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【キミと過ごす初めての冬】
【キミと過ごす初めての冬】
イラストSS
「おや、大丈夫かい? 一つぐらいなら持てるけれど、可愛いプライドかな?」
――なんて、冗談。
悪戯っ子のように笑みを浮かべて恋歌 鼎(p3p000741)はそういう。女性とも男性ともとれる中性的な容姿の鼎は真紅のコートに身を包み大量のプレゼントボックスを抱えたシャロン=セルシウス(p3p000876)をちらりと見上げる。
赤のチェックのマフラーを揺らし、冗談めかした鼎の言葉にシャロンは「い、いや」と僅かに声を弾ませた。
「レディに持たせるなんて……って、やっぱり一つお願いできるかな?」
ぐらりと腕の中で揺れたそれを一つ受け取って「ああ、構わないさ」と鼎は口元に笑みを乗せる。
仕立ての良いコートに包まれた胸元に凭れ掛からせるように積まれたプレゼントボックスはどれもシャイネン・ナハトの為の準備だ。
緑のマフラーに口許が埋まってしまう前に「ありがとう」と柔らかに告げたシャロンに鼎は大きく頷いた。
ちらちらと降る雪の下、シャイネン・ナハトの光の海の中で沢山のプレゼントボックスが揺れている。
背の高いシャロンを見上げ、「寒いね」と小さく囁く鼎の声にシャロンの冷え切った長耳は「そうだね」と返す様に髪から覗いた。
「さあ、早く帰ろう。……帰って何か暖かいものを用意しようか」
「ああ、荷物1つ分くらいの『お礼』を頂こうかな?」
二人の足跡が道程に残りゆく。さあ、暖かな家はもう直ぐだ。