なのです」
 ユリーカ・ユリカ(p3n00002)がメモが書かれた羊皮紙を覗き込みながらイレギュラーズ達へ説明をする。
「王都の薬師さん達からの依頼なのですが、王都近辺にある野生のクリマ草の群生地にゴブリンが滞留しているようで、クリマ草を集める事が困難になっているようなのです」
 群生地はそう多くなく、近場の群生地でとれないとなると、フィッツバルディ領やバルツァーレク領の奥地までいかなくてはならないそうだ。
 そう高価な薬草でないにしても、王都で暮らす老人達からの需要は高く、在庫が切れてしまう心配がある。
 ゴブリン達が出て行くまで待つにしても、その間に群生地が荒らされてしまっては必要量が採取できず、困ってしまうということだ。
 そこで薬師達はギルドへと依頼を持ちかけたというわけだ。
「依頼内容は、クリマ草三十本の採集。また可能であればゴブリン達を討伐、または追い払うのでも大丈夫です」
 かなりの数が群生しており、三十本程度ならすぐに集められるということだ。ただし、花弁が潰れてしまっているものは利用できないので注意が必要だ。
 ゴブリンについては今後のことも考え確実に討伐しておくか、追い払うに止めるか、その判断はイレギュラーズに任せられている。
「注意することは、群生地の上で戦うとクリマ草がダメになってしまうので、ゴブリン達をおびき出す手段が必要になることですね。とはいえ、知能も低く少し挑発すれば勝手に追いかけてくると思うのです」
 確認されているゴブリンは十体。小さな短剣や手斧で武装している。戦闘能力は低く連携した行動もしないが、油断は禁物だ。
 また、圧倒的な力の差を見せ付けてやれば、ゴブリン達はすぐさま逃げ出す事は間違いない。追い払うのであれば早々に力の差を見せ付けてやるのが最善手だろう。
「お薬が作れないと王都のお爺さんお婆さんのみんなが困るのです。皆さんならきっとやり遂げてくれると思うのです。どうか宜しくお願いします」
 ぺこりとお辞儀をしたユリーカは、そうしてイレギュラーズ達を送り出すのだった。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 このたびは、ご参加頂きありがとうございます。
 依頼の補足情報を下記に纏めておきますので、ご覧下さい。

●依頼達成条件
 ・クリマ草三十本の採集(花弁が潰れていないもの)
 ・ゴブリン十体の討伐、または追い払うこと。

●情報確度
 Aです。想定外の事態は絶対に起きません。

●ゴブリン
 十体居ます。戦闘能力は低く、連携行動も取りません。敏捷性も低いタイプです。
 全員短剣か手斧で武装しています。短剣六、手斧四の割合です。

●戦闘地域
 街道からはずれた小高い丘の上です。人通りは少なく、一般人が巻き込まれる心配はありません。
 また障害物もなく戦闘に支障はでないでしょう。
 ただし、クリマ草群生地での戦闘はクリマ草が採取できなくなる可能性があるため、クリマ草が生えている大樹の傍から離れて戦闘を行う必要があります。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • 良薬はゴブリンもお好き?完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年01月21日 00時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
竜胆・シオン(p3p000103)
木の上の白烏
幽邏(p3p001188)
揺蕩う魂
縹 あんず(p3p001228)
唐桃
デメ・クロージャー(p3p001289)
観察者
ガドル・ゴル・ガルドルバ(p3p002241)
本能を生きる漢
プルートー(p3p002611)
レイジングスラッシュ
エリニュス(p3p004146)
Liberator

