PandoraPartyProject

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・ほのぼの日常
 その日、アリスは妙にツイていた。
 朝は母親に起こされる前に自分で起きることができ、飼い犬の散歩から家に戻った瞬間雨は降り出し、大好きなパン屋に行けば新作のエッグタルトをひとつ貰うことが出来た。
 だから、今日は自分は何をしたって成功する――そう思っていたのに。
「なんでフラれるのー!?」
「ちょ、アリス声が大きくない!? いやアリスがいいならいいけど!」
 周りの客が一瞬アリスを見たが、乙女の訴えはスルーするのが大人というもの。
「今日はツイてたのにー。ねぇクイーンちゃん、クロックくんって好きな人いるのかなぁ」
 そう嘆くと、紅茶を一口。
 ツイてる日もツイてない日も何でもない日も、毎日ここで友達とティーパーティー。それがアリスの一日!

・コメディ
「ええい我が領から見たフジィ山こそ最も美しい! 見るがよいこの曲線、芸術である」
「曲線曲線、ナントカの一つ覚えですね領主殿。フジィ山は我が領の誇るこの湖と一緒に見た時こそ、至高の美となるのです」
 隣接する二つの領の揉め事を仲裁してほしい。そんな依頼を受けた八名の前で繰り広げられているのは「領境の山をどちらから見た時が美しいか」の論争だった。
「引き受けて頂きありがとうございます……。領主様は本当に心優しいお方なのですが、どうしてもこれだけは譲らず」
 困り果てた側近の言葉に、どっちだっていいじゃないか――そう呟いた仲間が集中砲火から解放されるまで、そこから実に小一時間を要したのだった。

・ホラー
 息が荒い。走って、走って、走り続けて。足がもつれて何度も転び、膝も手の平も擦り剥けた。足裏を突き刺す痛み。きっと靴が脱げているのだろうが、気にしている余裕などない。アレに追いつかれたら、俺は、多分。
 明かりが見えた。ようやく森を抜けられたのだ。ああ、助かった。
 人影がこちらを手招きしている。俺が、アレが、見えているのか。
 アレが見えているのに動じていない。つまりアレは明るい所には入れない。俺は助かったんだ。
「助かり、ました」
「いえ、助かりませんよ」
 そう答えた顔は、人のものではなく――俺は生暖かい何かに、飲み込まれた。

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