PandoraPartyProject

イラスト詳細

プレゼント交換

作者 八木ふつき
人物 ステファン・ダールバニ
ヴァイス・ブルメホフナ・ストランド
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2022(サイズアップ)
納品日 2022年12月24日

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イラストSS

●Thank you so much. How did you know I’ve always wanted this.
 彼女が『此れはシャイネンナハトに飾るのだそうよ』なんてツリーを持ち帰って来たのは何時の事だっただろう。眸の前の純白を纏う人形乙女の外見は変わらず、だからか。遠い昔の様にも、つい昨日の様にも思わせる。
 天辺に飾られた大きな星は定位置で誇らし気に暖炉の燈をてらてらと反射して眩い。
 ステファンの手には孔雀いろのペーパーバッグ。
 ヴァイスの手には藍にくれ染むる巾着袋。
 互いが互いを想い贈りあった其れを『せーの』で開けよう、と契って、先に聲を上げたのは彼だった。
 碧き空と同一化する様な心地の柔らかなロングマフラー。

「有難う……! ふたりは包めそうな長さだ」
「ふふ、喜んで頂けて光栄の至り。
 そうね、ふわふわとしていて羽根の生えたあなたを繋ぎ止めておくには丁度いいかしらね」
「そんなに? マイペースな自信はあるけれど……」
「私には――まあ、温かそうな手袋ね」

 生地を撫ぜる陶器の様に白い肌に似合いの白い手袋。何だか自分の頭をそうされている様な感覚に胸が高鳴っている事に気付き、少年ははっと息を飲んだ。

「付けてみて、くれる?」
「ええ、ええ」
 本当は人形の彼女に、暑いだとか、寒いだとかが無いのだとしても。其の可愛らしく、小さくて精巧な手先を握れる口実になるのなら。

「如何? 似合うかしら」
「とっても!」
「此れなら、エスコートしてくれる人の手が、冷たくはならないわね?」
「其れって、僕じゃ駄目?」
「あなた以外誰が居るの? おかしな仔。ねえ私、此の夜の空を飛んでみたいわ」
「……――! そっか! じゃあ手をどうぞ、うんと高い所まで、行こう!」

 今宵の僕と君なら、月が綺麗だねってそんな細やかな事で笑い合えたのが、唯、唯、倖せだった。

 ※SS担当者:しらね葵

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