リプレイ

●誘い出し
 指定されたクリマ草群生地に向かう特異運命座標(イレギュラーズ)達。
 王都の北方、アーベントロート領に向かう道すがら街道からはずれた小高い丘を登っていく。
 葉擦れの音と陽射しが心地よい。どこかピクニック気分のまま一行は進んでいった。
 草木の生えた小道を少し歩いて行くと、目の前が開けた場所にでる。そこで先頭を歩いていた『本能を生きる漢』ガドル・ゴル・ガルドルバ(p3p002241)が皆に停止を促した。
「見て見ろ、いたぞ」
 指さした先、新緑の大樹の根元、青い花が咲いているのがわかる。そしてその周りには十体のゴブリンがいるのがわかった。
 すぐに身を隠すイレギュラーズ達。様子を伺うとゴブリン達は思い思いの方法でのんびりと過ごしているのがわかる。
 しかしそれはクリマ草のことを何も考えていない過ごし方だ。現にクリマ草の上で寝そべるゴブリンもいる始末だ。
「荒らされてるね」
「さすがにこのままと言うわけにはいかないわね」
 これ以上クリマ草の群生地を荒らされる訳にはいかない。イレギュラーズ達は早速ゴブリン達を誘い出す算段に移る。
「ノリア、頼んだ」
「やってみますの」
 『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)がギフト『空中親和』を発動させる。
 中空に泳ぐように浮かぶノリア。そしてゆっくりとゴブリン達の方に近づく。
 ゴブリン達に気づかれる様に。しかし近づきすぎないように。遠巻きを意識しながら、まるで海中で自由に泳ぐ魚のように、中空を泳ぐ。
 しばらくそうしていると、ゴブリンの一体がノリアに気づく。仲間達に知らせるように指を差すと、興味を示したようにゴブリン達が全員ノリアの方に近づいてくる。
(……上手く誘えたようですの)
 ノリアはゆっくりとイレギュラーズの方へと近づいていく。それに釣られゴブリン達もノリアを捕まえようと近づいていく。
 この時点で、ゴブリン達をうまくクリマ草の群生地から引き離す事に成功したと言えた。しかしこのままではノリアが捕まってしまう。タイミングを見て注意を引く必要があった。
 隠れているイレギュラーズは互いに頷くと、奇襲を仕掛けるタイミングを伺う。
 徐々にゴブリン達が足を速める。ノリアも急ぎ離れようとするが、そろそろ逃げ場が無くなってくる。
 タイミングとしては今しかないだろう。前衛を務める、『木の上の白い烏』竜胆・シオン(p3p000103)が飛び出し「真打登場ー……ってね……」と呟きながら大太刀で斬ると、その後ろからガドルと『レイジングスラッシュ』プルートー(p3p002611)が隠れた場所から飛び出しゴブリン達を挑発するように小石を投げた。
 慌てふためくゴブリン達。すぐさま武器を構え反撃を試みようとしてくる。
「一気にたたみ掛けるぞ!」
 声を上げ鼓舞するとゴブリン達に相対するイレギュラーズ達。
 クリマ草群生地を守るため、ゴブリン達との戦いがはじまった――。

