イラスト詳細
ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤの朝日奈臣による3人ピンナップクリスマス2022
作者 | 朝日奈臣 |
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人物 | ヴァレーリヤ=ダニーロヴナ=マヤコフスカヤ アレクシア・アトリー・アバークロンビー ブリギット・トール・ウォンブラング |
イラスト種別 | 3人ピンナップクリスマス2022(サイズアップ) |
納品日 | 2022年12月24日 |
イラストSS
鉄帝国の動乱の折、寒さは厳しくなり『フローズヴィトニルの訪れ』とも言われたその時に。
アレクシアは大荷物を分け、護衛を手配し、難民達の物資の確認を行って居た。
一つ一つのことはそれ程大変なことではナイ。住む場所を手配し、食糧を与えるというのは数が数でもあって、重なり続ければ疲弊も見えてくる頃だ。
ヴァレーリヤはそんなアレクシアの様子を見詰めてから「休憩しませんこと?」と声を掛ける。
「んー、でも、あと少し位!」
そう言ってから荷物を持ち上げたアレクシアの背に「アレクシア、ヴァレーリヤも。此処に居たのですね」と声を掛けたのは『アラクラン』の一人である魔種ブリギットであった。
魔種と言えども、穏やかで革命派の一員として動く彼女は銀に染まった髪を揺らがせ、何食わぬ顔で難民の受け入れを手伝っていた。
「あら、ブリギット。忙しそうですわね?」
「ええ。ヴァレーリヤが休憩ばかりですもの」
つい――とヴァレーリヤが視線を逸らした。アレクシアはヴァレーリヤを追掛けるようにまじまじと見詰める。
ブリギットは真面目だ。不真面目とは言えず、長命であるが故に『子ども達』と多くの難民を呼び掛け慈しんでいる。
そんな彼女だからこそ、どの様な難題にも向き合っていたのだろうが――今回向き合ったのは『ヴァレーリヤ問題』だったようだ。
「休憩が多いこと」
「いいえ、そんなことは有りませんわ?」
「今からは?」
「アレクシアを休憩に誘って……」
「また休憩ですか、ヴァレーリヤ。まさかと思いますが、昨日も遅くまで飲んでいたのではありませんよね?」
ぎくりとヴァレーリヤの肩が跳ねた。そのまさかではある。
明日も頑張るための今日のご褒美だとして鱈腹酒を飲んだのだ。実に二日酔いで気持も悪いわ、頭も居たいわ。誰かを見付けては休憩に誘っているのだ。
「おほほほ、どうだったかしら……。ア、アレクシアも疲れてしまいましたわよね?」
苦しい言い訳をするヴァレーリヤに話を逸らそうとしているのだと気付きながらアレクシアはくすりと笑う。
「あはは、そうだねえ……少しゆっくりしたいかな、せっかくの日なのだしね。ブリギットさんもどう?」
「アレクシアがそう言うのならば」
ご一緒しましょうと着いて遣ってくるブリギットに『お酒は程々に』というメッセージ性を籠めたアレクシアは焦りを滲ませるヴァレーリヤと追掛けるブリギットを眺め遣る。
――ああずっと、こうやって平穏だったら良いのに。
魔種である彼女とは傷付け合わなくてはならないということが、苦しくて堪らないのだ。
*SS担当:夏あかね