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イラスト詳細

いざ、空へ

作者 倉葉
人物 アルヴァ=ラドスラフ
リリーベル・リボングラッセ
イラスト種別 2人ピンナップクリスマス2022(サイズアップ)
納品日 2022年12月24日

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イラストSS

● Imagine there’s no heaven, it’s easy if you try. No hell below us, above us only sky.
 己が手を引いてやれるのは、一度に一人の人間きりだ。そして其れは、視力を失った右側である方が丁度いい。まあ何と上手いこと欠けたもんだろうか。
 マフラーひとつ自分で満足には巻けない青年が、然し地面をトン、と二本の足で蹴れば不思議な程に力強く空へと立ち登った。ひょんな所で出逢った乙女の大きな其の翼が、身を守り包む繭なだけでは無い事を教える為に、或いは証明としてだっただろうか。
 懸命に翼を羽撃かせ、白い息と共に脣から乙女が漏らしたのは少しの恐怖と、九割の感動である。
「どう? 空を飛ぶってのは。中々悪いモンじゃ無いっしょ」
「ええ、ええ! わたしは――……こんなに高い所まで、飛べたのね」
「天国なんてのは無くたって、上に在るのは空だけってね。誰の歌だったか」
「あらまあ! ではわたしは誰に祈れば良いのでしょうね」
 ふたつとひとつが交わって、青年は『自分自身じゃない?』と茶化せば、乙女も『君って存外ストイックなのね』と可愛らしく小首を傾げ、其れから笑い合って。
「で、まあ飛ぶ事の良さを識って貰えたかと思う所で――改めて自己紹介だ。
 俺はアルヴァ=ラドスラフ。しがない空兵達の親分をやってる。リリーベルさぁ、航空猟兵に入んない?」
「ふふ、怪しい勧誘か何かを買わされるのかと少し驚いてしまったじゃない。
 そう云う事なら、考えさせて下さいね」
「嗚呼、良い答えを期待してるよ」

 ※SS担当者:しらね葵

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