●ゴブリンとの戦い
 最初に動いたのは『観察者』デメ・クロージャー(p3p001289)だ。後衛に位置する彼女は中~遠距離の間合いを保ちながら遠距離術式を狙っていく。
 スペルブックに魔力が篭もる、光が集い、生み出される魔方陣から力が迸る。そして収束した魔力は塊となって放たれた。放たれた魔力の塊はゴブリンに直撃し吹き飛ばし顔に土をつける。
 デメは本音を言えばゴブリン達を追い払うだけでも十分だと考えていた。
(悪意の無い者を殺めるのは、……やっぱり抵抗があるわ)
 内心、心を痛めながら、しかし攻めてくるゴブリン達から間合いを離し、次々と魔力を放っていった。
 その横で、ノリアはゴブリン達を引きつけるように動き、ゴブリンの動きを誘導していく。
 ノリアは攻撃が苦手だ。また何かの為に別の生き物を殺すのは好きではなかった。故に、今回の依頼では裏方に周り、ゴブリン達の隙を作ることに終始することに決めていた。
 ゴブリン達の攻撃を躱しながら、気を引くように近くを通り過ぎる。捕まえようとゴブリンが手を伸ばすが、するりと躱しゴブリンの側面へ移動する。そうしてゴブリン達の視線を誘導して、仲間達が攻撃できる隙をうまく作り出していった。
「絶対一人たりとも逃がさないよ……」
 奇襲に成功した後、シオンは自由なる攻勢を繰り広げる。大地を疾駆しゴブリンに肉薄すると、手にした大太刀で袈裟斬りにする。続けざまに横に薙ぎ、踏み込むと更なる一撃を加える。身体を切り裂かれ怨嗟の声をあげるゴブリンは、手にした短剣で反撃を試みる。
 深入りしないように大太刀で受け流しながら距離をとると、仲間達、特に前衛の位置を確認しながら立ち位置をキープする。
 クリマ草を獲れなくなれば困る人がでてくる。それは見過ごせない。
(特におじいちゃんやおばあちゃんが困ってるなら尚更……お菓子とかくれるいい人たちだもん……)
 シオンはそう考えながら大太刀を薙ぎ払うように振るい、返す刀でゴブリンを斬りつけた。
「さぁ、こっちだ!」
 ゴブリン達を多く挑発し、敵視を多く稼ぐのはプルートーだ。
 体力に自信のあるプルートーは仲間を狙うゴブリン達に小石を投げつけ挑発していく。
 頭に小石をぶつけられたゴブリン達が怒るようにプルートーを狙い攻撃を仕掛けてきた。
 次々と振るわれる凶刃をその身で受けながら防御を固め、体力管理を行っていく。仲間の負担を減らす事に専念しつつ立ち回るプルートーのおかげで仲間達は行動しやすくなっていったといえるだろう。
 当然、防御に専念しながらも、プルートーも反撃を行っていく。ゴブリン達の甘い一撃をはじき返すようにしながら、体勢を崩した相手の隙を狙って斬り払った。
「おう、こっちも忘れるなよ!」
 プルートーに注意が向いたゴブリンに後ろから殴りかかるガドル。鋭い踏み込みから肉薄すると得意の拳で殴っていく。
 一打、二打、三打と連続で放たれる重い連打がゴブリンの緑の肌を打ち付けていく。打ち据えられたゴブリンが苦痛に顔を歪めた。
「まだまだいくぞ!」
 逃げようとするゴブリンを優先的に狙うガドル。相手の逃げ道を塞ぐように立ちはだかると、力強い拳が音を立てゴブリンの肌にめりこんでいく。
 ガドルもまた、クリマ草を確実に採集したいと考えていた。その需要が老人だけでなく貧困層にもあると考え、在庫が無くなり困る人が出る前に届けたいと思っていた。
 ゴブリンの反撃を受け、肌から血を流しながら、しかし怯む事無く攻撃を繰り返す。
 ガドルの豪毅な攻めが、ゴブリン達を大いに怯ませていった。
  『Liberator』エリニュス(p3p004146)は前衛がゴブリン達を攻めていく中、後衛に位置し弱ったゴブリンを確実に狙っていく。
「逃がしはしないわ」
 基本的に弱ったゴブリンを狙うエリニュス。特に戦域から逃亡しようとする者や、クリマ草の群生地に近づこうとするものを優先し矢を射かける。
 集中し弓を引く。タイミングをはかり、隙を見せたその瞬間矢を放つ。放たれた矢がゴブリンの手足を貫き徐々に深手となっていった。
 エリニュスは次々に容赦の無い攻撃を浴びせていった。ゴブリン達に害意はなかったのかもしれないが依頼である以上、後腐れ無く、一匹残らず倒すつもりだ。
 それに、仕留め損ない将来の禍根になってしまうのも厄介だ。可能な限り全滅させるように立ち回ろうとしていた。
 距離を詰めてくるゴブリンに対し、すぐさま移動し距離を保つ。味方から孤立しないように、離れすぎないようにしながら立ち回っていた。
 エリニュスと同じように後方から射撃を繰り返すのは『揺蕩う魂』幽邏(p3p001188)だ。
「……」
 気配遮断でしゃがみながら息を殺して、トリガーを引く。轟音を立てながら放たれた弾丸がゴブリンの頭を貫き絶命させた。
 すぐさま低空飛行へと移り、上空からの射撃を繰り返してゴブリン達の頭数を減らしていく。
 幽邏も他の仲間と同じようにクリマ草群生地へと近づく者を優先して攻撃していった。クリマ草に近づくものがいなくなれば、次は弱っているゴブリンだ。放たれる弾丸が次々とゴブリンに着弾していく。
 人間不信の幽邏は仲間達とは最低限の交流しかしていないが、依頼である以上仲間との連携が必要になる。仲間の行動を邪魔しないようにゴブリン達を攻撃することに細心の注意を払う。
(ゴブリン達をやっつけるのは気が引けるけど…、今後の事を考えて、心を鬼にして頑張るのよ……!)
 心の中で気合いをいれながら『唐桃』縹 あんず(p3p001228)が弓を射る。
 狙いを外さないように集中力を高め、動作の精度を際立たせると、体力の少なくなっているゴブリンを狙って攻撃する。長弓を引き慎重に狙って矢を放つ。勢いに乗った矢がゴブリンの腕を貫通した。
「今度はそっちなのよ!」
 あんずは声を出し、仲間と連携を大切にしながら攻撃を続ける。
 あんずも作戦通り、群生地へ向かうゴブリンを優先し、また前衛を突破したゴブリンがいれば、そちらを優先して狙っていった。
 ――イレギュラーズ達は互いに連携しながらゴブリン達を追い詰めていく。
 すでに半数のゴブリンが倒れ、残る半数ももはや体力の限界が近い。
 逃がさないように、またクリマ草群生地へと近づけさせないように包囲しながら、ゴブリン達の止めを狙う。
 もちろんゴブリン達もただでやられるわけではない、半数の仲間を失いながら、戦意は衰えていない。手にした武器を振るいながらイレギュラーズに襲いかかる。
 戦闘能力が低いとはいえ、手にした武器は本物だ。
 振るわれた凶刃に切り裂かれた肌から血が溢れ、痛みに顔が歪む。
 だが負けるわけいかない。クリマ草を届けるためにイレギュラーズ達は手にした武器に力を込めていく。
「あなたは私の観察対象。その疵、隠し通せると思ったの?」
 デメがスペルブックに呪力を込める。魔力が篭もった呪術がゴブリンの動きを更に乱れさせていく。次から次へと呪力を放ち、ゴブリン達にかけられた行動阻害を高めていった。
 群生地へと逃げようとするゴブリンをマークし動きを止めるノリア。
「あっちに逃げると、いいですの」
 群生地とは逆の方を指さしゴブリンを誘導する。
 そうして逃げたゴブリンをシオンが捕らえる。
「こっちも通行止めだよ……」
 大太刀でゴブリンを一息に切り裂くと、すぐさま次の標的を狙い移動した。
 ゴブリン達の標的を一身に受ける、プルートーは傷だらけの身体を動かしながら、力を振り絞りゴブリンへと攻撃を仕掛ける。
「はぁぁ――!」
 縦切りを受け流されながらも、返す刃で横薙ぎに切り裂きゴブリン首をはね飛ばした。
「いいぞ、あとちょっとだ!」
 仲間達を鼓舞しながらゴブリンを殴り倒すガドル。シオン、プルートーと連携しながらゴブリン達にプレッシャーを与えていく。
 ゴブリンが手斧を持って反撃しようとするも、その太い腕で受け流し、顎を狙って拳を振り上げる。
 仰け反るゴブリンに後方から矢が放たれ突き刺さり倒れる。エリニュスが放った矢だ。
 移動を繰り返しながら、正確な狙いで射撃行動を繰り返す。
 その流れに乗るように幽邏が低空飛行をしながら残るゴブリンを狙撃していく。また一体ゴブリンが倒れた。
 残る一体が追い詰められて我武者羅に反撃を行ってくるが、狙いの定められていない一撃は空を切った。
「ごめんね、これで終わりだよ」
 あんずが呟きながら弓を射る。放たれた矢が吸い込まれるようにゴブリンの頭に刺さり、ぐらりと揺れて倒れた。
 静寂が辺りを支配する。一息の間、そしてイレギュラーズ達の口から大きく息が漏れた。
 クリマ草群生地に滞留していたゴブリン達は、こうして一掃されたのだった。

