イラストSS

　きらきらとオーナメントが飾りつけられたツリー。壁面には聖夜を祝う飾り文字。シャイネンナハト仕様に彩られたカラオケルームで、青年の熱唱が響いていた。
　ふぅ……と鬱憤を晴らすように歌っていた世界が、一曲歌い終えてソファに寝っ転がるアルヴァをチベスナ目で見つめる。
「何が悲しくてシャイネンナハトに野郎二人で過ごさなきゃいけねえんだよ」
「俺に言っても仕方ないだろ、お互い暇だったんだから」
　だらだらとソファに横になったまま、少年はスマートフォンに気怠い視線を向けてSNSをチェックしている。それが気に入らなかったのか、世界はもう一度不満を口にした。
「じゃあせめて寝そべってないで歌えよ。何しに来たんだここに」
「いや、だって外寒いじゃん？」
　そうだ、外は寒い。しかしここはちょっぴり広い貸切ルーム。注文すればケーキやパフェ、おいしい食事もついてくるのだから、カラオケって最高。それはそれとしてむなしい聖夜ではあるのだけれど。
　内心、俺の歌を聞けよと静かなイライラが募っていることは口にせず、世界は端末で素早く新たな選曲をし始める。
「くそっ今日はオールだからな！　食って歌うぞ！　いいな！？」
「おーがんばれー」
「だから歌えよ！！」
　日常も非日常も、二人にとってはあまり変わらないのかもしれない。

　※SS担当者：遅咲