●クリマ草採集
 戦いが終わり、一時の休息を経たイレギュラーズ達。
 あんずの提案で、倒したゴブリン達を近くの地面に埋め墓を作ってあげた。
「安らかに眠ってくださいなの」
 手を組み祈るように呟くあんず。
「それじゃ薬草を集めましょう」
 エリニュスが声をかけ、仲間達と共に群生地へと近づいていく。
 戦闘では近づけないようにしていたが、ゴブリン達が根城にしていただけあって、ひどく荒らされている。
 大樹の手前側は特にひどく採集できそうなクリマ草は見つけられなかった。
 大樹を回り込むように移動する。
 裏側までいくと、青白い花が元気に咲いているのが見つけられた。
「よかった、こっちはまだ無事なようね」
「ではさっそく採集しよう」
 デメとプルートがそういうと早速採集作業に移る。
 茎を折らないように、一本一本丁寧に根っこから引き抜いていく。
「悪いな、細かい作業は苦手なもので、採取はまかせる」
 ガドルはそう言って周囲の警戒にあたる。まだゴブリンが潜んでる可能性もあるからだ。
 傷がなさそうな綺麗な物を選んで採取するシオンはジーッと採取したクリマ草を見つめていた。
(……そういえばこの薬草ってどんな味なのかな……美味しいのかな……)
 きっとゴブリン達も美味しいと思うからこの場に居たのだろうと考えるシオンの口元から涎が垂れる。……じゅるり。
「そんなに見つめて食べたらだめですの」
 ノリアがシオンに注意しつつ、クリマ草を採取する。慣れない手で試行錯誤しながら傷を付けないように引き抜いていく。
 そうして三十本より少し多めにクリマ草を採取した面々は帰路につこうとするが、そこでノリアとシオンが休憩してから帰りたいと提案し、多数決で結果一休みすることにした。
 穏やかな陽射しの中、ゆったりと時が過ぎていく。
 ノリアとシオンは大樹のに寄り添い寝息を立てていた。
「ゴブリンがいなくなったから、薬師さん達も安心して群生地に来れるようになるはずよ。……わたしも、誰かの役に立てたかしら……?」
「ああ、きっと役に立てたはずさ」
 あんずの問いかけにあぐらを組んだガドルが答える。
 イレギュラーズとなって初の依頼。うまくこなせただろうか。
 雲がゆっくりと流れるなか、イレギュラーズ達は静かに考える。
 この先もきっと様々な依頼が舞い込むはずだ。次の依頼も無事にこなせる事を願いながら、面々は採集したクリマ草と共に、街へと帰るのだった――。

成否

成功

MVP

ガドル・ゴル・ガルドルバ(p3p002241)
本能を生きる漢

状態異常

なし

あとがき

シナリオお疲れ様でした!
ゴブリン達は一掃されることとなりましたが、お墓の下で安らかに眠る事でしょう。

クリアの記念として称号『クリマ草採集者』を配布致します!

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